2018年11月16日(金)
あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。
第84回でお祝いするのは、7月30日に20周年を迎えたスクウェア・エニックスのアクションRPG『スターオーシャン セカンドストーリー(以下、SO2)』です。2018年現在、最新作であるiOS/Android用ゲーム『スターオーシャン:アナムネシス』にその血脈が受け継がれている人気の『スターオーシャン』シリーズ。その人気を不動のものとした作品が、この『SO2』でした。
▲CD2枚組の大ボリュームで登場。帯に書かれたキャッチコピーは“愛と勇気のRPG、ここに誕生”でした。 |
今回はそんな本作の魅力を、シリーズの担当ライターであるタダツグが個人的な思い出を軸に据えながら語っていこうと思います。
本作の主人公は2人。男性主人公であるクロードと、女性主人公であるレナのうち、プレイヤーはどちらか1人を選んでゲームをスタートすることになります。これが、その名のとおりの“ダブルヒーローシステム”! 物語の軸は同一ではありますが、選択した主人公の視点で物語が進行するため、発生するイベントの見え方がちょっぴり異なってきます。
ぶっちゃけたところ、主人公によって展開が大きく変化するわけではありませんが、“クロードがこの行動をとったとき、レナはこんなことを考えていた”というそれぞれの主人公の心情が垣間見られますので、双方の物語を楽しむことでより深くキャラクターを理解できます。
本作では主人公キャラに加えて、10人のメインキャラクターの中から6人を選び、仲間にすることができます。2人の主人公はどちらを選択しても、選ばなかったもう1人は必ず仲間になるのですが、仲間に加えられるキャラクターは主人公ごとに異なるうえに、誰を仲間にするかはプレイヤーの選択しだい。ストーリーがしっかりと構成されているRPGで、“自分の好きなキャラを仲間に加えて旅を進めていける”というのは『SO2』ならではのだいご味でした。
“キャラAを仲間にした場合、キャラBを仲間にすることができない”といった仕様も盛り込まれていたので、パーティ編成に関しては頭を悩ませることが多かったですね(笑)。
今思えばこの仕様によってパーティのキャラバランスを調整しているわけで、あまりにも好みを優先しすぎた結果、バランスが崩れて「ボスに勝てない~」といったストレスは軽減されていると思います。とはいえ、序盤でセリーヌを仲間に加えなければ次なる攻撃系の紋章術士が仲間に加わるのはずいぶん先の話になるなど、完璧なバランス調整ともいえないところが、この『SO2』のいびつさであり、愛すべきところなんですけど(笑)。
さて、キャラクターの魅力を語るうえで欠かせないのが、本作独自の要素である“プライベートアクション(PA)”の存在! これは1作目『スターオーシャン』から採用されていたシステムなのですが、『SO2』ではボリュームも内容的にも、大幅なパワーアップを果たしました。
PAはフィールドから町に入る際、□ボタンを押すことで任意に発生させることが可能。これによってパーティが一時的に解散し、仲間キャラがそれぞれ自由に町の中で行動するようになります。このとき、ストーリーの進行度や仲間との感情度によってPAが発生。さまざまな特殊イベントが楽しめるようになるわけです。
しれっと“感情度”という単語を書きましたが、この目に見えない数値にやきもきするのも、本シリーズならではのおもしろさ。ゲーム勘がある方なら、知らずともピンとくると思いますが、本作ではゲームクリア時に、感情度が高いキャラ同士がくっつく……いわゆるペアエンドが見られるのです。ペアになるのは、なにも異性とは限らないのもまたステキ。男同士のアツい友情イベントだって用意されているわけで、これがなんともたまらんのです。
PAには、この感情度が上下に大きく変化するイベントが数多く用意されているため、「お気に入りのキャラのPAはすべて見る!」くらいの意気込みでゲームを進めるのが正解。というか、このPAを見ていくことでキャラへの愛着が増していき、結果、お気に入りキャラとのペアエンドを目指したくなるステキ仕様。すべてのペアエンドの組み合わせを見ようと思ったらかなりの時間がかかるので、やり込み要素はバツグンです! ……まぁ、ホレ薬というヤバイアイテムも存在しますが……ムニャムニャ。
▲僕は、こと『SO2』においては王道の組み合わせが好み。たとえばクロードはレナ、アシュトンはプリシスと……といった感じで、毎度くっつけるペアはほとんど同じだった記憶。 |
『SO2』の魅力といえば、アクション性の高いバトルシーンも外せません。本作のバトルはランダムエンカウントとなっており、擬似3Dで表現されたフィールドを自由に動かして、敵と戦うことになります。パーティの参戦メンバーは最大で4人。プレイヤーはそのうち1人を操作して、敵の撃破を目指します。基本的には通常攻撃に加えて、キャラ固有の必殺技や紋章術(2つまでセット可能)を駆使して立ち回ることに。
このバトルのバランスが個人的に大好き。しっかりとレベルを上げたり、装備を充実させなければザコ敵にも苦戦するので、なかなかに緊張感があります。逆にしっかりレべリングすればザコ敵はボタン連打で倒せるようにもなりますが。
ボス戦は、場合によっては初見殺しな技を使ってくる奴もいて歯ごたえバツグン。特に物語後半から終盤にかけては、やられて対策を考えたり、場合によってはレベルや装備を充実し直したりしなければ勝てないようなボス敵もチラホラ……もちろん、プレイヤーのテクニックにも依存するのですが、なかなかに苦労します。「うぉぉぉぉ、あっちぃぃぃぃぃ!」に骨まで焦がされて、炎がトラウマになりかけたのは僕だけではないはず!(断言)
当然ながら、強敵を撃破した時の感慨深さはひとしお。ここらへんの“テクニックや戦術で上回って勝てなかった敵を倒す快感”、そして“成長感”が、『SO2』が長く愛され続けている魅力の1つなのかな、と。
そして、必殺技や紋章術に“熟練度”というパラメーターが設定されているのもおもしろい。つまるところ、キャラが技を使用すればするほどこの熟練度が増して効果がアップしていくわけです。基本的に、使えば使うほど強くなっていくわけですが、なかには世に有名な“兜割り”のように、威力がアップする代わりに汎用性が落ちる技もあって、それがまたいい味を出していました。
また、戦闘中にキャラが倒れてしまった場合、そのキャラへの感情度が高いキャラがブチギレて“怒り状態”なることがあります。攻撃力が大幅に上昇するので、思わず「ク●リンのことかーッ!」と叫びたくなることうけあい。
とにもかくにも、ステキ要素が盛りだくさんな『SO2』のバトルシーン。アクションで勝負するこのバランスは、最新作である『SOA』にもしっかりと踏襲されていて、シリーズファンとしてうれしい限りです。
各キャラには“タレント”と呼ばれる得意ジャンルが設定されており、これによって個性づけがなされているのも本作ならではの特徴。タレントには“文才”や“音感”、“味覚”など多種多様で、これの有無によって後述する“アイテムクリエイション”の成功率が上下するなど、キャラの個性づけだけでは片づけられない攻略要素となっていました。
しかも、各キャラが持つタレントはゲームスタート時にランダムで選定されるのがじつに心憎い! 場合によっては、どうしても欲しいタレントをキャラが所持していなくて悔しい思いをする局面もあったりなかったり。ちなみに、タレントは後から才能が開花する可能性もあります。このランダムぶりがいい味つけになっているんですよね。
そして、そのタレントが大きくかかわる要素が“アイテムクリエイション(IC)”。本作では、キャラに特定のスキルを覚えさせることで、さまざまなアイテムを生み出せる“IC”を行えるようになります。
“IC”の種類は、食材を消費して料理を生み出す“調理”や、宝石、鉱石を使ってアクセサリーや防具を作る“細工”など多種多様。特に注目は、武器と鉱物を合成することで新たな武器を作りあげる“カスタマイズ”です。知識に加えて、ある程度の労力を惜しまなければ、物語の中盤でその後のゲームバランスに大きな影響を与えるほどの武器を作り出すことも可能となっています! その名も“エターナルスフィア”。電撃オンラインで実施した生放送“クリアまで実況”でもお世話になりました(笑)。
“知っていると得をする”どころか、ゲームが別モノになりうるほどの要素をしれっと盛り込んでくるというのは、同じくトライエースが開発する『ヴァルキリープロファイル』でも同様だったことを踏まえると、開発サイドの確信犯とも言えそうです。個人的には、こういう遊び心があってこそのトライエース作品だと思うのですが、最近のRPGではこの手の遊び心は皆無とはいわないものの、なかなか見られなくなってきている気がします。やはり、バランスが重視されているのかもしれません。
いろいろとがった要素がありつつも、20年前のゲームならではのおもしろさが凝縮されている。そして、それこそが『SO2』の魅力の本質であることは、疑い様もないところだと思います。RPG好きでまだ遊んだことがないという人には、ぜひ手に取ってもらいたい名作です。
記事公開に際してスクウェア・エニックスさんから、当時の画像やイラスト、キャラ画像をご提供いただきましたので、以下に掲載いたします。
▲クロード・C・ケニー | ▲レナ・ランフォード |
▲セリーヌ・ジュレス | ▲アシュトン・アンカース |
▲プリシス・F・ノイマン | ▲ボーマン・ジーン |
▲ディアス・フラック | ▲レオン・D・S・ゲーステ |
▲オペラ・ベクトラ | ▲エルネスト・レヴィード |
▲ノエル・チャンドラー | ▲チサト・マディソン |
(C)1998 tri-Ace.Inc.LINKS.Minato Koio.SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
データ