2018年8月3日(金)
新しい血式少女の存在や、前作を遊んでいればいるほどおかしく感じられる物語など、気になる要素が満載の『神獄塔 メアリスケルター2』。ついに発売を迎えた今回は、購入を検討している人に向けた本作のプレイレビューを、電撃PlayStation編集部がお届けします。
※本記事では以降、ゲームソフトとしてのPS Vita版『神獄塔 メアリスケルター』を前作、本編となる『神獄塔 メアリスケルター2』部分を『メアリ2』、改訂版となるPS4版『神獄塔 メアリスケルター』部分を『メアリ1』と呼びます。
本作のメインとなる『メアリ2』のストーリーは、前日譚も含めてつうと人魚姫の存在による前作との違いが多く、一見もしも血式少女が2人多かったら……というifストーリーにしか見えません。ですが、公式サイトなどにあるとおり、本作では『メアリ2』をクリアすると『メアリ1』がプレイできるようになります(無料DLCを利用すればあえて『メアリ1』からプレイすることも可能)。
そんな作りになっている時点で、ただのifストーリーなわけがありませんよね。では、『メアリ2』はいったいなにを描いているのか? 普通ならプロローグなどで書かれているだろう、この舞台背景こそが、本作の最大の謎となっています。
▲主人公であるつうや人魚姫がいること自体が『メアリ2』の大きな謎です。 |
前作では主人公だったジャックがナイトメアになり、前作では隠しキャラクターだったハーメルンが序盤から仲間に加わって、一部の血式少女たちが“なぜ前作から変わってしまったのか”が明かされていき……。ストーリーを進めて行くうちに、しだいに『メアリ2』の物語がなにを描いているのかも見えてきます。そして、たどり着くのは『メアリ2』のエンディング。
ですが、この結末を見て“前作をプレイしたから『メアリ1』はプレイしなくてもいい”と思う人はまずいないでしょう。少しずつ明かされていった『メアリ2』の物語の謎。それがエンディングを含めて1本の線になったとき、“これは『メアリ1』もプレイしないと!”と感じると思います。
さらに少しネタバレになりますが、『メアリ2』をクリアして『メアリ1』のプレイが解禁される際、前作の前日譚(現在も前作の公式サイト上で読めます)の一部が描かれます。ここで、前日譚をしっかり読んでいる人なら気づいたかもしれません。“こんなセリフはなかったはずだ”と。
▲なぜこのシーンが描かれるのか……? 前作をプレイしていれば、なんとなくわかるかと思います。 |
この“なかったはずのセリフ”はほんの一言。ですが、この一言があることで“絶対に『メアリ2』の結末のままで終わらせてはいけない!”という気持ちが、グッと高まるんですよ!! そこから『メアリ1』のタイトル画面が目に入るまでの一連の流れは、非常に印象的だと感じました。よく映像などは文字で書くと伝わりにくいとは言いますが、今回ばかりは文字では伝わりにくいことに感謝したいと思います。ぜひ実際に『メアリ2』をプレイして、自分の目で確かめてください。
▲流れる曲や映像は前作同じ。ただ、メアリ1の真相を解明することで映像に変化が――!? |
ただ、逆にこの記事を読んで“1本ダンジョンRPGをプレイしたあとに、もう1本プレイしたくなるのはプレイ時間やボリューム的に重い”と感じた人もいるでしょう。ですが、安心してください。『メアリ1』を“NEW GAME”でプレイする際は、ある“クイズ”がプレイヤーに投げかけられます。そして、このクイズに正解すれば『メアリ1』を終盤からプレイできるんです!
このクイズの答えは、前作をクリアしていれば忘れようがないもの。2年ぶりとはいえ同じ物語をそのまま2回なぞると、どうしても退屈な部分が出てきてしまうので、こういった細かな心遣いがあるのもうれしいですね。
▲クイズに正解した場合、レベルは上がっていますがスキルはほぼ未習得。”スキルカスタム”をお忘れなく! |
本特集の第4回でも書いたように、本作は前作と同様に“返り血”と“穢れ”が織りなす、チャンスとピンチが紙一重であるバトルが大きな特徴。『メアリ1』では、基本的に前作と同じシステムでバトルが展開されますが、『メアリ2』では、つうとナイトメア・ジャックが"2人で2ターンを共有する"など、いくつか新要素が用意されています。
なかでも個人的に大きな変化であると感じたのが、選択してから発動するまでに一定のターン数が必要な"詠唱スキル"の存在。主に全体攻撃や全体回復を行うスキルがこの詠唱スキルになっているため、これらのスキルの使用が、ややリスクのある行動として設定されています。
さらに詠唱中に大ダメージを受けると詠唱が止まるというシステムもあって、とくに全体回復は2次被害が起きやすい点に注意が欠かせません。これだけではただの難易度上昇なのですが、逆に敵も一部のスキルで詠唱を行うというのがポイントとなっています。
▲詠唱を始めた敵の前には、赤い魔法陣のようなエフェクトが出現します。 |
敵を倒す順番に加え、詠唱を始めた敵を狙うかどうかを考える必要があります。そのため、同じ組み合わせの敵でも戦い方が一辺倒にならない、遊びがいのある仕組みになっています。また、スキルによる全体回復が危険になったぶん“魂血スキル”の有用性が高まっており、どう戦うのかを考えるのが一層楽しくなっています。
ここで紹介した以外にも、“必要以上に広すぎる”という評価を受けがちだったダンジョンのボリュームが前作の4分の1以下になるなど(ボリューム減というより、程よいバランスに調整されていると感じました)、遊びやすさが増している点が多数存在します。前作をプレイ済みの人や、プレイしていないのに"なぜかストーリーを知っている人"には、間違いなくオススメできます。前作があるからこそ謎が深まる形となっている“新たな脱獄劇”。これを遊ばずに済ませるのはもったいないですよ!
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