2018年10月9日(火)

二階堂華怜を演じる石川由依さんも駆けつけた“『東京クロノス』制作共犯者ミーティング in マチ★アソビ”

文:伊藤誠之介

 徳島県徳島市で10月6日~10月8日に開催された“マチ★アソビ Vol.21 クライマックスラン”。ここでは10月8日に眉山林間ステージで行われた、“『東京クロノス』制作共犯者ミーティング in マチ★アソビ”の模様をお届けします。

『東京クロノス』

 『東京クロノス』は、誰もいない渋谷の街に閉じこめられた8人の高校生が、1人ずつ消失していくという謎に挑むVRミステリーAVGです。本作は2019年初頭に、Oculus Rift/Oculus Go/HTC vive/PS VRで発売予定となっています。

 このステージには、本作で二階堂華怜役を演じている石川由依さんと、監督である柏倉晴樹さんがゲストとして登壇。また司会進行は、『東京クロノス』総合プロデューサーの岸上健人さんが務めました。

『東京クロノス』
▲写真左より岸上健人さん、石川由依さん、柏倉晴樹さん。石川さんはステージ登場直後から、観客のみなさんとコール&レスポンスでコミュニケーションしていました。

豪華キャストが演じる8人の高校生の中で、誰が好きなのか挙手で決定!?

 石川さんは今回が四国初上陸とのことで、このステージの前には神社やお寺の観光や、マチ★アソビのゲストにも人気の鯛塩ラーメンを食べたりと、徳島を堪能していたそうです。

 一方、総合プロデューサーの岸上さんは徳島県出身で、マチ★アソビにはVol.1から参加しているとのこと。昨年から出展側に回り、今回こうして眉山山頂のステージに立つことができて、感極まっていると語っていました。

 この『東京クロノス』は、5月に開催された前回のマチ★アソビで制作発表が行われました。そのため「マチ★アソビが生んだ作品と言っても過言ではない」と、岸上さんは観客のみなさんにアピール。

『東京クロノス』

 作品に関してのトークは、まずはキャラクターデザインを担当しているLAMさんの話題からスタート。LAMさんの起用は柏倉監督が選んだとのことですが、その理由について「絵に目力がある」と語っていました。

 柏倉監督によると、VRはキャラクターの目がユーザーに近いので、キャラの目力が大事になってくるのだそうです。

 さらにLAMさんを起用した理由としてはもう1つ、「色でデザインできる方だから」と柏倉監督。『東京クロノス』に登場する8人のキャラクターは、全員にそれぞれテーマカラーが決まっているそうで、石川さんの演じる二階堂華怜は赤色になっています。

 ここで、ステージのモニターに表示された『東京クロノス』のあらすじを、石川さんが朗読することに。二階堂華怜のクールな口調で語り始めた石川さんでしたが、最後の決めゼリフで詰まってしまい、申し訳なさそうな様子を見せていました。それでも観客からは大歓声が送られていました。

 続いて柏倉監督からは、本作に登場する8人の高校生のキャラクターと、その声を演じるキャストについての説明がありました。

『東京クロノス』

 モニターのスライドにも記載されているとおり、本作には石川由依さんをはじめ、梶裕貴さんや朴ロ美さん(ロは王偏に路)など、豪華なキャストが出演しています。

 そんななか、東国ユリアを演じている柚木尚子さんは、数百人規模のオーディションを経て起用されたとのこと。東国ユリアは、マチ★アソビ会場で販売されていたTシャツの図柄にも登場している、本作の看板キャラなのだそうです。

 ここで岸上さんからの提案で、見た目の印象でどのキャラが好きなのか、観客のみなさんに手を挙げてもらうことに。

 石川さんが目の前にいることもあり、結果は二階堂華怜の圧勝となりましたが、ほかのキャラにもけっこうたくさん手が挙がっていたために、「2回挙げている人がいるんじゃないか」という疑惑も(笑)。最後は石川さんが華怜の人気に念を押す形で、丸く(?)収まりました。

 岸上さんによると、この8人は小学校からの幼なじみとのこと。ゲーム本編では彼らのいろいろな関係性が描かれるので、ぜひ楽しみにしてほしいと語っていました。

石川由依さんがステージ上で実際にVRを体験!

 さてここからは、石川さんがVRを装着して、『東京クロノス』の試遊版をステージ上で実際にプレイする様子が披露されました。

『東京クロノス』

 石川さんは、ボイスのない主人公の心の声を読み上げたり、ビルの屋上に立っている人を指さしたりと、ノリノリの様子でプレイしていました。

『東京クロノス』

 ヒロインの1人、桃野夕が主人公に抱きついてくる場面では、その距離感の近さに驚く石川さん。本作が従来のアドベンチャーゲームと違うのは、キャラクターたちが存在している空間に自分もいるという気持ちが味わえるところだと、柏倉監督は解説していました。

 石川さんが演じている二階堂華怜や、東国ユリアが登場したところで、石川さんのプレイは終了。柏倉監督によると、この試遊版では最大3人のキャラが主人公の周囲に登場するのに対して、ゲーム本編では7人が一度に登場する場面もあるのだそうです。

『東京クロノス』

 プレイを終えた石川さんは、声優さんということもあってか、本作のサウンド面も気になっている様子。それに対して岸上さんは、本作はVRなので、プレイヤーが向いた方向に合わせて、キャラクターのいる位置から声が聞こえる立体音響になっていることを説明していました。

 さらに柏倉監督は、主人公である櫻井響介の音声は、プレイヤー自身の身体のなかで響いているような感覚が味わえると解説。これには石川さんも驚いていたようでした。

海外での反響を伝える映像を、石川さんが生アテレコ!?

 ステージの後半では、『東京クロノス』制作発表後のリアクションが紹介されました。7月にアメリカ・ロサンゼルスで開催された“アニメエキスポ 2018”では、定員250名の会場で行われた『東京クロノス』のパネルトークに、850名もの予約が集まって驚いたそうです。

 また、アニメエキスポで本作を試遊した海外のアニメファンの人たちが、その感想を英語で語る映像が、ステージ上のモニターで上映されました。

『東京クロノス』

 この時に表示された日本語字幕を、石川さんがなんとステージ上で生アテレコ! これは台本にもなかった完全なアドリブだったそうですが、声色を巧みに駆使した石川さんの演技に、観客はもちろん壇上の柏倉監督と岸上さんも大喜びしていました。

 こうした注目度の高さもあり、この夏に行われたクラウドファンディングでは、日本国内で目標の3倍以上を達成。海外でも目標を突破して、国内外のトータルで1600人以上から1800万円以上の支援を獲得することに成功したそうです。

 さらに9月の東京ゲームショウ(TGS)でも『東京クロノス』のブースを出展しただけでなく、基調講演や日本ゲーム大賞の発表授賞式と同じメインステージでトークイベントを開催することに。

 このイベントに出演した石川さんは、一緒に出演した木戸衣吹さんと2人で、お客さんが来てくれるのかどうか不安に思っていたそうです。

 このTGSのステージでは、VR内の渋谷にある看板をみんなでデザインしようという企画が発表されました。これは現在も募集中なのですが、ステージの出演者でこの企画を考えてみたところ、石川さんのアイデアが採用されて、ゲームに登場するのが決定しているとのこと。

『東京クロノス』

 その内容というのが、石川由依さんと木戸衣吹さんによるユニット“ゆいぶき”がデビュー! というものなのですが、石川さん本人によると、いったい何のユニットなのかは分からないとのこと。この看板がゲームに実際に登場して、本当にユニットが結成されるのか気になるところです(笑)。

 総合プロデューサーの岸上さんによると、この看板の企画に限らず「『東京クロノス』は“みんなで作っていこうぜ”がコンセプト」とのこと。VRというと敷居が高いと感じる人もいるので、みんなで一緒に作っていって、できるだけ多くのみなさんに本作を知ってもらいたいと語っていました。

『東京クロノス』

 このステージもいよいよ終了となりました。石川さんによると、まだ追加収録が残っているとのことで、これからも応援をよろしくお願いしますと観客のみなさんにアピールしていました。

 体験していただいたみなさんの声を聞きつつ、試行錯誤していると語った柏倉監督。2019年初頭の開発に向けてがんばっていきますとのことでした。

 そして総合プロデューサーの岸上さんは、「VRの歴史がここから生まれた、と言われるものを作っている」と強調。この日集まってくれたみなさんに、VRの歴史を見届けたと自慢してもらえるような作品になるようがんばりますと語って、このステージを締めくくりました。

 マチ★アソビらしいアットホームな雰囲気ながら、VR作品ならではの新しい魅力が伝わってくる、たいへん興味深いステージでした。『東京クロノス』のリリースに向けて、今後の展開も要注目です!