2018年8月21日(火)
『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy』レビュー。敷居の低さ&適度なゆるさにハマる!【電撃PS】
9月6日に発売される、SNKのヒロインたちによるちょっと変わった格闘アクションゲーム『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy』。先行プレイしたその感想を、対戦格闘としての魅力メインでお届けします。
コマンド入力はもう古い? シンプル操作で全キャラマスター!
『KOF』を中心に、多くのキャラクターが参戦している本作。ですが、格闘アクションゲームと銘打っているだけに、ゲームシステムは『KOF』や『餓狼伝説』、『龍虎の拳』とも異なる斬新なものになっています。各種操作は、昨今の対戦格闘でここまでのものがあったか!? というほどシンプル。
まずしゃがむという動作が存在しないんですよ。それに加えて通常技はパンチとキックの区別がなく、弱攻撃と強攻撃の2種類。そこに弱攻撃→弱攻撃→弱攻撃、弱攻撃→強攻撃、弱攻撃→弱攻撃→強攻撃の3種類のコンビネーションと、ダッシュ強攻撃があるぐらいです。
▲一部の通常技は相手との距離によって性能が変化します。 |
そして、必殺技は専用のボタン(以下、必ボタン)と方向キーの組み合わせで使用可能。例えばテリーなら必ボタンでパワーウェイブ、→+必ボタンでバーンナックル、↓+必ボタンでライジングタックル、←+必ボタンでクラックシュートが出せます。これがレオナの場合、空中で必ボタン入力でXキャリバーを繰り出せる代わりに、←+必ボタンには固有の必殺技はありません。
基本的に全キャラクター必殺技は4つというのが本作のルールです。方向キーと攻撃ボタンによるいわゆる特殊技や、必殺技を繰り出す際のコマンド入力がないので、技を出すという点においてまったくストレスなく楽しめます。
▲一部のキャラクターが持つ派生技も、必殺技後に方向キーとボタンの組み合わせで繰り出せます。 |
ここからが大事なのですが、上記の通常技は入力が全キャラクターで共通しているだけでなく、その役割もキャラクター問わず共通。弱攻撃→強攻撃のコンビネーションを当てればジャンプ攻撃で追撃できるし、ダッシュ強攻撃はどのキャラクターのものでも相手を画面端まで吹き飛ばします。
しかも、必殺技と入力に関するルールも→+必ボタンは前方に大きく移動する突進技、↓+必ボタンは対空向きの技といったようにキャラクターを問わず、役割が可能な限り同じになっているんです。
▲アテナのサイコソードも、クーラのクロウバイツも、レオナのムーンスラッシャーも全部↓+必ボタン。 |
つまり、1キャラクターの操作を覚えれば、ほかのキャラクターもある程度動かせるようになるんですよ。ここに本作独特の操作のシンプルさがあいまって、いろいろなキャラクターを気持ちよく操作できるようになるまでの敷居は、対戦格闘としては類を見ないほど低くなっています。
本作では2人のキャラクターでタッグを組んでバトルを行うので、この操作の共通性は一般的な対戦格闘よりもさらに遊びやすさに大きな影響を与えていると思います。
気力ゲージの存在が、ピンチを逆転KOのチャンスに変える!
と、全キャラクターとおしてある程度操作などの統一がはかられている本作。そのなかでキャラクターの個性を引き出すのが必殺技です。上で方向キーによって繰り出せる技の傾向が近いと書きましたが、それはあくまで操作として。対戦格闘である以上当たり前ですが、それぞれのキャラクターが持つ必殺技はまるで別物。立ち回りやコンボにどう組み込んでいくかが、プレイヤーの腕の見せどころでしょう。
▲必殺技に派手でポップなエフェクトが用意されているのが、本作の特徴。 |
ただ、こういった必殺技を無尽蔵に繰り出せるわけではないんです。本作では必殺技を使用するのに体力ゲージの横にある気力ゲージを消費します。この気力ゲージは時間とともに回復するのですが、立ち回りにコンボにと必殺技を使っているとあっという間に空っぽに。逆に相手の必殺技を駆使しながらの攻めを凌げれば、豊富な気力ゲージを使って一気に攻めに転じられるんですよ。
▲気力ゲージはメモリで区切られており、初期は5メモリ。必殺技1回に付き1メモリ~1.5メモリほど消費します。 |
▲体力ゲージ(=気力ゲージの最大量)は2キャラクターで共通。ですが気力ゲージはキャラクターごとになっており、控えのキャラクターのほうが素早く回復します。 |
そして気力ゲージを使う行動のなかで、もう1つ重要なのがドリームフィニッシュ。いわゆる超必殺技です。本作では、いくら相手の体力を減らしたとしてもドリームフィニッシュでしかトドメが刺せません。ですが、ドリームフィニッシュは気力ゲージを4メモリも消費するので、相手にトドメを刺せるタイミングで即ドリームフィニッシュが使える、というケースはあまりないんですよ。
そうするとトドメを刺されそうなプレイヤーにもチャンスが生まれる。立ち回りと勝敗を決する要素の両方に気力ゲージの制限があるため、腕前の差が多少あっても一般的な対戦格闘と比べてシーソーゲームになりやすいのがおもしろいところですね。
▲ドリームフィニッシュは各キャラクターに2種類ずつ用意。 |
さらに本作の試合の逆転性を高めているのが、体力ゲージの減少にともなって気力ゲージの最大量が増えるというシステム。試合開始直後はドリームフィニッシュを一度使うとほぼ気力ゲージがなくなってしまいますが、本当にピンチのときならドリームフィニッシュを2回連続で発動することも可能。もちろん必殺技も乱発できるので、窮地から必殺技を駆使したコンボを決めて、そのままドリームフィニッシュをコンボに組み込んで一発逆転も狙えます。
この気力ゲージの最大値に差が出ることにより、ピンチのプレイヤーほど行動の選択肢が豊富になる点も本作の魅力だと感じます。
いつでも使えるアイテムで試合は常に予測不能!!
気力ゲージのシステムが逆転性を持たせているのに加えて、さらに試合をとんでもないことにしているのがアイテムの存在。このアイテム、ステージ内に出現する黄色い玉を攻撃するなどの方法で手に入れることができ、体力や気力を回復したり相手を攻撃したりとさまざまな効果のものがあります。
対戦格闘としては珍しいシステムですが、“対戦ゲーム”と範囲を広げればアイテムを拾って回復したり攻撃したりというシステムはさほど珍しくはありませんよね。
▲なかには敵味方問わず気絶させるなんてアイテムも。大門ではありません。アイテムです。 |
▲数あるアイテムのなかでも異彩を放つのが、画面全体にかかるモザイク。もちろん(?)効果中は各キャラクターのボイスも“プライバシーに配慮した”雰囲気のものになります。 |
ただ、このアイテム試合中ならいつでも使えるんですよ。攻めの起点に使ってもよし、コンボに組み込んでもよし。そして、攻撃を受けている最中でも使用可能。攻撃して、追撃して、タライを落としてまた追撃なんて、本作では常識の範疇。攻撃を受けている最中に鉄球を転がして妨害するなんてこともできます。逆に言えば、相手に攻撃をガードされていても、必殺技を当てた直後でも、ダウンさせたあとでも常に相手のアイテムには注意が必要ということ。普通の対戦格闘ではありえないこの状況、はっきり言ってとまどいます。
ですが、対戦格闘ではコンボ中は駆け引きが発生しないことが多いなか「爆弾を投げ込まれるかもしれないから早めにドリームフィニッシュでコンボを終えよう」などと、邪魔をされるかもしれないからこそ、いつどうやってより多くのダメージを与えていくかを考えながら立ち回るのが楽しいですね。
▲画面端でのコンボは大ダメージを与えやすいのは、多くの対戦格闘と同じ。ですが、画面端はお互いの位置が大きく動かないので、攻撃を受けている側がアイテムを放り込むチャンスだったりします。 |
うまくいかないからこそおもしろい、最大4人で遊べる2on2!!
また、本作は1人1キャラクターずつ操作する、本当の意味でのタッグプレイも可能。タッグプレイ中の操作は交代も含めてほぼすべて画面手前で実際に戦っているプレイヤーが行い、唯一アイテムの使用だけが控えのキャラクターを操作するプレイヤーにゆだねられる形になります。
▲COM戦、対戦プレイともにタッグプレイが行えます。 |
タッグプレイは本作を二人羽織で遊ぶようなものですから、まあうまくいかないんですよ。相方に声をかけたらワンテンポあとに爆弾が飛んできたり、交代のタイミングがかみ合わず相手にボッコボコにされてみたりとハプニングしかありません(笑)。
▲よかれと思って使った障害物が相方のダッシュを阻止、なんてことも。 |
このうまくいかないのが当たり前というのがタッグプレイのポイント。華麗なプレイができなくても「ですよねー」と笑って流しながら楽しむバトルは、1人で2キャラクターを操作するのとはまた違ったおもしろさがあります。
今回は試せなかったのですが、おそらくこのタッグプレイを楽しむのに最適な環境は4人が実際に集まっての対戦プレイ。お互いに黙っていれば息は合わず、声を掛け合えば作戦が相手タッグにバレる。そして声を掛け合ったところでやっぱりうまくいかない。対戦プレイのはずが、4人そろって不思議な一体感が生まれるかもしれません(笑)。
マジメに悪ふざけしている世界観作り
さて、本作を語るうえでビジュアル面にいっさい触れないというのはありえないでしょう。今にも祭りに向かいそうなユリ、露出多めのヴァンパイアナコルルなどなど、なんだかどえらいことになっているキャラクターばかり。エフェクトもぬいぐるみが飛び出たり、星が舞い散ったりとすごいことになっています。かといって過剰なお色気でアピールするというよりも、おふざけという印象が強いですね。
そう、本作にはあえてふざけてみたと思われる要素が、随所に盛り込まれています。ドリームフィニッシュがヒットした際にド派手な炸裂音ではなく「いよぉぉぉ」っと祭囃子が聞こえてきたり、必殺技やドリームフィニッシュのエフェクトでいろいろ飛び出してきたりと非常に賑やか。本作が対戦格闘であると同時にお祭りであることを強く感じさせますね。
ただ、おふざけとは言っても、勝利メッセージが使用キャラクターと相手キャラクター別に用意されていて、ストーリーのデモシーンもタッグごとに異なっていたりと力が入っています。
本作のキャラクターが過去に参戦していた『KOF』にせよ『餓狼伝説』にせよ、どれもストーリーはシリアスが中心じゃないですか。そういった作品とは違う肩の力を抜いて遊べるという雰囲気が強く感じられました。
▲パワーゲイザーとともに飛び出るNEOGEO筐体。コイン投入音も鳴ります。 |
▲デモシーンの謎の主催者目線は、ちょっと変質者チック。ただ、SNKの対戦格闘でこういった形で女性の色気にスポットをあてるというのは新鮮です。 |
さて、正直公式サイトやトレーラーの雰囲気を見ているとちょっと「なんだこれ?」と思ってしまうだろう本作。ですが、昨今の対戦格闘ほどガチガチにできることやるべきことを突き詰めず、ちょっとゆるめに気持ちよく遊べるタイトルになっていると思います。
個人的には、対戦格闘をそこまで突き詰めずライトに遊んでいる層や、「自分にはできないだろうなあ」と思いながら大会を見ている対戦格闘に憧れる人にオススメしたいタイトルですね。
▲キャラクターのビジュアルを楽しめるビューワーも完備。テリー・ボガードのパンチラが見られるのは、多分本作だけですよ!! |
※ゲーム画面は開発中のものです。
(C)SNK CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED.
データ
- ▼『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy』
- ■メーカー:SNK
- ■対応機種:PS4
- ■ジャンル:対戦格闘
- ■発売日:2018年9月6日
- ■希望小売価格:4,800円+税
- ▼『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy』
- ■メーカー:SNK
- ■対応機種:Switch
- ■ジャンル:対戦格闘
- ■発売日:2018年9月6日
- ■希望小売価格:4,800円+税
- ▼『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy(ダウンロード版)』
- ■メーカー:SNK
- ■対応機種:PS4
- ■ジャンル:対戦格闘
- ■配信日:2018年9月6日
- ■価格:5,184円(税込)
- ▼『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy(ダウンロード版)』
- ■メーカー:SNK
- ■対応機種:Switch
- ■ジャンル:対戦格闘
- ■配信日:2018年9月6日
- ■価格:5,184円(税込)