2018年9月6日(木)
エクスペリエンスから、9月13日に発売予定のPS Vita用ソフト『NG(エヌジー)』。本作のプレイレポートをお届けします。
2017年6月に発売された直後から人気を博した“心霊ホラーアドベンチャーシリーズ”処女作『死印』。本作『NG(エヌジー)』は、そのシリーズ最新作に当たります。
遊ぶ前は『死印』に近い印象があったのですが、遊んでみると別の魅力があると感じました。そちらについて、レポートしていきます。
なお、本作にはグロテスクなシーンや残酷な表現がありますので、苦手な方はご注意ください。
主人公の “鬼島空良”(名前・容姿変更可能)は、喧嘩が強いことで有名な高校生です。
母親が亡くなっていて、叔母である“鬼島那津美”に引き取られますが、現在はアパートで一人暮らしをしています。夜にバーを経営する叔母に代わって、叔母の娘であり義妹“鬼島愛海”の面倒を毎晩見ています。
ある日、主人公宛に“なぞなぞ”が書かれた奇妙な黒い葉書が届きます。
その日を境に、主人公の周りで不思議な現象が起き始め、ついには愛海が消えてしまいます。
途方に暮れる主人公の前に、葉書の送り主で愛海を攫った怪異“かくや”が現れて、彼女の仕掛けた“死の遊び”に巻き込まれていく……こちらが本作の導入です。
本作には、不良少年の主人公を始めとして、暴力団組長の息子やブラックなジャーナリストなどアウトローなキャラクターたちが多数登場します。このアウトローたちが、理不尽に人間を襲う怪異に対して、手段を選ばない予想外の行動を取っていくストーリーは、見ていて新鮮でバイオレンスがプラスされた新たな怖さが楽しめると思いました。
以下で、主要な登場人物を紹介します。
都立神座高校に通う高校3年生。普段は寡黙でドライな性格ですが、仲間や家族思いな一面も。喧嘩が強いことで有名な不良少年で、天生目組が仕切るアングラマッチでファイトマネーを稼いでいます。
主人公の幼なじみで親友。一見爽やかで物腰が柔らかい好青年ですが。暴力団“天生目組”組長の息子で、目的のためならば手段を選びません。特に情報を駆使した脅迫が得意で、一部では“脅迫王子”と呼ばれることも……。
名門お嬢様校に通う高校2年生で愛海の友人です。つねにゴシックな服装に身を包み、心霊やオカルトが大好き。おとなしそうな印象とは逆に、大胆で怖いもの知らずな性格です。実は大きな秘密を抱えています。
マスコミ界隈では名の知れたジャーナリスト。業界に精通しており、人生経験豊富な常識人に見えますが、実態は強引な取材で得たネタで企業やヤクザをゆすって小金を巻き上げるゴロツキです。
キャラとの会話中に選択肢が出てくるタイトルはよくあります。本作ではセリフ以外にも“ジャッジシステム”と呼ばれる自分の態度を選択するものもあり、この選択によってキャラクターの主人公に対する印象が変化します。
このシステムが個人的にはかなり印象的です。態度は全部で5種類ありますが、極端なものばかり選んでいると、怒りすぎて悪い印象になったり、逆に笑顔すぎて気持ち悪がられたりしまいます。主人公の性格と相手との関係性をよく考えて、微妙な表情もうまく使って適切な態度を示しましょう。
かくやとの“死の遊び”は、噂となっている怪異を消滅させると勝利となります。怪異の噂を調べて出現場所を探索し、怪異と対峙していくことに。
怪異はさまざまな場所に現れます。暗いアーケード街や夜の公園、時には自宅までも探索することになります。マップ内を移動したい時は、画面左上に表示されているマップを見ながら移動して探索しましょう。探索中は同行者を1人まで連れて行くことができ、シーンにもよりますが途中で交代することも可能です。
懐中電灯(明るい場所では目のアイコン)を調べられるスポットに合わせると、詳しく調べることができます。調べられるスポットは懐中電灯を当てると光りますので、まずはあちこち動かしてスポットを探しましょう。
詳しく調べるとアイテムを入手できる場合があります。他の場所に進めるようになったり、自分の危機を救うための重要アイテムになったりするので、しっかり調べましょう。
ストーリーが進むと、主人公は血から思念を読み取る“ブラッドメトリー”と呼ばれる能力に目覚めます。
探索中に血痕のついた場所やアイテムを見つけた時は、この能力で思念を読み取って新しい情報を入手します。
探索中、警備員に見つかりそうになったり、怪異に追われたりするなどさまざまな危機が主人公を襲います。危機時には2つのシステムが発生するので、適切な行動を選ぶ、アイテムを駆使するなどを活用して危機を脱しましょう。
警備員に見つかったり、ふいに怪異に出くわしたりした時など、早急に危機から脱出しなければならない時は“クライシスチョイス”がスタート。SECURE(安全度)と呼ばれる数値と選択肢が表示され、時間とともにSECUREが減っていくので、すばやく選択しましょう。
しかし、適切な行動を選択しなかった場合はSECUREが大幅に減り、0になる前に危機を脱しなければゲームオーバーになります。一発で0になる選択肢もあるので注意しましょう。
異質なものと遭遇し生命の危機が迫った時は“サバイバルエスケープ”が始まります。調べられるスポットと現在持っているアイテムを組み合わせて危機を脱しましょう。シーンがいくつかあり、すべてのシーンで正しい組み合わせを選ぶことでクリアとなります。
制限時間はありませんが、1度間違えると命を失ってゲームオーバーとなるので慎重に選びましょう。
怪異を消滅させるには、2つの方法があります。1つは怪異に対して霊的な苦痛を与えて破壊する“デストロイ”、もう1つは怪異のいわくを知って救うことで呪いごと浄化する“キュア”です。どちらの方法でも主人公は生き残れますが、デストロイの場合は怪異の強い呪いが同行者に降りかかって死亡し、以降のストーリーに登場しなくなってしまいます。今まで集めた情報をもとに行動を選択しましょう。
シリーズ第1弾の『死印』は、UIからおどろおどろしい雰囲気が満載で、怪異の気味の悪さ、怖さをダイレクトに味わえた作品だったと思います。本作はUIがポップなデザインになっていたり、主人公が武闘派で自らの意思で怪異と闘ったりと、伝奇冒険ものに近いイメージのタイトルで、一見すると恐怖がマイルドになっていると感じるかもしれません。しかし、本作には2つの恐怖があります。
1つは怪異の出現場所が、より身近な場所になっているということ。帰り道や自宅など何も変わらないはずの日常のシーンを少しずつ非日常に侵されていくジワジワとした恐怖は、直接的なものより怖い! 特に自宅。「ドアのチャイムが鳴って……」、「お風呂を覗いたら……」、「ベッドに入ったら……」というプレイヤーの日常にあるシチュエーションに起こる恐怖表現が多く、プレイ後思わず自分の日常は大丈夫かと心配になってしまうほどです。特にお風呂は怖い!
もう1つの怖さは “人間”です。怪異が生み出される原因には、人間の残酷な事件がかかわっています。また本作に登場するアウトローな人間が自分の欲望のために脅迫したり、拉致したりといった怖い行動を取ることがあり、生きている人間の黒く歪んだ思考と笑顔に、怪異とはまた違ったリアルな恐怖を味わうことができます。
発売当日はアップデートが予定されており、探索中に起こる恐怖演出の頻度を変更する機能が実装されるので、怖いゲームが苦手な人でも遊びやすくなると思います。もちろん、怖いゲームが大好きという方はぜひ恐怖全開の“恐怖モード”に設定して、日常を侵食する二重の恐怖を楽しんでみてはいかがでしょうか?
▲『死印』をプレイしていると、あちこちにニヤリとする演出がありますよ! プレイ済みの方はぜひチェックしてみてください。 |
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