2018年5月17日(木)
『FFXIV』アップデート目前“吉田直樹P/D”インタビュー。コンテンツてんこ盛りのパッチ4.3
全世界でのプレイヤー数が1000万人を超えた(※)MMORPG『ファイナルファンタジーXIV』。今回は5月22日のパッチ4.3アップデートを目前に控えたタイミングで、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にお話をうかがってきました。
※日本・北米・欧州・中国・韓国の5リージョンの累計アカウント数。フリートライアル版のアカウントを含む。
物語の展開についてやコンテンツの仕様などなど、ここで初めてオープンとなる情報も多々ありますので、ぜひ確認してみてください。
※インタビューは5月7日に実施。
『紅蓮編』のメインストーリーはひと区切り。ラストには次なる展開への片鱗も!?
――まずはストーリー関連ですが、ここで『紅蓮のリベレーター』の物語はいったん大きな区切りを迎えるのでしょうか?
吉田:はい、パッチ4.0から始まった『紅蓮のリベレーター』としては、いったん完結を迎えます。
――PVを見ると、新たな討滅戦はメインストーリーに関連しているのではと予想できますが……?
吉田:それについては、実際にプレイしてからのお楽しみということでお願いします(笑)。
――以前のインタビューでは、パッチ4.3時点ではパッチ4.4以降のストーリーはまだ見えないだろうということでしたが、そのあたりはいかがでしょうか?
吉田:見えないですけど、パッチ4.3で新章はもうスタートします。ただ、“どっちに転がっていくのか”が予想つかないだけですね。
――次の冒険の舞台がどこになりそうという予想もつかない感じでしょうか?
吉田:いえ、そこはわかると思います。ただ、そもそもの“進む方向”がわからない感じです。
――ちなみに、ドマ町人地の復興発展に関しては、『紅蓮のリベレーター』のストーリーとは別にスタートするという感じでしょうか?
吉田:そうですね。パッチ4.2のドマ町人地のクエストはただの導入で、今回からシステム的に発展させていくことになります。具体的に言うと、ドマ町人地では店売りできるアイテムを、普通のNPCに売るよりも少しだけ高いギルで買い取ってくれるようになります。そして、プレイヤーが売却したアイテムの額に応じて、発展度合いが個人ごとに変わっていく仕様です。ウィークリー制限がありますが、いらなくなったものはドマの復興のために充ててもらえればと。
――復興を行っていくと、どのようなことが起こるのでしょうか?
吉田:専用のストーリーが展開するのはもちろんのこと、復興段階に合わせて買取額も高くなっていきます。いらないアイテムをたくさん抱えこんでいる人は、このタイミングで売却すればいいお小遣い稼ぎにはなるかと(笑)。
――町人地に人が集まって、にぎわいそうですね。
吉田:町の雰囲気もよくできているので、みんなでチャットなりのコミュニケーションを取る場所になってくれればいいなと思います。また、パッチ4.3で最終段階まで進むわけではなく、ある程度進んだら次のパッチで対応する形になります。
――町の機能として、リテイナーベルなどは設置されるのでしょうか?
吉田:アイテム買い取り機能が実装されるため、今回のパッチで対応させていただきました。エーテライトが設置されるのと同じタイミングで、リテイナーベルが設置されるようになっています。パッチが当たればすでに設置済みになる方も多いかもしれませんね。
アライアンスレイドやディープダンジョンなど遊びきれないほどの新コンテンツが実装!!
――リターン・トゥ・イヴァリースの第2弾が実装されますが、舞台が『ファイナルファンタジーXII(以下FFXII)』のリドルアナ大灯台というのは、正直言って驚きました。
吉田:前回の失われた都ラバナスタ実装直後のフィードバックを見て、松野(泰己)さんがより世界を広げ始めました。当初予定していた大きな筋は変わらないですけど、行く予定だった場所が変わったり、出てくるはずじゃなかったキャラクターが出てくるようになったりしまして(笑)。
もともと「『ファイナルファンタジータクティクス(FFT)』でいきましょう」という話だったのが、気づけば『FFXII』も巻き込んでいますから(笑)。しかも、さすが松野さんで、それだけで物語の仕掛けは終わりません。『FFT』や『FFXII』で解消できなかったリンクが、こちらで少しだけ推測できるようになっているなど、なかなかおもしろいことになっています。
――イヴァリースの世界観が好きな人は、今回もとても楽しめる内容になりそうです。
吉田:そうですね。『FFT』や『FFXII』に携わったスタッフも多いので、かなりこだわって作っています。リドルアナ大灯台の再現性もスゴイですよ。初見はそれどころではないと思いますが、落ち着いたらマップもゆっくり見回ってほしいですね。もちろん、シナリオはすごいボリュームで、カットシーンもとても凝っています。チェックしたときは、あまりのデキに「メインストーリーかよ!」と思わずツッコんじゃいました。
――難易度的にはいかがでしょうか?
吉田:今回も前回と同じぐらいで、魔航船ヴォイドアークと禁忌都市マハの中間を目指しています。目新しいギミックもけっこう多く、詳細は伏せますが「ゲーム内でこんなことが!?」と驚かれると思いますよ(笑)。
――ファムフリートが出した水に流されているのは、おもしろそうだと思いました。
吉田:前回の2体目のボス・統制者ハシュマリムでは、柱の切り口を見て回避するという要素がありました。“アイコンやゲージを見て対処”ではなく、“戦っているボスやフィールドを見て避ける”というのは、いわゆるライト層的にもわかりやすくてよかった要素でした。それぞれのボスが違った個性を持つ、おもしろいバトルになっているので、ぜひ楽しんでもらえたらと思います。
――ちなみに、今回の雨宮慶太先生がデザインされたボスは、どんな感じのものですか?
吉田:これはパッチリリース後まで絶対に出すなと言ってあるので、PVにも登場させていません。
――デザイン自体がネタバレになる感じですか?
吉田:そうですね。
――プレイヤーの予想では、大灯台なのでヤズマットが出るのでは? と議論されています(笑)。
吉田:さて、どうでしょうか。ただ、『FFXIV』チームはいろいろやりますので……(笑)。
――システム的な変更点として、アライアンスレイド全体でロットルールがGREED限定に変更されますが、発表後のプレイヤーの声を見ていると、賛否が半々に見受けられました。
吉田:大多数が否定的であれば、実装を取り止めようとも考えていましたが、賛否が半々でしたので一度やってみようかなと。もちろん、実装した結果“やりづらい”などの意見が多かった場合は元に戻すこともありえます。
“GREED限定”に変更する意図としては、“NEED制”の場合でも“そのロールで行く”“狙っていた装備が出る”“パーティにロール被りがいない、またはロットに勝つ必要がある”という3つの条件を超える必要があります。
これがGREED制の場合は、“この装備でもいいか”という妥協点が生まれやすくなります。8人全員にこの選択肢が増えることによって、装備を入手するために必要な周回時間は変わらないor減るのではと考えています。いずれにせよ、アライアンスレイドシリーズが始まって以来、一度も試していない仕組みですので、現段階ではテストケースでもあります。やはりNEED制がいいようならば、早めにもとに戻そうと考えています。
――同じクロニクルクエストでは四聖獣奇譚も続きがあります。今回は征魂戦がないとのことですが、バトル自体が発生しないのですか?
吉田:じつは、新ダンジョン“風水霊殿 ガンエン廟”が“四聖獣奇譚”関係で挑むことになります。このダンジョンは音も雰囲気もギミックもよくできているので、ぜひ楽しみにしていてください。若手のスタッフが、先輩たちにフォローしてもらいつつ作ったもので、「がんばったな」と。ちょっとコストをかけすぎていますけど(笑)。
また、このダンジョン以外でもバトルがありますよ。ストーリー自体もおもしろく展開していますし見どころも多いので、メインストーリーが終わってからゆっくり楽しんでもらえたらと。
――四聖獣の征魂戦は、この次のタイミングになるのでしょうか?
吉田:くるとしたら、そうなりますね。
――新コンテンツとしては、ディープダンジョン“アメノミハシラ”も実装されます。こちらの実装はいつ頃になる予定でしょうか?
吉田:今のところは、パッチ4.35での公開を予定しています。
――以前の死者の宮殿は、レベル上げと武器の入手が主な目的でしたが、今回もそこは変わらずというイメージでしょうか?
吉田:変わらずです。レベル60になっているけど、まだ手が回っていないジョブがあれば、まず30階までをレベル70にするために使ってください。その最中で武器も強化できるので、レベル70になったジョブにその武器をそのまま装備できるのも利点です。
イメージとしてはレベル60までを死者の宮殿で育てて、レベル61からその先をアメノミハシラで育ててもらえればと。なので、後発組はレベル上げがすごくラクになるでしょうね。
――前回はエッダがストーリーに大きくかかわりましたが、今回のキーマンは誰になりますか?
吉田:『紅蓮編』に出てきたとある登場人物がガッツリと絡んできます。ただ、どちらかと言うとNPCではなく、“アメノミハシラ”という存在にかかわる物語が展開していきます。
――アメノミハシラのストーリーは30階の踏破で完結するのでしょうか?
吉田:ストーリーと武器強化は、30階までで完結します。システム的には“死者の宮殿”と同じですが、魔土器の種類を一部変更しました。また、召喚の魔石を使い蛮神召喚を行うと、フロア全体の敵を一発で消し飛ばすこともできます。ですが、蛮神召喚は最終手段として考えていてください。
――頻繁には使えないということでしょうか?
吉田:はい。チャンスは多くないので、“ここぞ”という場面で使うようにしてください。最終的には、31階以降の攻略で使うことになると思います。
――ちなみに、深層の難易度は、前回と比べるとどれくらいですか?
吉田:徐々に前回の180階以降と同じぐらいの難易度に近づきますので、4人でキリキリ舞いになるくらいです。
――死者の宮殿のソロ完全踏破者は今年に入りようやく登場しましたが、今回もそれくらいを想定していますか?
吉田:それくらいだと思います。魔石のおかげで、ソロは少しだけ楽になったかもしれません(笑)。
――ある意味、最大のやり込み要素ですよね。
吉田:ソロでのバトルバランスは全ジョブで均等にはしていないので、当然ソロ活動における有利不利はあります。そのため、ソロでの完全踏破を公式的なレースにするつもりはありません。ただ、やりごたえはあるはずなので、ぜひ挑戦してもらいたいですね。
“禁断の地 エウレカ”第2弾“パゴス編”はエレメンタルレベル20からスタート
――“禁断の地 エウレカ:パゴス編”の実装時期はいつ頃を予定していますか?
吉田:公開は4.36を予定しています。少なくともパッチ4.3公開から1カ月以上は空くと思っていてください。
――前回“アネモス編”の反響はいかがですか?
吉田:日米欧で微妙に反響は異なりますが、概ねすごくたくさんの人たちに遊んでもらえています。コア、カジュアルに関係なく、あの手のものが好きな人に新しい遊び場を提供できたのは、すごくよかったですね。
“拠点で待機して、何かがあったらみんなで移動する”“死の恐怖がつきまとっている”“言葉ではないところで人の優しさを感じる”などなどは、『FFXIV』で初めてMMOに触れたという人には、なじみのない感覚だと思います。そういう第一世代らしいところを、うまく抽出して伝えられたかなと感じています。
――実際にプレイして、単純な第一世代のMMOを懐古するのではなく『FFXIV』の要素をブレンドし、取捨選択をされている印象を受けました。
吉田:あくまでベースは『FFXIV』なので、ちゃんと極端すぎる部分は削りました。このあたりは、“雲海探索 ディアデム諸島”の経験が生きた部分で、うまく調整できました。いわゆる“ノの民(「ノ」のシャウトで参加表示をする人)”が出ることも予測はしていて、開発初期は「ずっと拠点にいるとデバフがかかって戦闘不能になるのはどうだろう?」なんて話もありまして(笑)。
ただ、このあたりは僕らの悪いクセで、「システム的なルールの押し付けが強くなりすぎるからダメ」と、そこはナシの方向で調整しました。
――遊ぶ側としては、“ノの民”のようなローカルルールが出てくるのも楽しかったです。
吉田:そうですね。2人乗りマウントの相乗りも有用な要素として生かされつつ、気づいたら相乗った人がモンスターに倒されていたり(笑)。そういう、想像のつかないハプニングやローカルルールが作られていったのは、遊びとしての幅が広い証明かなと。開発チームも、いろいろなプレッシャーを跳ねのけて、よく作り上げてくれたなと思っています。
――それをふまえての“パゴス編”ですが、エレメンタルレベルは引き継がれてのスタートとなるのでしょうか?
吉田:レベル20になっていないと“パゴス編”には挑めません。また、同時にレベル上限が30まで引き上げられるので、再びレベル上げをしつつ遊んでもらう場所になっています。
――これから始めようとしている人は、まず“アネモス編”から始めることになるんですね。
吉田:そこはパッチ4.3リリースと同時に、攻略手帳にエウレカの項目を追加します。特定属性のモンスターを一定数倒すことで、エレメンタルEXPがもらえるようにしました。このようなある種の緩和が入るので、追いつきやすくなっているはずです。パッチ4.3から始めてコツコツ進めておけば、“パゴス編”が始まるころには追いついているバランスになっています。
――“アネモス編”と“パゴス編”は、エリア自体が別の場所になるのでしょうか?
吉田:同じ島ではありますが、完全に別の場所です。エリア自体がかなり立体的なので、“アネモス編”とはまた違う印象のエリアになると思います。落ちるところは落ちますし、いずれ上から飛び降りないとたどり着けない場所も出てきます。
――地形も見ないと行けない場所もあるのですね。
吉田:今回は、昔のMMOにありがちなエリア自体の“わずらわしさ”も多少用意してみました。
――コンテンツそのものの大枠の流れとしては、前回と同じなのでしょうか?
吉田:“禁断の地 エウレカ”はこの先も続くのですが、だんだんドラスティックにはなっていきます。とはいえ、今回は“アネモス編”の延長で基本的な部分は同じで、基礎システムに極端な新しい仕様が追加されることはありません。ただ、遊びの延長として“しあわせうさぎ”という要素が用意され、ほかにも細かな調整はしています。
――“しあわせうさぎ”は、通常のNMよりも経験値が多いというメリットがあるのでしょうか?
吉田:戦闘というより、探索をより促進させるシステムですね。
――なるほど。“アネモス編“ではアネモス・エレメンタルを見つけるとバフがもらえましたが、それに近い要素なのでしょうか?
吉田:それをより発展させたものです。しあわせうさぎを見つけると、隠してある財宝の場所を教えてくれるので、それを“取りに行くかどうか”という判断をプレイヤーに委ねる感じになっています。
――アネモス編の入手武具のILは抑えめでしたが、今回もILの感覚は同じくらいですか?
吉田:それは、ゾディアックウェポンやアニマウェポンの進み具合と同じものをイメージしてもらえれば大丈夫です。そのため、ゆくゆく実装されるエウレカウェポンの最終型は、ILが非常に高くなります。それまでは、“零式”のものが最上位であることには変わりありません。後追いで追いついていくパターンなので、それは崩さないつもりです。ただ、防具の強化に関しては“アネモス編”で終わりとなります。
――“アネモス編”のパズズのように、“パゴス編”でも武器強化のキーとなるボスNMが登場するのでしょうか?
吉田:それが1体かどうかまではわかりませんが、NMはたくさん登場しますので手探りで冒険してもらえればと。
――“アネモス編”では、『FFXI』を意識したオシャレ装備が登場しました。今回も、そのような要素はあるのでしょうか?
吉田:今回も『FFXI』をフィーチャーした要素は多いですよ。『FFXI』で育ってきた開発者たちが作っているので、ぜひお楽しみに(笑)。
“絶アルテマウェポン破壊作戦”は展開が非常に早いバトルに!
――“絶アルテマウェポン破壊作戦”の実装は、パッチ4.31でという発表でしたが?
吉田:2週後に配信のパッチ4.31で公開されます。
――PVを見た感じですと、例の蛮神3体が登場する感じでしょうか?
吉田:最後に「悪い冗談だろ?」というセリフがありましたが、そのとおりな内容になっています。
――“絶バハムート討滅戦“は異邦の詩人をとおしての受注でした。「悪い冗談だろ?」というセリフつきということで彼からの受注ではないのではと感じたのですが、今回はもしかして独立した一連の物語があるのでしょうか?
吉田:どうでしょう。そもそも、そのセリフがそのシーンのセリフかどうかもわかりませんし……。
――攻略難度は“絶バハムート討滅戦”と比べていかがでしょうか?
吉田:少なくとも、フィードバックを受けて全体時間は短くしました。「そのぶん難しくてもいいから」という声もあったので、展開がすごく早くなっています。一瞬でもミスると、すぐに戦闘不能になりますよ。しかし、難易度的にはどうでしょうかね……。前回のほうが難しいと感じる人もいれば、今回のほうがキツイと思う人もいるでしょう。このレベルに達すると、なんとも言えないです。僕も調整に参加していますが、戦闘の流れが早すぎて頭が付いていかないんですよ(苦笑)。
――“絶バハムート討滅戦”は、これまでのギミックの総集編といった印象でした。今回は、新しいギミックが多いのでしょうか?
吉田:何か話すとヒントになりそうなので、言わないでおきます。それぐらい緻密に作られているので。“絶”というのは“絶望の絶”ということを思い出してもらえるのではないかなと。なので、トッププレイヤーたちの配信は、見ているととても楽しいとは思いますよ(笑)。
――挑めるようになる条件を教えてください。
吉田:“次元の狭間オメガ零式:シグマ編4“のクリアが条件です。”絶バハムート討滅戦“クリアは条件になっていません。
――前回は“大迷宮バハムート”がベースだったので、報酬武器の形状は予想できました。ですが、“究極幻想 アルテマウェポン破壊作戦”は報酬が武器ではなかったので、今回の報酬武器の形状が予想できないのですが、こちらはいかがでしょうか?
吉田:形状のベースにしているのは、いわゆるAF1の武器です。ただ、AF1がないジョブもありますので、“そのジョブを代表する武器デザインを選んだ”という感じになっています。
――やはり、すごく光りますか?
吉田:すごく光ります(笑)。“絶バハムート討滅戦”の報酬武器を背負って“the Legend”という称号を持っていれば、すぐにわかりますよね。あれはすごくよかったと思っているので、今回もそこには力を入れて調整しました。
――今回の称号は“the Ultimate”ではないかと予想していますが……?
吉田:さぁ、どうでしょうね(笑)。
――“絶”攻略にも役立つ要素として、クロスワールドリンクシェルが実装されます。1つだけの所持制限がありますが、同データセンター(DC)ならば、どのワールドでも参加できますか?
吉田:同DC内であれば、どのワールドからでも参加できます。すごく作りやすい仕組みになっているので、リアルの友だち同士で組むときに使うといいかもしれません。
また、メンバーが1人になると一定時間で消去される仕組みになっているので、すぐ別のコミュニティを建てたりもできるようになっています。そのぶん、どの程度利用されるか、サーバーへの負荷がどれくらいになるかが予想できないので、まずは1つでスタートすることにしました。
もし大丈夫そうであれば、1つのクロスワールドリンクシェルに所属できる人数を増やす、あるいは所持できる数を増やすといった調整をしていく予定です。
――レイドチャレンジの固定でも、より制限が少なくなりますね。
吉田:あとは常にチャットができるようになるので、予定が立てやすくなると思います。
――リアルの友人や『FFXIV』を始めてから知り合いになった人が、同DCの別ワールドにいるといった場合に使っていくこともできそうです。
吉田:そうですね。現在は、SNSなどを使って別ワールドの人とやり取りをして、時間がきたら集まって……ということをしていると思います。ですが、これからはクロスワールドリンクシェルを使ってやり取りができるようになるので、かなり便利になると予想しています。あとは“フロントライン“好きの人で集まったり、プレイヤーイベントを企画したい人が使ったりできると思いますよ。
――ちょっとしたお祭りで作るという、気軽な使い方もできるのですね。
吉田:いろいろな使い方をしてもらえれば、僕らもうれしいですね。
――ちなみに、今後もDCを超えたコミュニケーションは難しそうですか?
吉田:今はまだ難しいですね。『FFXIV』の規模がここまで大きくなければできたのでしょうが……。
“お得意様取引“や“蛮族クエスト“でギャザラー・クラフターのレベルが上げやすく!
――蛮族クエストについては、PVにはいっさい映像が入っていませんでしたね。
吉田:あまりにも雰囲気が違いすぎて、PVに入れられなかったんです(苦笑)。
――たしかにノリが違いますね(笑)。今回も前回のアナンタ族のものと同じように、特定のサブクエストがキーになっているのでしょうか?
吉田:サブクエストのストーリーで特定のところまで進んでいないと発生しません。基本的には、メインストーリーのヤンサ編をクリアしている方を前提として、ギャザラー・クラフターのレベリングに活用できるようにしてあります。
――今回は初めてギャザラーの要素が入りますが、どのような仕組みになるのでしょうか?
吉田:単純に「●●を採ってきて」という形です。
――1つのクエストに対して、ギャザラーとクラフターのどちらで挑戦してもいいのですか?
吉田:どちらでも進められる形にしてあります。作るのはけっこう大変だったのですが、なんとかやりきることができました。ストーリーとしては、かつて催されていた大きなお祭りを、ナマズオたちと復活させようという感じです。
そもそもお祭りってなんだよ、というところから始まって、結果的に東方地域のいろいろな人を巻き込んでお祭り会場から作っていきます。専用エリアも用意されていて、オブジェクトも山ほど作りました。
――納品などで使う場所は、ナマズオがたくさんいるユヅカ代官屋敷なのですか?
吉田:ところが違うんです……。あそこではなく、行くのはアジムステップになります。
――なるほど、そこでアジムステップの面々が絡んでくるんですね。ちなみに、ギャザラー・クラフターを上げきった人は黄貨稼ぎに使えたりするのでしょうか?
吉田:いえ、黄貨は排出されません。そこでしか手に入らない素材を入手するためにやってもらう感じですね。
――ギャザラー・クラフター関係といえば、「お得意様取引」の3人目も追加されます。次の取引相手はスイの里のクレナイとのことですが、これを始めるにはスイの里のクエストを進めていることが条件なのでしょうか?
吉田:ダンジョン“海底宮殿 紫水宮“関係のクエストクリアが条件になっています。
――着替えの要素が入るそうですが、具体的にはどういった要素になるのでしょうか?
吉田:単純にクレナイに好きな装備を渡して、その格好をさせておけるというだけですね。
――それは自分からしか見えないのでしょうか?
吉田:もちろんです。そうしないと、お着替え権の奪い合いになってしまいますし(笑)。
――たしかに(笑)。主な目的としては、ギャザラー・クラフターの経験値や赤貨・黄貨稼ぎに使う感じでしょうか?
吉田:そうですね。これまでのお得意様よりはほんの少し報酬が多いです。多くの人が予想しているとおり、パッチ4.3でギャザラー・クラフターの装備更新が入りますので、準備をしておいてください。
――ちなみに、シロ・アリアポーやメ・ナーゴの着替えは実装されますか?
吉田:いえ、今回は対応していません。ですが、着替えシステム自体は完成しているので、要望が多いようでしたら対応も考えます。
――ギャザラー・クラフターの要素とつながりそうな新ハウジング要素“交流帳”が実装されます。この要素を追加する意図を教えてください。
吉田:『FFXIV』には、内装を工夫してバーを経営してくださっている方や、“大迷宮ララホーム“のように迷路を作ってくださっている方など、より踏み込んだロールプレイをされている方がたくさんいらっしゃいます。そういう人たちを、システム側からサポートしていきたいと思ったのが始まりです。
その準備の第1弾として、この交流帳を実装することにしました。遊びに来た人が「いい家ですね」と書き残すのもアリですし、オーナーメッセージで「食品・薬品のリクエストをお待ちしています」と書き込みをして、商売に利用することも可能です。
仲よくなった職人さんに「おでんHQを300個ぐらい、これぐらいの値段で作ってくれませんか?」といった依頼にも活用できるでしょう。このように、使い方はみなさんしだいかなと思っています。
――なるほど。書き込みのストックはどれぐらいされるのでしょうか?
吉田:最大60件まで保存されます。
――そういえば、ゲーム内での非同期メッセージの実装は初めてですね。
吉田:はい。なので、FCメンバーの連絡帳としても使っていただけますよ。
専用アプリ“FFXIV COMPANION”で『FFXIV』のコミュニティをリアルでも!
――コミュニケーションといえば、先日発表された『FFXIV』専用アプリ“FFXIV COMPANION”も大きな柱になると予想されます。そもそも、このアプリを配信する一番の目的を教えてください。
吉田:現代人のみなさんは、非常に忙しい毎日を送っています。そんな時間が少ない状況で、“何をするにしても、PS4やPCを立ち上げないとゲームにアクセスできない”という状況を打破したいという考えがありました。
また、出張先や帰省先などでゲームにアクセスできないタイミングでも、ゲーム内コミュニティと繋がりたい、移動先でも自分のキャラクターを操作したいというニーズもあるはずです。“FFXIV COMPANION”では、1日という時間をうまく使ってもらおうというのがコンセプトで、それらを解決するアプリを目指しました。
つまり、アイテムやリテイナーの整理、マーケットのチェックなどはアプリでできるようにしておいて、“ゲームにログインしたときは、すぐコンテンツを遊ぶことに集中できるような状況を作る”ことが、大きな目的になります。今言った部分は、すべて無料でできる要素にしました。僕らとしては、できるだけ利便性を高めて、スマートフォンを持っている『FFXIV』プレイヤーのうち8~10割の人にダウンロードしてほしいと考えています。
――実際に配信はいつ頃を予定していますか?
吉田:Androidには数多くの機種が存在していて、それらに不具合が出ないか1つずつチェックしている状況です。配信日は決めたので、あとはそれとの戦いしだいですね。
――その辺が解決したら、すぐ配信できるのでしょうか?
吉田:ほぼ機能はできあがっていますので、そうなります。
――iOSとAndroidは同時配信ですか?
吉田:現場からは「iOS版を先にする手もあります」と言われましたが、それは否定しました。たくさんの人に使ってもらいたいので、やはり同時に出すべきだろうと。そこを急いでもあまりいいことはないですし、きちんと全員が等しく使えるようにしないと意味はないですから。
――現時点ではバトル以外の下準備が行えるとのことですが、今後もさらに機能を拡張していく予定はありますか?
吉田:もちろん、その予定です。例えば、リテイナーベンチャーをアプリから依頼できたり、冒険者小隊に対するダンジョン攻略以外の指示を出せたりなどを考えています。ほかには、あらかじめ作り置きしておいたアイテムを納品するだけなら可能ではないかと話もしていました。マーケットにアクセスして、作り置きしておいたアイテムを随時出品できるということができれば、ゲーム内で製作・採集に集中できますし。
――こう聞くだけでも、できることの多さに驚きます。それだけに開発は難しかったのでは?
吉田:じつは、そのために1回作ったものを全部捨てて作り直しています。ゲーム内でできないことをできるようにしないと、利便性は上がらないかなと。アプリ内では、プレイヤーキャラクターのデータベースに直接アクセスして制御しています。そのため、かなりの開発コストがかかってしまいました(苦笑)。
――ちなみに、ゲームにログインしながらアプリを起動することはできますか?
吉田:いいえ。それだとおかしな使い方ができてしまうことが想定されますのでできません。
――ワンタイムパスとのリンクは、どのような仕様になるのでしょうか?
吉田:“FFXIV COMPANION”を起動した際に、ワンタイムパスを入力することになります。一度ログインすれば、ログイン状態が維持されるようになっているので、次回以降は再入力する必要はありません。ただ、アプリのアップデートが発生した場合に限り、再度ログインが必要になります。
――このアプリをはじめ、交流帳、クロスワールドリンクシェルなど、最近は同時にコミュニケーションの強化に力を入れている印象を受けます。
吉田:もともと、コミュニケーション部分の強化はかなり重要な案件だと考えています。ですが、遊べるコンテンツがない状態でコミュニケーション部分が強化されても意味がないので、まずはコンテンツを増やすことに注力してきました。今はある程度開発も進み、そういうところに手が回るようになってきた。
ですので、当初から重要性の格付けは変わっておらず、裏でじっくり開発していたものが一気に形になってきているというのが実情です。今では当たり前になりましたが、クロスワールドマッチングやクロスワールドのパーティ募集をできるようになったのと同じように、かなり早くから計画していたものがきちんと完成したからです。
最初の1つができれば、そのシステムを使ってより利便性の高いコミュニケーションツールが作れるようになるので、それで増えていっているように見えているのかと思います。
――なるほど。
吉田:まだまだお話していない施策もたくさんありますし、もっと長期的な視点で作っているものもあるので、そういったものはこれからも増えていくと思っていてください。
――今年の年末以降、“ファンフェスティバル”で大きな発表があると思いますが、その前段階として、パッチ4.Xの今後についてどう広がっていくかをお話できる範囲でお願いします。
吉田:パッチ4.4があるのは確定ですが、その先のパッチ4.5があるのかどうかはわかりませんよ……? 「これから1年お休みに入ります!」と、突然言い出すかもしれませんし(笑)。
どこかでお話したかもしれませんが、『紅蓮編』で『FFXIV』としてのピークは過ぎるかなと考えていました。それは市場の厳しさというのもそうですし、『FF』というフランチャイズが抱える、ある意味現時点での限界かもしれないと。
ですが、パッチ4.0のリリースは、そんなハードルを軽々と超えていってくれました。そうなのであれば、もっと行き着くところまで行きたい……日本発グローバルサービスのオンラインゲームとして、もしかしたら2度と追いつくタイトルがない、というところまで走りきれるなら、「今がチャンスかも?」という気持ちが大きいです。
『旧FFXIV』の名残も消化し終えたので、これからは僕たちが作りたいものと遊びたいものを、もっと自由に作ろうという舵取りをしていこうと思っています。その片鱗がパッチ4.3のラストからちょっとずつ見えていくので、今後の流れはあまり予想つかないかと。
――『蒼天編』の終盤から『紅蓮編』に至るまで、リアルイベントとパッチ更新を次々と展開してライブ感を演出されていました。今回も、そういう流れをイメージされているのでしょうか?
吉田::「次の展開が読めないけど、すごそうだから早く見たい!」と思ってもらえるのが、連作としては一番正しい作り方だと思っています。プレイヤーのみなさんには驚いてほしいですし、そのほうがより楽しみに待てると思うので、そういった流れは僕がやっているかぎりはなくなりません。
僕自身があまのじゃくなので、みなさんにビックリしてほしいと常々思っていますよ。そのためにいろいろと仕込んでいるのですが、多くの企画を同時に走らせていないとぜんぜん間に合わなくて。やればやるほどハードルが上がって、「ちょっとしんどいなぁ」と思うこともありますね(苦笑)。
――では最後に、総括としてパッチ4.3の見どころをお願いします。
吉田:今回ほど項目のチェックがキツかったことがないと思うぐらい、ストーリーもシステムもコンテンツもバトルも山盛りの大型パッチです。カジュアルなものから超ハードコアなものもありますし、一緒に遊んでレベリングできる要素がたくさん入っています。
友だちを誘って遊んでもらうにもちょうどいいタイミングですので、周りに声をかけて盛り上げてもらえたらうれしいです。また、『FF』らしいストーリーをガッツリと味わえるのもポイントです。終わり際の展開は次パッチへの期待を盛り上げるものになっているので、通常のパッチですら大ニュースとして楽しみなものになってくるはずです。まだまだ、その先に向かって大きな仕掛けや新しいコンテンツも作っているので、その片鱗をパッチ4.3で味わっていただけるとうれしいです。
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