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2019年2月12日(火)

【おすすめDLゲーム】ドット絵SLG『Wargroove』はライトな見た目でゲームは骨太。エディター機能も楽しい

文:キャナ☆メン

 ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回は、Nintendo Switch/PC版が国内配信されている『Wargroove』のプレイレポートを掲載します。

『Wargroove』

 『Wargroove』は、人気のSFサンドボックスゲーム『Starbound』を手がけたイギリスのデベロッパー・Chucklefishが開発した、ファンタジーの世界観を持つウォーシミュレーションゲームです。

 マップに点在する拠点を奪い合い、拠点の収入をもとにユニットを生産して勝利を目指す戦略要素を備えたターン制タクティカルバトルが特徴で、開発元は影響を受けたタイトルとして『ゲームボーイウォーズアドバンス』など日本のゲームを挙げています。

『Wargroove』
『Wargroove』

 本作の中でも、筆者が個人的に一番おもしろい要素と感じたのは、マップやシナリオを作成できるエディター機能です。

 残念ながら、原稿の執筆時点では、Switch版で日本語を入力できない問題が発生していますが、こちらは修正パッチで対応されることが開発元から告知されています。なお、本記事ではPC版のプレイをもとに感想をお届けします。

カジュアルに見えて奥の深いゲーム性

 本作は、物語に沿ってマップを攻略していくストーリーモードをメインに複数のゲームモードが用意されています。

『Wargroove』
▲ゲームを起動すると、日本のゲームのようにアニメーションムービーが流れます。

 物語は、チェリーストーンと呼ばれる国の王が暗殺される導入部から始まり、父の意志を継いで女王に即位したマーシアを主人公にシナリオが展開していきます。

 ドット絵のビジュアルは温かみとライトファンタジーの世界観がよく出ていて、物語の芯はシリアスながら、コミカルな味を感じるキャラクターのやり取りが特徴的です。ゲームのコア部分は奥深いですが、最初はカジュアルに入り込めるでしょう。

『Wargroove』
▲シナリオは、ドット絵キャラクターの織り成すカットシーンで展開します。
『Wargroove』
▲シナリオに沿って、ワールドマップに戦闘マップが出現。寄り道できるサイドクエストも存在します。

 基本のバトルシステムは、ターン制で戦術的にユニットを動かすシンプルなものですが、前述の通り、拠点制圧とユニット生産に絡む戦略性を持つため、敵との駆け引きに奥深さを楽しめます。

 どのタイミング・順路・戦力で拠点を占拠し、どのユニットを生産して戦力を整えるか。ユニットが増えるほどに選択肢が広がるので、ストーリーを進めるほど、じわりじわりとSLGの“考える醍醐味”が深まっていくように感じました。

『Wargroove』
▲フォグ・オブ・ウォー(※視界の外が霧に覆われるシステム)によって、索敵が重要性を持つマップもあります。

 また、シチュエーションがガラッと変わるマップが豊富に用意されていることも本作のおもしろさです。個人的には、敵軍に追われて撤退戦を繰り広げるマップが燃える!

 サイドクエストもいろいろと存在し、じっくり楽しむか、早く物語の先を遊ぶか、自分のペースでプレイできます。

『Wargroove』
▲追ってくる敵軍を積極的に攻撃しながら逃げる撤退戦。この状況に限らず、何か考える要素が増えると、通常の勝利を目指す以上におもしろさを感じます。

慎重な用兵が求められる骨太なSLG

 ユニット同士の戦闘は、先に攻撃した側が圧倒的に有利であるのが特徴です。

 ユニットの体力はパーセント(%)で管理され、残り体力が攻撃力に直結します。そのため、攻撃されて体力が減るとそのまま戦力ダウンにつながります。

『Wargroove』
▲心は痛みますが、体力の減ったユニットを盾として使い、体力MAXのユニットを温存するのは有効です。

 どんなSLGでもユニット同士の相性を確認すること、ユニットの真価を発揮できる状況を満たすこと、敵側の攻撃範囲を把握することなどは重要ですが、本作はそれが特に顕著です。

 ユニットの動かし方1つで、相手を一撃で倒せることもあれば、被害ばかりが増えることも……。逆もまた然りなので、一手のミスで前線が崩れることは珍しくありません。

『Wargroove』
▲一般ユニットにはクリティカルヒットの発生条件があります。上の画面では、自軍のアルケミスト(右側)にクリティカルが発生しています。
『Wargroove』
▲一撃で相手を倒せる条件を整えれば、反撃を受けずに戦力を温存できます。

 慎重な用兵を求められますが、それは同時に“プレイヤーの戦術がモノを言う”おもしろさでもあります。

 シンプルなルールやカジュアルなビジュアルとは裏腹に、戦略と戦術が勝敗を左右する骨太なSLGの遊びを楽しめるはずです。

『Wargroove』
▲序盤のチュートリアルは丁寧ですが、ゲームが進むにつれて歯応えが増します。難易度は細かく調整できるので、自分に合った設定でプレイしましょう。

 なお、ゲームモードの中には、決められたユニット配置のマップを1ターンでクリアする“パズル”モードが存在します。

『Wargroove』
▲詰め将棋的なパズルモードは、プレイヤーの戦術を問われるモード。ストーリーモードとはまた違った楽しみ方ができるでしょう。

司令官ユニットとグルーヴ

 ゲーム内には4つの勢力が登場し、各軍に3名の司令官ユニットが所属しています。

『Wargroove』

 各司令官はユニット単体として強力なうえ、ゲージをためると発動できる“グルーヴ”という必殺技を持っているのが特徴です。

『Wargroove』
▲グルーヴを発動。主人公・マーシアのグルーヴ“ヒーリングオーラ”は範囲回復の効果を発揮します。

 グルーヴの効果は、複数のユニットを回復するものや、複数のマスにバリアを展開するもの、司令官が直接ユニットを生産できるものなど、それぞれユニークなものばかり。使いどころ次第で戦況に大きく影響するので、司令官が異なればプレイに細かな違いが出てくる楽しさがあります。

『Wargroove』
▲マップによっては複数の司令官ユニットを使えることもあります。

 なお、アンロックした中から任意の司令官を選んで、他の司令官を1人ずつ打ち破っていく“アーケード”モードも存在します。

『Wargroove』
▲アーケードモードの画面。

 前述のストーリーモードとパズルモードと合わせて、シングルプレイ用モードだけでも遊び応えは十分。さらにローカル&オンライン両対応のマルチプレイや後述するマップ作成機能もあるので、2,050円という価格とボリュームを照らし合わせると、とてもリーズナブルにゲームを堪能できるのではないかと思います。

『Wargroove』
▲イラストをアンロックするギャラリーや、BGMを視聴できるジュークボックスなどのオマケ要素も。対応するゲームモードを遊んでアンロックしていきます。

想像力のぶんだけ遊びの幅が広がるマップ作成機能

 筆者が本作で一番おもしろいと感じているマップエディターですが、とにかく機能の充実ぶりがすごいです。

 マップを自由に作成できるうえ、カットシーン(イベントシーン)まで作れるので、きちんとシナリオ込みでマップ作りにこだわれます。

『Wargroove』
▲マップ作成画面です。地形パネルやユニットの配置だけでなく、フラグを管理したイベントも細かく設定できます。
『Wargroove』
▲カットシーンの作成画面。演出の流れをタイムラインで管理し、再生して思うようにシーンが進むかを確認しながら作っていきます。

 単一のマップだけでなく、複数のマップで構成したキャンペーンの作成にも対応しているので、簡易的なツクール系ソフトのように、自分の想像力を注ぎ込んでこだわりの作品を生み出せるでしょう。

 作成したマップ&キャンペーンは、世界中のプレイヤーとシェア可能です。世界中ゆえ、英語のシナリオが圧倒的に多いですが、すでに膨大なマップがアップロードされています。

『Wargroove』
▲コードを入力して、対応するプレイヤーが作成したマップを検索するシステムも存在します。

 アメフトを模したマップや、本来はルールにない“フラッグ戦”を取り入れたマップなどユニークな作品も生まれており、アイデア次第でゲーム性の幅まで広がるような可能性に満ちています。クリエイティブな遊びが好きな人は、どっぷりハマる可能性があるのではないでしょうか。

 なお、カットシーンのサンプルを試しに作ってみたので、“このくらいのシーンだと、初めてでも意外と簡単に作れる”という目安の参考までに動画を掲載しておきます。

 こだわり派の人であれば、アイデアとかける時間次第できちんと凝った内容のものが作れるので、その点はご安心を!

 前述のSwitch版のバグは修正が告知されていますし、公式ブログではDLCなどの展望も語られ息の長いゲームになりそうなので、ぜひ思い思いのマップやキャンペーンを作って楽しんでみてください。

Wargroove (C) Chucklefish LTD 2018.

データ

▼『Wargroove』
■メーカー:Chucklefish
■対応機種:Nintendo Switch
■ジャンル:SLG
■配信日:2019年2月8日
■価格:2,050円(税込)
▼『Wargroove』
■メーカー:Chucklefish
■対応機種:PC
■ジャンル:SLG
■配信日:2019年2月1日
■価格:2,050円(税込)

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