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2018年9月27日(木)

『あかねさす少女』日常系のアニメにイトケンのバトル曲が合うのか!? 伊藤賢治とRyu☆の作曲家対談を掲載

文:電撃オンライン

 アニメ&ゲームで展開する『あかねさす少女』。本作の曲をてがける2人へのインタビュー記事をお届けする。

 『あかねさす少女』は、アニマックス開局20周年記念作品として、TVアニメとゲームで展開する。シナリオ原案を打越鋼太郎さんが、キャラクター原案を桂正和さんが担当するなど、豪華スタッフの起用が話題となっている。

『あかねさす少女』

 メインテーマ楽曲『あかねさす少女』の作曲を担当した伊藤賢治さんと、音楽プロデュースを手がけるRyu☆さんへのインタビューを掲載。本作の曲を作る際に意識していることや、音楽への考え方などをお聞きした。

『電影少女』と『ロマサガ2』には意外なつながりが……

――お2人はともにゲーム業界の第一線で活躍するクリエイターですが、以前から面識があったのでしょうか?

Ryu☆:作曲家の集まる飲み会でお会いしたことはありましたが、こうしてお仕事でご一緒するのは初めてです。幼いころから伊藤さんのゲームに触れて育ってきたため、こうして仕事ができることが夢のようです。

伊藤:他にももっといいことはたくさんあると思いますよ(苦笑)。

――伊藤さんは、ゲームボーイやスーパーファミコンでご自身の作品を楽しんでいた世代と一緒に仕事をすることについて、どう感じられますか?

伊藤:実は最近、30代半ばのクリエイターさんと組んで仕事をすることがすごく増えているのですが、自分にとってはとてもうれしいことです。リスペクトしてくださることはありがたいですし、とても仕事の刺激になります。

――伊藤さんは90年代から活動されていますが、当時の環境や心境はいかがでしたか?

伊藤:とにかくがむしゃらでしたね、当時は。ゲームハードの過渡期で移り変わりが激しかったですが、そのたびに自分自身をリニューアルするつもりでやっていました。積み重ねた財産が通用しなくなるので、個性やオリジナリティを必死に磨きました。

Ryu☆:自分たちの世代のクリエイターは、メロディからアレンジまで確実に伊藤さんの影響を受けていると思います。

伊藤:わたしもRyu☆さんの活躍は知っていたので、今回のプロジェクトが我々2人をどう料理してくれるのか楽しみでした。

――『あかねさす少女』の設定やイラストを見た時の印象を教えて下さい。

『あかねさす少女』 『あかねさす少女』

Ryu☆:「桂正和さんだ!」って思いました(笑)。

伊藤:私も!(笑)

Ryu☆:桂さんの作品は『ウイングマン』ではなく『電影少女』から入ったのですが、とても好きなんです。

伊藤:私も最初に読んだのは『電影少女』でした。主人公とヒロインの悲しい別れのシーンをコミックで読みながら『ロマンシング サ・ガ2』の悲しい曲を作ったりしていました。

――『電影少女』と『ロマサガ2』にそんなつながりがあったとは……。ちなみに『電影少女』ではどの女の子が好きでしたか?

伊藤:自分はもえみちゃんでした(笑)。

Ryu☆:私の場合は誰が好きだったというよりも、作品自体のエッチな雰囲気のほうが印象的です(笑)。また、桂さんだけでなく、浅田弘幸さんの『テガミバチ』もファンなので、かかわられていることを知った時は震えました!

『あかねさす少女』

2人の曲の作り方とは!?

――他に設定で気になった部分はありますか?

『あかねさす少女』

Ryu☆:ストーリーがジェットコースターのように進んでいくことと、パラレルワールドを舞台にしているので事実上の登場人物がとても多いことに驚きました。

伊藤:相反した世界が舞台なので、最初は作る曲もそういうイメージを膨らませていたのですが、求められたのは“イトケン節”でした(笑)。

Ryu☆:監督とも「イトケン節がいいんです!」という意見で一致しました。

――Ryu☆さんの考える“イトケン節”とはどういったものなのでしょうか?

Ryu☆:私はやはりキャッチーなメロディじゃないかと思います。あそこまで攻めてくるメロディはいちど聞いたら耳を離れません。

――その部分については監督との間で齟齬が生まれることなく……。

『あかねさす少女』

Ryu☆:はい! 他の作曲家のかたにはいくつか曲のパターンをもらったのですが、伊藤さんに関しては「伊藤さんらしく」で大丈夫でした(笑)。

――伊藤さんから見て、今回の作曲作業は大変でしたか?

伊藤:作品のコンセプトがしっかりしていたので、そういう意味での迷いはありませんでした。完成までのスピードも普段と変わらなかったと思います。また、今回のアレンジは別の方にやってもらったので、そのコラボレーションがおもしろかったです。

Ryu☆:そうですね。もとの曲に加えて、アレンジャーさんとの化学反応も素晴らしかったです。

伊藤:自分にはない斬新なアイディアを盛り込んでくれるのでうれしいですね。自分でもアレンジをすることはありますが、それは曲を100%の出来にするものなので、別のアレンジャーが斬新なことをしてくれると100%以上のものができ上がるんですよね。それがとても楽しいです。

――“イトケン節”と呼ばれる部分以外のところで、注目してもらいたいポイントはありますか?

『あかねさす少女』

伊藤:“イトケン節”と呼ばれるもの自体が世間の評価なので、自分自身それほど意識しているわけではないんですよね(笑)。とはいえ、私がスクウェア時代に培ったバトル曲が求められていることは自身でも分かっているので、そこに何をプラスするのかということを毎回考えています。特に今回はアレンジャーさんによる変化があるので、そこをぜひ聴いてもらいたいですね。

Ryu☆:伊藤さんにはメインテーマの他に、スマートフォンゲームの主題歌も担当してもらっています。歌っているのは両方ともMICHIさんですが、アニメとゲームでそれぞれ違う曲になります。

伊藤:ゲーム版の主題歌は、今まさに作っているところです。でもレコーディングがもうすぐなので、今から楽しみです。MICHIさんの歌を聴いたところ、スモーキーなところもありつつ、R&B的な雰囲気もあるボーカリストだと思いました。また、ハイトーンの声も出せるようなので、自分の曲をどのように歌ってくれるのか、すごく楽しみです。

――『あかねさす少女』はさまざまなパラレルワールドを旅する作品ですが、Ryu☆さんは音楽をプロデュースするにあたって全体イメージなどは作りましたか?

『あかねさす少女』

Ryu☆:監督の中にパラレルワールドごとのイメージがあったので、それを共有してそこから逸脱せずにハイクオリティなものを提出しようと思いました。シナリオをラストまで読ませていただいたので、イメージはしやすかったです。

 ただ、パラレルワールドごとに雰囲気が変わることもあって、全体の曲数は他の作品に比べてとても多いですね。

――現在公開されているPVをご覧になった感想をお聞かせ下さい。

Ryu☆:シナリオを読んだり絵コンテを見たりしてどうなるのか気になっていましたが、すべてが噛み合って世界が作られた完成形のクオリティが高くて感動しました。

伊藤:ツイッターの感想に「日常系のアニメにイトケンのバトル曲が合うのか!?」と書き込まれているのを見て、「おっしゃっていることはよくわかるなぁ」と思いました(苦笑)。

――ご自身でも不安に感じる部分はありましたか?

伊藤:どちらかというと、スタッフの皆さんがどのように料理してくれるのか、期待のほうが大きかったです。

Ryu☆:『あかねさす少女』は懐の深い作品なので不安はなかったですね。自分としては伊藤さんの曲が視聴者へのフックになってくれればいいなと思っていました。

――ゲームの曲を作る時とアニメの曲を作る時では、意識や作業工程は異なるのでしょうか?

『あかねさす少女』

Ryu☆:これはぜひ伊藤さんにお聞きしたいです。自分は音ゲーの作曲なのでゲーム音楽といっても少しジャンルが違ってくるんですよ。

伊藤:私の曲は、ほぼすべてにAメロとBメロ、サビがあって歌モノと変わらないんです。そのためゲームやアニメ、テレビCM、どれでも作り方は変わらないですね。

――ゲームやアニメなどの種類はあまり関係なく、ご自身の中で毎回挑戦したいテーマを混ぜつつ作っていくのでしょうか。

伊藤:そうですね。アレンジなどは変わってきますが骨組みのところは変わらないです。

――お2人は『あかねさす少女』に登場する女の子のなかでは誰がお気に入りですか?

Ryu☆:どの女の子というわけではないのですが、絵コンテを見ていると、この作品には“お尻”が結構出てくるので、そのお尻がいいと思いますね。

伊藤:その絵コンテ、私も見たかった(苦笑)。

――確かに桂さんといえばお尻の表現が素晴らしいというイメージがあります(笑)。

Ryu☆:あははは(笑)。でも本当にどの女の子も個性的で皆かわいいです。私は全員という“箱推し”ですね。

伊藤:私はギャルの奈々がお気に入りですね。ムードメーカーで明るいところが好きです。

音楽でも個性が現れた作品に

――明日架たちは“ラヂ研”に所属していますが、お2人が学生時代に戻って部活をするならどんなことをやりたいですか?

『あかねさす少女』

Ryu☆:自分は中学まで野球をやっていたものの膝を壊してやめてしまったので、また野球がやりたいですね。

伊藤:私はラジオパーソナリティがやりたいので、放送部ですね。JET STREAMのパーソナリティだった城達也さんのように自分の好きな曲を流せる番組をやりたいです。

――明日架たちはさまざまなパラレルワールドを旅しますが、どんなパラレルワールドに行ってみたいですか? また、今の音楽家以外の可能性ではどんな可能性があったと思いますか?

Ryu☆:自分は大学の時に『beatmania』の楽曲募集コンテストを見て、〆切1日前だったにもかかわらず急いで曲を仕上げて応募して、それでデビューしたのですが、もしもそれがなかったら広告業界などでデザイナーか映像関係で働いていたんじゃないかと思います。

 ぜんぜん別のパラレルワールドという意味では女性になってみたいですね。いちど妻のスカートを履いてみたことがあるのですが、足もとがスースーして落ち着かなかったです(笑)。

伊藤:いい感じに変態的だね(苦笑)。

――伊藤さんはいかがでしょうか?

『あかねさす少女』

伊藤:今の自分の環境にすごく満足しているため、それほどパラレルワールドに興味はなかったのですが、大正時代には行ってみたいです。大正ロマンと呼ばれるモダンなものを肉眼で見てみたいですね。

 もう1つは17~18世紀に行ってストラディバリウスのヴァイオリンがどのように作られていたのか、気になります。

――『あかねさす少女』といえば“ちくわ”ですが、お2人の好きなちくわ料理やオススメのレシピなどがあれば教えてください。

『あかねさす少女』

Ryu☆:自分は高速道路のパーキングエリアなどに売っている焼きちくわが好きです。

伊藤:そんなのあるんですか?

Ryu☆:えぇ!? 焼き鳥みたいな感じでちくわを焼いている店を見たことないですか? 地元の九州だけなのかも。

伊藤:見たことないなぁ。自分は磯辺揚げとか中にチーズが入っているものとか、オーソドックスなものが好きですね。

――ありがとうございます。では放送を楽しみにしているファンにひとことお願いします。

『あかねさす少女』

Ryu☆:『あかねさす少女』にはノイズを効果的に使用した曲などもあり、アートかと思えるような冒険をしている曲も多いです。かなり幅が広いので楽曲でも楽しんでいただければと思います。

伊藤:1つのプロジェクトでありながら、複数の音楽担当の個性が出た作品になっています。音楽好きであればあるほど楽しめる部分があるのでじっくり聴いてもらいたいです。

■アニメ『あかねさす少女』作品概要
【放送情報】
TOKYO MX:10月1日22:30より
読売テレビ:10月1日26:29より
BS/CSアニマックス:10月1日19:30より
アニマックスon PlayStation:10月1日19:30より

【キャスト(敬称略)】
土宮明日架:黒沢ともよ
灯中優:Lynn
みあ・シルバーストーン:東山奈央
七瀬奈々:小清水亜美
森須クロエ:井上麻里奈
橘田蔵人:平川大輔
谷治雄大:山口太郎
千波トモヤ:河西健吾
迫間仁:大塚明夫
氷石紗呂:勝生真沙子
ホワイトゴート:宮本充
月見里真結希:楠木ともり
桜賀輝:河瀬茉希
松朱子:鈴代紗弓
大久保大地:久保田梨沙
アニー真楠田:久保ユリカ
土宮今日平:桑島法子
虻田四億:清川元夢
【スタッフ(敬称略)】
シナリオ原案:打越鋼太郎
キャラクター原案:桂正和
コンセプトアーティスト・キャラクター原案:浅田弘幸
メインテーマ作曲:伊藤賢治
音楽プロデューサー:Ryu☆
【アニメ主題歌(敬称略)】
オープニングテーマ:『ソラネタリウム』/歌:MICHI(10月24日発売)
エンディングテーマ:『壊れかけのRadio』/歌:和島あみ(10月24日発売)

(C)Akanesasu Anime Project
(C)Akanesasu Game Project

データ

▼『あかねさす少女』
■メーカー:アニマックスブロードキャスト・ジャパン
■対応機種:PCブラウザ(DMM GAMES)
■ジャンル:SRPG
■配信日:2018年10月予定
■価格:基本無料/アイテム課金

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