2018年9月22日(土)
『TRIGUN』『血界戦線』の内藤泰弘氏が語る、『GUNGRAVE GORE』が目指すもの【電撃PS】
TGS 2018では、PS4専用ソフト『GUNGRAVE GORE(以下、GORE)』の制作を手がけるIGGYMOB社によるメディア向けセッションが実施された。プランニングデザイナーのDJ HEO氏をはじめとした開発陣によるプレゼンテーションで、本作のコンセプトや概要、登場人物の一部などが初めて公開された形となる。
また、『GUNGRAVE』シリーズの企画原案・キャラクターデザインを手がけた漫画家・内藤泰弘氏も登壇し、イメージディレクターとして参加する本作への意気込みなどを語った。ここでは、メディアセッションの内容をお伝えするとともに、後半では内藤氏のコメント全文を掲載。ぜひ最後まで見てほしい。
『GUNGRAVE』シリーズは、レッド・エンタテインメントが発売した“フルブレイクガンアクション”タイトル。文字通り、敵だけでなく机やコンテナ、ときにはトイレの便器といった多彩なオブジェクトを破壊できるスタイリッシュかつブッ飛んだガンアクションに加え、内藤氏らしい、イイ意味で“突き抜けた”狂騒が魅力の作品だ。内藤氏がデザインしたダーク&ハードボイルドな世界観やストーリーはもちろんのこと、イベントシーンのクールな映像表現の面でも多くのファンを生み出した。
2002年に第1作、2004年に第2作がPS2専用ソフトとして発売され、以降は長らく沈黙を保っていた『GUNGRAVE』シリーズ。しかし、昨年IGGYMOBが開発したPS VR専用ソフト『GUNGRAVE VR』が発売。そして今回、それに続く形で『GORE』の開発が進められている。ちなみに、2003年~2004年にかけてはアニメも放映され、こちらは『GUNGRAVE』の登場人物の過去を独自の視点で描いた作品だった。
ついに公開されたキャラクターイメージ
ビヨンド・ザ・グレイヴ
シリーズの主人公。死者をよみがえらせ無敵の兵士とする“ネクロライズ計画”により、死人と化した男。施術によって感情が薄れていることもあり非常に無口だが、芯には熱いものを秘める。とある理由により、浅葱ミカを守るために行動している。彼女に危機が迫れば、愛銃ケルベロスと多彩な武器が内蔵された棺桶を使い、圧倒的な火力と不死身の肉体をもって並み居る敵をなぎ倒す。
浅葱ミカ
シリーズのヒロイン。『GUNGRAVE O.D.』にて、人間を怪物“オーグマン”化させる薬物を注射されるも、抵抗薬により半オーグマン状態で生還。本作では、シードを撲滅するために活動している。
九頭文治
グレイヴとはなにかと因縁のある仲で、たびたび死闘を繰り広げている。戦うたびにグレイヴに殺されているが、さまざまな理由によって復活。本作でも、特別な存在の手によって死の淵からよみがえり、グレイヴとかかわりを持つようだ。
より楽しく、より快適に進化した“トランスフォームフルブレイクガンアクション”!
『GUNGRAVE』シリーズといえば、あらゆるものをガンガン破壊できる爽快感が特徴の1つ。本作では、『GORE』ではその概念をさらに拡張した"トランスフォームフルブレイクガンアクション"を採用。例えば、プレイヤーが1階にいる状態で天井から攻撃されるシーンでは、天井を破壊して敵を1階まで落とすといった戦い方も可能になっているとのこと。
また、アクションを構成するうえで重要視したのが、主人公であるビヨンド・ザ・グレイヴの愛銃であるケルベロスの使用感。開発陣は、“多くのアクションゲームにおいて、銃はサブ武器という役割を持たされることが多く、『GUNGRAVE』シリーズでも銃の役割が限定されている”と感じたという。
そこで、今作ではケルベロスの機能を拡張し、決闘武術のような近接攻撃と、武装攻撃のような遠距離攻撃をケルベロス1つで行えるように設計。さまざまなテンポで行動可能な"トランスフォームアクション"を作り出したとのこと。
また、“リッパータイム”というオリジナル要素も用意している。加えて、グレイヴの武器の1つである棺桶の使い方も改め、マップを使った攻撃に使用することなどを考えているそうだ。
ちなみに、内藤氏が開発に参加する直前、IGGYMOB社から「こんな感じでいこうと思うのですが、どうでしょうか?」という形でアクションを見せてもらう機会があったという。
それを振り返った内藤氏は、「その時点で、すでに相当“ツボ”を心得た動きをしていました。“ただ右左の銃を切り替えるだけでそんな動きしなくていいのに(笑)”みたいなカッコイイ動きを自然に入れているので、期待していただいていいと思います(笑)。」と語っていた。
ちなみに、過去シリーズで人気だった"見栄ポーズシステム"も継承しており、もう少し進化させたいとのこと。
さらに、アクションをより楽しくするために、バトルフィールドを“ステージクリア型”ではなく、実際の地域をもとにした“ハーフ・オープンワールド型”を採用。なので、多用なシーンでの戦闘ができ、船の上を飛び交いながらのバトルも体験できるそうだ。ただし、ハーフ・オープンワールドはあくまでも自由なバトルを表現するためのものなので、探索要素は用意されていないとのこと。
過去シリーズの世界観を継承し、“シード”撲滅の戦いを描く
『GUNGRAVE』シリーズでは、人体をオーグマン化させる麻薬“シード”を巡る戦いが描かれている。本作では、そのシードの開発元を破壊する物語が展開。基本的には、プレイヤー側が所属するシード撲滅を掲げる組織“エル・アルカンヘル”と、シードを全世界に広めようとする組織"レイヴン・クラン"が対立。その争いを取り巻くドラマが描かれる。なお、レイヴン・クランは、『GUNGRAVE O.D.』に登場したリチャード・ウォンが束ねていた組織・牙頭から離脱したメンバーが設立した設定だ。
本作は、香港、ベトナム、カンボジア、マレーシア、シンガポールなどの東南アジアが舞台で、こういった見慣れた地域もあれば、海上に浮上した謎の島などの見慣れない地域も存在しているとか。東南アジアを舞台に選んだ理由は、「過去シリーズのノワールなイメージを活かせる点、また謎の島との兼ね合いもあり、この地域がマッチングすると考えたため」だという。
さらに、本作のムービー等は、『アサシンクリード オリジンズ』『Destiny 2』『FINAL FANTASY XV』などの映像を手がけたDIGIC Picturesが担当。その創始者であるアレックス・サンドール・ラブ氏からのビデオメッセージも公開された。さらに、TGS2018直前にはティザートレーラーも発表され、そちらでもクールなグレイヴの姿を見ることができる。
本作のリリース時期は、すでに発表されているとおり“2019年冬”。今冬中にはさらなる情報が公開予定だ。
『GUNGRAVE』の生みの親である内藤泰弘氏が語る"『GORE』にかける想い"
以前に、PS2専用ソフト『GUNGRAVE』『GUNGRAVE O.D.』の企画を立ち上げて、制作に携わっておりました。今回の『GORE』は、その続編ということになります。
『GUNGRAVE』というタイトルは、僕が“今の僕が無茶だと思うようなことをまだ無茶だとは思わなかった頃”に、マンガ連載の傍ら、さまざまな人の手を借りて形にしたものです。“嵐のような銃撃戦をゲームの中で体感したい”……その気持ちの一点突破を目的にして作られているので、画面にあるありとあらゆるものを破壊できるという、かなり荒削りな作品になりました。
ですが、荒削りだからこそ、“ほかのゲームにはないもの”が宿ったゲームになったかなと思っています。ただ、当時の限られた環境や自分自身の至らなさもあり、抱いていた大きな理想に届かなかった部分も多少ありました。そういった意味では、ちょっと悔しい思いも残っている作品です。
今回、IGGYMOBさんから『GUNGRAVE』シリーズの新作についてご提案いただいたのですが、僕はまず「なぜ、この2018年に『GUNGRAVE』をやるの!?」と驚きました。おそらくみなさんも同じ感想を抱いたと思いますが、恐らく僕はその感想を抱いた最初の日本人でしょう(笑)。
「本当に無茶なことをする会社だなぁ」「自分たちの大切な人生、大切な時間をかけるにしても、もうちょっと勝算のある戦いがあるんじゃないか」と思いもましたね。ですが、IGGYMOBさんの情熱と真摯さというのは大変なもので、『GUNGRAVE』というタイトルをものすごく大事にしながらリブートを実現しようとしてくださっています。
僕はその熱量と姿勢に説得されて、『GORE』の制作に携わらせていただくことになりました。僕はイメージディレクターというフワッとした役職になっていますが、概ね全体の要素にかかわって意見を出している状態です。とくに、今はシステム周りにかかわっています。
僕は、『GUNGRAVE』の制作時に、“ゲームをおもしろく作ることが、いかに至難の業であるか”を痛感しました。それ以来、ずっとおもしろいゲームを作る人を本当に尊敬しています。
それから、そもそも“ゲームとはなんだろうか”“自分が感動してきたゲームのおもしろさの本質はなんだろうか”“『GUNGRAVE』というコンセプトをよりよいものにするには、なにが必要だったんだろうか”といったことを、ずっと考え続けていました。その思いがついに出口を得て、今はIGGYMOBさんとのディスカッションでぶつけている状態です。
IGGYMOBさんの開発力は最新かつかなり高いと感じていて、最終的にどいった仕様になるのかはIGGYMOBさんの選択を重視したいと思っています。というのも、IGGYMOBさんと僕は大きなところから小さなネタまで、打ち合わせ前からシンクロしている部分が多く、とても驚かされたんです。
『GUNGRAVE』制作当時、自分が“こういうものを作りたい”と活動していたゴリゴリッとした芯の部分が、ゲームをとおしてみなさんに伝わっていたのかなと感じました。
当時の僕や仲間たちが届かなかったところ、そして明らかにその向こう側へ、『GUNGRAVE』シリーズは到達しようとしています。少なくとも、今IGGYMOBさんが描かれている航路はそういう姿をしています。
当時からのファンのみなさんや、これから出会う・プレイしてくださるユーザーのみなさんにお伝えしたいのは、“とにかくいろいろ壊しながら、カッコよく戦うゲーム”です。その『GUNGRAVE』のらしさは、徹頭徹尾変わりません。その部分は、出来上たったものを見てもらえれば伝わると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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