2018年9月16日(日)
“NieR:Orchestra Concert”応援企画! 本番直前のリハーサルをレポート【電撃PS】
「助けてください、誰か!」
“NieR Orchestral Arrangement Special Box Edition(完全生産限定盤)”のCDが発売されて以来、聴くたびにずっと鳥肌が立ちっぱなしのサガコです。素晴らしすぎて、誰か助けてと言いたくなるほど圧倒的なクオリティ。そのサウンドを生で楽しめる運命の日が目前にまで迫ってきました。
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9月17日にパシフィコ横浜で開催される『NieR(ニーア)』シリーズのオーケストラコンサート“NieR:Orchestra Concert”。今回はそのリハーサルに押しかけて参りましたので、ここに速報レポートをお届けいたします。
※以下、ゲームのネタバレ要素が含まれますためご注意ください。
立ちすくむってこういう事を言うのだな
スクウェア・エニックス音楽出版さんに呼ばれて訪れたのは、神奈川県の某ホール。楽屋口から入り、廊下を抜けてホールに入った瞬間、聞き慣れたメロディとコーラスに包まれました。眼の前に広がった光景と音の厚みに鳥肌がバーン!! 立ちすくむとはまさにこの事。
「ひええ……」
人は本気で驚くとマンガみたいなリアクションになるんです。ひっそりと声が出ました。ステージ上には膨大な人数、膨大な数の楽器!
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▲これがオーケストラの迫力か……。 |
すでにいくつもの重なる音で、場の空気が細かく揺れているようにすら感じました。リハですらこれだけ震えが走る有様。
コンサート当日の私は、そしてパシフィコ横浜を訪れる『ニーア』シリーズのファンのお客様は、いったいどうなっちゃうんだろうか。感動が一周回ってしまって、まず軽く動揺しました。
“育った”あの子の晴れ舞台!
とにかくゴージャスとしか言いようがない、今回のオーケストラコンサート。コーラスも含めると、総勢120名を超えるプロフェッショナルが集結し、4000人規模の大ホールで『ニーア』の音楽を奏でるのです。
現場で映像の監修に駆け回るヨコオさんが、取材しつつも圧倒されている私たちを見つけ、立ち止まって言いました。
「かつて『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』のころは、よちよち歩きの子犬のようだった『ニーア』がここまでになったんですよ」
いや……あの、立派に育ちすぎて涙が出そうです、ヨコオさん。
「それで大きくなりすぎて、調子に乗ってグッズとか限定版とか作りすぎたスクエニ音楽出版スタッフさんの首をギリギリと締め上げるまでに育ちましたよ。HAHAHA」
いや……えっと、それは笑えなくて涙が出そうです、ヨコオさん。
少しずつ練習は進みます。映像出しのタイミングなどもかなりシビアで、スタッフさんの苦労も相当なもののように思われました。
一方で、音楽についてはMONACAの岡部啓一さんや、今回のコンサートCDに関わられたアレンジャーのみなさんがしっかりチェック。指揮者の大井剛史さんとともに、チェックが繰り返されました。
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それにしても、生音のすごさには圧倒されるばかり。シルクのような優しい音色にも、どこか“圧”を感じるから不思議です。圧迫感的には『ニーア オートマタ』のCh.11“総攻撃”で、論理ウイルスに侵された大勢のヨルハ部隊が襲いかかってくる、あの感じが近いかもしれない。
関わってるスタッフさんの数も、小規模なコンサートとは桁違いのスケール感。これが……これがオーケストラか!
何度も音を止めながら、指揮者の方が細かく調整を加えていきます。
「ここのクレッシェンドはメゾピアノに……」
「もっと大きく、迫力を出したいので……」
奏者のみなさんが指示の一つ一つを聞きつつ、一斉にペンを走らせる姿が印象的でした。
ナビゲーターの門脇舞以さんと石川由依さんも、リハーサルに参加
またリハーサルの終盤では、コンサートでのナビゲーター役を務めるエミール役の門脇舞以さんと石川由依さんも現場に参加。当日の細かい構成を確認していました。
マイクを通して聞こえてくるエミール役の門脇さんの声、2B役の石川さんの声……『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』、そして『オートマタ』それぞれの思い出が蘇ってくるようでした。
お2人のナビゲーションも、このコンサートを構成する素敵で大切なパーツだと実感した瞬間です。
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コンサートをニコ生でチケット買ってまで見て聴く価値は――ある!!
当然のように即日ソールドアウトとなった17日のオケコンチケット。当日券の販売も若干数あるとのことですが、今の段階からでも確実に見たいという方にオススメなのが、ニコニコ生放送での配信です。
視聴環境が個々によって違うため、音楽そのものの重厚感や、音の厚み、圧を感じるには不安定な要素が多いかもしれません。ですが、断言できます。ここにもまた、ここでしか味わうことのできない『ニーア』の世界が新たに広がっていると。
チケットが手に入らずに悔しい思いをした方も、当日に予定やいろんな制約があってどうしても行けないんだという方も、タイムシフト視聴も可能なニコ生で、ぜひこの記念すべきオーケストラコンサートを味わってください。
そして幸運にもパシフィコ横浜の現地でコンサートを楽しむことができる方は、後日に思い出をたどるような気持ちでご覧になってはいかがでしょうか。
リハーサルを終えた岡部啓一さんとヨコオタロウさんは、かく語りき
じつに忙しないリハーサルの合間を縫って、僕らの岡部啓一さんとヨコオタロウさんがインタビューに応じてくださいました。
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▲最近、スタッフさんに洗濯してもらって「イイ匂い」がするようになったヨコオさんのスカーフ。キャーッ! 言っちゃいました! 内緒ですよ! |
――今回のコンサートについての率直な感想は?
ヨコオタロウさん(以下、ヨコオ):ファンのみなさんやメディアのみなさんに育てていただいて、薄汚れた子犬のような『ニーア』はすっかり金満コンテンツに生まれ変わったんだなと思いました。
岡部啓一さん(以下、岡部):まさにそのとおり(笑)。サントラ出るかもわからなかったようなところから、ここまでのオーケストラコンサートができるようになるなんて、まさに夢のようです。
――リハーサルをご覧になっての印象は?
岡部:アルバムのレコーディングのことを思い出しながら聴いていました。アルバム収録時とはオケのメンバーも数人変わっていて、演奏するたびにちょっとずつ音が違うのを楽しみながらお仕事させてもらっている感じです。
オーケストラって生き物のよう。構成する人がちょっとでも違うと、微妙に音が変わるんです。だからアルバム収録時、今日のリハの現場でも音色が違う。きっと本番の会場でも違う。そこでしか奏でられない、味わえない生の音になるんです。
――普段、オーケストラの音楽って積極的に聴きますか?
ヨコオ:僕はあまり聴きませんね。なので今回、リハーサルで聴いて「お金のかかった音がするな」と思いました。これはこれでいいなと。体験したことのないライブ感がありますね。個人的に『ニーア』にオーケストラが合うなと思えたのは意外でした。
岡部:合うよね! 合うんだよ、そうなんだよ!
――(岡部さんがこれほど勢いがあるのってめずらしいなあ。うれしそうだなあ……と取材陣、無言の笑顔)。
ヨコオ:今回のコンサートは音楽が主役。「オーケストラをたてたい」という、岡部さんからたっての希望がありました。だから今までになく、動画による演出がたいへんなんですよ。
今回は、とにかく現場でのオーケストラに合わせる方向性なので、思っていた以上にたいへん。ズレを調整するのも現場のリアルタイムですから、今までの3倍くらいしんどいです。
岡部:僕は貧乏性だから、これだけ豪華なコンサートなんだからお金をかけたところが主役であってほしいと思っちゃうんです。だから、今回はとにかくオーケストラを引き立てる内容でお願いしますと。
そのための映像を作ってほしいとヨコオさんにお願いしました。だから会場でも、ヨコオさんたち映像スタッフはリアルタイムで作業をしなきゃならないから、たいへんそうですね(笑)。
ヨコオ:音楽を勝手にやらせるとこんなにヤバいことになるんだと思い知りました。だから映像は、リハの結果を受けて現在も絶賛編集中です。
――いま!? 本番は明後日ですが。
ヨコオ:今回はかなり岡部さんの演出主導なんですけど、僕から見たら「聴いてるだけじゃん!!」っていう。むしろ僕のほうが現場をあたふた、行ったり来たりしていて忙しい。おかしい。
岡部:僕はあくまで音楽を聴いて、それを見守るのが仕事なので(笑)。あんまり船頭がたくさんいても混乱しますし、アレンジャーさんやオケの方々にお任せしたほうが最大公約数的なものにならず、個性が出ておもしろくなると思うんです。
「ここだけは押さえてください。あとは自由にお願いします」というやり方のほうが自分の好みですし、何よりそのやり方が『ニーア』というコンテンツにも合うのかなと。
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――門脇さんと石川さんのナビゲートも、音楽を引き立てる感じでとてもいい塩梅ですね。
岡部:グッと来ますよね。
――リハなのに、取材席で号泣しそうになりました。
ヨコオ:僕はとにかく映像のタイミングが合わなくて泣きそうなんですけどね……。本番ではゆっくり座って、じっくり楽しみたいです。
――当日はニコ生の中継もありますが、そちらをご覧になる方はどう楽しむのがオススメでしょう?
岡部:会場だと、他の方に遠慮しがちなところもありますよね。マナーだって最低限はあるわけだし。だけど配信なら、寝転びながらでも食べながらでも飲みながらでも、自由に楽しめますよね。
コメントで、ニコ生ならではの一体感を楽しめますし、今回はナビゲート役もいてくださるので、結局寝っ転がってても、食べてても、飲んでても、ラストはきっといろんなことを思い出して泣くぞ! 泣くんだろ!! というような気持ちでいます(笑)。自分のペースで楽しんでいただけたらうれしいですね。
ヨコオ:ナビゲートも、純粋に音楽を楽しんでもらうための構成にしてあります。
――CDを聴いていなくても大丈夫ですか?
岡部:大丈夫だと思いますよ。SNSでは“本番まではあえて聴かない!”というMっ気のある方もお見かけしました。“初めて聴く”という体験は、たった一度しかないですからね。会場でもニコ生でも“みんなと共有”してから聴きたいという人もいるでしょうから。
ヨコオ:僕は事前に聞かないタイプなんですよ。知ってるタイトルやアーティストだったら、せっかくだからコンサートでのアレンジを楽しみにするタイプです。
――CDとアレンジが異なる楽曲もあるんでしょうか?
岡部:少しありますね。それも含めて、会場や配信で楽しみに聴き比べてもらえたらと。
ヨコオ:スクエニの音楽出版さんによると「限定版のBOXが余ってる」らしいので、生放送をご覧になってよかったと思ってもらえたら、ぜひ買ってくださいって言ってました。想像を絶する個数を生産したそうです。
岡部:ちょっとフォローしておくと、けっして売れていないというわけではなくて(苦笑)。それくらい大量に作らないと単価が高くなりすぎちゃってヤバいってくらい、豪華でお金のかかった限定版BOXにしていただいたということなんです。そのぶん、買って後悔しない出来になっていると思いますよ。
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――17日は当日券も若干数出るとのことで、チケットの争奪戦になりそうですね。一方でグッズは一部の限定品を除いては後日、スクウェア・エニックス e-STOREでも通販があるとのことで安心しました。
ヨコオ:グッズは地味に全部僕が監修しています。
岡部:すごいよね。どんどん増えてヨコオさんがんばってるなと思いながら、僕はパンフやオルゴールを監修させていただきました。
――オススメのグッズなどありますか?
ヨコオ:パンフレットの最後のページに、僕が原案のショートストーリーを映島巡さんに書き下ろしてもらっています。1ページくらいですが『ニーア レプリカント/ゲシュタルト』、『ニーア オートマタ』のどちらを好きな方にも楽しんでもらえる、「なるほどね」となってもらえる内容だと思うので、よかったらぜひ読んでいただけたらと思います。
岡部:僕は全部といいたいところですが、イチオシはオルゴールかな。“カイネ”と“Weight of The World”、どちらもオルゴールとの相性がいいなと感じました。物理的に音が鳴る物っていいですよね。オススメです。
――アルバムのトラックリストはずいぶん前から決めてらしたんですか?
岡部:ええ。このコンサートを見据えて決めたものなので。
ヨコオ:でも、コンサートのセットリストとアルバムの曲の並びは微妙に違うよね?
岡部:若干異なりますね。なんでセットリストが違うのか? その理由は見ていただけたらわかってもらえると思います。
――ニコ生配信、やはりオススメはPCやタブレットでヘッドホン着用ですかね?
岡部:断然ヘッドホンやイヤホンがオススメです。映像も楽しみたいなら、スマホよりはPCかタブレットがいいかもしれませんね。せっかくのオケなので、低音までしっかり味わっていただきたいですね。
ヨコオ:今回、異常な数のカメラで撮ってますからね。全部で20台? タイムラプスができるんじゃないかというほどの数ですよ。
――ビットレートも高めで配信されると聞きました。
岡部:音楽側としては、あんまり圧縮されないのはうれしいので大歓迎です。
ヨコオ:カメラ割りが入ってくるので、ニコ生のほうは現場の会場で見るのとは違う、映像としての楽しみ方が加わると思います。
岡部:俯瞰して眺めることができますから、改めて後日に見直していただけるのもいいんじゃないかと。
ヨコオ:カメラの多い配信といい、限定版BOXといい、『ニーア』関連で予算を使いまくっている音楽出版のスタッフさんは赤字が出たらクビになるらしいです(笑)。
──(苦笑)。でも、何度でも見たいって気持ちになるほどスゴいコンサートになるかも……そう思わせてもらえたリハーサルでした。
岡部:今までの僕は、取材の場で「興味のある方は、よかったら聴いてください」って言い方を多用してきましたが……。でも今回は! 今回だけは、それほど『ニーア』に思い入れが強くない方にでも「ぜひ見て、聴いてもらいたい!!」と声を大にして言いたいんです!
ヨコオ:今までのコンサートはそうでもなかった、みたいな言い方だね。
岡部:いや、今までもそんなつもりはなかったけど(笑)。でも今回は、本当に集大成です。いろんな人のお力が結集して本当に素敵なものに仕上がっているし、自分がもし受け手側に立ったとしても、十分に楽しめるものになっていると思っています。
お金を払っていただいても後悔をしない出来のコンサートなっていると自信を持って言えますので、ぜひ会場で、そして配信で楽しんでください!!
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……世界中の『ニーア』ファンにとって記念すべき1日がやってきます。9月17日──より多くの人たちが、最上級の『ニーア』音楽を、心ゆくまで楽しめる1日となりますように!!
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