2018年9月20日(木)
日本ファルコムが贈る人気RPG『軌跡』シリーズの最新作にして集大成、『英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-』の発売がいよいよ1週間後に迫ってきました。今回は、来たる9月27日に向けて本作の見どころを語るべく、電撃PSのライターたちによるクロスレビューを掲載!
佐藤Z:
のんびりまったりを信条とするベテランライター。暑さと寒さと満員電車と行列とラーメンに弱い。
『軌跡』シリーズはすべてクリアしている私から見ますと、『閃IV』は本当にヤバいです! だって序章の時点ですでに感激のあまり、ちょっと涙が出ましたし。詳しくは書きませんが、過去の作品でも“そうきたか!”というシチュエーションはありましたけど、本作では役者が違うというか……。
もう最初から出し惜しみなしのクライマックスといった感じで、そのシチュエーションに酔うあまり、導入部分の状況設定がぶっ飛んだくらいです。その流れのなかで、これまでの状況、現在の状況、そしてこれからどうなっていくのか?
ということが無理なく説明され、なおかつ基本操作とかAT(アクションタイム)バトルをはじめとしたシステムのチュートリアルも入ったりして、そのへんの作りは手慣れている感じで見事ですね。知らず知らずのうちに、プレイの予備知識と戦い方が頭に入っている感じでした。今回の物語には、過去作で活躍したキャラクターがたくさん登場しますので、まだ数十時間しかプレイできていませんが、ファン(私)にとっては至福の時間が過ごせています。しかし、やはり物語の予備知識と同時にキャラクターについての予備知識がないと、どうしても“状況移入度”が浅くなってしまいそう。
初めてプレイする人のために、これまでのあらすじが読めたり、人物ノートでキャラクターについて情報が閲覧できたりと、細やかな配慮がゲーム内でされています。ですが、やはり『閃』シリーズを1作目からプレイしていたほうが、状況もよりわかりやすくなるのは確か。もっと状況移入度を深めたいなら、『軌跡』シリーズの原点である『空』シリーズからプレイしたほうが……。それくらい本作の物語には、深堀りのネタや伏線がゴロゴロ出てくるんです! とはいえ、一見様お断りな感じになっていない絶妙なさじ加減は、さすがのひとことですね。
戦闘システムでは、“オートモード”が実装されたことで、すこぶる快適にプレイできました。
このモードは、戦闘中にタッチパッドボタンを押すことでいつでも“オン/オフ”が切り替えられ、オンにするとパーティキャラが高速で通常攻撃を自動的に実行します。これが、もう早いのなんのって! 崩しが発生したときには“追撃”も実行してくれるので、BP(戦闘中に、味方パーティを有利な状態にできる“ブレイブオーダー”を使うために必要なポイント)もどんどんたまります。
ただ、油断するとATボーナス(行動の順番によりランダムで付く特殊効果)で即死を食らったり、敵のアーツで全滅しかかることもあるので、いつでも手放しで勝てるわけではありません。慣れないうちは、敵との実力差が大きいとき、敵集団があと1体になったときなど、状況を見ながら利用するのがよさそうです。まだ発売前ですので詳細は明かせませんが、現段階の手ごたえとしては大満足ですね。どんな結末を迎えるのか、私自身も楽しみです!
Ak:
狩りゲーを中心に、アクション全般を好む。ゲーム性だけでなく、物語や世界観も重視します。
本作は、『閃I』から続く『閃の軌跡』シリーズの最終章。『空の軌跡』から始まる『軌跡』シリーズの、ひと区切りとなる集大成的な物語となっています。今までのシリーズ作品のあらすじを閲覧できるモードはあるものの、前作のラストから物語が直接続いていることもあり、個人的には『閃III』をプレイすることを強く推したいです。物語がよりわかりやすくなることはもちろんですが、そのほうがキャラクターへの感情移入度もグンと高まるかと思います。
前作までのさまざまな謎が、じつは1つの事実に収束していくという物語の流れはシンプルかつ王道で、理解しやすく気持ちよかったですね。『閃』シリーズから入った自分としては、たくさんの組織やキャラクターが登場し、途中で《結社》と《地精》を混同してしまったりもしましたが、シナリオをラストまで進めれば登場人物たちの目的や関係性がしっかりと理解できました。ちなみにゲームクリアまでのボリュームは、やり込み要素を含めずに80時間以上はあるかと思います。
物語の軸となるのはリィンを始めとする《VII組》などのキャラクターですが、今まで出番の少なかった人物たちもボスや一時的な味方として参戦することがあるなど、しっかりスポットが当たっているのはシリーズファンにはうれしいところ。新《VII組》メンバーも、新衣装でより個性が出たように感じます!
ATバトルを始めとする各システムは、基本的には『閃III』を踏襲していますが、バランスは細かく修正されています。体感的には、ブレイクよりもアーツ(いわゆる魔法)の重要性が増しているように感じました。オートアタックの実装など、遊びやすさを重視した改良点も親切。やり込み要素では、新しいミニゲームの落ちモノパズルの“ポムっと!”は、シンプルながらも不思議な中毒性がありますね。あと“ヴァンテージマスターズ”もカードが増えて、よりやりごたえが増していました。
前作と比べてシステム的にも遊びやすくなっているほか、シナリオの明快さのおかげでシリーズ初心者にも敷居が低くなっている印象。固有名詞や登場キャラクターの多さから『軌跡』シリーズを敬遠していた人も、この機に『閃の軌跡』シリーズデビューしてみるのもいいかと思います。
ケンジ:
アクション系など、動かして爽快なゲームが好み。物語や世界観、キャラクター性なども重視します。
本作は『閃の軌跡』シリーズの4作目にあたり、前作からの続きとなっているため、はたして『軌跡』シリーズをいっさい触れたことがない私がプレイして楽しめるのか、若干の不安がありました。しかし、本作には『閃の軌跡』シリーズのあらすじや登場人物、世界観や用語の解説を詳しく見られるモードがあるので、これを見たうえでプレイすれば、ちゃんと物語を楽しむことが可能です。
ただし、これはあくまで物語の大筋がわかり、各キャラクターの背景がわかる程度。本作に登場するキャラクターには、当然ながら前作までに培われてきた物語や人間関係を前提としたドラマがありますので、魅力的なキャラクターのドラマのすべてを初見では理解しづらいことは、もったいなく感じました。なので、本作単品でもある程度楽しめますが、本作を気に入ったなら、やっぱりこれまでのシリーズも遊んでおくことをオススメします。
本作のバトルについてですが、クラフトで大量の敵を巻き込みつつ、リンクアタックと合わせて一気に大ダメージを与えるのが快感。また、味方全員に効果を発揮する“ブレイブオーダー”や、“クオーツ”というアイテムを使ったキャラクターカスタマイズ要素、ブレイクゲージをけずり、敵を弱らせてからのSクラフトによる一斉攻撃など、工夫できる要素がふんだんに盛り込まれているため、強敵に挑みがいがあります。
そのぶんバトルの難度は高めですが、敗北時に“難易度を下げてリトライ”といって、敵の強さを変えることもできるため、心が折れることなく遊べました。私がバトルの中で一番好きなのは“騎神”戦。敵を追い詰めたと思ったら、巨大人型兵器同士のバトルに発展という流れが特撮ヒーロー番組みたいで熱いですし、巨大人型兵器が力いっぱいぶん殴る演出も最高です。
そのほか、カードゲームやパズル、ギャンブルなどの豊富なミニゲームといったやり込み要素、そしてとても良質なBGMなどがあり、RPGとして非常に完成度の高い作品となっています。
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