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2018年4月28日(土)

『デトロイト ビカム ヒューマン』プレイレポート。繰り返される“究極の選択”が生み出すのは自分だけの物語!

文:hororo

 5月25日にSIEから発売予定のPS4『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』。本作のメディアセッションが開催されました。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 本作は、人間と瓜二つの姿や能力を持ったアンドロイドが普及した世界を描くアクションアドベンチャー。プレイヤーの選択に応じて多彩な結末へと分岐する物語が特徴です。

 メディアセッションでは序盤の10チャプターをプレイでき、ゲームの流れを実際に体験できました。そのストーリーの重厚さと分岐の多さなどを味わうことができたので、その感想をお届けします。

 なお、大きなネタバレは避けますが、内容的に物語の展開にふれる部分があるため、情報を入れずに本作を遊ぼうと考えている方は注意してください。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 また、当日はディレクターを務めるデヴィッド・ケイジさんが登壇し、開発経緯や魅力などが語られました。そちらのインタビューは後日掲載します。

立場や物語の構成が異なる3体のアンドロイドが主人公

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 本作の舞台は2038年のアメリカのミシガン州にある街・デトロイト。この街はアンドロイド産業で栄え、作中ではもっともアンドロイドが普及している都市として認識されています。アンドロイドは人間と見まごうほどの容姿を持ち、人間以上の能力すら持つものの、人権はなく一般的には物として扱われている、というのが特色です。

 仕事の多くはアンドロイドが担うようになり生産性は向上……と聞くといいことに思えますが、アンドロイドの台頭のせいで職を失った人も多く、貧困の差が広がっているという負の面も。そんななか、“変異体”と呼ばれる自意識に目覚めたアンドロイドが出現し始めます。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 物語では、物として扱われているアンドロイドの視点から、本作の世界観やアンドロイドの境遇が描かれていくことに。ゲーム中にはさまざまな選択が表示され、それによって物語が変化していくのですが、簡単には答えられないような悩ましい選択ばかり……。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 主人公は3体のアンドロイドで、それぞれ立場や物語の構成が異なるのが魅力。例えばコナーは“変異体”犯罪に対処するために生み出されたプロトタイプアンドロイドで、刑事のハンクとバディを組み、犯罪捜査に当たります。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 コナー編では事件現場で証拠品の採取から事件の予想、犯人の捜索などを行えるのですが、そんななかでも選択の自由があるのが本作。ハンクに事件のあらましを推理する際に、あえてちぐはぐな推理をすることも可能です。実際に試してみたところ、最初は「証拠を無視するな」といい訂正してくれましたが、最後には怒って帰ってしまいました。このような明らかに「やっちまったな」と思う結果でもエピソードは失敗とはならず、物語は進むのも本作の特徴ですね。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 もうひとつ印象的だったのが、コナーによる犯人の尋問シーン。捕まえた変異体から情報を聞き出すシーンなのですが、変異体に“適度な”プレッシャーを与えることで変異体の口から情報を少しずつ引き出すことができます。ゲーム的な視点でみると、相手を脅したり、同情的に話したり、データを突きつけたりしてプレッシャーの値を適正まで引き上げ&維持することが正しいのですが、変異体の境遇や供述を聞いていると非常に同情的な気持ちも生まれてくるのも事実。自分がとても悪いことをしている気分になるなど、知らないうちにゲームの世界へ引き込まれていることに気づきました。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 2体目の主人公のカーラは家政婦用のアンドロイドで、トッドという男の家で家事に従事しています。しかし環境は劣悪。麻薬を使用しているトッドは情緒不安定で、娘のアリスに虐待を繰り返していました。アリスの身を案じたカーラは、トッドの「その場を動くな」という命令に背き、アリスをこの家から連れ出すことになります。どのタイミングで命令を破るのかはプレイヤーの自由ですし、そもそも命令を守って動かないこともできますが、自分は即座にアリスを助けに向かいました。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 この時の展開も、トッドより先にアリスの部屋に入るのか、トッドより後に入るのか、なにか物を持っていくかなどによって、細かく分岐先が用意されているのが驚き! ハンクは徐々にアリスの部屋に向かうため、実質的に制限時間もあり。この緊迫した状況下で何をするかは、プレイヤーごとの特色がでそうなシーンでした。

 また、トッドからアリスを守るシーンでは、かなり激しいアクションが展開! 画面の表示に合わせてボタンを押したり、コントローラーを指定の方向へ傾けたりと簡単なものですが、とっさの判断でそれを行うのがなかなか難しく、それがまた焦りを呼ぶ、といった緊張感のあるものになっていました。行動の結果によっては衝撃的な展開になる場合も……!

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 トッドの家から逃げ出したカーラとアリスは、一晩の寝床を求めて街をさ迷います。この時の問題は2つ。アリスが凍えているため、暖を取る手段が必要なことと、アリスを安全に寝かす場所が必要なこと。どちらの問題にも複数の解決手段が用意されているうえに、その達成条件もさまざま。

 中にはコインランドリーで別の客の服を盗むという選択肢や、コンビニ店員を脅して金を奪い、ホテルに泊まる選択肢もあります。当然これらは悪い行いですが、アリスを守るためならやむなし……と考えるのかどうかはプレイヤー次第です。あまり悪いことをしたくないプレイヤーであれば、まっとうな手段で寝床を探すことも可能でしょう。その場合は、快適とはいえない場所になるかもしれませんが。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 もちろん、強盗や窃盗を行うとしても、それが成功するかどうかはまた別の話。最終的にすべてを失敗してよくない環境で過ごすこともあり得ます。ここで失敗したかどうかが今後のエピソードにかかわるかはわかりませんが、少なくともエピソードをまたいで行動が影響するのは確認しています。そのため、行動を1つ起こすにもコントローラをにぎる手に汗が滲んだり、選択肢を選ぶ時に真剣になってしまったりするのです。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 3体目の主人公のマーカスは、カールという有名画家の身の回りの世話をしているアンドロイド。これまで出ている情報では、彼はのちに変異体アンドロイドたちを率いてアンドロイドの権利獲得のために戦う立場になるようですが、今回の試遊範囲ではまだそんな素振りもなく、カールとの仲も良好な、ごく一般的なアンドロイドという印象でした。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 衝撃だったのはマーカス編の最初のシーン。カールの代わりに買い物を終えたマーカスは、反アンドロイド運動をしている民衆に取り囲まれ、暴行を受けてしまいます。アンドロイドであるというだけで、目の前を通ったアンドロイドを捕まえて暴行を加えるさまは、まさに彼らがアンドロイドを人間とは見ていないことの現れであり、非常にショッキングなシーンです。

 自分が操作しているキャラクターがいわれのない暴力を受けていると、少しやり返したい気分になってしまうのは致し方なし。このように、キャラクターに自然と感情移入してしまうように作られているのには、さすがクアンティック・ドリームといったところですね。

 無事にカールの家に戻った後は、カールの世話をしつつ、彼からいろいろなことを学びます。暇な時間に何をするかとか、心のままに絵を描いてみろとか、まるで診断テストを受けているような感覚。これがのちに影響するかはわかりませんが、自分が選んだ選択肢に対し、カールがどう答えるのかが気になってしまいます。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 そんな楽しい時間もつかの間、カールの息子であるレオが金の無心のために訪ねてきます。カールにとって“いい息子”のような存在であるマーカスをレオは気に入らないらしく、ことあるごとに突っかかっていました。そして、ある日マーカスとレオの間でトラブルがおき、マーカスはレオにやり返すか、そのまま耐えるかを選ばなくてはならなくなりました。

 レオの悪意がマーカスに向いているなら耐えられたかもしれませんが、その矛先はカールに向いていました。世話になっているカールのために反撃するか、カールの言いつけを聞いて耐え続けるか、どちらを選ぶでしょうか?

すべてのエピソードを“自分の物語”だと感じさせる演出&没入感

 このように、終始“究極の選択”を迫られる『Detroit: Become Human』。すごいのが、自分の選択が物語に生かされていると認識できることです。さらに重厚な世界や物語が、プレイヤーの心をつかんで離さず、高い没入感を味わえます。いつの間にか「自分だったらどうするか」を考えているのです。体験できたのはまだまだ物語の序盤でしたが、ここだけでもかなり濃密な時間をすごせました。

『Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)』

 各エピソード終了時にはフローチャートが表示され、起こりえた物語の流れを見ることができるようになっています。今回のイベントの開始時にデヴィッドさんが解説していましたが、これは過去作である『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』の反省を生かした要素とのこと。『HEAVY RAIN』も同じように多数の分岐があったものの、その分岐に気付かなかったプレイヤーが多かったので、フローチャートの導入に踏み切ったようです。さまざまな結末があることを認識しつつも、最初の一回だけは選択を振り返らずに通して遊んでほしいとも伝えていました。

 緊迫したシーンがあったにもかかわらず、プレイ後の疲労感はほぼなし。むしろ「早く続きをプレイしたい!」と思うほど魅了されていました。発売まであと約ひと月。楽しみに待ちましょう!

※画面は開発中のものであり、最終仕様とは異なる場合があります。
(C)Sony Interactive Entertainment Europe. Developed by Quantic Dream.

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