2018年6月15日(金)

『Ninjala』はアクションが苦手な人でも勝てる要素が! 森下一喜Pと荒川健Dを直撃【E3 2018】

文:電撃オンライン

 米国で開催中の“E3 2018”で2019年春に登場することが発表された『Ninjala』の紹介と開発者インタビューをお届けします。

『Ninjala』
『Ninjala』

 インタビューに応じてくれたのは、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの代表取締役社長CEO兼開発本部長エグゼクティブプロデューサー、『Ninjala』プロデューサー・森下一喜さんと開発ディレクター・荒川健さんです。インタビューでは、本作のデザインやゲーム概要についてうがいました。

『Ninjala』 『Ninjala』
▲森下一喜さん ▲荒川健さん

『Ninjala』は“スポーツチャンバラ”をイメージとはどんな索引なのか?

 インタビューに先駆けて、まずは本作がどんな作品なのか簡単に紹介しましょう。“ニンジャガム”を使った幻自在のオンライン専用本格PvPアクションゲームです。やんちゃなニンジャたちが縦横無尽にフィールドを飛び交います。

『Ninjala』Teaser Trailer

『Ninjala』世界観・ストーリー

 時は現代、忍者は滅亡したかに見えましたが、その遺伝子を引き継ぐ子孫たちによって、忍者存続を志す世界忍者協会『WNA』が設立されます。

 『WNA』は忍の力を存続させるため“ニンジャガム”の研究開発に成功し、最強の忍者DNAを持つ忍者を探し出すために、忍者スポーツ大会“ニンジャラ”を開催します。

 しかし……その大会の裏にはニンジャガムを巡って、大会の主催者、参加者、そしてさまざまな組織の思惑が交差します。そんな中、ここに新たな忍者の歴史が始まろうとしていました。

『Ninjala』登場キャラクター

 本作にはさまざまなキャラクターが登場しますが、選手のうち2人のビジュアルと名前が解禁されました。詳しいプロフィールなどは続報を待ちたいと思います。

『Ninjala』 『Ninjala』
▲バン ▲ベレッカ

 また、白衣を着た大人たちの画像も公開されています。そのうちの1人は雰囲気がベレッカと似ていますが……。何か関係があるのでしょうか?

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“ニンジャガム”とは?

 “ニンジャラ”での戦いにおいても、そして物語においても重要な意味を持つであろうアイテムで、忍者の末えいたちが使う特殊なガムです。ふくらませて武器をクラフトしたり、建物の壁を登ったり、空中滑空に使ったり、敵にぶつけて動きを封じたり……。ゲームのキーとなるアイテムです。

『Ninjala』
『Ninjala』 『Ninjala』

 作品紹介が終わったところで、森下一喜さんと荒川健さんのインタビューをご覧ください。

『Ninjala』は“スポーツチャンバラ”をイメージ

――本作の制作についての意図と、なぜ“忍者”の要素を取り入れたのかお聞かせください。

森下一喜さん(以下敬称略):対戦型のシューティング(FPS)ゲームは世の中にたくさんあると思うのですが、マルチプレイの対戦型アクションゲームはそこまで多くないと思っていたので、長らく制作したいと思っていました。

 マルチプレイの対戦型アクションゲームを作るのであれば、ワールドワイドで遊べるものを作りたいと考え、アクションゲームの要素とハックアンドスラッシュというデザインを取り込んだような“スポーツチャンバラ”をイメージしました。

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 アクションゲームには、血が噴き出すものなど演出的に過激なものもありますが、『パズドラクロス』や『パズドラZ』などを制作してきて、子どもから大人まで楽しめるゲームデザインにしたほうが喜ばれるのでは? と思い、親しみやすいテイストにしました。スポーツチャンバラであれば、たたいても誰も死なないですしね(笑)。

 子どものころは、みんな棒を見つけるとチャンバラごっこをやった経験があると思うんです。それが転じて忍者ごっこに発展することも。そこから忍者ごっこをする遊びを作っていきたいなと思い、忍者の要素を取り入れました。その中で、子どものころに食べていた忍者のガムに着目しました。

――ありましたね、忍者のガム。記憶からなぜか抹消されていました。

森下:大人になって忘れてしまうんですよね(笑)。本作の設定は忍者といっても古風な忍者じゃなくて、いわゆる現代忍者です。その現代忍者が使う術を考える中で、いろいろなものが議論され、“ニンジャガム”が候補として挙がりました。

――森下さんというと『LET IT DIE(レットイットダイ)』のイメージもありますので、本作のような作品を繰り出してくるのは少し意外でした。

森下:僕の中に“いい森下”と“悪い森下”が存在していて、この作品は“いい森下”が前面に出た作品と言えますね(笑)。そうやってバランスを取っているんです。

――ポップな見かけで小さい子でも興味を持ちそうですが、それだけでなくゲームとしてのおもしろさはきちんと備えていると遊んでみて感じました。ゲームの遊びは、ガムやチャンバラが基本の部分としてあると思うのですが、その設定をふくらませるのが先か、遊びとしてのシステムを作っていくのが先か、どちらだったのでしょうか?

森下:どちらかというと、遊びとしてのシステムを作っていくのが先でした。スポーツのような感覚で、柔らかい棒でチャンバラのように遊ぶことがキモの部分となっています。その遊びをふくらませる要素が“ガム”です。

 ガムのふくらませて変幻自在にできるところを軸にして、クラフトをしたり、忍術をしたり、ガムを使ったアクションをしたりとデザインしました。世界感などは結構後付けです。

荒川健さん(以下敬称略):そうですね(笑)。遊びのおもしろさから入っていますね。

――ゲームをプレイさせていただいて、ゲーム終了時に“どれだけ相手を倒したか”だけではなく、行動に応じて入手できるポイントで順位が入れ替わることがあったのですが、このシステムを採用したのはどのような狙いがあったのでしょうか?

森下:ポイントは、さまざまな要素で変動します。一番多くのポイントを獲得するには“イッポン”を取ることです。“イッポン”を取るには、相手の動きを封じ込めてイッポンを狙う、もしくはイッポンを狙いに行っている敵を奇襲で狙うなどさまざまな戦術が必要となります。

 本作は、1位になっていると王冠が表示され、他の人から狙われやすくなります。ですが、1位にならずに秘密裏に活動してポイントを稼げば、最後に巻き返すことができるのです。ここもまた忍者らしいポイントですね。

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 アクションゲームが得意な人しか1位を取れないゲームになってしまうと、得意でない人はやる気が起きなくなってしまうでしょう。そういったところで、アクションゲームが苦手な人でも勝てる要素としてポイント制を採用しています。

――ポイントのバランスについてはいかがでしょうか?

荒川:今回会場でプレイできるものは、システムをシンプルにしたものなので、今後開発をしていくにあたって、皆さんの意見をいただきながら最適なものにしていきたいと考えています。おもしろい遊びを提供できるようによいバランスを手掛けられたらと思います。

――プレイしていて、理不尽な逆転だと感じる部分はなかったのでとても楽しめました。

森下:“プレイしている人が納得できること”は意識しています。先ほども話しましたが、やはりアクションゲームが苦手な人はいて、その方たちが楽しめるように逆転のチャンスを用意はしています。

 現段階ではポイントバランスは調整中ですが、自分が獲得したポイントはある程度納得できるようにしています。

荒川:ゲームは公平性が大事だと思うので、アクションが苦手な人への救済措置は用意していますが、あくまで公平に戦うための救済であって、みんなが楽しめる要素として存在しています。最下位の人がプレイに際してものすごく優位というわけではないので、そのあたりを吟味したうえでよいバランスを目指しています。

森下:僕はつねに1位を取っていてポイントでも1位を取っていきます(笑)。

――それができれば一番強いですよね(笑)。でも、そういった森下さんともよい勝負になるようなチューニングが施されていくんですね?

荒川:そうですね(笑)。

森下:彼がやってくれると思います(笑)。今回の会場では、アメリカの人たちに実際に触れてもらったフィードバックを見ることができたので、とても出展の価値があったと感じています。

――新たに発表されたタイトルで、すぐに体験できるものはありますが、決して多くはないですからね。アメリカの方に触っていただいて、意外だったところや新たに気付いたことはありましたか?

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森下:日本では、知っている人間同士で遊ぶと自然と声が出ますが、知らない人同士で遊ぶとあまり声が出ません。アメリカでは知らない人同士でも声が出ているのを見受けられました。また、やられたときでも笑い飛ばしてくれる人が多かったので、それを見ると、ゲームを楽しんでくれているのだなと感じました。

荒川:家族や仲間内で盛り上がってほしいという思いがあったので、試遊台でそういったリアクションをいただけたのは、とてもプラスになりました。

森下:大体の人が1回プレイして、2回目のプレイである程度スムーズにゲームをプレイできていたので、そのあたりはすごくよかったと思います。というのも、操作方法に関しては結構揉めたんです。

――そうなんですか?

荒川:半年から1年、操作方法に関しては自問自答するくらいに試行錯誤しました。

森下:アクションゲームなので、直観的に動かすということで悩みました。1回迷走し始めたこともありました(笑)。今回の試遊を見て、いい結果を見ることができてよかったです。

タイトルの由来を直撃

――『Ninjala』というタイトルに決まったのはいつなのでしょうか?

荒川:昨年末には案として出ていました。

森下:ゲームの競技名を“Ninjala”と名づけていてそこからタイトル名になりました。なぜ“Ninja”に“la”が付いているかというと、困ったら“ら”を付けるということで付けました。

――えっ、本当にそれで“la”が付いたのでしょうか?

森下:歌詞を書くときに、困ったら“ララララ~”でつなげるじゃないですか。これは鉄則です!(笑) 本当にこれが理由なんです。じつは忍者が走るという意味で“Ninja run”という候補もあったのですが、音に出してみて『Ninjala』が一番しっくりとしたのでこちらに決まりました。

荒川:語感は森下がすごくこだわっていていましたしね。

森下:そうだっけ?(笑) アメリカと日本でタイトル名を分けるのがイヤなのですべて統一で『Ninjala』にしました。誰もが知っている忍者と『Ninjala』という語感のよさがうまくマッチしたのではと思っています。

――キャラクターのルックスやゲームの世界観からは和風な感じが取り除かれているように感じるのですが、そのあたりはどうなのでしょうか?

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荒川:一応、鳥居などはあるにはあります。アートディレクターの采配で忍者と忍者ではない比率をある程度定義していたのですが、森下から「それは違うのではないか」と言われ、新しくアートを作りました。

 結果的に、“忍者は忍ぶものだから基本は表に出さず、探せば見つかる”という作りにしています。

森下:舞台が現代なので、古風な忍者の格好をしていると目立ってしまいますしね。そういう意味では普段は普通の格好していますが、一応ゲームの競技における公式ユニフォームというのはあります。

 また、キャラクターにはそれぞれ異なるバックグラウンドストーリーが存在します。

――キャラクターによるスキルの違いなどはあるのでしょうか?

森下:キャラクターの性能はすべて同じです。違いがあるのは“ニンジャガム”のほうです。競技に持ち込む“ニンジャガム”によってスキルが異なります。

荒川:単純に1つの“ニンジャガム”を集中的に練習すればよいわけではなく、さまざまな“ニンジャガム”の使い方を覚えたほうが有利に戦えるかと思います。

――“ニンジャガム”は成長するのかといったことや、キャラクターのカスタマイズ要素があるのかなども気になりますが、いかがでしょうか?

荒川:現時点では内緒です。

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――プラットフォームをNintendo Switchに決めたことについてお聞かせください。

森下:大人から子どもまで全年齢への対応、家族で遊べる他、Switchだと身近な人とも気軽にゲーム端末を持ち運んで遊べるということで決めました。ゲーム自体の遊び方を一番表現してくれる端末だと思っています。なので初めからSwitchを想定して開発していたわけではありません。

――E3の試遊では“チーム戦”を遊ぶことはできませんでしたが、こちらはどのような感じになりそうでしょうか?

荒川:ガムはふくらませる大きさによってアクションなども変わります。例えば小さいガムで作った武器は、飛んできたガムなどを跳ね返しやすくなります。大きくふくらませたガムで作った武器は、取り回しは遅いですが相手に当てたときの威力はバツグンです。チーム戦では、プレイヤーごとに役割を決めて戦うことが重要になります。

 変幻自在のガムアクションが本作の一番のポイントになってくると思うので、プレイヤーがそれを生かしてくれたらと考えています。

――ガンホー・オンライン・エンターテイメントの作品ということで、大会などの開催は予定されているのかも気になります。

森下:eスポーツは少しは意識していました。意識していることを明言したくはないのですが、現段階では、『Ninjala』という作品を多くの人に知っていただければと思います。

――記事を読んでいる人へのメッセージをお願いします。

森下:今回はアメリカで体験できる場を設けましたが、もちろん日本のプレイヤーの皆さんにも触っていただける場を作りたいと考えています。遊べる時期になりましたらぜひ体験していただきたいと思いますので、今後の発表をお待ちください!

E3 2018のガンホーブースは『Ninjala』を猛プッシュ

 E3 2018では、ウエストホールの扉をくぐった瞬間、『Ninjala』が目に飛び込んでくるような配置になっていて、試遊台も多数用意されています。

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 E3では一度の試遊で2回対戦できました。インタビューでも話してくれたように、1回遊べばなんとなく流れを理解でき、2回目にやりたいことを試せる(“イッポン”を積極的に狙う、ステージのオブジェクトでポイントを稼ぐ)ような形になっていました。

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▲会場内に設置された巨大モニターでは、PVや対戦の模様が流されていました。

 タイミングがよければ、エキシビションとしてプロゲーマーのMcsportzhawkさんやariasakiさんとも手合わせできるようでした。

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▲Mcsportzhawkさん(右)とariasakiさん(左)。

 ブースでは、プレゼントとして『Ninjala』オリジナルのバルーンバットやTシャツ、紙のアイマスク、ピンバッジ4種類など結構豪華な来場者プレゼントをもらうことができました。中でもバルーンバットはインパクトがすごく、会場でバルーンバットを持って歩いていたら、何人かの来場者に「それはどこでもらえるの?」と聞かれるくらい。

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▲こちらは、バルーンバットを持った森下さんと荒川さんに、ブースでできる記念撮影をしていただいたものです。
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▲もらえるピンバッジは全部で4種類。
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▲こちらのシャツはいくつかサイズがあるようです。

 その他にも記念撮影や、パフォーマーたちによるアクロバティックな忍者ショウ“GungHo’s Ninja Showdown”が催されたりとインパクトのあるブースとなっていました。

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▲“GungHo’s Ninja Showdown”では、大迫力のパフォーマンスを間近で見ることができます。

『Ninjala』を遊んでみた感想は?

 最後に、本作を遊んでみた感想を書いてみます。まずこのゲーム、ガムをふくらませて武器を作り出すことが非常に重要です。次に重要なのは、ガムを飛ばすなどして相手の動きを封じること。相手の動きを見事封じることができれば、スキが非常に大きく、普通に繰り出してもまず当たらない溜め攻撃を当てて、ポイントをゲットできます。

 また勝ち筋は敵を倒すだけではありません。マップのオブジェクトでポイントを稼いだり、“イッポン”の数で1位を取ったりすることで、単純な倒し倒されで負けても試合をひっくり返すことができます。

 “イッポン”を稼ぐには、ゲージを溜めて放つ“ニンジュツ”がとても有効で、乱戦状態になったところにサッと紛れ込んで放つなどしてうまくいけば“イッポン”を複数稼げるようになっています。このよういくつか勝ち方があるので“自分がどうやって勝ちたいか?”を考えるとともに“相手はどうやって勝ちを狙うんだろう?”に注意するのがとても大事なゲームとなっていました。

 もちろん細かいことを考えずに、純粋なアクションでの対戦に徹するのもありだと思います。乱戦ゲームならではの笑えるアクシデントから、アツい駆け引きまで、しっかりと楽しめる作品となっていました。

データ

▼『Ninjala』
■メーカー:ガンホー・オンライン・エンターテイメント
■対応機種:Nintendo Switch
■ジャンル:アクション
■発売日:2019年春
■価格:未定

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