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2018年8月9日(木)

新作RPG『ダーケストダンジョン』で人間味むき出しのヒーローたちに振り回される!

文:itra

 こんにちは、イトラです! KADOKAWAより本日2018年8月9日に発売された、PS4/PS Vita/Nintendo Switch/PC用ソフト『Darkest Dungeon(ダーケストダンジョン)』日本語版のレビューをお届けします!

 ストレス社会と言われる現代。私たちは、本当はこんなダンジョンの中で戦っている彼らと同じ世界を生きているのかもしれません……。

『ダーケストダンジョン』

 ヒーローだって人間なんです、ストレスもあれば性質上の偏りだってあります。『ダーケストダンジョン』は、そんなヒーローたちに圧倒的な人間味を感じるローグライクダークファンタジーRPGです。

●『ダーケストダンジョン』海外公式トレーラー

 海外では多くのゲームアワードで数々の賞を受賞しているタイトルで、海外ゲームに詳しい方は、どんなゲームなのか気になっていた方もいるのではないでしょうか。満を持して日本語版が発売となりました。

 システムの基本は、仲間を集めて呪われた地・ダーケストダンジョンを攻略し、ダンジョンでヒーローたちが抱えたストレスや奇癖を拠点の街で癒し、またダンジョン攻略に赴くという流れになります。

『ダーケストダンジョン』
『ダーケストダンジョン』
▲オープニングからダークな雰囲気の音と映像に満ち満ちていて、こういった雰囲気が好きな人ならワクワクできること間違いなしです。

 オープニングムービーのナレーションの声が、英語なのですが非常に渋くていいんです。ダンジョン攻略中にもナレーションがよく入りますので、ぜひここは1つのポイントとして聞いてみてほしいです。

『ダーケストダンジョン』

 『ダーケストダンジョン』はかなり細かい部分まで作りこまれたゲームなので、本稿ではダンジョン(バトル)とシステムの大きく2つに分けて、私の感想をお届けしたいと思います!

→ゲーム内容の紹介記事はこちら

死者は蘇らない緊張感のあるバトル!

 ダンジョンでのバトルはターン制となっており、奇襲をしかけたり逆に奇襲されることもあります。ステータス異常の攻撃をバッキバキにけしかけてくる敵もいれば、パワーで圧倒しようとする敵、遠距離から攻撃してくる敵もいます。

『ダーケストダンジョン』
▲入るたびにダンジョンの作りが変わります。
『ダーケストダンジョン』
▲ターン制のバトルは歯ごたえあり! 敵はかなり強く、ちょっとした油断も許されません。

 こちらも4人のヒーローをピックアップしてパーティーを編成するのですが、バトルは一筋縄では行きません。どうしても、慎重になって1戦1戦が長くなってしまうのです。

 なぜなら、死んでしまったヒーローはもう2度と戻ってくることはないから……。どれほど愛情を込めて育て上げたヒーローでも、死んでしまったら墓場行き。彼、彼女とまたダンジョンに向かうことはできないのです。そりゃバトルも慎重になりますよね!

 ちなみに私は、大事に育てていた“古物収集家”のブディを失ってしまいました(一瞬、ゲームを辞めようかと思いました)。

『ダーケストダンジョン』
▲ああ! ブディが死んだ!

 しかし、悲しむことはないのです! また新たなヒーローがやってきて、新たな戦力としてパーティーに加わってくれるから……。

 仲間候補のヒーローたちは、多種多様な性質を持っています。スキルはもちろんのこと、各ヒーローには“奇癖”と呼ばれる性質上の偏りのようなステータスが設定されています。

 “奇癖”はいい効果をもたらすものもあれば、特定の能力値が下がるなどの悪いものもあります。言い換えれば、誰しもいい側面もあれば悪しき側面もあるのです(イトラがそう言われているように感じただけ)。

 そして、本作でもっとも大事な要素の1つとなるのが“ストレス”です。暗くて汚れたダンジョンにずっと身を置いて、異形のものと戦っていればストレスが溜まります。現実的に考えてみれば当たり前です。攻撃されれば死が一歩近づき、死の恐怖に怯えなくてはならないのですから。

『ダーケストダンジョン』
▲仲間のちょっとした行動でストレスが溜まることも……。

 ヒーローたちを苦しめるストレスは、ダンジョンにいるだけで少しずつ蓄積されていきます。攻撃されることでも増えるし、ダンジョン内のオブジェクトを調べることでも場合によっては増加します。

 ヒーローが一定のストレスを抱えると、精神崩壊状態となり悪しき奇癖の1つが発動します。その症状は言動となって現れ、パーティーの他のメンバーにもストレスを与えることとなります。なんという負の連鎖なんでしょう!

 精神崩壊状態になってしまうとヒーローのセリフが変化し、ネガティブな発言ばかりをするようになります。この内容が非常におもしろく、個人的には特にヒーローたちに人間味を感じるシーンでした。あまりいい状況とは言えませんけどね……。

『ダーケストダンジョン』
『ダーケストダンジョン』
▲ムセデント「神の光は私を導いてくれます、そう、私だけを」
『ダーケストダンジョン』
『ダーケストダンジョン』
▲レイナルド「硫黄の臭いがするな。それともヒヤシンスかな?」

ストレス解消法にも感じる人間味

 クエストの達成条件をクリアする、もしくはダンジョンから退却をすると拠点の街に戻ってくることができます。街ではヒーローの強化や新たな仲間の募集、ダンジョンで溜め込んだストレスの解消を行うことができます。

『ダーケストダンジョン』

 このストレス解消法が、現実の人間もするような方法が多くて、ヒーローたちに親近感を覚えました。

 酒場には、酒を飲んで心配事を消し去る“バー”や勝負のスリルを味わえる“賭博所”、肉体の歓びでストレスを解消する“売春部屋”があります。療養所は奇癖や問題行動に対処する“精神病棟”、身体的な疾病を治療する“内科病棟”を備えます。修道院には瞑想に最適な“回廊”、神に祈りを捧げる“翼廊”、鞭打ちによる免罪を得る“贖罪の間”があります。

 療養所ではポジティブな奇癖を強化することもできます。さまざまな方法でストレスを解消、もといコントロールすることができるのです。

『ダーケストダンジョン』
『ダーケストダンジョン』
『ダーケストダンジョン』

 このストレスコントロールの中でおもしろいのが、特定の方法でしかストレスを解消できないヒーローがいるということです。

 私が出会ったのは神に祈りをささげることでしかストレスを解消できないヒーローで、「あー、こういう人たまにいるよね」と思ってしまいました。こだわりが強いと言いますかなんと言いますか……。

 ちなみに私はゲームができないとストレスが溜まります! あれ? この仕事、天職かな?

 つまり、どのヒーローについてもしっかりと彼らのことを理解して、もっとも効率よくストレスを解消させてあげることが重要になるのです。

『ダーケストダンジョン』
▲彼らの抱えるストレスを、いかに管理するかが大切なのです。

 “ヒーロー”というくくりで語られ、ダンジョンで活躍していた彼らを、単一の存在ではなく1人の人間として個別に認識し、ちゃんと過去があり個性がある存在として認めてあげることが、ダンジョン攻略や本作攻略の鍵となるでしょう。

【まとめ】ヒーローたちに振り回されるのがクセになる……かも?

 大きくダンジョン(バトル)とシステムに分けてレビューをしました。細かい部分で覚えるべき要素・操作は多いですが、シビアな面を含めて非常にやり込める作品です。

 まだまだ私もダンジョン攻略半ばなので、ダンジョンで散っていったヒーローたちを礎にして、必ずやダーケストダンジョン(最終面)をクリアしたいと思います。

『ダーケストダンジョン』
▲撤退を繰り返しながら、目指すはダーケストダンジョンの踏破です!

 私たちの業界ではちょこちょこ“キャラクターを好きになってもらう”という言葉を使います。それはストーリー云々も大事だけど、まずはそのキャラクターや人自身を好きになってもらうことが大事だよね、という意思表示みたいな意味で使うのですが、まさにこのゲームはそれを地でいっています。

『ダーケストダンジョン』
▲駅馬車でヒーローと出会えます。毎回、どんなヒーローが来るのか楽しみです!

 というか、このゲームをプレイしていてキャラクターに愛着を湧かせられないわけがないです! 彼らのストレス管理に振り回されるのが、いつの間にか楽しくなってくるんですよ。

 いつか、私自身のゲームの奇癖とバッチリ合うヒーローに出会うことができるのでしょうか。読者の皆さん向けに言えば、皆さんの奇癖に合ったヒーローがどこかにいるはずです。ぜひ、探してみてください!

(C)2015 Red Hook Studios. All Rights Reserved.

データ

▼『ダーケストダンジョン』
■メーカー:Red Hook Studios Inc.
■対応機種:PC
■ジャンル:RPG
■発売日:2018年8月9日
■希望小売価格:2,480円(税込)

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