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2018年9月28日(金)

『SAO アリシゼーション』川原礫先生&茅野愛衣さんが対談。茅野さんが明かす松岡さんたちの“クセの話”とは?

文:てけおん

 2018年10月6日よりAbemaTVで地上波同時配信、TOKYO MX・BS11・とちぎテレビ・群馬テレビ・MBS・テレビ愛知で放送開始となるアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』の原作者・川原礫先生と、アリス役・茅野愛衣さんの対談をお届けしていきます。

『ソードアート・オンライン アリシゼーション』

 本作は、第15回電撃小説大賞“大賞”を受賞した川原礫先生が執筆、イラストをabec先生が手掛ける電撃文庫『ソードアート・オンライン』シリーズの新作TVアニメです。全4クール構成となっており、原作小説9巻から18巻におよぶ長大なストーリー《アリシゼーション》編を、全4クールで最後まで描くことが決定しています。

TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』第2弾PV

 またAbemaTVでは、9月29~30日にかけて、アニメ『ソードアート・オンライン』第1・2期、『Extra Edition』を、10月6日に『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の無料独占一挙配信を実施予定です。これまでの物語を忘れてしまった人や、復習しておきたい人はお見逃しないように。

【AbemaTVでの『ソードアート・オンライン』配信予定】

・9月29日(土)10:00~
『ソードアート・オンライン』全話一挙配信
※配信後、1週間Abemaビデオにて無料視聴可能

・9月29日(土)21:30~
『ソードアート・オンライン Extra Edition』
※配信後、48時間Abemaビデオにて無料視聴可能

・9月30日(日)10:00~
『ソードアート・オンラインII』全話一挙配信
※配信後、1週間Abemaビデオにて無料視聴可能

・10月6日(土)21:45~
『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』
※配信後、48時間Abemaビデオにて無料視聴可能

 それでは以下で、川原先生と茅野さんの対談をお届けしましょう。対談では、《アリシゼーション》編映像化までの経緯や、茅野さんが本シリーズから登場する新キャラクター・アリスを演じることなどについてお話しいただきました。また、お2人が知っている制作やアフレコにまつわる、なかなか聞けない“ウラ話”も明かしていただいたので、ぜひご一読ください。

「茅野さんはどんなキャラでも演じられる方だと思います」(川原先生)

――アリス役の茅野さんについて、川原先生の印象を教えていただけますか?

『ソードアート・オンライン アリシゼーション』

川原先生:たいていの声優さんは、こういうキャラが得意だというイメージがあると思うんですよ。たとえばアスナ役の戸松遙さんだと、元気なキャラが得意だとか。

 私は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』で茅野さんのことを知ったんですけど。どんな役でも演じられる方だなぁと。

茅野さん:そうなんですね。嬉しいです。

川原先生:でも私は茅野さんっていうと、『あいまいみー』の“ぽのか先輩”のイメージが強いんです。

茅野さん:えっ、そうなんですか? けっこうコアなキャラの名前が出てきましたね(笑)。

川原先生:ぽのか先輩、すごく好きなんですよ。本当に茅野さんは、カワイイ女の子も演じられるし、凜々しい戦士役も演じられるし。かと思うと『3月のライオン』のあかりさんみたいなお姉さん役も演じられる。すごくマルチな方だという印象です。

茅野さん:ありがとうございます。

――茅野さんが川原先生と初めてお会いになったのは?

茅野さん:今回の1話のアフレコの時に、初めてお会いできたんです。

川原先生:1話でいきなり11歳のアリスを演じられたじゃないですか。キリト役の松岡禎丞さんとユージオ役の島﨑信長さんが限界に挑戦しているところを、茅野さんはものすごくナチュラルに11歳だったので、さすがだなぁと。

『ソードアート・オンライン アリシゼーション』
『ソードアート・オンライン アリシゼーション』 『ソードアート・オンライン アリシゼーション』

茅野さん:「どうしよう!? 絵もすごくカワイイ!」って、2人が戦慄していましたからね(笑)。1話のアフレコの後にみんなでご飯に行くことになって、そこで初めて川原先生と、ちゃんとお話ができたんです。

川原先生:でもあの時は、松岡さんの人生相談をみんなでずっと聞いていた気がしますけど(笑)。

茅野さん:それを聞きながら信長君が「わかる、わかるよ」と、松岡君の肩を抱いたりしてました(笑)。あの時は小野監督も一緒にいらしていて、川原先生は監督とかなりお話をされていましたよね?

川原先生:はい。ただ私は、どの方もそうなんですけど知り合ってから打ち解けるまでに5年かかるので。

茅野さん:けっこうかかりますね!

川原先生:最近ようやく(※アニメ『SAO』の第1期、第2期、劇場版を監督した)伊藤智彦監督と打ち解けてきたかなと思ったら、代わってしまわれたので(笑)。なので、小野監督ともまた初めからです。

茅野さん:5年かけて打ち解けていきましょう(笑)。

――川原先生は、小野監督にどういった印象を持っていますか?

川原先生:すごく真面目に取り組まれる方だなぁと。もちろん伊藤監督も真剣に、全力投球で作っておられたんですけど。小野監督はすごく職人らしい印象があります。

 伊藤監督はもう少し感覚派なところがあるなと思ったんですけど、小野監督はすごく職人肌な感じで、キッチリとロジカルに組み立てていく方だなと思います。

茅野さん:ご飯の時に、小野監督が以前に手がけられた作品のお話もされていましたよね?

川原先生:小野監督は電撃文庫とも縁(えにし)浅からぬ方ですから。『境界線上のホライゾン』とか『魔法科高校の劣等生』とか。私としては小野監督といえば『咲-Saki-』ですけどね。

――そういったお話に対して、小野監督の反応はいかがでしたか?

川原先生:小野監督はあまり表情が変わらないので……。

茅野さん:言葉数があまり多いタイプの方ではない印象ですね。でも和やかに、笑顔で受け止めていらっしゃった印象はあるんですけど。

――茅野さんから見た小野監督は、どんな方でしょうか?

茅野さん:あんまりこう、テンションがドーンと上がったところを見たことがないなと思うんですけど。なので、いつかは小野監督のテンションを上げてみたいですね。

川原先生:でもアニメ監督って、穏やかなだけではできない仕事だと思うんですよ。だからアニメを実際に制作されているA-1 Picturesの方に聞けば、もしかしたら小野監督の激しい一面とかも、見ているのかもしれないですけど。

「アフレコ台本と同じペースで原作を読み進めています」(茅野さん)

――茅野さんは、演じられているアリスについてどんな印象をお持ちですか?

茅野さん:アニメのアフレコではまだまだこれからといった感じなんですけど、ゲームでは以前からアリスを演じさせていただいています。

川原先生:しかもすごくいっぱい出ていますよね。

茅野さん:実は以前に伊藤監督から、「川原先生と一緒にアリス役に決めたので、よろしくお願いします」みたいなことを言われたんです。そこから役作りをどうしようかと思っていたら、ゲームが先に来ちゃった形ですね。

 ただ、ゲームはあくまで一部を切り取った形のセリフですから、本編でのキリトやユージオとの掛け合いは、実際に演じてみないとわからないなと思っています。しかも、キリトは今までの『SAO』を見れば出てきますけど、ユージオとの掛け合いがどんな感じになるかは、ぜんぜんわかりません。

『ソードアート・オンライン アリシゼーション』

 なので今も、とりあえず原作を追いながら私なりに演じさせていただいています。実は今、台本をいただいたら原作小説を台本と同じところまで読み進めるというのを、ずっと続けているんです。

――そうなんですね。それは何か理由があるのでしょうか?

茅野さん:自分の中で「アリスはこういう人物だ」というイメージを、あまり固めないようにしたいからです。その時、その時にキリトやユージオと掛け合う中で感じたものを、新鮮な気持ちでお芝居に出していけたらいいなと思っているんです。

 ただ、1話の時の幼いアリスと、今後演じていく成長したアリスは大きく違うので、そこのところを上手く表現できたらなと思っています。

 原作で“ユージオが声を聞いてアリスだとわかる”という描写があるので、「成長しても幼いアリスの感じをどこかに残しておきたい」と考えながら演じています。でもやっぱり整合騎士らしい、冷たいアリスの面も出したいので、その塩梅が難しいなと感じています。

 あとはフルネームがすごく言いにくいんですよ。……って、先生に文句を言っているわけではないんですが(笑)。

川原先生:すみません。“シンセシス”のところですよねぇ。

茅野さん:1話の収録でも、名前を言う人はすごく苦戦されてたじゃないですか。なので私も覚悟はしていたんですけど。

川原先生:整合騎士はミドルネームが必ず“シンセシス”ですからね。整合騎士を演じる人はみんなそれを言わねばならぬという試練が待ち構えているんですよ。

茅野さん:しかもアリスは、シンセシスの次が“サ”ですから。

川原先生:アリス・シンセシス・サーティの、このサ行の多さ(笑)。まさかこんなところに、思いも寄らぬハードルを置いてしまっていたとは……。

茅野さん:……今からでも変えませんか?(一同笑) 「アリス・シンセシス・サーティ」ってハッキリとした口調で言うと、“名乗っている感”があまりなくて、ヘンな感じになっちゃうんです。でも流れるように言うと、それはそれで違う感じがして……。難しいところです。

 今日もアフレコで何度かやらせていただいたんですけど、結局何が正解なのか、まだわからないままです。

川原先生:たぶん今後もなかなか正解は見つからないかもしれません……。他の整合騎士の声優のみなさんが、どうチャレンジするか、言い方は悪いかもしれませんが楽しみでもありますね。

茅野さん:早くシンセシス仲間がほしいですね!(笑) 普段の場面ではフルネームを言うことはないので、最初に名乗る時だけなんですが、久々にドキドキする名前がやってきました(笑)。

劇場版のラストは、実はシナリオにはなかったんです(川原先生)

――川原先生はアニメの第3期にはどのような形で携わられているのでしょうか?

川原先生:これまでと同じく、原作をライトワークスさんがシナリオにしてくださっていて、脚本会議に私も出て、一緒に話し合っています。

 原作をそのままシナリオにすると最初はたいてい時間をオーバーしちゃうので、それを影響のない範囲でどうやって縮めていくかとか。あとは、たとえば原作だと「呪文を詠唱した」とだけ書いてあるところでも、アニメだとその呪文を全部作らなきゃいけないんです。

これは第2期の《フェアリィ・ダンス》編でも突き当たった壁なんですけど。でも《フェアリィ・ダンス》編では古ノルド語という、アイスランド語の原型みたいな言葉で呪文を作っていたんですけど、《アリシゼーション》編は完全に英語なので、それに比べればまだマシかなぁと。

――今回は4クールの長丁場ですから、シナリオの作業は第1期や第2期に比べても大変ですか?

川原先生:最初の脚本会議が去年の5月ぐらいだったので、1年4カ月ぐらい前ですよね。それでまだ終わらないですから。《アリシゼーション》編と並行して作っていた『ガンゲイル・オンライン』の脚本が、後から始まってあっという間に終わっていったので、スゴいなぁと。

茅野さん:でも、それだけ話し合って、丁寧に作り上げているからこそだと思いますけど。

――最初の脚本会議が2017年の5月だったというと、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』のラストで“ラース”が登場して、《アリシゼーション》編につながる描写が出てきますよね。ということはその時点で、第3期を想定されていたのでしょうか?

川原先生:実は劇場版の時点では、まだ正式決定はしてなかったんです。「ようこそラースへ」は、伊藤監督の置き土産というか、爆弾みたいなものなので(笑)。

 あのラストシーンはもともと脚本にはなくて、絵コンテでいつの間にか付け加わっていたんですよ。「あれ? 何これ!」ってなりました(笑)。まぁ、結果的にやれることになってよかったなと。

 あのラストシーンと、ユージオとアリスのキャスティングが伊藤監督の置き土産ですね。「島﨑さんと茅野さんがいいんじゃないか」と言っていました(笑)。

「大ヒット祈願のお祓いをしたのは、アフレコスタジオでした」(茅野さん)

茅野さん:今日、この取材の前に『SAO』のアフレコだったんですけど、実はスタジオで大ヒット祈願のお祓いをしていただいたんです。

川原先生:『SAO』の劇場版の時にもお祓いをしてもらったんですけど、その時は神社に行ったので、椅子があったんですよ。でも今日は30分ぐらいずっと直立不動だったので、足がプルプルしてました(笑)。人生であんなにずっと直立不動していたのは、中学校の朝礼以来だなぁと。

茅野さん:神主さんが本当に長い間、大ヒット祈願の祝詞を言ってくださったんです。その間みんなずっと立ってましたから。

川原先生:あの狭いブースの中に大人数がギューギューに詰まっていたので、エアコンのキャパシティを超えちゃって(笑)。「だんだん暑くなってきた!」と思いながら。

茅野さん:でも兵士がいっぱい出てくるような作品だと、あのスタジオがいっぱいになるんですよ。

川原先生:じゃあ《アリシゼーション》編の後半で戦争が始まると……。

茅野さん:まさにあんな感じになるかもしれませんね。

川原先生:しかもアフレコスタジオだから、神主さんの声がぜんぜん反響しないんですよ。さすがに神主さんご自身からは「やりづらい」と口にすることはありませんでしたが、「慣れない」とはおっしゃっていましたね。

茅野さん:確かになれないでしょうが、素晴らしかったですよね。

川原先生:身が引き締まる感じでした。

茅野さん:マイクの前に立つ役者にしかわからない静けさを、スタッフさんみんなで共有できた感じがして、おもしろかったです。

川原先生:私は『アクセル・ワールド』という作品での思い出が蘇りました……。

茅野さん:えっ?

川原先生:実は『アクセル・ワールド』の時に、自分をモデルにしたキャラの声をやったことがあったんです……。

茅野さん:そんなことがあったんですね! あのアフレコの空間って、独特の雰囲気がありますよね。

川原先生:我々は日ごろ立ち入らない場所ですから。でも、あのぶ厚いガラス越しでも、緊張感はすごく伝わってきます。

「私としては、キリトのパートナーはアスナ以外に考えられないです」(川原先生)

茅野さん:このあいだ、アメリカのアニメエキスポに行かせていただきましたが、『SAO』のコスプレをしている方がすごく多かったんです。海外にもこんなに『SAO』を好きな方が大勢いらっしゃることが、大人のアリスを演じる前にわかったので、よかったと思っているんです。

――電撃オンラインの『SAO』の記事にも、海外からのアクセスは結構あるんですよ。とくに北米からのアクセスがこんなに多い作品は珍しいですね。

川原先生:そうやって支持していただいてありがたいなと思う反面、海外から問題点を指摘されてもいます。キリト君の女性関係とか……。ハーレム的な構造の作品って、やっぱり日本独特のものですから。海外ドラマとかでは絶対にあり得ない設定なので。

 ただ、今までのヒロイン、シリカとかリズベットとかはアスナに対して一歩引いてる感じなんですけど、今回はアリスという一歩引かないキャラクターが初めて出てくるので。

 かなり先の展開になりますけど、アリスがアスナと対峙することになった時は、戸松遙さんを倒すぐらいの勢いでやってほしいと思っています。

茅野さん:戸松っちゃんとはよく2人で飲みに行ってるので、「戦おうね!」って言っておきますね(笑)。

――ちょうどヒロインの話題になったのでお聞きしますが、『SAO』にはアスナ以外にもアリスをはじめ、魅力的なヒロインが大勢登場しますよね。もし仮に、キリトがアスナ以外のヒロインと交際する話を書くとしたら、どのキャラクターがいいですか?

川原先生:……実は以前、“これはあくまでifのお遊びですよ、本編とは一切関係ありませんよ”と注意書きをつけた上で、キリトと他のヒロインたちが同時に結婚する作品を同人誌で書いたら、ファンの人たちも苦笑いみたいな反応でしたね。

 何の結論も出してない主人公ならともかく、キリトはアスナとゲーム内ですが結婚までしているので。それが他のヒロインにグラッといくようだと許されないと思うので、私としてはアスナ以外のヒロインがパートナーになるのは、考えられないとお答えいたします。

「原作を好きな方にもできるだけ違和感のないように演じたいです」(茅野さん)

――茅野さんが普段、役作りにあたって心がけているのは、どういったことでしょうか?

茅野さん:私が声を担当しているといっても、アリスというキャラクターは私だけのものではありません。たとえばアリスだったら川原先生が思い描いているもの、小野監督が思い描いているもの、そして制作陣や読者のみなさんが思い描いているものにできるだけ寄せていくことができたら、と思いながらやっています。

 なので、テストではまず私の中の解釈でやらせていただいて、それが合っているかジャッジしていただいて、みんなで作り上げていくものだと思っています。でも、こちらに任せていただけることも多いので、そこがプレッシャーでもあり、ありがたくもありという感じですね。

――先ほどは、台本の展開に沿って原作を読み進めていくお話がありましたが、他の作品でもそういったことをなさっているのですか?

茅野さん:それは作品によって変えていますね。台本だけではわからないもの、この時にこういうことを考えていたんだ、みたいなことは原作を読んだほうが細かく描写されているので、そこは原作から上手くニュアンスを拾ってきたいなと思うんですけど。

 でもアニメはアニメで演出が違ったり、原作とは違ったものにしているかもしれないので……。だから作品をやる時に原作があると、いつも悩みます。先に原作を読んだほうがいいのか、今回みたいに台本と一緒に読むか、あえて読まないのか。本当にそれぞれではあるんですけど。

 原作があるものだと、お客さんも「この子のことをよく知ってる」って、すごく近しく感じていますから、原作を好きな方にもできるだけ違和感のないように、作品の中に上手く混ざっていける感じになってたらいいなと思っています。

――今回のアリスも、そうなれればいいなと?

茅野さん:アリスに関しては、いい意味での違和感も必要なキャラクターであるとは思うんです。でもヘンに気持ち悪い違和感にはならないように、作品の中に上手くなじんでいけたらなと思っていますね。

『ソードアート・オンライン アリシゼーション』

「松岡さんは今までと比べて、すごくリラックスしていると思います」(川原先生)

――『SAO』から離れた質問になりますが、川原先生は最近、どんなアニメやゲームを楽しまれているのですか?

川原先生:ここ数年は自分にインプットする量がものすごく減っているんです。アニメも頑張って見ようとはしているんですけど、1クールを最後まで通して見られる機会が少なくなりました。

 ゲームもあんまりプレイできていないですし。やったからには「このゲームがすごくおもしろかった!」ってTwitterとかで言いたいんですけど、それを編集の方が見ることを考えると、何も言えなくなっちゃうんですよ(笑)。

 だからせめてと思って、小説だけは読んでいるんですけど、それも決まった作家さんの新刊を読んでいるだけで、新規開拓ができなくなっちゃっているのが現状です……。声優さんはどうなんでしょう? やっぱりアニメはよくご覧になっているんですか?

茅野さん:自分が関わった作品は見るようにしているんですけど、それ以外に手を出すというのはなかなか難しいですね。体調管理も仕事のうちなので寝ないわけにもいかず……。いろいろな作品を見るためだけに、自分がもう1人ほしいですね(笑)。

 役者仲間から「この作品がおもしろかった」と聞いたりすると、見たいなって思うんです。いろんな作品を見れば、もちろん勉強にもなりますから。ただ、声を聞いて誰かわかっちゃうと「あっ、○○さんだ」ってなっちゃうかもしれないですよね。

川原先生:キャラの向こうに知ってる声優さんが見えてしまうと、その時点で虚心には楽しめないだろうなと思いますね。

 私もデビューして以降は、ライトノベルが読めなくなっちゃったんですよ。「ここでこんなことを考えてるんだろうな」と、文章の向こうにある作家さんの思考をトレースしようとしちゃうんです。

 一般文芸だとまだギリギリ大丈夫なんです。だから私は、どんなに歳を取っても絶対に一般文芸には行かないぞと思っています。文芸で書いたが最後、読める小説がなくなっちゃいますので。

茅野さん:なるほど。声優さんで例えると、声を聞いてどんなふうにしゃべっているか想像できちゃって、作品にのめりこめない感じでしょうか(笑)。

川原先生:そういう部分はありますね。

茅野さん:私の場合は、“演じている声優さんの背中”が浮かんじゃったりするんですよ。

――顔ではなく、背中なんですか?

茅野さん:はい。スタジオで演じている時はもちろんモニターを見ていますが、他の皆さんが演じているタイミングは基本的に、役者陣の背中ばっかり見ることになるんですよ。皆さんの背中を見ていると、みんなそれぞれにクセがあるんです。

 たとえばユージオ役の信長君は、キリトにむかって「○○だよな!」って呼びかけるようなセリフの時にほとんど必ず、松岡君のことをチラッと見るんです。隣り合ってすぐそばにいるような時にでも、必ずチラッと見ています。

『ソードアート・オンライン アリシゼーション』

 一方の松岡君は、気持ちを作って世界に入り込むタイプなので、たとえばイライラしているシーンだったら、気持ちを高めていくためにずっと足を揺すっていたりとか。

 一緒に仕事をしていると、そういうクセがだんだんわかってくるので、声を聞くと「きっとこういうふうにやってるんだろうな」って、想像できるところはりますね。

川原先生:それは、声優さんらしい視点ですね。言われてみると納得できます。松ほどは、台本の展開に従岡さんと言えば、今までの収録と比べて、今回はすごくリラックスしてるなぁって思います。

『ソードアート・オンライン アリシゼーション』

 今までの松岡さんは、あれだけコンビを組んでいる戸松さん相手でもどこか緊張している様子があったんですよ(笑)。島﨑さんがいる時といない時では、はたから見ているとぜんぜん違うように思います。

茅野さん:現場で松岡さんとぜんぜんお話ししていないって、戸松さんから聞いていたんですけど。

川原先生:《フェイタル・バレット》編で(シノン役の)沢城みゆきさんと掛け合う時は、見ているこっちまでピーンとするほど、松岡さんが緊張されていました。

 ですが、《アリシゼーション》編の収録では、「ガラスの向こうで松岡さんが笑ってる!!」と驚くことが多々あります(笑)。今まではそんなことぜんぜんなかったので、よかったなと思います。

茅野さん:ご本人たちも親友同士だからこそじゃないかと思います。

川原先生:そういう意味でも、島﨑さんと茅野さんに受けていただいて、本当によかったなと思っております。……でも、アリス、キリト、ユージオと、3人そろって一緒に収録する機会というのが、実はあまりないんですよ。

茅野さん:確かにそうなんですよね。3人での掛け合いがすごく楽しかったので、せっかくなら3人そろって、何かできたらいいですね。子ども時代の掛け合いでもいいから、みなさんの前で披露できる機会があればいいなと思うんです。

――それはファンのみなさんも見たいと思いますよ。

茅野さん:子どものころの、本編では描かれていない日常のやり取りとかを見てみたいですよね。松岡君と信長君が子どもの声に戻るのは、大変かもしれないですけど(笑)。でもきっとやってくれると思います!

「AbemaTVで見る時は、ぜひコメントをいっぱい書き込んでください! 私が読みますので!」(川原先生)

――『ソードアート・オンライン アリシゼーション』は今回、AbemaTVで地上波と同時配信されますが、Abema TVでの視聴を楽しみにしているファンのみなさんに、メッセージをお願いします。

茅野さん:今回こうやって対談という形で、原作者の川原先生とこれだけ長くお話しさせていただくというのは、なかなかないことなので。大人のアリスを本格的に演じる前に、先生といろいろお話しできたことは、本当にありがたいことだなと思いました。AbemaTVさんに感謝です。

 第1期からご覧になっているみなさんはおわかりだと思うんですけど、『SAO』はとても引き込まれる、おもしろい作品です。《アリシゼーション》編から入るみなさんも、これをきっかけに第1期から改めて追いかけてみるのもおもしろいと思いますので、ぜひ作品に触れてみてください!

川原先生:配信で見る楽しさというのは、みんなで同時に見ている感覚だと思います。私がAbemaTVでアニメを見る時は、ずっとコメントを表示しているんです。

 なので、《アリシゼーション》編をAbemaTVで見る時は、ぜひコメントをいっぱい書き込んでください。書き込んでくれたら、私がそれを読みますので!

■TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』概要
【放送情報】
10月6日よりTOKYO MX、BS11、とちぎテレビ、群馬テレビ、MBS、テレビ愛知で毎週土曜24:00
10月8日よりテレビ愛知で毎週月曜26:05、AT-Xで毎週月曜22:30(※リピート放送あり)
【配信情報】AbemaTV(※地上波同時配信)
※最新話配信後、1週間Abemaビデオにて無料視聴可能

【スタッフ】(※敬称略)
原作:川原礫(「電撃文庫」刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:小野学
キャラクターデザイン:足立慎吾、鈴木豪、西口智也
助監督:佐久間貴史
総作画監督:鈴木豪、西口智也
プロップデザイン:早川麻美、伊藤公規
モンスターデザイン:河野敏弥
アクション作画監督:菅野芳弘、竹内哲也
美術監督:小川友佳子、渡辺佳人
美術設定:森岡賢一、谷内優穂
色彩設計:中野尚美
撮影監督:脇顯太朗、林賢太
モーショングラフィックス:大城丈宗
CG監督:雲藤隆太
編集:近藤勇二
音響監督:岩浪美和
効果:小山恭正
音響制作:ソニルード
音楽:梶浦由記
プロデュース:EGG FIRM、ストレートエッジ
制作:A-1 Pictures
製作:SAO-A Project

【出演声優】(※敬称略)
キリト(桐ヶ谷和人):松岡禎丞
アスナ(結城明日奈):戸松遥
アリス:茅野愛衣
ユージオ:島﨑信長

■AbemaTVでの『ソードアート・オンライン』配信予定
・9月29日(土)10:00~
『ソードアート・オンライン』全話一挙配信
※配信後、1週間Abemaビデオにて無料視聴可能

・9月29日(土)21:30~
『ソードアート・オンライン Extra Edition』
※配信後、48時間Abemaビデオにて無料視聴可能

・9月30日(日)10:00~
『ソードアート・オンラインII』全話一挙配信
※配信後、1週間Abemaビデオにて無料視聴可能

・10月6日(土)21:45~
『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』
※配信後、48時間Abemaビデオにて無料視聴可能

(C)2017 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/SAO-A Project

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