2018年9月22日(土)
『N1RV Ann-A(ニルヴァーナ)』では前作『VA-11 Hall-A』で描けなかった部分を見せたい【TGS2018】
9月20日~23日に千葉・幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2018において、インディーゲームコーナーに出展されているアドベンチャーゲーム『N1RV Ann-A(ニルヴァーナ)』。本作の開発者へのインタビューを掲載する。
『N1RV Ann-A』はベネズエラのSukeban Gamesが手がけたサイバーパンクバーテンダーADV『VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)』の続編。人工島セント・アリシアを舞台に、バーテンダーのサムやヤクザのレオンといった新たな登場人物たちの物語が描かれる。
今回、開発を手掛けるSukeban GamesのFernando Damasさんへのインタビューを行った。前作の反響や発表の流れ、本作での新要素やポイントを語っていただいた。
――前作『VA-11 Hall-A』が日本国内でも非常に高い評価を受けて、人気を博しました。こちらについてはどのようにお考えですか?
我々は日本のコンテンツを見て育ち、日本の文化が好きでした。『VA-11 Hall-A』を作ったことで、興味を持っていた日本人がゲームを遊んでくれて我々に興味を持ってくれた。現実ではなく、嘘のような感じです。
――日本のコンテンツで特に何がお好きですか?
魔法少女ものや特撮、ロボットアニメですね。タイトルをいくつかあげるならば『プリキュア』、『仮面ライダー』、『ゲッターロボ』になります。
――東京ゲームショウにあわせて、しかも日本国内で発表会を行われた意図は?
8月末にあったゲーム展示会“ペニー・アーケード・エキスポ(PAX)”にあわせることを計画していたのですが、間に合いませんでした。
我々にとって日本は特別な場所です。日本のユーザーから受けたサポートはとても大きかったので、それへの恩返しとして日本で発表するのはおもしろいと考えて、そこにあわせて発表しようと切り替えました。そこでPLAYISMにご協力いただき、イベントを行い、TGSで日本語バージョンを出展しました。間に合ってよかったです。
――『VA-11 Hall-A』と『N1RV Ann-A』というタイトルの由来を教えてください。
『VA-11 Hall-A』は、コミック『バーテンダー』のバーの名前“イーデンホール”に影響を受けました。似たような名前を考えて、チーム内で話し合った結果、“ヴァルハラ”という言葉が方向性が似ているし、心地いいと感じました。その“ヴァルハラ”に技術的なバックグランドを加えて、“VA-11地区のHall-A(ホールエー)”としました。
それと同じ流れで、前作で高級地区の名前を“N1RV”として用意しておきました。当時冗談交じりに「続編は『N1RV Ann-A』にしようか」と話していたんですね。実際に続編を作ることになり名前を考えた時に「ああ、もう名前はあるじゃん」ということですんなり決まりました。
――『VA-11 Hall-A』でコラボバーを行い、フェルナンドさんも来店されたとお聞きました。まだ気の早い話ですが、本作でもコラボを実施するとしたら、またいらっしゃいますか?
もちろん、ぜひ行きたいです(笑)。もしまた行われるとしたら、我々からもアイデアを出してよりいいものにしたいです!
――『N1RV Ann-A』で表現したいことはなんでしょう?
本作の構想を考えついたのは、そこまで憧れていた日本に来た時のことに関係します。母国ベネズエラと大きく違い、楽しいものが多いし安全だし……日本は楽園のような国でした。でも実際にはいろいろな出来事が起きていますし、ニュースなどではさまざまな事件が流れています。
一見、楽園のように見える場所でも裏では大変なことが起きていると感じました。そこで、金持ちばかりがいる観光地だけど、財閥が街を作り出しているために、マフィアが暗躍していたり、黒い金が動いていたりする舞台を描きたいと考えたのです。
――『VA-11 Hall-A』から変えているところはどこになりますか? 例えばユーザーの意見を反映したところは?
意見をフィードバックしたわけではないのですが、カクテルの部分です。『VA-11 Hall-A』ではレシピ通りに作らないと失敗作になっていたのですが、本作ではどんな素材でも入れられて、それを出すことが可能。ユーザーがプレイしているのを見て、「もしかして遊んでいる人はもっと自由に出すことを望んでいるのでは?」と思い、本作で用意しました。
――『VA-11 Hall-A』でその要素を入れていなかったのは理由があるのでしょうか?
まずは技術的な理由で入れることができませんでした。『VA-11 Hall-A』は1作目だったので、正解がわからず、試行錯誤の状況でタイトルを出しました。『N1RV Ann-A』でできたのは、技術的に成熟したためです。
あとはユーザーがどのような反応を示すかがわかったうえに、自分たちのやりたいこともわかってきたので、実装しました。
――前作でもヒューマンドラマが描かれていました。本作では、それがより深くなっているように思えたのですが、意識していますか?
そうですね。ヒューマンドラマや人間同士の会話、関係性については、我々が模索し続けているポイントとなります。『VA-11 Hall-A』でも行っていたのですが、その経験を踏まえて今回どのようなことができるのか、考えながら開発を続けています。
――サムは店の中で“ある言葉”の発言を禁止しているようですが、そのルールをやぶったらどうなるのでしょうか?
あれはサムのルールというか、考え方に近いです。サムはバーについて、クラシックな場所でハイソなものにしたいと考えています。英語版では汚い言葉を使う人に「このバーではそういう単語を禁止しているから、気を付けて」と注意するのですが、日本ではそういう文化がないため、今回のバージョンでは少しネガティブなワードを言っているような翻訳にしています。
ただ、あくまでサムの個人的な願いで、特にルールに反したから罰するというわけではなく、注文した客から金をもらえればカクテルを提供します。
――『N1RV Ann-A』世界初となる実機プレイですが、遊ばれているのをご覧になられていかがでしょうか?
『VA-11 Hall-A』やSukeban Gamesを知らない人が多く来ています。動き回れるゲームが多い中、本作はアドベンチャーゲームということで目立つようです。そこから遊んでいる人が多くいると感じました。
ファンの方はとても興奮して遊んでいます! 前日グローバルアナウンスをした際には、日本のユーザーも「『VA-11 Hall-A』の続編が出るのか!」と驚かれていたようです。さらにTGSで遊べるということで、ダブルでショックを受けているのではないでしょうか。
――すでにかなり話題となっていますが、特に注目してほしいところは?
▲画面は英語版のもの。 |
開発経緯で話したことにも関係するのですが、『N1RV Ann-A』で見せたいのは『VA-11 Hall-A』の反対側となります。世界観は共通しているので、サイバーパンクの作品で近未来の世界です。ただ、『VA-11 Hall-A』では低所得の人や裏家業の人などばかりが描かれました。前作のバーテンダー・ジルもある意味でそれに近かったわけです。
『VA-11 Hall-A』を含めてサイバーパンクの作品は主人公を中心とした物語で、周りの人についてあまり語られないことが多い。そこで他の人を見せたいと考えました。オープニングでも見られるのですが、“N1RV Ann-A”という店には“ありとあらゆる人”が訪れます。前作では語れなかったようなお金持ちや普通の人が登場するので、彼らにフォーカスをあてていきたいです。
バーはさまざまな人が集まり、周りの文化や世界などを語れる日常的な場所……それが普通で、そういう普通の生活がここにあることを表現したいです。
――完成を楽しみにしています。ありがとうございました。
■東京ゲームショウ2018 開催概要
【開催期間】
ビジネスデイ……9月20日~21日 各日10:00~17:00
一般公開日……9月22日~23日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料
※画面はすべて開発中のものです。
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(C)2018 Active Gaming Media Inc.
データ
- ▼『N1RV Ann-A(ニルヴァーナ)』
- ■メーカー:PLAYISM
- ■対応機種:PS4
- ■ジャンル:ADV
- ■発売日:2020年
- ■価格:未定
- ▼『N1RV Ann-A(ニルヴァーナ)』
- ■メーカー:PLAYISM
- ■対応機種:Nintendo Switch
- ■ジャンル:ADV
- ■発売日:2020年
- ■価格:未定
- ▼『N1RV Ann-A(ニルヴァーナ)』
- ■メーカー:PLAYISM
- ■対応機種:PC
- ■ジャンル:ADV
- ■発売日:2020年
- ■価格:未定