2018年7月25日(水)
『イドラ ファンタシースターサーガ』はシリーズの看板を目指す! 世界観やバトルのポイントを開発者が紹介
セガゲームスが開発中の新作アプリ『イドラ ファンタシースターサーガ』。本作を手がける開発者のインタビューを掲載する。
謎のティザーサイトを皮切りに、その姿をあらわにした『イドラ ファンタシースターサーガ』。セガゲームスが手掛ける『ファンタシースター』シリーズの最新タイトルとは、いったいどのようなタイトルなのか。
気になるその内容や今後の展開などを、プロデューサー、脚本、世界観を担当する田中俊太郎さんと、ディレクターを務める陳智政さんに伺った。
なお、インタビュー中は敬称略。
タイトルとして付けられた“イドラ”にはさまざまな意味が!
――30周年記念作品として発表された『イドラ』ですが、本作の企画はいつごろから動いていたのでしょうか?
田中:大体2年ぐらい前ですね。『ファンタシースター』30周年に向けていろいろな案を出し合っていた時、その一環として新しいシリーズ作品を出そうという話になりました。そこで、私と陳が企画書を作成し提案したのがスタートになります。
陳:私は『PSO2es』のディレクションにも携わっていたので、後任のディレクターに仕事を引き継ぎつつ、少しずつ『イドラ』に比重を移していった形になります。
1年ほど前からはチーフディレクターとして、できあがったものを見て『PSO2es』として問題ないかを確認するような立場でいました。1年その体制で進め、徐々に後任のディレクターに引き継いできましたので、『PSO2es』については私の思いを継承した開発スタッフたちのもと、今後も問題なく開発、運営を続けていけると思います。
田中:陳は一緒に企画を立ち上げたので、こちらにしっかり携わってほしいと思っていました。ただ他のスタッフに関しては、『イドラ』専門のチームで開発を進めているので、『PSO2』や『PSO2es』の開発がおろそかになるといったことは起こらないのでご安心ください。
――プラットフォームにスマートフォンを選んだのはなぜですか?
田中:やはり普及率と手軽さです。30周年記念作品ということで、より多くの人に『ファンタシースター』を知ってもらえるものにしたい。その想いにもっとも合っていたのがスマートフォンです。
シリーズのアプリとして『PSO2es』がありますが、こちらはどちらかというと『PSO2』をプレイしている方に向けた内容になっています。本作は1つの作品として独立していて、なおかつ昔の『ファンタシースター』で採用されていたコマンドバトルシステムを採用するなど、原点回帰を1つのテーマにしています。
今あるアプリと差別化でき、さらに根元にある想いを実現できるという意味でも、スマートフォンは一番適していましたね。
――タイトルにシリーズを通しての敵、ダークファルスの曲名に使われる“idola(イドラ)”というワードを選んだ理由を教えてください。
田中:ダークファルスに関連があり、物語的にも意味があるワードをタイトルにしたかったというのが理由になります。
本作に登場する“イドラ”と呼ばれる怪物は、ダークファルスの眷属で、世界を荒らし人々を苦しめる存在というように言われています。しかし、イドラという単語が本来持つ意味には“偶像”というものもあり、こちらも物語に深くかかわってくるためです。
――ダークファルスの存在をにおわせるだけでなく、物語の鍵としての意味もあると。
田中:そうですね。生物としてのイドラとしては、現在公開しているケートスをはじめ、さまざまな姿、形を持つものが登場します。作中での存在として、そして“偶像”という意味としても、イドラというワードを刻んでおいていただければと思います。
ちなみに、ケートスと聞くと『PSO2』を遊んでいる方は“フォトンブラスト”を連想されるかもしれませんが、そちらとのつながりを示唆するものではなく、星座をモチーフにしてつけた名前になります。
▲ケートスはくじら座という意味。他のイドラも星座を冠した名を持つ? |
ロウとカオスが入り混じる世界の構築
――本作の世界観について教えてください。
田中:冒険の舞台になるのは、剣と魔法が支配するヴァンドールと呼ばれる世界です。これまでのシリーズ作品とは別の世界なので、誰もが新鮮な気持ちで入ってもらえます。
SFとしての『ファンタシースター』を知る方の中には、ファンタジー色が強いと感じられる方もいるかもしれませんが、当時の作品にも星を巡りつつダンジョンを探索するといった、ファンタジーとしての側面がしっかりとありました。
本作はそういった部分を突き詰めたうえで、『ファンタシースター』として見ても違和感がなく、コマンドRPGともなじみがいい世界に仕上げています。
もちろん、長い歴史があるシリーズ中で登場したおなじみのキャラ、例えばラッピーなどはきちんと登場します。また、ある作品とのつながりを感じられる部分もあるので、シリーズファンはそういったところも楽しんでいただけるとうれしいですね。
陳:登場キャラにも意外な背景があったりします。明言するかはわかりませんが、『ファンタシースター』シリーズとして想像や繋がりを解釈できる要素は入れていくつもりです。
――世界の覇をロウと呼ばれる勢力とカオスと呼ばれる勢力が競っているということですが、それぞれどういった特徴があるのでしょう?
田中:ロウは秩序や正義を重んじる人々で、国を治めていたり、またはそこに住んでいたりなど、立場が安定している者たちになります。一方のカオスは、誰にも縛られず、自由な生を愛する人々。貧しい人や辺境で暮らしている人が多いのも特徴でしょう。
▲ロウのキャラ。 |
▲カオスのキャラ。 |
世界にはロウとカオスが点在していて、例えば最初の舞台では、中心に帝国と呼ばれるロウの国があり、その周囲ではカオスの人々が暮らしています。
陳:言葉だけ聞くとロウが善、カオスが悪のように思われがちですが、決してそういったわけではないんです。ロウは、秩序を乱す弱者を平気で切り捨てている一面もあるわけですからね。どちらにも自分たちの主義主張があり、互いを受け入れられないから憎み合っているといった見方が正しいと思います。
田中:所属に関しても基本的に出自によって決まる傾向にありますが、なかには別の道を選ぶ者もいます。仲間になるキャラのなかにも、もしかしたらロウからカオス、またはその逆になる人物もいるかもしれません。
――主要キャラとしてステラとユリィが公開されました。2人はどういった人物になりますか?
陳:ステラは本作のヒロイン的な立場で、ロウに属する女性です。仮面を被っている時は凛々しいんですが、外すと途端に恥ずかしがってうまく人と接することができないような、ギャップが大きな女の子です。
田中:仮面の有り無しで性格が極端に変化するのは、彼女の生い立ちに起因しています。そんな子がどうしてイドラと戦う白羊騎士団の当主を務めているのかというところや、彼女がリーダーでうまくいくのかといったところが見どころになると思います。
陳:主人公のユリィは海で育ったという背景があり、すごくおおらかな性格をしています。誰とでもすぐ仲よくなるし、先入観なく皆と接するような少年ですね。
田中:世界にはロウとカオスという勢力が存在していますが、彼はそのどちらにも属さない“ニュートラル”という立ち位置になります。わりと珍しい存在です。
陳:あと注目していただきたいのはマグですね。ユリィだけが持っているんですけど、本作のマグはしゃべります!
田中:マグはバトルにかかわるものではなく、物語を紡ぐ一員として、シリーズのつながりを感じさせるかなり重要な役割を担うことになります。なぜこの世界にマグがいて、どうしてユリィが持つことになるのかといったところも楽しみにしていてください。
『ファンタシースター』らしさを継承した属性がカギを握るバトル
――作品としてもっとも力を入れた部分はどこでしょうか?
陳:たくさんありますが、遊びの軸になるバトルシステムには特に力を入れています。原点回帰ということでコマンドバトルを採用しましたが、今の時代、普通に作ってしまうとどうしても物足りなさが出てしまいます。そのため、コマンドバトルのいい部分を取り入れつつ、属性の使い分けがカギになるなど、『ファンタシースター』らしさを感じられるバトルに仕上げています。
田中:あとは戦闘のアニメーションにも力を入れています。『PSO2』はアクションRPGということで、アクションが小気味よく気持ちよさを感じられるタイトルになっていますが、本作は攻撃時のアニメーションやエフェクトの派手さによって爽快感を得られるようにしています。
公開中のティザーPVでもその一端を感じていただけると思うので、ぜひ1度観ていただけるとうれしいです。
――属性値が貯まると“エレメンタルブラスト”と呼ばれる必殺技が使えるとのことですが、発動までの手順や使用時の効果はどういったものなのでしょう?
陳:まず基本として、属性値は行動したキャラに応じたもの、または敵の属性に応じたものがたまっていきます。例えば、火属性のキャラが行動すると火の属性値がたまり、その際に風属性の敵を撃破したなら風の属性値もたまる、といった具合ですね。
この属性値の量に応じて段階的にコマンドが増えていき、最終的な大技として使えるのが“エレメンタルブラスト”です。ためた属性値が一気に下がってしまうぶん威力が高く、攻撃対象の数も多いうえ、発動後は自身が狙われやすくなる、属性値がたまりやすくなるなど、さまざまな特殊効果が備わっているのも特徴になります。
田中:“エレメンタルブラスト”もそうですが、バトル全体を通して属性値のマネジメントがかなり重要になります。
属性値がたまると通常攻撃が強化され、新たなコマンドも使えるようになるので、“エレメンタルブラスト”を使わずに属性値がたまった状態でバトルを進めるのも方法の1つになるかもしれません。
また、属性値は同じ属性を持つキャラ同士で共有されることもポイントです。属性を統一してパーティを組めば属性値がたまりやすくなるのですが、一方で相性の悪い敵がいると戦いにくくなりますし、“エレメンタルブラスト”を使用すると全員のコマンドが最初の段階まで戻ってしまうというデメリットも出てきます。
▲属性の相性は火、風、水が3すくみの関係。土は特殊で火、風、水属性とは対等で、同じ土属性へのダメージが増す。 |
属性値のたまりやすさを優先する、属性をばらけさせて複数の属性の“エレメンタルブラスト”を発動できるようにしておくなど、属性を意識したパーティ編成と立ち回りがバトルのおもしろさになると想定しています。
――キャラの属性や武器は固定でしょうか?
陳:基本的に固定です。武器を変えることも検討したのですが、今回はキャラのデザインと武器のデザインを合わせて形を作っていくことをメインにさせていただきました。
ただ主人公の属性は好きなものを選べるシステムを用意しています。
田中:バトルにはまだ言えない部分が多くあるので、今後の情報を楽しみにしていてください。
――では言える範囲で、バトルについてのその他の魅力をお願いします。
陳:まだ調整段階ではありますが、1クエストは大体2~3つのバトルを行います。ただ、イドラ戦はじっくりプレイしていただくものになる予定なので、もう少し時間がかかるかもしれません。
戦闘はボス戦などは遊びごたえのあるバランスとなっているところもありますが、ストーリーについてはいわゆるスタミナ的な行動力は不要で何度でもチャレンジ可能です。曜日クエストも入れる予定ですが、こちらには行動力が必要になります。
田中:システム面では、フルオートとセミオート、倍速機能を用意しているので、プレイヤーのスタイルに応じて遊んでいただけると思います。『PSO2』とのながらプレイもOKですし、『PSO2』がメンテナンス中でも本作のプレイが可能です!
また、『PSO2』と何らかの連動も用意する予定でいるので、後日お伝えいたします。
――バトルに使うキャラクターは、主にガチャで入手することになるのでしょうか?
田中:そうですね。キャラクターと、キャラクターの能力を伸ばす装備品が混ざったガチャでの入手になります。最初は約30キャラクターを実装するつもりですが、すべてがガチャ専用というわけではなく、イベントやゲーム内で手に入る報酬アイテムでの交換など、無課金でも手に入れられるキャラクターもいます。
陳:キャラクターごとに初期レアリティが異なりますが、どのキャラクターも育てることで最大レアリティまで成長させられます。それぞれで属性、スキル、パラメータに影響するクラスが違いますし、組み合わせ次第でどのキャラクターでも活躍できるはずです。
田中:例えばナイトというクラスのキャラクターでも、守りに特化したナイトがいれば攻撃に特化したナイトもいる。回復を使えるナイトもいます。同じクラスでもキャラクターによって特徴がかなり違うので、お気に入りのキャラクターの長所を見つけて、生かせる編成で使い続けてもらえたらと思います
――事前登録の特典として『PSO2』のクーナがプレゼントされますが、他のシリーズ作品のキャラを登場させる予定はありますか?
田中:考えております。ご期待ください。
――フレンドなど、ソーシャル関係の機能としては、どんなものがあるのでしょう?
陳:フレンド機能やチーム機能は用意していますし、クエストへの同行など、共闘コンテンツも入れていくつもりです。
田中:そして、オリジナリティのある新たな体験を味わってもらえるものを用意する予定ですので、こちらにもご期待ください。
――配信予定日やイベントへの出展など、今後の展開についてお聞かせください。
田中:『ファンタシースター』は2017年の12月に発売からちょうど30年を迎え、今年がメモリアルイヤー。本作は30周年記念作品なのでメモリアルイヤー内、2018年サービス開始を目指して開発を進めています。
情報発信については“PSO2 STATION!”に加えて、9月に行われます“東京ゲームショウ2018”でも発信していく予定ですし、いずれは『イドラ』の生放送番組もやれればと、いろいろ練っている最中です。期待してくださる方を裏切らないように努力していきますので、楽しみにしておいていただけると幸いです。
――最後に、本作を楽しみにしている方へのメッセージをお願いいたします。
陳:私は『PSO2es』に携わる前は『PSO2』のチームにいたんですけど、そこで見たユーザー同士のコミュニケーションや、知らない人同士があいさつを交わしあう姿がすごく印象に残っています。「ああ、これがオンラインゲームの楽しさなんだよな」と。
『イドラ』を通じて『ファンタシースター』を知ってもらいたい、そしてシリーズに『PSO2』のような素晴らしい世界もあることを知ってもらいたいというのが、今回本作に携わることにした1つの背景です。
それを実現するため、これまでシリーズを知らなかった人にも『イドラ』を遊んでもらえるぐらい素晴らしいもの、皆さんの期待に応えられるものにしたいと考えています。
初報として公開したシステム以外にも、チャレンジャブルで“セガらしい”コンテンツを用意しようと思っていますので、そちらについても楽しみにしていただければと思っております。
田中:30年という歴史の長い作品、シリーズの一翼を担わせてもらうことになったのを非常に光栄に思っています。『ファンタシースター』シリーズとして大切な部分は尊重しつつ、自身がこれまでの開発で培ってきた経験を武器に、シリーズの看板になるうるものを作ろうという意気込みで開発を進めています。
本作がシリーズの新しい顔になることを目指していますので、ぜひ楽しみにしてお待ちいただければと思います。
(C)SEGA
データ
- ▼『イドラ ファンタシースターサーガ』
- ■メーカー:セガゲームス
- ■対応機種:iOS
- ■ジャンル:RPG
- ■配信日:2018年
- ■価格:基本プレイ無料/一部アイテム課金
- ▼『イドラ ファンタシースターサーガ』
- ■メーカー:セガゲームス
- ■対応機種:Android
- ■ジャンル:RPG
- ■配信日:2018年
- ■価格:基本プレイ無料/一部アイテム課金