公演を重ねるごとに人気を博している“ミュージカル『刀剣乱舞』” （以下『刀ミュ』）の公演作品の枠を越えた刀剣男士たちが集結した祭が今年も開催！　11月24日から12月16日まで、5会場全13公演を駆け抜けた“ミュージカル『刀剣乱舞』～真剣乱舞祭2018～”東京公演2日目の昼の部の模様をお届けします。

日本一の祭はどこ？

　吹きすさぶ風の音とともに登場したのは、巴形薙刀。物悲しい旋律とともに弔いの舞を静かに舞います。その舞を見ていた堀川国広は誰のためになのか問うと、「戦で散ったすべての者たちのために」と巴形薙刀。

　その時、にぎやかに登場したのが“結びの響、始まりの音”（以下、“結び”）の面々。なにやら陸奥守吉行が、日本一の祭りは土佐のよさこい祭りだと言い張り、YOSAKOIソーラン祭りを認めないことに和泉守兼定はおかんむりの様子。するとそこに蜂須賀虎徹や“阿津賀志山異聞2018 巴里”（以下“巴里”）の刀剣男士たちや“三百年の子守唄”（以下“三百年”）の刀剣男士たちも話に参入。阿波踊りに祇園祭、裸祭りなどたくさんの祭りの名前があがります。

　そこに、髭切と膝丸が登場。髭切はふと「有名なお祭りは西に集中しているね」と指摘。それを聞いて黙っていないのが東北に縁のある和泉守兼定です。ねぶた祭り、雪祭り、YOSAKOIソーラン祭りと名を上げます。しかし、やはりしっくりこない髭切は、こう尋ねます。「東と西、どちらのお祭りのほうが楽しいのかな？」

　そこで三日月宗近が、東西分かれてどちらの祭りが盛り上がるか対決しようと提案！　名付けて“東西祭り対決”の始まりです！

　刀剣男士たちは、各々縁のある地や元主の想いに添って東西に分かれていきます。

　チーム分けは以下のとおりになりました。

【東軍】
大和守安定、和泉守兼定、堀川国広、長曽祢虎徹、蜻蛉切、千子村正、物吉貞宗、髭切、膝丸
【西軍】
三日月宗近、小狐丸、石切丸、岩融、今剣、蜂須賀虎徹、にっかり青江、陸奥守吉行

　しかし、巴形薙刀だけぽつりと一振り残されてしまいます。彼は物語をもたない刀剣男士。東西どちらかを選ぶことはできないのでした。そこで三日月宗近は、中立的な立場にある行司として、見定めて欲しいと軍配を渡すと、承諾するのでした。

東西祭り対決開始！

　神聖な鈴の音と共についに勝負が始まります。

　対決のオープニングを飾るのは、刀剣男士全員による勢いのあるナンバー。巴形薙刀のソロから始まり、刀剣男士たちの力強く勢いのある歌声が続きます。「わっしょいわっしょい！　どっこいどっこい！」と楽しそうに歌い踊る刀剣男士たちの様子から、会場にも楽しい祭り の雰囲気があふれていました。

　さて、一体どのような祭りが始まろうとしているのか？　行司の巴形薙刀は、中央を司る麒麟が描かれた黄金色の装束をまとい、“呼出”をおこないます。

　最初に現れたのは、西軍の山鉾、祇園祭りです。白色の装束に西を司る白虎を背負った西軍の刀剣男士たちが、鉦（しょう）を鳴らし現れます。山鉾の屋根には、こんのすけがちょこんとかわいらしく乗っていました！　

　次は東軍の出番です。青い装束に東を司る青龍を背負い、「ラッセラー、ラッセラー！」とねぶた祭りの掛け声で勢いよく登場！　花笠を持ち、楽しそうに歌い踊ります。一番目をひいたのは西軍に負けじと現れたこんのすけの山車です！　本場顔負けの迫力のある祭りとなりました。

　休む間もなく次は西軍の阿波踊り！　蜂須賀虎徹と三日月宗近を中心に、楽しげに歌い踊ります。行司という立場でどの祭りにも参加し踊っている巴形薙刀ですが、表情はとても楽しそうでしたよ！

　雰囲気がガラッと変わり、今度は東軍の雪祭り。千子村正と蜻蛉切の美しい歌を中心に、雪のように舞い踊ります。東軍の刀剣男士たちは、薄青の布で雪を表現し、冬の美しい雪像の美しさを感じ取ることができました。

　続いて西軍は、陸奥守吉行推薦のよさこい祭りです！　「やっちゃれやっちゃれ！」と力強い掛け声で祭りを盛り上げます。刀剣男士たちは、鳴子を手にし、賑やかに踊っていました。

　西軍がよさこい祭りときたら、もちろん東軍のはYOSAKOIソーラン祭りです！　蜻蛉切の「ヤーレンソーラン！」の美しい歌声から始まり、勢いのある音楽に乗せて歌います。

　最後は「ラッセラー！」「ヤーレンソーラン！」と両軍の掛け声合戦です！　後ろには青龍と白虎の大きな旗も表れ、どちらも譲りません。

祭りとは――

　両軍の打札も出し終わり、勝敗の行方を知るために、皆の視線が巴形薙刀に集まります。千子村正は、太ももをチラチラ見せながら色仕掛け（？）で少しでも気を引こうと必死です（笑）。

　すると巴形薙刀は「少し時間がほしい」と要求。「まだ祭りというものを理解しきれていない」と話すのです。すると、小狐丸が「待ちましょう」と穏やかに伝えます。同じ三条の刀である三日月宗近と石切丸も同意を表し、他の刀剣男士たちも賛同します。

　ゆっくりと考える時間をもらった巴形薙刀は、ふと何かが半分かけている感覚に陥ります。その感覚はどこかで感じたことのあるものでした。それは巴形薙刀自身と同じだと気づきます。しかし、欠けたもう半分は一体……？

　そう考えているうちに現れたのは、“結び”で悲しい末路をたどった時間遡行軍の三振りでした。かつて巴形薙刀が自分と同じ“物語を持たない刀たち”その成れの果てだと話していた刀剣たちです。そして次々と現れる歴史上の人物たち。近藤勇、土方歳三、源義経、武蔵坊弁慶……。

　そこで巴形薙刀は気づくのです。「そうか、祭りは彼岸と此岸、この世とあの世をつなぐものでもある」と。そして、生けるものが祈るだけではなく、あの世の者たちも生きとし生けるものたちのために祈っていたのだと知るのでした。

　どこで聞いていたのか、まるでその答えにたどり着くことがわかっていたかのように現れた三日月宗近は、巴形薙刀に「それが祭りだ」と伝えるのでした。

次々と歌い踊る、怒涛のライブパート！

　三日月宗近の言葉を皮切りに、ライブパートの始まりです！

　最初に表れたのは、“巴里”の刀剣男士たちと髭切、膝丸。皆で『Lost The Memory』や『IN MY LIGHT』を歌い上げます。途中のMCでは、パリのお土産をねだる髭切に対して笑ってごまかす三日月宗近の姿も（笑）。パリに行ってみたいなぁとつぶやき、パリに向かって走り去る髭切と、そんな兄を追いかける膝丸を見送った“巴里”の刀剣男士たちなのでした。

　すると、石切丸が、会場の審神者たちの厄を落とすと宣言。『断然、君に恋してる』を石切丸、今剣、岩融の三振りでかわいらしく歌い踊ります。ときどき、投げキッスやハートをつくる彼らの仕草に、会場の審神者たちもドキドキです！

　一方、パリにたどり着いたと思い込む髭切と、そんな兄を追いかけてきた膝丸に二振りが歌うのは『Just Time』。歌とともに、得意のアクロバティックなダンスとバレエで会場を魅了するのでした。

　“巴里”の面々があたためた会場に、重厚な音色とともに表れたのは“結び”の刀剣男士たちです。『Seacret Sign』を歌い上げます。次の『Heart to Heart』では、蜂須賀虎徹も登場！　なんと今回新たに誂えてもらった衣装を着てきたそうです。MCでは、久しぶりに揃った蜂須賀虎徹、長曽祢虎徹二振りの2ショットを撮る、結びの刀剣男士たちという微笑ましい場面も見られました。大和守安定にたっては、「ハッピを着たらハッピー！」と審神者たちにコールを求める様子も（笑）。『漢花、美しき日々よ』を歌い上げたのは大和守安定、蜂須賀虎徹、長曽祢虎徹、陸奥守吉行の四振り。ライトや扇子を巧みに使い、楽曲を鮮やかに彩りました。

　次に登場したのは“三百年”の刀剣男士たちです。歌われたのは『Can you guess what?』。変わらない美声を響かせ、会場を一気に三百年色に染め上げます。すると今度は雰囲気を変えて『ゆうやみ』へ。夕焼け色に染まった舞台で穏やかに歌います。ふと見ると、何やら千子村正が中央の階段を掃除し始めます。そして周りに散っていた仲間を集め、五振り仲よく階段に座り歌うのでした。とても微笑ましくも美しい光景に、会場も和やかな雰囲気に。さらに、MCでは心からこの祭りを楽しんでいる蜻蛉切の笑顔も！

　審神者たちの笑顔に満足している面々でしたが、千子村正は「祭りはこんなものではありませんよ。本物の祭りを教えてあげまショウ」と話します。最後はやはり、千子村正が物吉貞宗を追いかけるという、いつもの見慣れた風景になるのでした。来年1月から始まる“三百年”の公演がより楽しみになる一時となりました。

祭りはまだこれから！

　ここから公演作品関係なく、シャッフルした組み合わせの刀剣男士たちのナンバーが続きます。

　最初はムーディーな大人っぽい音楽に合わせて和泉守兼定と巴形薙刀のデュエットで『誰のモノでもない人生』が歌われます。巴形薙刀の椅子を使った美しいダンスや、和泉守兼定の普段とは違う大人っぽさが光る一曲となりました。

　次に登場したのは、小狐丸です。「ご心配をおかけしました。おかげさまで更に大きくなって小狐丸戻ってきました」という審神者への言葉に、会場からも喜びの声が。巴里公演で叶えられなかった三日月宗近と小狐丸のデュエット『Time line』が披露されました。小狐丸の衣装はここが初披露となり、伸びのある歌声が会場に響き渡っていました。

　次は『Don’t worry,don’t worry』～『Geteway』～『mistake』の3曲のメドレーが続きます。特に岩融、蜻蛉切、巴形薙刀で歌われた『Geteway』は、大人っぽくも力強い声音でとても素敵な雰囲気に歌い上げられていました。

　加州清光の楽曲でお馴染みの『解けない魔法』を歌ったのは、にっかり青江と千子村正の怪しさMAXのコンビ（笑）。息も声質もピッタリで、オリジナルとは異なる怪しげな二振りにピッタリのアコースティックアレンジVer.で披露されました。歌い終えた後、顔を合わせて笑い合う二振りですが、なんとなくにっかり青江のペースに合わせにくそうな千子村正の姿が（笑）。

　次は小狐丸のソロ曲『Versus』を一回りも二回りも大きくなった小狐丸が思い切り歌い上げます。その歌に華を添えるように踊りで参加する髭切と膝丸。その二振りがステージを去るとき、彼らにきちんと礼をする小狐丸の姿には、こちらもあたたかな気持ちにさせてくれました。

　そして今度は、クリスマスの雰囲気が感じられるゆったりとしたナンバーです。堀川国広のあたたかな歌声から始まり、青や白のキャンドルを灯した刀剣男士たちが声を重ねていきます。雪が舞う中ゆったりと歌い上げ、そして、静かに消えていくのでした。

祭りはクライマックスへ

　あの世では、義経と弁慶がどうやら迷い込んでしまったようです。反対側からは新選組の面々の姿も。さらに源頼朝と藤原泰衡も加わり、皆で旅路を行くことに。すると、“結び”で登場した榎本武揚まで合流します。そして、集まった歴史上の人物で、彼の『To the North』を歌われました。

　そのころ本丸では、内番姿の刀剣男士たちが姿を表し『だいすき』を歌います。石切丸のコールに続いて「大好きだよ」とレスポンスをする審神者たち。そしてこの日、石切丸の盛り上げのお手伝い役を担ったのは、三日月宗近と和泉守兼定でした。互いに「大好きだよ」と言葉を贈り合う刀剣男士たちと審神者たちの気持ちが一つになった瞬間となりました。

　続く『Million Melodies』では刀剣男士たちが客席に！　巴形薙刀はハートを作ったり、蜻蛉切が胸の梵字を見せたりと、審神者たちとのふれあいを楽しんでいるようでした。大和守安定はというと、音楽に合わせて、エアヴァイオリンを披露していましたよ！

　その後の楽曲では、仲よしの石切丸と岩融がタオルを交換して回しているシーンも見られ、ほっこりしました。

　そして、待ちに待った歴史上の人物たちによる和太鼓の演奏です！　榎本武揚の「HO-!」というコールでさらに盛り上がる審神者たち。そして源義経の出陣の合図で、弁慶の太鼓が響きます。力強い掛け声とともに太鼓のパフォーマンスが披露されました。異なる時代の人物たちですが、音色ばかりではなくバチさばきまできっちり美しくそろっており、感動しました！　さらに今回は、太鼓もお祭りバージョンになっているようで、「せいやせいや！」「それそれ！」と小粋な掛け声で大盛り上がりとなりました。

　続く『白刃の月』は、“結び”の新選組の3人と、榎本武揚が太鼓の音色に合わせて歌います。時代を超えた人物同士の殺陣も見られ、貴重な一場面となりました。

　そしてさらにヒートアップ！　衣装を脱いだ刀剣男士たちが再登場し、『獣』を歌い上げます。特に、ポイ（光る棒）による「真剣乱舞祭2018」の文字を映し出す演出には驚かされました。

勝負の行方は？

　華やかに大いに盛り上がった祭りも終盤を迎えます。改めて巴形薙刀に祭りの勝敗を尋ねる堀川国広。すると、「楽しくて忘れていた」という巴形薙刀。心から楽しめていたとわかる笑顔を見て、周りの刀剣男士たちも優しい雰囲気に。そこに、巴形薙刀にそっと耳打ちをする三日月宗近。巴形薙刀が出した結果は……「無勝負！」あっけにとられる面々ですが、その結果に文句を言う刀剣男士は一振りもいません。“結び”の刀剣男士たち（と、そこに混ざる千子村正）は、「今度は東西飲み比べ対決を執り行おう」と盛り上がる始末。

　一振り、また二振りとその場をあとにする刀剣男士たち。最後に残ったのは巴形薙刀……そして、あの世に住まう歴史上の人物や時間遡行軍の姿でした。巴形薙刀は彼らに弔いの歌で送ります。そして、「また会おう、この祭りで」と言い残し、祭り囃子の笛の音と共に去っていくのでした。

　祭りの余韻を噛みしめるように刀剣男士全員でしっとりと歌われたのは、どこか懐かしさを感じる、新曲です。楽しい祭りだったと語り合う温かさと、祭りが終わってしまう切なさとが混ざり合うような曖昧な気持ちを感じながら、日が沈む景色の中ゆったりと歌い上げる刀剣男士。お囃子の音が耳に残る、とても印象的な素敵な楽曲でした。

　そしてアンコールでは、全出演者が集まりおなじみの『刀剣乱舞』を歌います。2時間超えの夢のひとときを担った出演者たちに、惜しみない拍手が届けられ、幕を閉じました。

ミュージカル『刀剣乱舞』 ～真剣乱舞祭2018～　公演概要

■公演期間・会場：
【福井公演】2018年11月24日　サンドーム福井
【東京公演】2018年11月27日～11月28日　日本武道館
【宮城公演】2018年12月5日～12月6日　セキスイハイムスーパーアリーナ
【大阪公演】2018年12月11日～12月12日　大阪城ホール
【千葉公演】2018年12月15日～12月16日　幕張メッセ国際展示場9･10･11ホール

■原案：『刀剣乱舞-ONLINE-』（DMM GAMES／Nitroplus）より
■総合演出：茅野イサム
■脚本：御笠ノ忠次
■振付・ステージング：本山新之助

■出演
　三日月宗近役：黒羽麻璃央
　小狐丸役：北園 涼 ※
　石切丸役：崎山つばさ
　岩融役：佐伯大地
　今剣役：大平峻也
　大和守安定役：鳥越裕貴
　和泉守兼定役：有澤樟太郎
　堀川国広役：阪本奨悟
　蜂須賀虎徹役：高橋健介
　長曽祢虎徹役：伊万里 有
　にっかり青江役：荒木宏文
　千子村正役：太田基裕
　蜻蛉切役：spi
　物吉貞宗役：横田龍儀
　髭切役：三浦宏規
　膝丸役：高野 洸
　陸奥守吉行役：田村 心
　巴形薙刀役：丘山晴己

　武蔵坊弁慶役：田中しげ美　　源義経役：荒木健太朗
　源頼朝役：冨田昌則　　藤原泰衡役：加古臨王
　近藤 勇役：郷本直也　　土方歳三役：高木トモユキ
　中島 登役：新原 武　　榎本武揚役：藤田 玲　ほか

■主催：ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
（ネルケプランニング　ニトロプラス　DMM GAMES　ユークリッド・エージェンシー）

■公演に関するお問い合わせ：ネルケプランニング　03-3715-5624（平日 11：00～18：00）

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（C）ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会