2018年5月28日(月)
先日20周年を迎えた『GUILTY GEAR(ギルティギア)』シリーズの生誕20周年アニバーサリーコラボイベントが、5月19日に都内・池袋のゲームシアター×カフェ&ダイニング“STORIA”で開催されました。本記事では、イベントの模様をレポートします。
会場には、抽選に当選したシリーズファンの方々が来場。開発陣には『ギルティギア』シリーズのメイン制作スタッフである石渡太輔さん(ゼネラルディレクター)、山中丈嗣さん(ラインプロデューサー)、関根一利さん(統括バトルディレクター)、片野旭さん(ディレクター)が登壇し、これまでの『ギルティギア』シリーズの歴史を振り返るトークショーや来場者同士の対戦会が行われました。
まずは開発陣による、歴代『ギルティギア』シリーズの振り返りトークショーがスタート。今だから語られる開発秘話など、さまざまなエピソードが語られていきます。
※カッコ内のデータは初出プラットフォームと発売日、または稼働日です。
最初に語られたのは、シリーズ第1作である『ギルティギア』。初代『ギルティギア』の設定資料などを観ながら、当時のキャラクターデザインなどを語ります。
ポチョムキンが斧を持っている画像など、まさに初代ならでは。会話中には 電撃にまつわる思い出話もあり、企画段階だった『ギルティギア』を電撃PlayStationが特集したことに石渡さんはとても驚いたそうです。
アーケードでの稼働となった『ギルティギア ゼクス』。最新筐体を使った美しいグラフィックにゲーマーたちは驚愕したと、当時の現役プレイヤーである関根さんは語りました。ここから大きな大会の歴代優勝者も発表され、その中には現在の有名プロゲーマーの名前もありました。
また、アーケード版『ギルティギア ゼクス』で「テスタメントとディズィーを出すためのパスワードが“misosoup(ミソスープ)”だったのはなぜ?」という話題もありました。その理由は、パスワードを決める時に当時のプログラマーが「味噌汁飲みたくなってきたね……」とつぶやいたからとのこと。
当時からネーミングセンスはノリで決めることも多いらしく、今やおなじみとなった“ロマンキャンセル”にも、初期段階では“コスメティックギャラクシー”などの案があったようです。一歩間違えていたら、コスギャなどの略称が流行っていたのかも!?
携帯機でも多くの作品がリリースされました。ファニーの話題では誕生秘話について質問がおよびますが、石渡さんはファニーの制作には関与していないらしく、残念ながらその秘密は明かされませんでした。
『ギルティギア ゼクス アドバンス エディション』は、片野さんと関根さんがゲームをかなりやり込んでいたらしく、本作ならではのモードやシステムを熱く語ります。
ちなみに本作だけの必殺技である“ヴェノムロケット13号(4体のヴェノム人形が突っ込んで大爆発を起こす必殺技)”は、石渡さんが密かに作っていた隠し要素らしく、いつのまにやら本作に採用されていたとのことです(笑)。
アーケード業界に大旋風を巻き起こした『ギルティギア イグゼクス』。格闘ゲームの新作があまり出なかった時期でもあり、ほぼすべての格闘ゲーマーたちがプレイしていたゲームといっても過言ではありません。
当時の熱気を熱く語る開発陣。格闘ゲームの祭典であった“闘劇”もこの時代から始まり、『ギルティギア』が格闘ゲームとして完成された時期だったと思い出を振り返りました。
また、2013年のキャラクター人気投票でNo.1になったブリジットが追加されたのも本作でした。いわゆる“男の娘”として時代を先取りしたキャラですが、開発中はブリジットの性別を明かさなかったため、とあるデザイナーさんから「男の子じゃないですか!」とクレームを受けたこともあったそうです(笑)。
続く『ギルティギア イグゼクス シャープリロード』では、アーケードのボスキャラであるイノの専用技“メガロマニア”が話題に。あまりの凶悪な性能に泣いたプレイヤーは数知れずいると思いますが、「メガロマニアを許せるか?」という来場者への質問では、皆さん受け入れていたようです。
話の流れで「歴代シリーズのボスは全員女性なのか?」という疑惑を石渡さんに投げかける開発陣。『ギルティギア イスカ』に登場するレオパルドンの性別だけ不明だったのですが、石渡さんいわく「操縦している犬は女性……だったと思う!」とのことなので、シリーズのボスキャラは女性という伝統は守られ続けているようです。
レオパルドンの話題から、そのまま『ギルティギア イスカ』の思い出話に花を咲かせる開発陣。2ライン制で4人同時の対戦バトルが楽しめる移植作として、当時は大きな注目を集めました。
その中で話題となったのは、レオパルドンのデザインを担当したKさんという開発スタッフ。Kさんがエフェクトを担当したジャムの“激・砕神掌”は、開発チームの中で芸術と語り継がれているそうです。
新キャラクターのA.B.A(アバ)や聖騎士団ソルが追加された『ギルティギア イグゼクス スラッシュ』。今は『ブレイブルー』シリーズのプロデューサーとして活躍する森利道さんが、初めてディレクションを担当した作品でもあります。
本作は『ブレイブルー』シリーズの開発スタッフが初めて携わった作品であり「背景の作り込みが素晴らしい!」と皆さん力説していました。ちなみにそのスタッフさんは、アラクネの使用する虫などをデザインされているそうです。
2006年には、携帯機に新たに2作品が登場しました。『ギルティギア ジャッジメント』は横スクロール型のアクション、『ギルティギア ダストストライカーズ』は上下の画面を使った対戦アクションとなっており、これまでのシリーズ作品とは異なる操作感が楽しめました。
ここでも話題に上がったのは、上述の背景を担当したKさん。『ギルティギア ジャッジメント』の敵がほとんどの昆虫だったのは、このスタッフさんの趣味が反映されているのではないかと盛り上がりました。特にラスボスのデザインは、かなり衝撃的らしいです!
2D作品最後のシリーズとなる『ギルティギア イグゼクス アクセントコア』シリーズ。このスクリーンショット見て、石渡さんは「自分が監修していたら、NGを出していた部分が1つあります!」と発言します。パッと見たところ不自然なところがないので開発陣もお客さんも困惑した様子。
正解は背景にかかれた“大きな昆虫”。これも虫好きのスタッフさんが担当していたらしく、「僕の目がなくなった途端に虫を出してきましたね。どんだけ好きなんですか……」と石渡さんも苦笑していました(笑)。
このころの闘劇は、なぜか参加者のコスプレが流行った時期であることも話題に。とある強豪プレイヤーがミリアのコスプレで出場して、ウィッグで前が見えなくて敗退……という、オモシロエピソードも語られました。
初の3D作品となる『ギルティギア2 オーヴァチュア』。石渡さんは、本作の開発に5年以上も携わっていたこともあり、さまざまな思い出話を語ってくれました。ジャンルの“メーレーアクション”は、英語の“乱戦”と“命令をくだす”という2つの意味からつけられたのこと。
拠点の陣取り的な要素とアクションが融合した斬新なシステムが好評を博し、今でも高い評価を得ている作品です。現在はPC(Steam)でもプレイできますので、興味のある方は遊んでみてはいかがでしょうか。
お次の作品は、パチスロ『ギルティギア ヴァステッジ』。シリーズの用語を使ったド派手な演出が楽しめるほか、『ギルティギア2 オーヴァチュア』と『ギルティギア イグザード サイン』の中間となるストーリーも収録されています。“ギルティボーナス”や“ロマンチャンス”などインパクトのある名称は必見です!
『Xrd』シリーズのパートでは、本作のプロトタイプムービーを公開。内容は、ソルの偽物が本物に出会ってボコボコにされるというもの。過去のイベントで公開されていた映像ですが、激レアなことは変わりなく、会場は大盛り上がりでした!
大きな進化をはたした『Xrd』ですが、完成までに紆余曲折があったことを関根さんは語ります。特に話題となったのが、石渡さんの“ロマンキャンセル”へのこだわり。当初は「いつでもどこでも、それこそダウンしている最中でもロマンキャンセルさせたい」と提案し、関根さんも頭を悩ませていたようです。
開発段階では、実験的にKO中にロマンキャンセルできる仕様も試していたそうで、一部のキャラはKOしたあとに“ロマンキャンセルを発動→起き上がる→また倒れる”という謎の挙動も可能だったとのこと。想像するだけでシュールな光景ですね(笑)。
▲『Xrd』のプロトタイプムービーのワンシーン。偽ソルがいいキャラをしています(笑)。 |
ここで話題になったのは、2015年に開催されたプレイアブルキャラクター選抜総選挙のお話。上位はディズィー、ブリジット、聖騎士団ソルの3キャラでしたが、最終的にディズィーが1位となり、待望のプレイアブル化を成し遂げました。
開発陣の話によると、締切直前まではブリジットが1位だったのですが、最終日になってディズィーが逆転したとのこと。開発陣の皆さんは、誰がきてもプレイアブル化する覚悟で準備していたらしく、他のキャラクターの仕様もいろいろと考えていたそうです。
具体例として、関根さんから「イズナは歩きがなく、レバーを左右に入れるだけでダッシュが出るキャラ」「ザッパはS子の仕様を大幅に変える」といった当時の構想も明かされました。
最後は、シリーズ最新作の『ギルティギア イグザード レヴツー』の話題。開幕は、カイの画像左にあるセリフによって会場が笑いに包まれます(笑)。これはシンが“サトウミズのおいしい飲み方”を語っているシーンで、実際にソルのコラボメニューを頼むとサトウミズがセットでついてきました。
また、琴慧弦(クム ヘヒョン)の侍女であるタウンの新情報も! 実はこのキャラ、韓国版『ギルティギア イグゼクス シャープリロード』のステージ背景に登場していた少女が成長した姿らしいです。意外な事実が明らかにされました!
▲ちなみにこちらがコラボ商品のメニュー。よく見るとソルのコラボメニューの下にサトウミズの注意書きが! |
▲来場者全員に20周年特別記念のデザートも振る舞われました♪ |
振り返りトークは終わると、来場者のみなさんが参加する対戦会が始まりました。プレイするタイトルは『ギルティギア』、『ギルティギア イグゼクス アクセントコア プラスR』『ギルティギア イグザード レヴツー』の3種類。石渡さんとジャンケンで勝った人が登壇し、白熱のガチバトルを披露してくれました。
▲懐かしのDr.ボルドヘッドが画面に登場。会場からは「懐かしい!」の声が! |
▲2戦目は『ギルティギア イグゼクス アクセントコア プラスR』の対戦。ファウストの「後ろから行きますよ」連発で、ソルが苦戦する展開に! |
▲最新作で激闘! カイのアップが移った瞬間に会場全体に、黄色い声援が響き渡りました。やはり、イケメンは正義……! |
対戦会のあとは、石渡さんと来場者によるトークコーナーが実現。来場者から寄せられる質問に石渡さんが一問一答していき、ファンとの交流を深めていました。
ほぼ全員の質問に答える駆け足の進行でしたが、すべて真摯に回答していた石渡さん。中には「Xrdシリーズは3部作で完結ですか?」という鋭い質問もあり、「一応、その予定です。ただ、実はその後にですね……まぁ、それはお楽しみで(笑)」と、今後の展開を匂わせるような発言もありました。
(C) ARC SYSTEM WORKS.
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