2018年11月4日(日)
アメリカ・アナハイムで開催中のBlizzCon2018で、オンラインTCG『ハースストーン』の新たな拡張パック“天下一ヴドゥ祭(RASTAKHAN'S RUMBLE)”の発表が行われました。
ルール無用の野蛮な闘技大会がテーマのこの拡張パックについて、開発者の方へインタビューを行ったので、その様子をお届けします!
上の写真は、バランスや最終的なチェックを担うStephen Chang氏(左)と、FXアーティストとしてミニオンアニメーションやエフェクトデザインを譚とするHadidja Chamberlin氏(右)。
――会場の盛り上がりを見て、どう感じましたか?
Stephen氏(以下、敬称略):マイクのトラブル以外は順調でしたね(笑)。今回の拡張パックでは、トロルの導入をはじめ、ストーリー的にもキャラクター的にも新しいものを紹介できましたし、アゼロスにも絡んでいるためか、会場の感触はとてもよかったと感じました。
今のところは、公開したカードのうち“虚無の契約”と“呪術司マラクラス”という2つのカードが話題になっていましたね。
Hadidja氏(以下、敬称略):本作に登場する闘技チームの名前を言っていくごとに、そのチームのファンたちが声援を送ったり、旗を振ったりしているのが素敵でしたね。
個人の思い入れのあるチームを応援している感じがとてもよくて、見ててワクワクしました。自分の思い入れのあるチームが出てくるのは嬉しいですし、そういうチームでデッキを作っていくのは楽しいので、早く味わってほしいです。
――拡張パッケージの作られる流れを簡単に教えて頂けますか?
Stephen:まず、一番初めのデザインチームが、それぞれのクラスのメカニクスとテーマをざっくりと決めます。基本的なデザイン出しが終わったところでファイナルデザインチームへ行き、どのカードを入れてどのカードを入れないのかという全体的なバランスを見ていくんです。
その後、それぞれのクラスの出来やテーマに合っているのかとレビューして、カードの選定を行っていきます。
Hadidja:オーディオチームとアートチームも、それとほぼ同時進行で動き出します。オーディオチームであれば音声の収録やセッションのアレンジを始めて、アートチームも作業を開始します。歌の歌手を誰にするかとかも決め始めますね。
ヴィジュアルエフェクトチームが世界観やメカニクスに合うように、それぞれのカードがどういうことをするかというのを正しく表現できているかを調整しながら、いっしょに作業をしていきます。カードだけでもこれだけ多くのセクションが動いていて、ほかにもボードやミッション、ライブコンテンツなどいろいろなチームがほぼ同時並行で作業をしています。
それぞれのスペシャリストたちがコラボレーションして作り上げているような感覚に近いでしょうか。
――今回の拡張パックを作るにあたり、とくにこだわった点はどこでしょうか?
Stephen:原始の神である“ロア”と、“精霊”の連係性ですね。ウォーロックだったら“コウモリのロア・ハイリーク”、パラディンだったら“トラのロア・シャヴァーラ”というのがいるのですが、それぞれのロアと関わりが深い“精霊”との連係することで、より強力な効果が発生するんです。
例えば“コウモリのロア・ハイリーク”は、通常だとマナコストが8で1/1なので強くありません。ですが、“コウモリの精霊”というカードは、仲間のミニオンが死ぬたびに+1/+1が手札のカードに付与されるんです。
ちなみに“コウモリのロア・ハイリーク”の能力は、場に出たら自身と同じコピーが盤面を埋め尽くすというもの。なので、“コウモリの精霊”の効果で9/9くらいまで育ってたら、その強さのミニオンを盤面限界まで並べることができるというシナジーがあるんです。
Hadidja:“ロア”と“精霊”というのは、いっしょに使うことでシナジーが生まれるのですが、“精霊”のレアリティはレアなので手に入りやすく、扱いやすいはずです。
“ロア”を持っていなくても、“精霊”があればなにかしらのバフを与えながら戦えるんです。使うデッキが違くても、同じ“ロア”であれば、自分はそのチームの一員として戦っている実感を感じられるように作っています。
――拡張パックの物語的なテーマというのは、どのように決まったのでしょうか?
Stephen:トロルというテーマは、ずっとやりたかったものでした。ですが拡張パックを出すにあたり、どんなものにするかは、アイディアをみんなで話し合って決めるんです。今回はアゼロスのストーリーにも絡めたかったので、時期としてはすごくいい時期でした。
『ハースストーン』チームは、「こんなのやったらどうかな」というアイディアを出すことを大事にしています。「グルガス闘技場にトロルが集まってきたらどうだろう」とか、「ラスタカン王というトロルの王を使ったらどうだろうとか、そういうアイディアがひとつになって、派手で過激で喧嘩的なテーマに落ち着きました。
強さを象徴するような、インパクトのあるテーマになってよかったです。
――カードのデザイン的にもそういうパワー自慢系のキャラなどが多く入ってるのでしょうか?
Hadidja:ビジュアル的にも“力強さ”には重きを置いていますが、“血祭”は特に顕著な例ではないでしょうか。独自のスタイルがあり、観客を喜ばせつつ、ラスタカン王を喜ばせながら敵にダメージを与えていく、ある意味ショーマン的な見た目のアタック、といったイメージですよね。メカニック自体はシンプルで、派手にやり合ってる感がでていると思います。
――前回のドクターブームのように、拡張パック内で人気がでるキャラクターとしたら誰でしょうか?
Stephen:まだ発表はされていませんが、おそらくハンターのチャンピオンが人気になるのではないでしょうか。メカニクス的にもおもしろいですし。とはいうものの、それぞれのチームに特性がありますし、皆さんのプレイスタイルでお気に入りにのものは変わってくるんじゃないかなと思います。
――楽しみにしているファンにメッセージを
Hadidja:やっとこの拡張パックについてお話できて、私たちも嬉しいです。我々制作側も、とにかく作っていて楽しいエキスパンションだったので、皆さんもぜひ楽しんでください。そして、それぞれお気に入りのチームをぜひ見つけて欲しいと思います。
子供の頃に日本のゲームをたくさんプレイして育っているので、開発者として日本の皆さんにプレイして頂けるゲームを提供できることは非常に嬉しいですし、名誉なことだと思っています。
Stephen:新しいカードを使って、皆さんがどのようなプレイをしていくのか、今から楽しみです。新しいメカニクスも登場したので、メタがどのように変化していくかも興味深いですね。それぞれいろいろ工夫して楽しんでいって頂ければと思います。
インタビュー後、“天下一ヴドゥ祭”発売から約1週間後となる12月14日から入場可能となる1人用アドベンチャーモード“喧嘩祭”の詳細が発表されました。
プレイヤーは“何でもアリ”のルールのもとにデッキを作成し、グルバシ闘技場に出場し、ライバルたちと戦っていくというストーリーのようです。
プレイヤーの分身として闘技場に挑むのは、新進気鋭のトロルの若者・リッカー。喧嘩祭への挑戦を始めるにあたり、プレイヤーは全27種からランダムに選出された3つの“ミコシ”から1つを選ぶことになります。
“ミコシ”は特定のロアを戦場に招くためのもので、強力な常時発動ボーナスを与えてくれるとのこと。選んだ“ミコシ”のロアに対応したクラスが、その回におけるプレイヤーのクラスとなります。
“ミコシ”は十分なダメージを受けると、3ターンの間休眠状態となり、その間はボーナスが失われてしまいます。つまり、自分の“ミコシ”を守りつつ、相手の“ミコシ”を壊すことが、勝利へのカギとなるのです。
喧嘩祭で勝利するたび、プレイヤーは貴重な戦利品を獲得できるでしょう。戦利品の中にはミニオンや呪文のほか、喧嘩祭専用の強力なミニオン“チームメイト”が含まれています。
チームメイトは9つのクラスにそれぞれ6体ずつ、合計54体が存在! それぞれが独自の能力を持っているため、戦闘では役に立つ機会も多いでしょう。彼らを集め、最終的に8人の闘士たちを倒せれば、チャンピオンの座とカード裏面デザイン“喧嘩祭の王者”を手に入れることができます。
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