2018年6月25日(月)
『ダブルキャスト』発売から20年。『やるドラ』シリーズ第1弾をネタバレありで振りかえる【周年連載】
あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。
第77回でお祝いするのは、1998年6月25日にSCEから発売されたPlayStation専用ソフト『ダブルキャスト』です。
本作は“みるドラマからやるドラマへ”というコンセプトである『やるドラ』シリーズ第1弾。ジャンルこそ分岐選択のあるアドベンチャーゲームですが、ほぼ全編アニメシーンで構成されているため、アニメ感覚で楽しめる作品となっています。
このタイトルより前から、TVアニメの体裁を強く意識したりアニメシーンを多用したりといったゲームはわりと存在しています。
本作で特質すべきは、当時の基準を大きく上回るアニメのクオリティ。制作には現在でもその名を馳せるProduction I.Gが参戦しています。西久保瑞穂監督のもと、キャラクターデザインは『機動戦艦ナデシコ』などを手掛けた後藤圭二さんが担当。楽曲制作には人気音楽ユニット・Kalafinaのプロデュースでもおなじみ、アニメ音楽界の大御所・梶浦由記さんが参加しています。
画像からもわかるように、いわゆる“目パチ口パク”がメインのアニメ処理ではなく、各分岐で派生するシーンに至るまで、動きや構図を意識した全体的に動きのあるアニメシーンが印象的でした。
気になるストーリーは?
ネタバレを気にするには時間が経っている作品ですが、意外性も魅力となったサイコサスペンスのため、物語の詳細は後ほどふれることにしましょう。ネタバレ上等という方や当時プレイしていた方はぜひそちらもご覧ください。
泥酔してゴミ捨て場で倒れていた主人公を介抱した少女・赤坂美月。名前以外思い出せないという彼女を同居人として招き入れ、主人公が所属する映画研究部の作品に女優として参加させたことから思いもよらぬ悲劇が幕を開けます。
サイコサスペンスということで、何かを暗示させるような、思わずゾクッとするシーンも多数織り込まれていました。発売当時はまだCEROが設立されておらず、PS版はパッケージの裏に注意喚起があるのみだったので、驚いた人もいたようです。なお、PSP版やDL版ではCERO:B相当のレーティングとなっています。
流血描写は赤色。殴られたら痛い、刺されたら重篤な傷を負うなど、原因に対して当然起きる残酷な結果を包み隠さず描くことはわりと重要ですよね。
一方で、しっかり(?)お色気シーンもあります。ピュアなゲーム少年のハートを刺激したとか、しなかったとか……。
シリーズ作品も要チェック!
『やるドラ』シリーズとして、下記の6タイトルがリリースされています。
『ダブルキャスト』(1998年6月25日)
『季節を抱きしめて』(1998年7月23日)
『サンパギータ』(1998年10月15日)
『雪割りの花』(1998年11月26日)
『スキャンダル』(2000年6月29日)
『BLOOD THE LAST VAMPIRE(上巻&下巻)』(2000年12月21日)
『ダブルキャスト』から『雪割りの花』までは記憶喪失のヒロインをモチーフとしたストーリーになっていて、本作のいくつかのエンディングには宣伝PVが収録されています。次回予告みたいなものですね。なお、PS4部作は、四季がテーマになっていて、それぞれメインで描かれる季節が異なります。
解像度やデータ容量など、当時のハード事情を踏まえて評価されるべき名作。PS4準拠のグラフィックやVR技術を生かした新世代の『やるドラ』に個人的には期待しているのですが、そういったプロジェクトの発表は現状では出ていないのが残念なところです。
なお、『ダブルキャスト』、『季節を抱きしめて』、『雪割りの花』はPSP用タイトルのダウンロード版がPlayStation Storeで配信されています。
以下では『ダブルキャスト』のネタバレが含まれています。
プレイを予定している方は、ご注意ください。
犯人は誰なのか!? グッドエンドの1つを紹介
本作には4つのグッドエンド、6つのノーマルエンド、17のバッドエンドがあります。ここではグッドエンドの1つの流れとともに、ざっくりと物語を振り返ってみましょう。
ある日、繁華街で記憶喪失の少女と出会った主人公は、妙な成り行きから彼女と共同生活することとなります。
大学の映画研究部に所属する主人公は、美月を主演女優として紹介。ところが、脚本はカメラマンと主演女優が心中したという曰く付きの代物でした。
縁起を担いで女優の墓参りを済ませた一行は、美月の意外な演技力に心を奪われます。そんな折、帰宅途中の美月は何者かに襲われて……。
一行は撮影のため部長の別荘へ。ところが、別荘でも不穏な事件が続発します。
撮影旅行から帰宅後、主人公はケガで撮影を休んでいた先輩から呼び出しを受けます。
ところが、待ち合わせ場所の廃病院で待ち受けていたのは、謎の人物の襲撃でした。犯人を追いつめるも、そこには傷つき倒れ込んだ美月の姿が……。
不穏な事件に遭いながらも撮影&編集を終え、部室でラッシュフィルムの上映を迎えます。そこで発覚した“とある事実”。美月と主人公をめぐる物語の結末は!?
なお、こちらはグッドエンドのひとつで、他のグッドエンドではもっとラブラブな展開や、切ない結末などを楽しめます。さらに一度でもグッドエンドを迎えると、死人が続出する惨劇まみれのサブシナリオまで出現するのです。
先ほども述べたように、PSPで発売された『やるドラ ポータブル ダブルキャスト』のダウンロード版が配信されているので、気になった方はぜひお試しください。
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データ
- ▼『ダブルキャスト』
- ■メーカー:SCE
- ■対応機種:PS
- ■ジャンル:AVG
- ■発売日:1998年6月25日
- ■希望小売価格:4,800円(税別)