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2018年10月24日(水)

『デッドバイデイライト』に登場する殺人鬼の元ネタは? 出典映画やさまざまな小ネタを考察&紹介【電撃PS】

文:電撃PlayStation

『Dead by Daylight』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。

 PS4のパッケージ版発売が11月29日に迫り、女優の本田翼さんによる実況配信大好評を博しているなど、ますます盛り上がりを見せる『デッドバイデイライト(DbD)』。殺人鬼1人と生存者4人の非対称型対戦アクションゲームで、殺人鬼側は生存者の全滅を、生存者側はいかに殺されずに脱出するかを目指します。

『デッドバイデイライト』

 殺人鬼や生存者の中には実際の映画からゲスト出演しているキャラクターもおり、まるで本当にホラー映画の登場人物になったかのようなゲーム展開が楽しめます。そこで個性豊かな殺人鬼たちの元ネタを、出典となった映画などを中心に考察してみましょう。

『デッドバイデイライト』殺人者 『デッドバイデイライト』生存者
▲殺人鬼は生存者を逃さず、ダウンさせてフックに吊し謎の存在“エンティティ”に犠牲者を捧げます。▲生存者は殺人鬼を避けながら、発電機を起動させて脱出口を開きましょう。

 今回はトラッパー、レイス、ヒルビリー、ナース、ハントレスの5人の殺人鬼を紹介します。

【注意!】殺人鬼の元ネタとなった映画については、内容のネタバレに言及しているものもあります。今回紹介している映画をこれから見ようと思っている人はご注意ください。

THE TRAPPER(トラッパー)

トラッパー

本名:エヴァン・マクミラン
性別:男
武器:肉包丁
固有能力:トラバサミ>

 トラッパーことエヴァン・マクミランは『DbD』オリジナルの殺人鬼ですが、そのモデルとなったのは、映画『13日の金曜日』シリーズに登場するかの高名な殺人鬼、ジェイソン・ボーヒーズのようです。ゲーム中でトラバサミの罠を使用していることから、オリジナル版(1980年公開)ではなく、リメイク版(2009年公開)のジェイソンをモデルにしているようです。

 映画中ではジェイソンがトラバサミで逆襲されているシーンがあり、トラッパーの肩にトラバサミが挟まっているのはこれが理由となっているようです。またリメイク版では湖を航行するモーターボート上の人物をアーチェリーで岸辺から射貫く、犠牲者にバレていないように見せかけ裏をかく、逃げる相手に斧を投げつけて命中させる、などといったちょっとクレバーな行動が見られます。やたらと力任せに行動していたオリジナル版のジェイソンとは、ひと味違った描かれ方をしているようですね。

 またジェイソンにまつわる有名なトリビアとして“1作目に登場した殺人鬼はジェイソン本人ではない”“ジェイソンはチェーンソーを使用したことがない”“ホッケーマスクを被りだしたのは3作目から”などがありますが、これらはいずれもオリジナル版のもので、リメイク版では最初からジェイソンが登場していますし、ホッケーマスクも被っています。しかし残念ながら(?)、リメイク版でもジェイソンはチェーンソーを使用していません。

 日本ではなぜかジェイソンの武器=チェーンソーという風潮が一時期ありましたが、これはジェイソンと並ぶホラー映画の殺人鬼であるレザーフェイス(映画『悪魔のいけにえ』(1974年公開)に登場)がチェーンソーを使っているので、それと混同されていたようです。またナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)のホラー映画を題材としたアーケードゲーム、『スプラッターハウス』(1988年稼働)シリーズの主人公リックはジェイソンをモデルにしており、彼が使用する武器にチェーンソーがあったことなども誤解が生じた原因なのではないでしょうか。

 ジェイソンが登場する『13日の金曜日』シリーズは10作品も作られているほか、映画『フレディVSジェイソン』(2003年公開)で『エルム街の悪夢』(1984年公開)のフレディ・クルーガーと、アメコミ『ジェイソンVSレザーフェイス』で『悪魔のいけにえ』(1974年公開)のレザーフェイスと対決しています。やはり殺人鬼といえば多くの人がジェイソンとすぐに頭に浮かぶくらい、彼の人気と知名度は飛び抜けているみたいですね。

THE WRAITH(レイス)

レイス

本名:フィリップ・オジョモ
性別:男
武器:アザロフの斧
固有能力:悲哀の鐘

 『DbD』オリジナルの殺人鬼であるレイスは、手にした鐘を鳴らすことで姿を消すことができます。彼の手にする鈍器“アザロフの斧”は、彼を騙して殺人の片棒を担がせていた元ボスの頭蓋骨と脊髄を加工して作ったものです。

 彼の名である“WRAITH”とはスコットランドの伝承に登場する、死の間際に現れる自分の幻影のことです。日本でいう“走馬燈”のようなものでしょうか。また彼の旧名は“BANSHEE”と言います。バンシーはアイルランドの妖精で、ゲール(古アイルランド)語で“妖精の女”を意味しており、産褥(出産後の体調不良)で死んだ女性がバンシーになるとされています。

 バンシーは名家の家に住み、普段は姿を現しませんが、家族の誰かが死ぬ間際にのみ姿を現してその人に訪れる死を悼み、泣き叫ぶといいます。そしてその人が亡くなるとまた姿を消すといわれています。まるで、姿を消して忍び寄り、生存者を殺害してはまた消え去るレイスのようですね。

 また1676年に出版された『ファンショー夫人の回顧録』ではバンシーについて「その体は私の目には、実体のあるものというより、濃い雲のように見えました」とあります。これもまた、レイスが姿を消しているときにうっすらと見える空間の歪みを思わせます。

 アト・ド・フリース著『イメージシンボル辞典』では、鐘は「産褥の苦しみを和らげるのに役立ち、また収穫を祈って鐘を鳴らす」とあるので、もしかしたらレイスが鐘を持っているのもこれが理由なのかもしれませんね。

 映画では『サイキック・マーダー/透明殺人鬼の復讐』(1984年公開)や『インビジブル』(2000年)にレイス同様の透明な殺人鬼が登場しています。

THE HILLBILLY(ヒルビリー)

ヒルビリー

本名:なし(両親から与えられなかった)
性別:男
武器:ハンマー
固有能力:チェーンソー

 ヒルビリーは『DbD』オリジナルの殺人鬼ですが、武器にハンマーとチェーンソーを持っていることや、醜い容貌をしているという設定などから、映画『悪魔のいけにえ』(1974年公開)に登場するレザーフェイスをモデルにしているようです。

 名前のヒルビリーは“田舎者”という意味で、アパラチアやオザークなどの山地に住み、トウモロコシや豚を育て、トレーラーハウスで暮らすような低所得層の白人を指す、やや侮蔑的なニュアンスの言葉です。田舎者という意味から転じてヒルビリーはカントリーミュージックを指す言葉にもなり、後年ロックと融合してロカビリーというジャンルが生まれました。

 映画『ウィンターズ・ボーン』(2010年公開)に登場するヒロイン、リー(演じるのは『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』ミスティーク役などのジェニファー・ローレンス)や、TVドラマ『ウォーキング・デッド』(2010年放映)のメルル(マイケル・ルーカー)、ダリル(ノーマン・リーダス)などが典型的なヒルビリーといえるでしょう。

 またアカデミー賞3部門にノミネートされたジョン・ブアマン監督の映画『脱出』(1972年公開)は、ニューヨークから来た都会者の2人組がジョージアの山奥でヒルビリーたちに襲われる恐怖を描いた作品です。

THE NURSE(ナース)

ナース

本名:サリー・スミッソン
武器:骨切り鋸
固有能力:スペンサーの最期の一息

 ナースことサリー・スミッソンの明確なモデルはいないようですが、ホラー映画に登場するナースといえば、原作ゲームを見事に映像化した映画『サイレントヒル』(2006年公開)に登場するクリーチャーが思い浮かびます。光と音に敏感に反応するナースたちの隙間を、主人公のローズが懐中電灯を消して息を潜めながらすり抜けていくシーンは、それこそ息が詰まるような緊迫感がありました。

 また殺人鬼としてのナースが登場する映画では、そのものズバリの『マッドナース』(2015年公開)という作品があります。ゲームに登場する殺人鬼とは打って変わり、この映画ではセクシーなナースが主人公となっています。

 実在するナースの殺人鬼としては、31人以上を殺害したジェーン・トッパンがあげられます。1854年にボストンの貧しい家庭に生まれたノラ・ケリーは、5歳の時にトッパン家に引き取られ、ジェーン・トッパンという新しい名前を与えられました。しかし養女という待遇とはうらはらに下女同然に扱われてジェーンは育ちます。

 成長した彼女はやがて看護師見習いを経て、住み込みの看護師となり各地を転々としますが、彼女を雇った家庭では次々と死亡者が出ることになります。1901年に雇い主が警察に通報して犯行が発覚し、逮捕されました。逮捕後も彼女は悪びれることはなく、「自分はヒ素を使ったことは一度もない。モルヒネとアトロピンを併用すれば即効性はないけどばれにくくなる」と述べています。そして彼女自身が自分は正常であると主張したにもかかわらず、精神病院に入れられ84歳で亡くなりました。

 1989年に発覚した“死の天使事件”も有名です。オーストリア最大の総合病院であるウィーンの国立ラインツ病院でその事件は起きました。あるときから老人病棟での死亡率が著しく上昇し、死因も急激な血圧の低下など人為的な関与が疑われました。

 警察に加えて病院側も独自に調査をしたところ、ステファニヤ・マイエルという看護師が自白し、さらに主犯格のワルトラウド・ワグナーをはじめ、イレーネ・ライドルフ、マリア・グルーベルの関与が判明したのです。彼女たちは自らを“死の天使”と呼び、治る見込みのない高齢の患者に対する慈悲として、故意に生命維持装置を外すなどしていたそうです。1987年から1989年までの2年間に、少なくとも49人の患者が殺害されました。これは氷山の一角と言われており、実際の犠牲者は数百人に上ると言われています。

THE HUNTRESS(ハントレス)

ハントレス

本名:アナ
性別:女
武器:マサカリ
固有能力:狩猟用手斧

 ハントレスは『DbD』オリジナルの殺人鬼です。彼女の歌う鼻歌やアドオンの名称などからして、どうやらスラヴ系民族の出身のようです。鼻歌はロシアの子守歌“Bayu Bayushki Bayu”のメロディで、眠らない子は狼が来てさらっていくぞ、といった内容です。近隣の村の子どもをさらっては死なせてしまう彼女が口ずさむ歌としては、なんとも皮肉な内容ですね。

 彼女はハチェット(手斧)を投げつけて戦う独自の戦法をとりますが、映画ではそのものズバリ『HATCHET/ハチェット』(2007年公開)という作品があります。この映画に出てくる殺人鬼ヴィクター・クロウリー(演じているのは『13日の金曜日』7~10作目のジェイソンを演じたケイン・ホッダー)はハチェット片手に犠牲者たちに襲いかかり、ハントレスさながらに投げつけたりもします。

 もっともヴィクターはジェイソンタイプの力任せな殺人鬼なので、ハントレスのようにうまく命中させたことはほとんどありませんでしたが……。他にもリメイク版『13日の金曜日』(2009年公開)ではジェイソンが両刃の斧を投げつけ、こちらはしっかりと命中させているシーンがあります。

 またハントレスといえば顔に被っているウサギのマスクも特徴的ですが、彼女のように動物のマスクを被った殺人鬼が登場する映画はいくつか存在します。『インブレッド』(2011年公開)や『そのネズミ、凶暴につき』(2013)、『スナッチャーズ・フィーバー ―喰われた町―』(2014年公開)など、どれもひと癖ある殺人鬼が登場します。中には殺人鬼よりもクセ(?)のあるヒロインが登場する、『サプライズ』(2011年公開)みたいな作品もありますが……。


 いかがでしたか? 恐ろしい殺人鬼も、その成り立ちなどを知ればもっと興味がわいてくるかもしれません。次回は『ハロウィン』や『悪魔のいけにえ』など有名ホラー映画のコラボで登場した殺人鬼も登場の予定。お楽しみに!

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