2018年7月25日(水)
カプコンより2019年春発売予定のPS4/Xbox One/PC『デビル メイ クライ5』。E3 2018での発表に全世界が熱狂した本作の制作陣3名にインタビューを敢行。最新のゲームエンジンで描かれる新生『DMC』の魅力を語っていただいた。
▲お話をうかがったのは、プロデューサーのマシュー・ウォーカー氏(写真左)、ディレクターの伊津野英昭氏(写真中央)、メインプロデューサーの岡部眞輝氏(写真右)。マシュー氏が着ている衣装は……? |
――まずは、3人の制作担当を教えてください。
伊津野英昭氏(以下、敬称略):私はディレクターです。ゲームの全体を見て統括するポジションですね。
マシュー・ウォーカー氏(以下、敬称略):担当はプロデューサーです。外部会社さんとのコーディネート、制作に必要なものを開発メンバーと相談して、それに適したアニメーション制作会社や3Dモデル制作会社とのパイプ役を努めていました。衣装の制作などにもかかわっていますね。
岡部眞輝氏(以下、敬称略):役割的には、メインプロデューサーという立ち位置になります。一般的なプロデュース業務が中心ですかね。状況に応じて、マシューさんと役割を分担する場面もあります。
――“E3 2018”での発表後の、日本での反響はどうでしたか?
伊津野:まだ完全に情報を追い切れてはないのですが、SNSなどの反応を見て、「注目されているな!」というのが実感できました。公式サイトへのアクセス数も、非常に好調と聞いています。
岡部:海外と日本の両方とも盛り上がっているな、という感じです。PVを海外と国内のサイトに出しているんですけど、両方ともミリオンを突破するような閲覧数なので、かなり好調ではないかと感じています。海外だけでなく国内でもミリオンを超えるというのは難しいので、期待してらっしゃるファンが多いと実感しました。
――『デビル メイ クライ』シリーズ制作時に気を使っていることなどを教えてください。
伊津野:初めてシリーズにかかわったのが『DMC2』の開発終盤で、それ以降ずっとディレクターとして携わっています。『5』では「とにかく好きにやれ」と言われているので、基本的には自由にやらせてもらっていますね(笑)。
ただ、本作は全世界のプレイヤーに遊んでほしい作品であったので、国によっては嫌われてしまうかもしれない要素にも気を使っています。例えば“肌の露出”などがそうですね。今回は、映像が美麗なフォトリアルになったので、余計にその部分は気をつけています。
あと『DMC4』のときもリアルに作ったつもりなんですが、海外の方からはアニメチックに見えると言われまして。絵のタッチに個性を持たせると国によって、評価に差が出てしまうので、自分たちがカッコ良いと思うものが、より幅広い地域の方から認めてもらえるよう、フォトリアルな表現にしています。
――本作でRE ENGINEを採用された理由は?
岡部:まず、会社にとって自社エンジンは本当に大切なんですよね。外部のエンジンを使って開発を進めていくと「この機能がいる!」というときに、いつその機能が搭載されるかわかりません。自社のエンジンであれば、作業のプライオリティーを上げることで比較的素早く対応できますし、それを資産にして次のゲーム制作に生かせるのが大きいです。
伊津野:RE ENGINEは結果的にアクションゲームに特化したエンジンになっていきました。汎用的なエンジンだと必要ない機能があるぶん、処理が重くなってしまうのですが、RE ENGINEは必要な機能だけに絞っていくこともできるので、動作が非常に速いです。あのビジュアルのまま60fpsで快適に動くのは、本当にすごいことです。
マシュー:PVの映像を見たときに、実際にゲームで体感できるのかと思われた方もいるでしょうが、そのまま動きますのでご期待ください!
――伊津野さんがかかわった『DmC デビル メイ クライ』(以下『DmC』)からフィードバックされた点などはありますか?
伊津野:『DMC4』を作ったあと『DmC』制作にもかかわっていたので、よかったところは取り入れています。フィニッシュシーンがアップになったり、強調されるところもフィードバックしていますね。
とはいえ、それぞれ目指すべき方向性は違うので、今回はあらためてイチから作っています。過去シリーズを制作してきた大阪の社内チームのスタッフが多くかかわっているので、いろいろなことにチャレンジしました。
――今回は『DMC4』の続編となっていますが、時系列的にはどうなっているのでしょうか?
伊津野:『DMC4』の直接的な続編と思ってもらってOKです。具体的には言えませんが、前作から数年後が舞台です。ネロが少年から心身ともに充実した青年になった……というぐらいの時間の経過と思っていただければ。
今回は、本当に純粋な続編なので、小説、アニメ、舞台など、『DMC4』の公式で制作したものはできるだけ関連付けてあります。ネロの乗っている車に“Devil May Cry”のネオンが取り付けられているのも、小説版のラストにダンテから贈られたからですね。そういった要素はいい感じに取り入れているので、シリーズファンのみなさんは、ぜひ期待してください!
▲髪が短くなり、より精悍になった印象の『5』でのネロ。本作では、新たな力“デビルブレイカー”を手に戦う。 |
――キャラクターデザインの注目ポイントは?
伊津野:主人公のネロは、経験を積んで大人になったイメージなの、短髪にしてさっぱりした感を出しました。ネロはとにかくカッコよくしたかったので、キャラクターデザイナーの吉川さんとも詰めながらかなり時間をかけましたね。ダンテはわりとすぐできたんですけどね(笑)。
ちなみに、ダンテが「急に歳をとった?」と思われる方が多いと思いますが、実はそんなに変わってません。フォトリアルにしたから、そういう風に見えるのかな?とも思いますけど。あと、無精髭も伸びてましたしね(笑)。あの髭にも理由があるので、そこらへんもお楽しみに!
▲肌の質感など、これまで以上にリアルなったキャラクターたち。PVでもダンテの登場シーンは驚きの声が上がったほど。 |
――ニコはどうでしょう?
伊津野:ニコは……いかがでしょう(笑)。彼女はネロの右腕(デビルブレイカー)を創るために出てきたキャラですが、みんなが好きになってくれるキャラを目指しました。そのわりには個性的すぎるという話もありますが、ゲームをプレイしていただければ、絶対に大好きになると思いますよ!
▲ネロのパートナーとなるニコ。いわゆるマッドサイエンティストタイプの女の子らしい。PVでも、しゃべり方などからその一端が確認できる。 |
――キービジュアルに描かれている3人目の人物はいったい……?
伊津野:何者なんでしょうね……? ただ、重要なキャラであることは間違いありません。ネロ、ダンテに続く、第3のプレイヤーキャラクターとして登場予定です。ネロやダンテと異なり、武器を持っていないように見えることもポイントです。覚えておくと、本編で「そうだったのか!」と思う場面もあるかもしれませんよ?
▲『デビル メイ クライ5』のキービジュアル。 |
――前作に登場したキリエはどうなったのでしょう?
伊津野:PVでネロが「キリエ!」と叫んでいるシーンがありますね。ただ、彼女に何かあったのかは……言えないです。ネロが叫ぶぐらい大変な出来事があったことは確かです。
――今回の敵勢力は悪魔なんでしょうか?
伊津野:はい。過去に戦ってきた悪魔と同じような魔界の敵たちと戦います。全然違う第3勢力とかは出てこないです。PVの中にもヒントはあるかと。
――ゲームシステムのコンセプトを教えてください。
伊津野:実際のプレイ映像を見たときに「あ、これは『DMC5』だ」とひと目でわかるくらい、極端にカッコよさを重視したカメラワークを意識しました。決めポーズはもちろん、通常の移動とか戦闘もカッコイイです。ただ、カッコよさを意識しすぎると、遊びにくくなりますからね。カッコいいけど遊びにくくならない、一番ギリギリの範囲を攻めています!
システムについては、やはり“デビルブレイカー”ですね。前作で頼りだったデビルブリンガーを奪われるという演出をどうしてもやりたくて、登場する形になりました。デビルブレイカーは、ニコが性能重視で造っているため、耐久力がなく、攻撃を受けると壊れてしまいます。戦闘中に右腕を交換しながら戦う感じになりますね。移動式トレーラーの中には、ニコの工房もあってそこでデビルブレイカーの補充もできます。もちろん、費用は請求されますが(笑)。
――制作はいつ頃からスタートしたのでしょう?
伊津野:『DMC4SE』が出たのが3年前くらいで、その制作中にはもう『DMC5』の制作がスタートしていました。なので、4年前くらいからでしょうかね。
――デビルブレイカーでは、どのようなアクションができるのでしょうか?
伊津野:PVでも一部紹介していますが、撃ち出したデビルブレイカーの上に乗ったり、拡散反射レーザーを撃ったりなど、男心をくすぐる機能が満載です(笑)。前作で使っていた“スナッチ”はなくなっていますが、代わりにワイヤーを射出して敵を引き寄せる機能がついています。つかんだ敵を振り回して投げるなどのアクションができるデビルブレイカーもありますよ。
▲デビルブレイカーに乗り、空中戦を繰り広げるネロ! 弾数制らしいが、ゲーム中ではどのように表現される? |
――剣や銃は前作で使用していたものと同じですか?
伊津野:そうですね。剣と銃に関しては、前世代機で表現しきれなかった部分まで、きっちりと作り込んでいます。もともと銃のブルーローズは、1発目で装甲にヒビをいれて、2発目で貫通する仕組みで弾丸が2種類あるんです。本作では、弾丸も異なるモデルを用意していますので、PVなどでじっくり確認してみてください。
――デビルトリガーは今回もありますか?
岡部:もちろんあります。じつは、PVで流れている曲のタイトルが“Devil Trigger”なんですよね(笑)。現在、MVも配信されているので、チェックしてみてください。
――ゲームの進行はミッション制なのでしょうか?
伊津野:ユーザーさんには純粋にアクションゲームを楽しんでいただきたいので、従来のミッション制に近いものとなっております。今までとは少し異なる部分もあるのですが……そこは、お楽しみということで。
――キャラクターの育成要素はありますか?
伊津野:ありますね。これまでと同じく、レッドオーブを消費する形です。こちらも本作ならではの新しい仕掛けを導入しています。
――ストーリー、アクションのテーマを教えてください。
伊津野:ストーリーに関しては、当然ネロの物語でもあるんですけど、キービジュアルに存在するほかの2人も深く絡んでくるお話です。僕の狙いとしては、感動して泣いていただければと思っています! それぐらい深く作り込んだので、ぜひ期待していただきたいですね。
アクションについては“リアルな映像の正統派アクション”を目指しました。今回の発表が好意的に受け入れられたのは、個人的にはガチガチのアクションゲームが減っている影響があると思っているんですね。だから本作は、反射神経、テクニック、学習などを駆使して攻略する、ガチのアクションに真正面から挑みたかった。ただ、リアルな映像と爽快なアクションは両立が難しいので、今回はそこに時間をかけて調整しています。
マシュー:伊津野さんが言ったように、本作はリアルな映像表現にこだわっています。プロのモデルさんの起用はもちろん、衣装も専門の方に依頼して、細かい汚れやシワなども作り込んいます。衣装の生地には、わざわざ消防士用の服を素材に取り寄せたりもしました。これは1個しか見つけられなかったので、完全に一点ものですね(笑)。今後のイベントで展示する機会もあるかもしれませんので、ぜひみなさんに見ていただきたいです。ちなみに制作費は、軽自動車ぶんぐらいの費用がかかりました(笑)。
岡部:昔はキャラの表情に生命力を感じなかったのですが、本作はちょっとした表情もアニメーションで表現されているので、本当に生きている感じが自然に出ていると思います。
マシュー:『デビルメイクライ』シリーズは、カッコイイ台詞をしゃべる場面が多いから、表情の表現はすごく大事になってきますからね。唇が開くときの粘着質の再現を見たときに、僕は感動しましたよ!
▲『5』用に制作されたネロの衣装。この素材のデータを撮り込んで、独特の質感などをゲーム内で完全再現している。 |
――今後、『DMC5』が体験できるイベントなどの予定はありますか?
岡部:みなさんのご期待に応えまして、ドイツのゲームイベント“gamescom”にてプレイアブル出展を行うことになりました。そのときに、新たな続報をお届けできると思うので、ご期待してお待ちください。
――最後にファンのみなさんにメッセージをお願いいたします。
伊津野:3年以上かけて、やっと発表できました。中身はすごくおもしろくなってますし、なによりも僕がほしかった『DMC5』を作れていると思っていますので、みなさんもぜひ期待してください! 期待に応える自信があります。よろしくお願い致します。
マシュー:伊津野さんは、私の中で絶対的な信頼感を持っているクリエイターの1人です。だから、この作品は素晴らしいゲームだと思ってますし、ファンの方々が喜べる作品に仕上がるようにガンバっています。ぜひご期待していてください!
岡部:「平成最後にして最高峰のアクションゲーム」という謳(うた)い文句に、納得していただけるような作品にしたいと思っています。8月頃には実機でのプレイの映像などをお見せすることができると思いますので、読者のみなさんは、PVで流れている曲“Devil Trigger”を聞きながら、続報を期待してお待ちください!
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※画面は開発中のものです。
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