2018年9月23日(日)
カプコンから2019年3月8日に発売されるPS4/Xbox One/PC(Steam)用ソフト『デビル メイ クライ 5(以下、DMC5)』。本作の開発者インタビューを掲載します。
本作はカプコンが贈るスタイリッシュアクションゲーム『デビル メイ クライ』シリーズの最新作。『デビル メイ クライ 4』から数年後の世界を舞台に、悪魔退治を生業とする青年ネロたちの活躍が描かれます。
伊津野英昭ディレクター、岡部眞輝プロデューサーとマシュー・ウォーカープロデューサーに、ダンテのアクションや新システムについて質問。現在の評判などについてもお聞きしているので、発売を楽しみにしているファンはチェックしてください。
なお、インタビュー中は敬称略。
――“gamescom(ゲームズコム) 2018”で初めてユーザーが試遊した『DMC5』ですが、反応はいかがでしたか?
伊津野:不安もあったのですが、全体的にポジティブな反応をいただけて安心しました。特に新システムの“デビルブレイカー”は、賛否両論あるかと思いましたので。グラフィックについては自信があったので「カッコいい!」と言っていただき、素直にうれしかったです。
――グラフィックは前作『4』から大きく進化していると感じました。
岡部:パッと見て進化がわかるようにするのが大変でした(笑)。
伊津野:まずはシリーズ作品を並べた時に一目で違いがわかることを目指しました。グラフィックの方向性を変えつつ、カメラを工夫するといった試行錯誤を繰り返しました。
――プレイアブルでの登場が発表されたダンテですが、どのような形で参戦するのでしょうか?
伊津野:物語には冒頭からかかわってきます。どこからプレイヤーが操作できるかはお楽しみですね。本作は基本的にミッションごとに操作できるキャラが決まっていますが、ステージの中には操作キャラを自由に選べる場所もあります。
――本作のダンテはどのような目的で行動しているのでしょうか?
伊津野:世界に起きた事件を解決するため、謎の男がダンテに仕事を依頼してきたのが発端です。この依頼人こそが、3人目のプレイヤーキャラである“V(ブイ)”なんですね。時系列的には、V、ダンテ、ネロの順番で事件にかかわっていきます。
――ダンテといえば一緒に行動しているトリッシュやレディが気になります。彼女たちは登場しますか?
伊津野:します! ここでは詳細を言えないのですが、しっかり登場するのでご安心ください。
――本作におけるダンテのアクションの特徴について教えてください。
伊津野:基本的には前作『4』のアクションがベースになっています。今回も、多数の武器とスタイルを切り変えながら戦う感じですね。あと、本作から装備する武器の数を選べるようになったので、プレイヤーのスタイルにあわせて調整が可能です。
例えば僕の場合は、好きな銃と剣を2個ずつ装備することが多いです。2個であれば切り替え時に混乱しにくいので。もちろん、すべての武器を装備することも可能ですよ。
――スキルは各武器ごとに習得するのでしょうか?
伊津野:武器のスキルと、スタイルのスキルがあります。武器もスタイルも成長させていくことで、新たなスキルを覚えていきます。
――ネロとダンテのアクションの違いについて教えてください。
伊津野:ダンテとネロには明確な差をつけて、互いのアクションが被らないように気を付けています。装備武器が少ないですが、使い方と使う場所によって効果が変わるネロ。あらゆる状況で、複数の武器とスタイルを使い分けられるダンテ。ダンテの方が自由度は高いですが、使いこなすのは難しいという位置づけですね。
――ダンテの新武器“キャバリエーレ”はどのような武器になっているのでしょうか。
伊津野:開発当初からダンテの武器を考える時のテーマは“持っていることに憧れるモノ”なんですね。バイクといえば不良少年の憧れじゃないですか! 乗れる乗れないは別として、とにかくカッコいい!
だから『2』から候補に上がり続けていたのですが、ゲームとして成立させるのが大変で……。カットシーンまでは制作するのですが、武器として実装するにはいたりませんでした。そのため今回は武器として採用できたので、うれしいです。ここまで長かったです(苦笑)。
マシュー:キャバリエーレはバイク型という見た目もそうですが、戦い方もすごく新鮮です。イメージ的にはチェーンソーや電動草刈り機に近いと思います。敵に攻撃を当てた時のガリガリと削る音が非常に気持ちいいんですよ!
タイミングよく追加入力すると技を繰り出せる仕組みなので、使っていただけるといろいろな部分で新鮮さを感じられると思います。
――キャバリエーレのアイデアはどこから生まれたのですか?
伊津野:カッコよさにこだわる開発スタッフがいまして、その人のアイデアです。社内で武器のアイデアを募集した時、両手に分割したバイクの前輪と後輪を持ったシルエットを見せられて、即決しました(笑)。ちなみに、没になったアイデアにはフィギュアスケートなどがありました。
――もう1つの新武器・バルログについて教えてください。
伊津野:パンチとキックの武器を両方入れたいけど、武器の数はそこまで増やせない。そのため、思い切って2つのスタイルを切り替えられる武器にしました。使いこなすのは難しいのですが、カプコンタイトルの歴史の中でも最高にカッコイイ技を出していると思います。パンチのスタイルでは『ストリートファイター』シリーズのボクサーに負けないぐらいのアクションを作るのが目標でした(笑)。
さらに、バルログという名前も気に入っています。ゲーム中では描かれていないのですが、これはかつてダンテがバルログという炎の悪魔を倒して、手に入れた武器です。ちなみに、バルログの名前の由来は“とあるシリーズ”のボクサーの海外の呼び名から来ています(笑)。
――開発陣が特に注目してほしいダンテのアクションは?
岡部:僕はバルログのアクションが一番のお気に入りです。開発陣がバルログを使って戦うプレイを見たのですが、相手の攻撃をダッキングで回避してカウンターを決めた場面があったんですよね。あまりのカッコよさに感動して「このゲームは、売れる!」と思いました(笑)。
伊津野:ダンテのバルログは、開発中で一番最初に実装された武器になります。そのため、最初のボスと戦うプレイが多く見られたのです。巨大なボスの攻撃をかいくぐりながら、拳を撃ち込む姿は本当にカッコいいです。
――デビルトリガーの仕様はこれまでと同じでしょうか?
伊津野:基本的には同じですが、これまでよりゲージが溜まりやすくなっています。本作は回復アイテムがないので、難易度によってはデビルトリガーの回復効果がかなり重要になっています。ピンチになったらガンガン使ってください!
デビルトリガーは造形にもこだわっているので、どこでゲーム画面を止めてもカッコいいかと。変身中の動作は、ものすごい細かいところまで作り込んでいます。
――作り込みといえば、ステージの作りこみもすごいと感じました。
伊津野:そうですね。今までのハードだとロードが必要になるような場面でも、マシンの進化のおかげでスムーズになり、うまく表現できました。ステージの構造がダイナミックかつ美しくなっているので、そのあたりにも注目していただければと。もちろん、派手なギミックも用意してあります。
ちなみに、東京ゲームショウで体験できたネロのミッションのボス・ゴリアテですが、実は登場する塔の上にステージ最初から立っています。そのため、遠くから見てもちゃんと確認できるんですね。
――それは驚きです。世界観や演出から、『ディーエムシー デビルメイクライ』の影響を感じましたが、意識していることはありますか?
伊津野:うちのメンバーに言わせると「『ディーエムシー デビルメイクライ』に負けたくない!」ということです。シリーズの1つではありますが、我々『DMC5』チームにするともっとも身近にいるライバルでもあります。そのために、かなり意識して作り込んでいると思います。
さらに戦闘の雰囲気も『ディーエムシー デビルメイクライ』に負けないように、トコトンこだわっています。ステージの封印の見え方などは、3回ぐらい作り直していますから。
(一同笑)
――オートマチックアシストモードについて教えてください。
伊津野:名前は異なりますが、実はオートマチックアシストモードと同じ機能は、第1作『デビル メイ クライ』から搭載されていました。今回は、戦闘中にいつでも切り替えられるようになっています。コンセプトは昔から変わりなく、“マニュアルモードへの足掛かり”となるような作りを目指しています。
オートマチックアシストモード中でもコマンド入力が優先されるので、コンボの最中でもある程度は自由に操作できます。慣れてきたら、少しづつマニュアルに移行してもらればなと。
岡部:オートマチックアシストモードは、自動でさまざまな攻撃を繰り出すので、コンボのつなぎを勉強することにも役立つと思います。ただ、回避行動と“デビルブレイカー”のブレイクエイジなどの消費技はオートで出ないようになっています。開発中は回避がオートの時もあったのですが、ちょっと強すぎたのでオミットされました。
――行き先を示してくれる機能を採用した理由は?
伊津野:これは個人的には恥ずかしい機能だと思っているんですよ。ゲームデザインをする立場からすると、これを使われるのは基本的には“負け”かなと。本当はマップ構成で迷わせずに、誰もがゴールできる作りにしたいとは思っているのです。
それでもダメだった時にどうするのかを考えた時に生まれたのが、マップの行き先を示す機能です。残念ながら迷ってしまったら、ぜひ活用してください。
――今作は日本語ボイスが追加されましたが、英語と日本語はいつでも切り替えられるのでしょうか?
伊津野:これはロードの関係もあるので、タイトル画面から切り替えることになります。お好みのボイスを選択してください! ナンバリング新作としては初めての日本語収録なので、皆さんの反応が今から楽しみです。
――最後に意気込み、メッセージをお願いします。
マシュー:開発チームの皆が4年間頑張って、ようやく期待の作品を出せたことが、すごくうれしいです。ユーザーの皆さんが楽しめるような作品に仕上げていきますので、喜んでいただければ何よりですね。
岡部:gamescomで試遊してくれた皆さんの笑顔を見て、本当にいいゲームが作れたのでないかと思っています!
伊津野:日本でのプレイアブル出展をお待たせしてしまい、本当にごめんなさい! いい作品に仕上がっているので、ぜひお楽しみに。
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