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2018年12月5日(水)

いよいよ復活『ラスト レムナント』! 色あせない魅力を坂本氏&直良氏とともに掘り下げるインタビュー

文:電撃PlayStation

 2008年にXbox 360、翌年にPC版がリリースされ、独特の世界観やバトルシステムが大いに話題を呼んだ『ラスト レムナント』が、12月6日、ついにPS4で復刻! 今回は、リマスター版ディレクター・坂本幸一郎氏と、初期からのアートプロデューサー・直良有祐氏のインタビューによって、この名作の魅力をあらためて掘り下げていく。

『ラスト レムナント リマスタード』

なお、明日12月6日(木)に行われる“【電撃オンラインch】チャンネル登録者数10万人突破記念生放送”では、19:00からの“電撃PS Live クリエイターと遊ぼう!”コーナーにリマスター版ディレクター・坂本幸一郎氏が登場。番組出演者とともに本作の魅力を紹介していただく予定なので、本インタビューとあわせてぜひご覧いただきたい。

◆“【電撃オンラインch】チャンネル登録者数10万人突破記念生放送”告知ページ

『ラスト レムナント リマスタード』
▲リマスター版ディレクター:坂本幸一郎氏▲オリジナル版アートプロデューサー:直良有祐氏

――まず最初に、『ラスト レムナント リマスタード』の企画が立ちあがった経緯についてあらためてお聞かせください。

坂本幸一郎氏(以下、敬称略):私が所属している部署が、よく過去の作品を移植する作業をしていまして、私も『FFIX』のスマートフォン版など移植に携わらせていただいていたんです。その流れで、「ちゃんと利益が上がるなら、移植や復刻を提案してみて」と言われてまして、ならばぜひ『ラスト レムナント』をやりたいと。

――そのとき『ラスト レムナント』を選んだ理由は何だったのでしょう?

坂本:オリジナル版発売時、自分がXbox 360版を遊んでいて「これはおもしろい!」と思っていたのが一番ですね。当時は経緯を知らなかったのですが、結局PS3版は出なかったので、「ならば」と提案したら、「やれるのならばやっていい」と会社から承認を得たのが始まりです。最初は、PC版もあったし、過去のデータがある程度そろっているからいけると提案したんですけど、やりはじめてからは大変でしたね。

――近年さまざまな過去作品のHD化が発表されてワクワクしていますが、そもそもリマスター化されるゲームタイトルの選定はどのように行われるものなのですか?

坂本:まずは検証ですね。移植できるかどうかわからない段階で提案して、「やっぱりダメでした」はカッコ悪いので(笑)。まず検証から入って、「このタイトルはやれる」ってなったところで会社から承認を取る形になります。もちろん、なんでもかんでも移植できるわけではないです。

――移植にあたって、当時のディレクターである髙井(ディレクター:髙井浩氏)さんとは何かお話はしましたか?

坂本:じつは髙井さんとはまったく話をしてなくて、動き始めてから報告しにいった感じでした。本人もTGS2018の生放送などで言っていましたが、とくに注文があるわけでもなかったです(笑)。「ありがたい」って言っていただいて。ただ、直良さんには絵的な部分での相談が必要だと思っていたので、動き出せそうだっていう段階で声をかけました。

直良有祐氏(以下、敬称略):メールで確認したら、一番古いのが17年の1月ですね。『FFXV』が発売したあとですので、当時はもうフリーの身でした。

――直良さんは当時のアートプロデューサーですが、キービジュアルやメインキャラクターのデザインのほか、アート面はどのようなことまでかかわっていたのでしょうか?

直良:フィールドまわりとかグラフィックまわりのディレクションは、当時いた宮前(チーフアーティスト:宮前公彦氏)がメインで見ていたんですけれど、そもそも絵の方向性云々っていうのって、これまでの“手作業で味を出していく”っていうよりはエンジンでリアルさを出したりとかいろいろな検証が必要でしたので、監修をするっていうよりはまずみんなが何をどこまでできるのか一生懸命探っているのを見守っているという感じでした(笑)。

――グラフィックに関しては、ホワイトロッキーとか、聖都エリュシオンの雲とか、初めて見たときは、すごく綺麗だなって印象的でした。

直良:あのときは、エンジンの機能を使って新しい表現ができないかって、3Dのデザイナーたちがいろいろ検証してくれたし、「こんなんできるけど、どう?」ってのを、次々と提案してくれたんです。ですので、「こうしてほしい」というオーダーよりも先におもしろい表現が上がってくるから、それを「“レムナント”という、不思議なものとどう組み合わせようか」っていう流れの方が強かったですね。

――グラフィックの表現は、当時のゲームとしてはすごいインパクトがあって、贅沢に新しい技術を盛り込んでいるんだなって印象がありました。

直良:ありがとうございます。

坂本:当時Unreal Engine 3の走りでしたからね。

直良:みんな外部のエンジンを触るっていうのが初めてだったこともあって、職人技で彫り込んでいくというよりは、「このボタンは何に対応するか」から始まって、「これをこう使うと、こういうことができる」とか、すごく研究してたんです。みんながお互いを出し抜いてやろうというくらい、前のめりな気持ちでやっていましたね。当時スクウェア・エニックスはPS3とXbox 360の出だし時点で出遅れていたというか、触り切れてなかった部分があったので、そういう意味では先駆けて新規IPで触れることができたのは、刺激になったのではないかと思います。

――そういう意味でも“レムナント”という存在がいい刺激になったのかもしれませんね。未知の力を秘めた不可思議なアーティファクトを表現するにはどうすれば……といった形で。

直良:そうですね。レムナントという正体不明なものを表すのに、不思議な表現というのを設計デザインとして組み上げていくのはなかなか時間がかかるものですから、そこを、実機の性能によって表現の幅を広げてもらったなというのは思っています。

――アート班の方々で“レムナントとは”みたいな話をよくしていたと伺っているのですが、その世界観の表現の仕方について、シナリオ担当の方々と何かやり取りしつつ詰めていったのでしょうか。

直良:シナリオは、当時いた八木(リードプランナー:八木正人氏)と、河津(エグゼグティブプロデューサー:河津秋敏氏)さんがメインでやってましたね。レムナント自体の解釈も人によってまちまちで、髙井さんとかは「いや、なんかそこにあるものなんだよ!」って言い張ってましたし(笑)。現代でも、ナスカの地上絵とか、どういう役目かわからないじゃないですか。そういった形で解釈して“未知のものを未知のまま扱おう”というのをテーマに、“今生きている人たちも理屈はわからないけど、それを利用して生活を便利にしている”……といった雰囲気を描こうという方向に舵をきった覚えはあります。

――PS4版はさらにグラフィックが向上していると思いますが、これには直良さんもかかわっているのですか?

坂本:今回エンジンがUnreal Engine 3からUnreal Engine 4になったんですが、Unreal Engine 3のときの表現が、そのままでは使えなかったんです。それで、開発会社の人に、Unreal Engine 4ではこうなる、あるいはこうしたいというのを、最初に見せてもらったんです。それを直良さんにも見てもらって、OKをもらった感じです。

――ちなみに直良さんは、そのときどう思いましたか?

直良:開発会社さんのところで画面を見せてもらったんですが、かなり力のある方たちが手がけてくれていました。彼ら自身で「こうした方がいい」とか「これだと新しいものができる」とか提案し新しい技術を詰め込んでいってくれたので、自分としては「坂本くんがOKというのであれば、予算内でぜひやってください」と(笑)。あとは、当時微妙にやり残したことですね。グラフィックに関しての大きな部分はPC版で当時一度完成を見たんですが、それ以外で、TGS2018でも話題にしていたラッシュの走りですとか、いかんともしがたい部分がいくつかあったので、そこらへんは個別にお願いして、なんとかねじ込んでくれないかと相談していた感じです。

――ラッシュの走りモーションはアクターさんの体型とキャラの体型の差を考慮してあらためて撮りなおしたと聞きましたが、それ以外に、モーションから大きく変えた部分などはあったのでしょうか。

坂本:モーションから撮り直したのはラッシュだけですね。それ以外ですと、キャラクターの服などにある飾り物が、より自然に揺れるように……とかですね。そういった見た目の部分は、今回の開発会社さんのほうでも「こっちの方が自然じゃないですか」って感じで提案してくれて直してくれた部分は多々あります。

直良:けっこうみんな尽力してくれてましたね。揺れ物とか髪の毛とか。当時は物理演算が多く入るのが嬉しくて、髪の毛とかを揺らしすぎていたんですよね(笑)。それを調整して自然に見えるようにしたり。あと、カットシーンで群衆のモーションを使い回ししていたんですが、その悪目立ちしている部分を潰してもらったりとか。とにかく隅々までチューニングを入れてもらいました。

――Xbox 360版とPS4版のグラフィック比較動画を見て、ムービーシーンでキャラクターに表情がついたように思えたのですが、これもあらためて調整されたのですか?

坂本:表情のフェイシャルモーションはもともと入っているんですが、ライトやテクスチャの修正で、綺麗に見えるようになったことで、細かい部分までちゃんと見えるようになり、結果として表情がついたように見えたんじゃないかなと。

直良:当時ちょっとむりやり手作業でラッシュの顔とかをいじってもらってたこともあり、今回とくに自然に見えるように直してもらっています。アップグレードというか、リマスターに際していくらかお化粧直しをしてもらった感じですね。

坂本:Unreal Engine 3で作ってたときは、影が落ちる場所が多くて、細かい表情が見えにくくなっている部分があったんです。今回、表情がよく見えるようになったというのは間違いなくその明るさを調整した結果かなと。ライトとか全部つけなおしているので、それによって、よく見えるようになったのだと思います。

『ラスト レムナント リマスタード』

――そのグラフィック調整において、とくに意識した部分はありますか?

坂本:やはり光ですね。さきほど直良さんも言っていたようにPC版で解像度の高いテクスチャはあったんですけど、影のせいで詳細が落ちちゃってるような部分がかなりあって、それがもったいなかったんです。解像度高くて質感もちゃんとしているのに、影によってあまりみえなくなっているという部分がけっこうあったので。なので比較動画でもお見せしたんですけど、じつはテクスチャがけっこう描き込まれているんだよってのがわかるように、ライトを調整してもらって、もとの綺麗さがより際立つ方向を目指しました。

――であれば、もしかしたら今作では暗いところに行くとより顕著にグラフィックの綺麗さがわかるのかもしれませんね。

坂本:そうですね。ただその一方で、暗いエリアは暗いエリアで変に明るい部分もあったので、そういう部分に関しては自然に見えるように調整しています。

直良:当時はハードの変わり目の時期だったので、ライトを扱いきれなくて、影を落とすことでごまかしてしまうことがときどきあったんです。今回は、Unreal Engine の性能も上がって、ライティングの機能もすごく充実していたので、舞台からカットシーンまで、演出がきちんとできるようにしてあげたいというのがありました。

――ちなみにムービーも当時からかなり完成度が高かったように感じましたが、それもより綺麗に見えるよう手を入れていらっしゃるのでしょうか。

坂本:“ムービー”というか、僕らはリアルタイムデモと呼んでいるんですけど、いわゆる『ファイナルファンタジー』のオープニングで使われるようなプリレンダムービーと、今回のリアルタイムのものってちょっと違っていて。リアルタイムデモは、いわゆるゲーム内のキャラのクオリティでゲーム内の背景を使った“オート演出”として動いているんですよ。リアルタイムデモはゲーム内のライトや背景の美麗化などの影響をモロに受けるので、それに比例して演出中のグラフィックも綺麗になっています。

直良:いわゆるCGムービーっていうやつを使わずにできるだけ実機表現にこだわろうと。

――なるほど、そうだったのですね。名シーンが綺麗になっていると聞くと今から楽しみです。とくにエマと【覇王】のバトルとか。

坂本:ぜひ楽しみにしていてください。あれは、かなり悲しいイベントですけど(笑)。

直良:あそこ、当時コンテを切っていて楽しかった覚えがあります(笑)。

『ラスト レムナント リマスタード』

移植に踏み切れた一番の決め手は、技術と熱意を持っている開発会社さんがいたこと

――先ほど、Unreal Engine 3から4へとエンジンを変更されたと伺いましたが、それはどういった理由によるものなのですか?

坂本:当初はPC版をそのままPS4で動かせればと思っていたんですけど、開発会社の方が「Unreal Engine 3の環境なんて今作らないで、Unreal Engine 4でやりましょう」と提案をしてくれて。しかも、コスト的にあまり変わらないということなので、じゃあより綺麗なほうがいいかなと思って。

――実際、移植するにあたって苦労したことはありますか?

坂本:Unreal Engine 3のエフェクトって、Unreal Engine 4では動かないんですよ。テクスチャもそのまま使えないものも多くて、じつはほぼ作り直してるんです。そこは開発会社さんが、「自分たちで作ります」って言ってくれたのでよかったんですが……そこは本当に頑張ってもらいました。

直良:Unreal Engineの昔のバージョンって、エフェクトが強くないんですよ。それで当時プログラマーに、環境込みで開発してもらったんです。それが今度は“まるまる移植できない”となって、重い作業が発生してしまったんです。でも最初に開発会社さんにいったとき、「テストでコレ再現してみたんですけど」って200を超えるエフェクトを見せてもらって、「正気ですかこの人たち」って(笑)。これだけの情熱があるなら、あとは開発会社さんを信用してやっていただこうという感じでした。

坂本:テクスチャも解像度を高くしたりとか、一部はまったく違うテクスチャを使って、オリジナル版と印象を似せる作業していたりとか、かなり手が込んでます。ちなみに、Unreal Engine 3のタイトルをUnreal Engine 4に移植するって、簡単そうに見えて大変で、あまり実例が多くないんです。で、Unreal Engine を開発しているEpic Gamesさんから、興味をもってもらえたり、ということもありました。

――まさに熱意と技術のなせる業ですね。

坂本:そうですね、今回移植に踏み切ることができた一番の決め手は、この技術と熱意を持っている開発会社さんがいたから……というのが大きいですね。

――システムに関してですが、バトルシステムに関しては、細かい調整などは入っていないという認識でよろしかったでしょうか?

坂本:そのままですね。何も追加しませんでした。というか、追加する必要がなかったんです。

 ……じつはXbox 360版からPC版になったときに色々といじられてる部分があったんですが、「ここ修正しましたよ」って記録が残っている部分と、残っていない部分があったんです。僕は、記録の残っていない部分はバグなんじゃないかって調べたんですよ。「Xbox 360版に合わせないとおかしいんじゃないか」って。ですが、じつは調べていくとPC版に向けてちゃんと考えられて直してあったりだとか、Xbox 360版のDLCを出したタイミングでいろいろ変えているというのがわかって……「ダメだこれは。下手に手を入れると大変なことになる!」と(笑)。そもそも元のゲームが好きだったので、あまりいじって元のテイストをなくしたくないし、ゲームバランス的な部分は、何かやって崩してしまうと大変なことになると思ったので、あえて何もしなかったですね。

――今回の改良点で、移動速度アップは個人的に嬉しかったのですが、これはファンからの要望もあったのですか?

坂本:PC版、Steam版に対する意見が集まるとある掲示板に、「PC版はいろいろ調整されていて最高なんだけど、移動速度だけが……」という意見が1件2件でなくけっこうありまして。確かにクエストとかギルドアドベンチャーで同じ場所に何度もいくのに、不便ではあるなと自分でも思っていたので、バランスを崩さないならやってもいいかな……ということで開発に頼んでやってもらい、テストプレイでも大丈夫そうということで、採用ということにしました。

――初歩的な質問になってしまうかもしれませんが、過去作の移植やリマスターをするときって、どういったところから仕事を進めていくのでしょう?

直良:タイトルによってアプローチの仕方が違いますが、まずそのタイトルが、どんな状態で保全されているか(データが残っているか)によりますね。それを把握して、どの環境に移植するかで見積もりが変わってきます。

坂本:内部にせよ、外の開発会社さんに任せるにせよ、移植できるかどうかをまず相談するところから始まります。直良さんのいう“保全の状態がいい”、すなわち“データが再現しやすいように残っている”ならやりやすいんですけど、そうでない場合、どうやってデータを復元するかで一番苦労しますね。

――もしオリジナル版のデータがなかった場合、どうやって探すのですか?

坂本:元々の開発者が残っていれば、バックアップがないかとか、プログラムの再現をお願いするとかいろいろな方法で探します(笑)。

直良:今回の場合、グラフィックに関するデータは、会社の了承を得て僕が個人で持っていたんです。

坂本:そう、直良さんの場合は、ちゃんと会社に話を通したうえで、バックアップを持っていたんですよ。おかげで助かりました。

直良:そういうこともあるんじゃないかと思って。そしたら案の定ですよ(笑)。

――データの保全ってどこも大変みたいで、PS2より前のものはかなり怪しいと聞きますね。ちなみに、結局データが出てこなかった場合はどうするのですか?

坂本:まったく出てこなかった場合は1から作りなおし……ですが、それをするくらいでしたら、正直新しいタイトルを作った方がいいという考えもあります。そこはやはり会社なので、予算と売り上げ予想が合致しなくなると、プロジェクトとしては立ち上げにくくなりますね。

――実際、本作のリマスターに際して、なくて困ったデータってありました?

坂本:そうですね、意外とないデータはあるな、と(笑)。あって欲しかったものでいえば、先ほども言いましたが、PC版に移植するうえでの内部的な変更点のメモですかね。これが全部残っていると助かったのになという感じですね。

直良:正直、何が正解なのかわからない状態ですからね。

坂本:360版はこうだったけど、PC版はこうなっているという差異がでると、どっちが正しいのかってのがわからないんですよ。検証はしているんですが、検証してもはたしてそれが開発側の意図なのかどうかもわからないですし。

直良:聞いても、髙井さんとか前廣さんとかはきっと忘れてますよ(笑)。

坂本:でも前廣さんは、素晴らしいものを残してくれましたよ。PC版からラッシュがクリムゾンフレアを覚えられるようになったんですけど、その覚える条件を、メモに残してくれていたんです(笑)。あれ、めちゃめちゃ複雑なんですよ。当然Xbox 360版の攻略本には載ってませんし、たしかWikiも間違っていたと思います。ものすごい複雑なんだけど、「なんかメモが残ってた」って教えてくれました。「メモなので正確がどうかはわからないけど」って言われましたけど、検証の結果、おそらく合っています(笑)。

――今回メインイラストも直良さんが手掛けていますが、10年ぶりに描いてみて、いかがでしたか?

直良:そうですね、かつて遊んでくださった方の想いを壊したくないし、初見の人とのバランスもとらないといけないしで、レイアウトには苦しみました。また、当時は海外向けにCG、国内向けにイラストと分けていたのですが、今回はちょうどその中間になるイメージもありましたし、ちょっと久々に難産なイラストでした。なんとか追い込んで描いてましたけど。あと、イラストとしての絵の描き方が、最近ようやくちょっとわかってきたというのがありまして。

――えっ、最近ですか?

直良:最近です(笑)。もともとデザイナーだったので、これまではデザインを主体に考えることが多かったんですが、“イラスト”って考えたときに「こう描けばいいんだな」というのが、ようやくわかってきたといいますか。

坂本:『ラスト レムナント』の群像劇感がすごく出ていて、いい絵を描いてもらったなと思います。

直良:坂本君から初めて感想聞いたかもしれない(笑)。

――ちなみにそんななかに、【??】がいないのは、やはり伏せておくという意味があるのですか?

坂本:あー……なるほど、そうですね。いや、たぶん人数が多すぎるのが一番の理由じゃないでしょうか(笑)。

直良:多すぎますよね。バランスとるのも大変でしょうし(笑)。個人的には【七人衆】とかも入れたかったのですが、絵が散らかってしまうのは明らかなので、この辺は割愛しようとか、いろいろ考えていました。

――ほかに、TGSの生放送でも言ってましたが、アイコン部分はすべて直良さんが描きなおしたそうですね。

坂本:アイコンのデータが画面表示用しか残ってなくて、やってみてわかったんですが、解像度の高いTVだと拡大してることがバレちゃうんです。一応、開発会社さんの方でレタッチしてくれたんですけど、「このままでは出せないな」と思っていたところ、直良さんが全部直すって言ってくれたので助かりました。

――どれくらいの数だったのですか?

直良:110点くらいですね。坂本くんから予算が限られていると何度もいわれていたんで、1週間くらいで全部片づけました。

坂本:その節は助かりました。ちなみに直良さんにもちゃんとお金払ってますよ(笑)。

――PS3発表当時、電撃Play Stationで連載コーナーを設けて、直良さんにイラストを描いてもらっていたのですが、リマスター発表にあわせてまとめて掲載させていただきました。当時やっててよかったなと。

直良:ああいうメディアとの取り組みはすごく楽しかったので、ありがたかったです。

坂本:宣伝のほうから校正でレイアウトもろもろ見せていただいて、いま思えば電撃さん美味しいことやってたなって(笑)。

――あれも1つの、過去が遺した素晴らしい“レムナント”ですね。

坂本:まったくです(笑)。

直良:あまり褒められたことないので、恥ずかしいですね(笑)。

――リマスターを発表したときのファンの反応はいかがでしたか?

坂本:僕はオリジナル版の開発者ではないですが、ぜひ復活させたいし、復活させるべきゲームだと思っていたので……「やった!」とか「ついにプレイステーションプラットフォームで」などの声がけっこう多くて、「ああ、同じ気持ちの人がたくさんいてよかったな」と思いました。「今更だな」っていう声が多かったら嫌だなあと思っていたんですが、だいぶ温かい声をいただいたなあと思っています。

直良:じつは散り散りになった開発メンバーと「そろそろ10年くらいたつんだね。また集まりたいね」と本作について話をすることがあったんですけど、リマスター版が進行しているのを自分だけ知っていたので、言いたくても言えずずっとモヤモヤしていました(笑)。なので発表されたあと、当時のメンツで声かけあって、今度同窓会をやることになりましたよ。

――それはまた、豪華な同窓会になりそうですね!

坂本:けっこう集まりがいいので、ぜひ続編をという話をしてもらおうかと(笑)。髙井さんは、ほかの方に作ってもらいたいといってましたけど。

――実際、ファンが一番気になるところだと思うのですが、続編の可能性は……!?

坂本:少なくとも、僕の周辺ではそういう話は動いてないですが、PS4版でいい成績を残せたら、少しは会社に提案しやすいかなと思いますね。ただ、ストーリー的にはだいぶ綺麗に終わっている作品なので、あまり蛇足的なものを作るのもよくないとは思います。やるんだったら、どういう続編を求められているのか、それをしっかり把握してからだと思いますね。

――そういう意味では、今回のPS4版が最終FIXという形でリリースされ、新しいユーザーさんに届けられるのは大きいなと思います。

坂本:ターゲットとしては、過去にやってた人はもちろんなんですが、『ファイナルファンタジー』でもない、『サガ』でもない、『ドラゴンクエスト』でもない、けれどスクエニを代表する1本といってもいいと僕は思っていますので、年齢はあまり関係なく、新しいRPGというか、今までやったことのないゲームをやりたいなと思ってる方にぜひ触れてもらいたいなと。時間の流れに埋もれていくのはもったいない作品だと思いますので。

直良:今回が本当に最終的な答えというか、ようやく今まで買えなかった人にも届けられるというタイミングなので、ぜひ触ってみて欲しいなと思います。

――ちなみに坂本さんは、このゲームの一番の魅力はどんなところだと思いますか?

坂本:当時は「変わったゲームだな」というところがまずあって、世界観とストーリーがすごくおもしろいと思っていました。そのストーリーに、河津さんが作っているので『サガ』っぽさが含まれていて、でも『サガ』ではない。そんなストーリーのおもしろさに引っ張られていくんだけど、しだいにバトルの奥深さにハマっていき、バトルをしたくてストーリーを追っかけているのか、ストーリーを楽しむためにバトルをやっているのか、どっちかわからなくなるゲームだな……と思っていました。けれど今にして思うと、どっちがおもしろいとかじゃなくて、ちゃんとどっちも補完するようにできているからこそ、これだけおもしろくなっているんだなと、移植してみて実感しました。そのあたりのバランスを作り上げた高井さんやオリジナルスタッフには驚嘆しますし、まさに奇跡的だと思いますね(笑)。そういう印象のゲームというか……答えになってますかね(笑)。

『ラスト レムナント リマスタード』

直良:髙井さんは、いろいろなゲームで “こうしたい”“こうなればいい”を逐次考察し、細かく実現し積み重ねてきた人だと思うんですが、『ラスト レムナント』は、新規IPということもあってそうした積み重ねのすべてを実現しようとしたゲームなんだろうな、というのを横で見ていて思いました。「こうするべきじゃないか」とか「戦い方もこう見せるべきじゃないか」とか、常にいろんなことを考えて、考察しているんだなということが、会話の端々に出ていましたから。ちなみに髙井さんは昔『FFV』か何かのデバッグをしていたら、的確なことを鋭く言い過ぎてデバッグスタッフから外された過去もあるらしく(笑)。そういう細かい洞察力は、昔から高かったんじゃないかと思います。面と向かって褒めるのはちょっとお互い気持ち悪いんですが、まあこういう場だからということで(笑)。

――直良さんにとっては、本作の魅力とはどういったところだと思いますか?

直良:髙井さんも自分もそうですけれど、『ファイナルファンタジー』などにずっとかかわってきた人間が、新規タイトルを手掛けられるってそうそうないチャンスでしたので、そこを楽しんでやれたっていうこと自体はすごくいい経験でした。さきほどの髙井さんの話もありますが、ほかのスタッフの試みも含めて、実験的なことがすごく詰まっていたと思うんです。実験的と言っても単にラジカルなものだけではなく、いろんなことを踏まえて経験してきた連中が生み出した、新しい、“『ファイナルファンタジー』ではできないこと”を詰め込んで生まれたタイトルなので、純正ファンタジーなんだけれどやっぱりどこか異色で独特な存在感を持ったタイトルになっていると思います。そのあたりも含めて、ぜひ触ってもらえるとありがたいです。

――では最後に、楽しみに待っているユーザーにメッセージをお願いします。

坂本:先ほどと少し被るんですけど、以前プレイした方でも、完全にすべての要素を網羅して100%クリアまでいく人はあまりいなかったと思うので、ぜひ以前プレイしていた方は、クエストやらギルドアドベンチャーやら、細々としたものも全部楽しんでいただけると、あらためて『ラスト レムナント』のおもしろさもわかってもらえると思います。初めての方は、10年前のゲームですが、今まで見たことのない、まったく新しいRPGに出会えると思いますので、楽しんでもらいたいなと思います。

直良:『ラスト レムナント』を気に入ってもらっていた人は、今回が“真の”というと……ちょっと語弊がありますが(笑)、最終バージョン的な意味合いもありますので、ぜひ触ってもらえると嬉しいです。そして、ぜひ近くの人たちに布教してください。そうしてどんどん伝わって、新しくプレイしてくれる人が増えると嬉しいです。

――ありがとうございました!

『ラスト レムナント リマスタード』

(C)2008, 2018 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

データ

▼『THE LAST REMNANT Remastered(ラスト レムナント リマスタード)』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:PS4
■ジャンル:RPG
■配信日:2018年12月6日
■価格:3,980円+税

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