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2018年5月6日(日)

【電撃PS】山本正美氏コラム全文掲載。歳を取ると1年があっという間に過ぎ去るなあ

文:電撃PlayStation

 電撃PSで連載している山本正美氏のコラム『ナナメ上の雲』。ゲームプロデューサーならではの視点で綴られる日常を毎号掲載しています。

『ナナメ上の雲』

 この記事では、電撃PS Vol.660(2018年4月12日発売号)のコラムを全文掲載!

第129回:花束を君に

 3月と4月は、別れと出会いの季節。学生の皆さんにとっては、3月は「卒業式」という別れの象徴ともいえる儀式があり、ムードも高まりますよね。社会人にとっても3月は、いわゆる期末ということもあって、新たな道を選択する人達とのお別れが重なる季節です。今年も、社内外問わず色んな人から退職や転職の連絡が届きました。

 ゲーム業界は、特に制作クリエイターは専門職なので、次のステージとして同じゲーム業界を選択する人が多い。突然、「建設業界で働きます!」「食品業界で自分を試してみたいんです!」みたいな人にはあまり会ったことはありません(花火師になります、という人はいたケド)。

 でも、同じゲーム業界の中で知っている人がアチコチの会社にいることは、決して悪いことではないんですよね。というか、良いことも結構多い。制作文化やノウハウを情報交換することでお互いの知見が底上げされますし、実際コラボレーションなども考えやすくなります。

 別の会社の人と何か面白いことをしようとしたとき、実は一番大事なのが「人を知る」ことなので、旧知の人がたくさんの場所で活躍してくれているとその点をショートカットできて、それがコンテンツの可能性を引き上げることにも繋がるのです。

 これを書いている4月2日は、多くの会社で2018年度初出社日。新たな職場で、期待感と緊張感を楽しみながら自己紹介をしているであろうかつての仲間の姿を想像すると、ちゃんと笑いを獲れよ! とエールを贈りたくなります。

 それにしても、また新しい年度が始まるということで、歳を取ると1年があっという間に過ぎ去るなあと改めて思います。経年とともに時間が早く過ぎていく感覚の正体については諸説あると思うのですが、まず思うのは、10歳のときの1年は、体感時間の比率としては人生の10分の1、30歳 だと人生の30分の1ですもんね。僕なんかほぼ50分の1なので、まあ早いのなんの。

 あとは、たとえば高校生の頃でいえば、「多くの人が同時に同じことをする行事」がたくさんありますよね。クラス替えや修学旅行などのビッグイベントはもちろん、季節イベントとしては体育祭や文化祭があるし、席替えや委員決めといったプチイベントも盛りだくさん。

 加えて、なんといっても「○年生」というわかりやすい属性が年度初めに与えられるので、楽しい行事(出来事)が属性(時間軸)と否が応にもに紐づけられて、「濃い記憶」として定期的にインプットされていくわけです。そりゃ長く感じるはずだ。

 さて、一方の社会人。僕の職種が一般的ではないことを承知の上で、僕を例に書いてみますが、一番メモリアルな出来事は新作の発表、そのマスターアップと発売。ですがこれも最近は3年に1度あればよいほうで、制作期間に5年かかるなんてことはザラです。

 組織変更もこの時期ちょこちょこありますが、それでもクラス替えみたいに数百人がバラバラにシャッフルされるような、ダイナミックな変化はもちろんありません(あったらヤバい)。○年入社という横並びの属性もあるにはあるものの、○年生に比べたら印象としては遥かに弱いですし、毎年出世して肩書という名の真の属性が頻繁に変わることもまずありません(悲しい)。

 つまり、子どもの頃は、1年を長く感じるというよりも、思い出すスイッチがたくさんあるので振り返りやすく、大人になると、「アノ年にアレがあったなあ」という記憶が「年単位」の出来事としてあまり根付かないため、気付いたときにはまとめて何年か過ぎていて、結果的にあっという間感が促進されてしまうということなのかもしれません。

 自分の子供(高校生)をみていても、あー、時間を無駄に過ごしているなあとは思うことはたくさんありつつ、でも自分も子どもの頃きっとそうだったはずで、そんな彼らのありあまる時間と日々に追われる僕の時間が今この瞬間共存していることを意識すると、当たり前ですが本来時間の進み方は一定で、早く過ぎるか遅く過ぎるかは、感じ方次第なんだなと再認識したりもします。

 世界が時間と空間によって成り立っているのだとしたら、時間は不可逆で不変。ですがもう片方で大事な空間は、選択やコントロールが可能です。冒頭にも書きましたが、4月という季節は、この空間=環境が変化する人が多い。よく多摩川をワンコと散歩するのですが、この時期、まるで命 の爆発を見るかのように、景色がそれまでとは一変します。

 ユキヤナギが白く咲き乱れ、ハマダイコンが紫に色づき、桜が儚くその花びらを散らすのです。少し表に出るだけで、見られる景色は劇的に変わる。学生であろうが社会人であろうが、そして望む望まないに関わらず、どんな立場の人でも環境が変わるということは大きなチャレンジだと思います。

 が、同時に大きなチャンスでもあるのです。これまで費やしてきた時間というエネルギーを自らの肥やしとして、積極的に動いた人だからこそ見られる景色を目指し、頑張って欲しいなと思うのでした。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント JAPANスタジオ
エグゼクティブプロデューサー

山本正美
『ナナメ上の雲』

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント JAPANスタジオ 部長兼シニア・プロデューサー。PS CAMP!で『勇なま。』『TOKYO JUNGLE』、外部制作部長として『ソウル・サクリファイス』『Bloodborne』などを手掛ける。現在、『V!勇者のくせになまいきだR』を絶賛制作中。公式生放送『Jスタとあそぼう!』にも出演中。

 Twitterアカウント:山本正美(@camp_masami)

 山本氏のコラムが読める電撃PlayStationは、毎月第2・第4木曜日に発売です。Kindleをはじめとする電子書籍ストアでも配信中ですので、興味を持った方はぜひお試しください!

データ

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■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2018年4月26日
■定価:694円+税
 
■『電撃PlayStation Vol.661』の購入はこちら
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