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2019年2月20日(水)

【STG座談会:前編】2Dシューティングの伝統は海外が受け継ぐ時代!? 『ダライアス』制作秘話も

文:電撃オンライン

 インベーダーゲームをはじめ、長い歴史を歩んできたシューティングゲーム(STG)。さまざまな進化を遂げ、3Dシューティングや弾幕シューティングなど新たなカテゴリが世に出ています。

 そこで、昔ながらの縦スクロールや横スクロールの2Dシューティングを愛し、今なおSTGに情熱を注ぐ4人のキーマンにお集まりいただき、STG業界についていろいろと語ってもらいました。

【STG座談会:前編】

 この記事でお届けする座談会の前編では、“STG業界の現状”や“開発チームの人員構成”をテーマにしています。それぞれの作品づくりに懸ける思いや初代『ダライアス』の制作秘話など興味深いお話がたくさんあるので、ぜひ最後までチェックしてください!

※以下、敬称略

▼座談会参加者(敬称略)

・外山雄一(タイトー)/担当作品:『ダライアス コズミックコレクション』

【STG座談会:前編】

~プロフィール~

 2016年の“スペースインベーダーチャンピオンシップ”では無念の予選落ち。『スペースインベーダー』好きが高じて2017年タイトー入社。現在は開発本部室所属。『ダライアス コズミックコレクション』では諸々調整担当。

関連作品:『ヘルツォーク』、『スプリガン mark2』、『蒼穹紅蓮隊』

・木村祥朗(Onion Games)/担当作品:『ブラックバード』

【STG座談会:前編】

~プロフィール~

旅人でゲームデザイナー。スクウェア(現スクウェア・エニックス)を経てラブデリックにてゲームデザイン、シナリオなどを手がける。その後、プロデューサー、ディレクター、シナリオ、ゲームデザイナーとして幅広く活躍している。

関連作品:『moon』、『勇者ヤマダくん』、『Million Onion Hotel』、『チュウリップ』、『NO MORE HEROES』、『王様物語』、『Shadows of the damned』、

・Ben Judd(ベン・ジャッド)(Dangen Entertainment)/担当作品:『デビルエンジン』

【STG座談会:前編】

~プロフィール~

CAPCOMの社内翻訳チーム編成に携わり、同社で初めての外国人プロデューサーに。その後、DDM社に入社し日本支社を設立。DANGEN ENTERTAINMENT設立にも携わり、個人ゲーム開発者に多くの機会を提供している。

関連作品:『バイオニックコマンドー:マスターD復活計画』、『バイオニックコマンドー』

・James Wragg(ジェームス・ラグ)(Degica)/担当作品:『ライバル・メガガン』

【STG座談会:前編】

~プロフィール~

 ゲーム業界に特化した人材紹介やエージェントの仕事を経て、 7年間に株式会社ピラミッドで マネジメントやローカライズ業務に従事してから 2016年にデジカに移籍して、 ゲームパブリッシング業務を全般的にかかわる。

関連作品:『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』、『怒首領蜂大復活』、『スペースインベーダーエクストリーム』、『式神の城』、『ゲーム天国 CruisinMix』

STG業界の現状

ジェームス・ラグ:STGの花形は80年代だと思うんです。ゲームセンターが全国のどこにでもあって、アーケードの新作STGが作られていた本数が年に15~20本ありました。

 90年代に入ると、91年の『ストリートファイターⅡ』で主流のゲームがだんだん格闘ゲームに変わっていって、そのあたりから目立った新作が減っていくんですよね。

外山雄一:僕は90年代にアーケードのSTGを作っていたんですが、80年代より90年代のほうがタイトルだけは多かった印象があります。市場的には小さかったですけど。

ジェームス・ラグ:80年代に『グラディウス』とか『R-TYPE』とか歴史に名を残すような作品が出ましたが、その頃がピークで2000年代になるともう年に4~5本くらい。今は体感ゲームとかクレーンゲームが主流になっていてSTGを置けるような場所ではなかったりします。

 それでSTGはSteamなどの新しいプラットフォームに移って、アーケードの時代から色褪せずに本数自体は出ています。でも、それが皆さんの目に止まっているか、遊ばれているかはちょっと疑問ですね。

【STG座談会:前編】

ベン・ジャッド:格闘ゲームが人気になってきたあたりから、海外にゲームセンターがなくなっていきました。その影響は大きいと思いますね。

 そのあともオンラインゲームなどいろいろと新しいトレンドが出てきましたが、STGは我々の世代である30代から40代のコア層にウケるジャンルなので、マスマーケットにSTGを拡大するのは難しかったかと。

木村祥朗:僕はSTG業界一年生なので業界全体を俯瞰した意見は言えませんが、『ブラックバード』はSTGファン以外の人にもゲームの雰囲気とか世界観とかに惹かれて手に取ってもらえた模様……です。……そしてラスボスに勝てなくて嘆いている人が多くいます(笑)

ベン・ジャッド:現状STGのマーケットはそこまで大きくないので、木村さんがちょっと違う一線で『ブラックバード』を作ってくれたのはすごくありがたい話です。それにマーケットが大きくない今だからこそ、インディーの開発会社が作るのにふさわしいジャンルというか、そこまでデカい企画本数を狙わなくても作れるとも思っています。

木村祥朗:80年代の当時は、STGの開発陣の構成ってすごく少ない人数で作っていたと勝手に想像しちゃうんですが。その必要人数の少なさもインディーに向いているのではないかと。

外山雄一:今も数人で開発しているところもありますし、ゲームづくりを始めたばかりの開発者が最初に作るのはSTGみたいなところもありますよね。

木村祥朗:横スクロールのアクションを作るとなったら、重力とか壁に綺麗に当たるとか考えないといけないけど、STGは空中に浮いているから作るのはシンプルです。

ジェームス・ラグ:STGづくりはやらなくていいことがいっぱい(笑)

ベン・ジャッド:一から作るんじゃなく、過去のアイデアを一部ひねって作るのが意外とうまくいくパターンが多いです。

 RPGの『オクトパストラベラー』は、レトロ風なグラフィックを3Dで作って見せています。XDEV Studio EuropeとHousemarqueが作ったSTGの『レゾガン』は、過去作品の『ディフェンダー』を丸い軌道で動かしたらどうなるかという話で、グラフィックスにひねりを入れたものがうまくいったわけですね。

ジェームス・ラグ:今、Steamに出ているタイトルで、日本のキャラバンシューティング(『スターフォース』、『スターソルジャー』、『へクター’87』)をベースにしている『Zero Ranger』とか、『斑鳩』の武器と敵の相性をベースにしている『Pawarumi』とか。

 いろいろな作品の共通点として、海外の作者が日本の過去のゲームを遊んできて中々出ないから、自分たちで作るというパターンが多いですね。STGに限らずインディーの作品全般で言えることかな。もちろん、『ライバル・メガガン』もその例外ではありません。

木村祥朗:GDC(※)に行った時に海外の人から質問されたんだけど、「日本人以外が過去の日本のゲームをフィーチャーして作ると大ヒットする。でも、日本人がそれをしてもあまり目立たない」という話をされちゃって。

※:“GAME DEVELOPERS CONFERENCE”の略。海外で毎年開催されているゲーム開発者会議。

 それで、ドット絵のゲームを作っている僕に「どういう考えで作っているんですか?」と聞かれたんです。

 その時は何も考えないで「作りたいもの作っているだけ」と説明したんだけど、確かに海外の人からはそんな風に変な感じで、売れそうにない感じで日本の開発者が見られているのかな、と思って残念でした。

【STG座談会:前編】

ベン・ジャッド:海外のインディー系のタイトルで日本と大きく違うのは、作品を発表すると自然と人が集まるところです。

 技術交換したり、意見もらったり、パブリッシングのサポート受けたりするネットワークがあります。そういうチャンネルを使って、よりビジネスチャンスを呼んでいるところもあるのかなと。

ジェームス・ラグ:英語圏っていうのも大きいかもね。情報を発信するのも翻訳を考えずに済みます。

木村祥朗:『勇者ヤマダくん』も『Million Onion Hotel』も、日本と海外で実は結構いい数字が出ていて、ちょっとしかないパブリッシング能力のわりに成功の扉は開いています。

 でも、今回の『ブラックバード』は同じくらいメディアの反応があったにもかかわらず、Steamの海外限定でいうとすごく売れていません(笑)

 僕もプロモーションや営業などいろいろと反省しますが、このあとやれることといったらセールしかないんですよ。だから大変です、戦いが。

【STG座談会:前編】

ベン・ジャッド:Steamは、ここ3、4年くらいでアルゴリズムが変わっていて、2017年くらいからSteam Greenlight(※1)の承認プロセスを止め、Steam Direct(※2)というプロセスに変わったんです。その影響で作品の数が5~6倍になっているので、そこが関係していると思います。

※1:Steamでゲーム販売を希望する開発者が、ゲームの情報やビデオを投稿し、 ユーザーの反応によって販売が決定されるシステム。

※2:ユーザー投票がなく、Valveへの手続き後にゲームの動作及び内容チェックを通じて販売が可能になるシステム。

木村祥朗:この2~3カ月の間に僕がSteamのお客さん的な立場になってわかったことがあって、欲しいと思ったらとりあえずウィッシュリストに入れて忘れないようにするんですね。

 「あ! なるほど」と思って『ブラックバード』を見てみると、みんなのウィッシュリストにすっごい入っているんです。だからこの人たちをとにかく呼び込まないといけないのかと。

ベン・ジャッド:それがセールです(笑)

ジェームス・ラグ:タイトーさんの版権で恐縮ですけど、『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』ってDLCを定期的に出していくことでウィッシュリストに登録している人に通知がいく仕組みを利用していました。

 安くなったりとか、アップデートで何か追加されたりとか、ウィッシュリストに向けてアピールすることができます。

木村祥朗:アップデートしてもウィッシュリストに届くんですね。

ジェームス・ラグ:アップデートの通知を飛ばすような機能があります。

外山雄一:サントラとかも各社配信していますけど、関連サントラの通知も届くんですか?

ジェームス・ラグ:そうですね。僕も周りの友だちもそうですけど、ウィッシュリストに登録している数がものすごく多くて、だからもうひと押しの“何か”がないと買おうとは思わなかったりします。

木村祥朗:だから戦いは終わっていない。発売したあともずっと続く。

ベン・ジャッド:それがダウンロード販売の魅力的なところでもありますね。

 実は今回の対談でアピールしたいことがあって、STGというジャンルはまさしく日本のものだと思っています。80年代、90年代の数多い日本のパブリッシャーから出てきたSTGがあったおかげでこの対談ができているし、STGというジャンルがなくならないように、STGが好きな海外のクリエイターが力を入れて出していこうとしています。

 日本では着物の着付けとか色々な古い文化が先細っていますが、STGもそうなりつつあるので日本の文化をリスペクトして引き継ごうと思っています。

【STG座談会:前編】

木村祥朗:僕たちも着物の着付けみたいに、生き残っている数少ないSTGを作れる人たちみたいな存在意義があるんだ(笑)

ベン・ジャッド:まさしく言いたいのはそういうことです! もちろん売れなかったらビジネスとしては悲しい結果ではありますが、より大きな目で考えると日本のゲーム文化の一部を大事にしてんねん! って言えるのがいいことですね。

木村祥朗:今回、STGを作って思ったんだけど、子どもの頃から遊んでいた歴史が確実に反映されていて、しかも『ブラックバード』を練習していると『ファンタジーゾーン』がうまくなっていくんですよ。

 たまにミカド(高田馬場ゲーセン・ミカド)に行って『ファンタジーゾーン』をやると、中学生の時は最終面まで行けなかったんですが、今では最終面のラスボスまで行けるようになりました。

ベン・ジャッド:ラスボスは倒せました?

木村祥朗:まだあのパターンを覚えきれてなくて……。YouTubeで勉強してから倒します。

ベン・ジャッド:木村さんがラスボスを倒すっていうストリームは見たい(笑)

【STG座談会:前編】

木村祥朗:『ファンタジーゾーン』のラスボスを倒せたら20年かけて倒したことになるんで、僕にとっては歴史的な出来事ですね。

外山雄一:僕もミカドの“秋のシューティング祭り2017”でSTGをクリアするところを配信してもらったことがあるんです。『ミスターヘリの大冒険』が大好きで。もしかしたら木村さんの『ファンタジーゾーン』クリア配信もブッキングできるかも(笑)

ジェームス・ラグ:木村さんと外山さんがミカドにいるところ見たいですね。

木村祥朗:本当のドリームは、『ブラックバード』をアーケード化して『ファンタジーゾーン』の横に置きたい(笑)

ベン・ジャッド:最近、海外でミニアーケードやゲームバーが流行ってきていて、マイマシンの需要も増えていますね。

ジェームス・ラグ:究極の限定版みたいなものかもしれないですね。そこそこのゲームだったら基板が欲しいユーザーが結構いますよ。STGに限った話ではありませんが。

外山雄一:80年代、90年代にSTGを遊んでいたプレイヤーたちがお金を使えるようになって、筺体を置ける場所も持ってという感じですか。

ジェームス・ラグ:重課金ユーザー的な。僕も買っちゃうんです。嫁さんに「なんでそんな大きいものを置くんだよ!」と怒られますが。

木村祥朗:30~40代のSTGユーザーって、世界に何人くらいいるんですかね。

ジェームス・ラグ: Steamの『斑鳩』が20万本いっていたのかな。10万本は確実に超えていたと思います。

ベン・ジャッド:あれはSTGのなかでは特別で、やったことはなくてもみんな名前は知っているゲームですね。

ジェームス・ラグ:ここ5年の間で本数的には一番売れているSTGだと思います。そのほかは、ブランドとして成立しているケイブさんの作品が大きいんじゃないですか。

 “STG=弾幕シューティング=ケイブ”って印象を持っているプレイヤーが多いんですよ。『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』がSteamで出た時も、ゲームとしてはすごくいいんだけど、もうちょっと弾を出してほしいという意見もあったくらい。でも『ダライアス』シリーズは弾幕系じゃないからね。

【STG座談会:前編】

木村祥朗:皆さん弾幕をお望みなんだ。

ベン・ジャッド:たくさん弾が出るものは、英語で“Bullet Hell(バレットヘル)”って言うんですけど、難しさと達成感をアピールしたSTGが最近は多いと思うんです。

 でも、弊社の『デビルエンジン』は、そこそこやりごたえはあるけど頑張ればちゃんとクリアできるものを作りたいっていう想いが作者にあって、萌え系とかアニメキャラを使った弾幕系ではなく、あえて古い90年代のほうに走ったわけです。

 それがビジネス的に正しいかどうかはなんとも言えないんですけど、少なくともパッションでいうと正しかったと思いますね。

外山雄一:弾幕系って難しいですよね。

木村祥朗:弾幕系って売れるの?

外山雄一:弾幕系が好きな人が一定数いるって感じですよね。

ジェームス・ラグ:弾幕系が売れるっていうよりは“ケイブさんの作品が”ですね。

木村祥朗:みんなどう思って商品を開発するかなんだけど、僕はマーケットの状態に向けてゲームを作るのは危険だなと思っていて。

ベン・ジャッド:間違いないですね。

木村祥朗:バレットヘルは確かに流行ったかもしれませんが、『ブラックバード』はそろそろみんな弾幕系に飽きてきていたらいいなと思って、あえて弾幕系じゃない方向で作っています(笑)

 クオリティは維持して、やった人は面白いっていう状態にしといて、ファンがつくかそっと見ていよう、という覚悟だったんです。

ジェームス・ラグ:ケイブさんが弾幕系を出したら売れるけど、新規で弾幕ライクなものを作っても売れるかどうかはまた別の問題だと思う。

 『グラディウス』もそうだし、『R-TYPE』とか『ダライアス』も、弾幕系ではないですが、ある種のブランドを確立していますよね。

ベン・ジャッド:私は本業がエージェントなんですけど、たくさんの新しい企画書が舞い込んでくるなかで、大型パブリッシャーさんはリスクを避けてトレンドを追いかけるのは間違いだと思うんです。

 今の『フォートナイト』が爆発的に売れているのは、バトルロワイヤルっていうのを早いタイミングで作ったからで、最近はトレンドを追いかけてその手のゲームがめっちゃ多くなってきて、そのうちユーザーは絶対飽きてくると思いますね。

 インディーとか小さい会社のひとつのメリットが、リスクをそこまでものともせず、自分たちがトレンドを生み出せる可能性があるということだと思います。

【STG座談会:前編】

木村祥朗:そうなんですよ。間違いではないと思いますが、この調子で前進していっていいか毎日悩んでいます(笑)

 『ブラックバード』は、もう本当に幸いなことに、手に取って遊んでくれたあとにみんな面白いと言ってくれます。でも、これをSteam(海外)で広げる方法がわからない……。

開発チームの人員構成について

外山雄一:『ダライアス コズミックコレクション』は復刻なので比較になりませんが、コアスタッフは10人いませんね。

ジェームス・ラグ:収録本数は何本でしたっけ?

外山雄一:特装版で、9本、13バージョンです。

ジェームス・ラグ:単純計算で1人1本以上。

木村祥朗:そんな計算していいの(笑)

外山雄一:これがパッケージのモックなんですけど。

【STG座談会:前編】
▲『ダライアス コズミックコレクション』のパッケージを取り出す外山さん。

一同:おお、かっこいいですね~。

外山雄一:入っているゲームが、スーパーファミコン2本、メガドライブ1本、Sega Master System 1本、PCエンジン1本、アーケード4本ですね。

 僕らがやっている作業は、元ゲームそれぞれのSwitch移植版を作ってパッケージにまとめることです。ゲームを解析する人、Switch上に仮想環境を作る人、ゲームをまとめ上げる人、あとはサウンドを再現するためのサウンドプログラマーもいます。

 あと、『ダライアス』は横に画面が長いので、上下の空きスペースにオマケ情報を入れていますね。

木村祥朗:まったく別の世界だなぁ。

外山雄一:そうなんですよ。新作を作るならまた別の工程を組んでいくのでしょうけど。

ジェームス・ラグ:新作を作る時の正解はなんなのかわかりませんが、移植は完成が見えているけどそこにたどり着けるかどうかっていうのがありますね。

木村祥朗:僕は今まで移植の苦しみ味わったことないんですが、今年は味わいそうなのでなんか想像を絶します。こんなにたくさんの『ダライアス』シリーズがあって何が正解かを誰かが監修しないとやばいし。

外山雄一:約30年前の作品を復刻する特殊な作業なので、それほど多くない人数でボリュームがある作品にできたわけです。

 でも、当時のタイトーの開発の仕方も特殊で……特装版には『ダライアス』シリーズの開発チームにインタビューしたブックレットが付くので、ぜひ読んでみてください。

ジェームス・ラグ:ありがとうございます! 2本買います!

外山雄一:初代『ダライアス』の話をしますと、3画面をつなげて面白いものができないかっていう案があって、まずは水面を表現するところから始まったようです。

 そこでSTGを作ろうって言い出した人がいて、筺体チームとソフトチームと企画チームがいろいろアイデア出し合って『ダライアス』の形になっていった、と。

【STG座談会:前編】

木村祥朗:画面を横に長くすると決めたのが先なんですか?

外山雄一:当時のソフト側のスタッフがほとんど残っていなくてですね……。筺体側のスタッフに話を聞くと、どうも筺体側のほうが先っぽい雰囲気があります。

 画面を横に長くできるというのをもとに、アーケードでいかにインカムを稼ぐかっていうのが当時のタイトーのテーマでしたから。

ジェームス・ラグ:ゲームが豪華ですよね。モニターが3台あって……でも同時プレイできるのは2人なんですよね。

外山雄一:3画面分で結構な面積をとる筺体なので「インカムも3倍を目指さないと」と、当時の営業に言われたとか。タイトーはインベーダーブームを経験していますし、店舗も運営していますから、そういうプレッシャーを受けながら『ダライアス』を作ったみたいです。

 そのあと2画面、1画面とだんだん画面数は減っていくんですけど、『ダライアス外伝』や『Gダライアス』は20人以上の規模で開発をしていたようです。

木村祥朗:僕が今考えている作り方とは真逆ですね。人を増やさないように、できるだけすぐ解散できるようにとか(笑)

ベン・ジャッド:ファミコン的な作り方ですね。人数はこれくらいの数で、容量もこれだけしかない中で、いかに面白いものを作れるか。制限があったうえで想像力を生かすのは良い方法だと思います。

ジェームス・ラグ:弊社の『ライバル・メカガン』は、メインで作っているゲームデザイン兼プログラマーが1人です。

 その他は、前職で仲の良かったお二方にシナリオとかデザインをお願いしたり、サウンドとキャラデザインとグラフィックを社外のネットで知り合った人に引き受けてもらったりしていて、その知り合いの方がまた作曲家を紹介してくれて、6人くらいで作っています。

 “ビットサミット(※)”に出展されているようなSTGもそうなんですが、だいたい2、3人ぐらいで作っているインディー作品が多いですよね。サウンド1人、プログラム1人、グラフィック1人みたいな。

※:開発者による作品展示や講演などが行われるインディーゲームの祭典。

【STG座談会:前編】

外山雄一:タイトーの『ダライアス』は本当に特殊な例で、僕が前職で作っていたアーケードSTGは基本スタッフ6人でした。

ジェームス・ラグ:アーケードって特殊ですよね。筺体込みならソフトだけじゃなくハード側の開発者も必要という。

木村祥朗:デカイよね、話が。でもSTGを作るのって、本来はゲームプログラムをやり始めると1人でいけちゃうよね。音楽と絵とプログラムと。

 縦シューティングで弾幕もあってボスも出て……と、ちゃんと作っていくとちょっとずつ負荷がかかってきますけど、今はゲームエンジンのUnityとかUnreal Engineとかありますし、ゼロから組まなくていいから取っ掛かりはいいもんね。

ジェームス・ラグ:ピコリンネソフトの『INFINOS外伝』は1人で作ったらしいです。サウンドだけ九十九さんにお願いして。

外山雄一:絵も描いているんですか?

ジェームス・ラグ:だと思います。

外山雄一:1人でSTGを作っている人はまだいますもんね。

木村祥朗:『ブラックバード』の時は、最初に絶対1人で作れないものを想像しちゃったので、やむなし。プログラマー2人、グラフィック2人、あとデータとディレクターの基本6人。あとうちは音にかける力が強いんで、音楽だけで1人、効果音も1人やってもらっていて合計8人かな。

 それでもコンパクトにしようっていう意志が働いていて、4面のなかですごく作り込もうとしていたんです。企画が始まった時から、ゲームと音楽を同期させるという話もあって、ゲーム画面と音楽を同時に作り始めていたんですが、それがまた中々できない。

 普通はゲーム開発の後半で音楽を入れていくほうがいいんですが、音楽に合わせてキャラを出すというのもやりたかったし。色々と大変でした。

【STG座談会:前編】

ジェームス・ラグ:STGって音楽がすごく大事じゃないですか。『ダライアス』シリーズも、ステージの盛り上がりの部分にサウンドも盛り上がっていく演出がありますし。

木村祥朗:ゲームづくりとしては、不思議なキックオフでした。開発当初からディレクター兼シナリオ兼ゲームデザイナーとしての僕がいますが、加えて音楽とグラフィックとプログラマーと最初から5人でやり始めるようなキックオフだったんです。

 普通は3人ぐらいでやって、形ができてから人を増やしていくのですが、このゲームの場合多かったです。

ジェームス・ラグ:『ライバル・メカガン』も開発期間が2年ちょっとと長かったんですよね。

 寝かしている期間もあってタイトルが途中で変わったんですけど……最初は『ライバル・スターヒーローズ』だったかな。お願いしていたキャラデザインの人に別の仕事が入って発注できなくなってしまったんです。

木村祥朗:僕らは会社だけどインディーじゃないですか。お金を稼がなきゃいけないターンと、自分たちの好きなゲームを作るターンがあって、2013年に今のゲーム画面と同じようなものを企画として作ったんですが、その時点では進められないんですよ。

 2016年の“ビットサミット”の時に初めてプロトタイプを出せたんですが、運営していた『勇者ヤマダくん』の様々な事案を解決しないといけなかったのでやっぱり作り始められない。

 それで、しばらくしてから “ビットサミット(2018)”に間に合うように2018年1月ぐらいから本気で作り始めました。開発期間が“企画時間”、“プロトタイプ時間”、“本気の時間”と3段階に分かれていました。

外山雄一:本気でやった期間はどのくらいだったんですか?

木村祥朗:8カ月くらいですね。でも、この期間も『勇者ヤマダくん』の運営と並行していたんで、うちの開発力の半分くらいのパワーでした。

ベン・ジャッド:ペイしているゲームは無視できないですしね。

木村祥朗:でも良かったと思うのは、『ブラックバード』の存在があってこそ、チームが一丸となって頑張っていた感じがします。

ベン・ジャッド:みんなのモチベーションを上げるにはもってこいだったわけですね。

木村祥朗:“ビットサミット”でバーミリオンゲート賞という一番いい賞をもらえたのもそうですが、音楽の賞をもらえたのがありがたかった。あんまり言わないですけど、僕らは“ビットサミット”で賞ができた瞬間から何かの賞を取ってやろうという意気込みでした。

 音楽で賞を狙うというのは、ずっと作曲家の谷口さんと話していて、とにかくいいものを作ろうと言い続けていました。ゲームに音楽を合わせるのではなく、音楽にゲームを合わせるのを1回やってみようと挑戦するわけですけど、“ビットサミット”のハードルをいい形で超えられたのでモチベーションを維持することができたんです。

ベン・ジャッド:“ビットサミット”はインディーを盛り上げるためのイベントなので、開発にそういう目標ができて、優勝したからチームのモチベーションも上がったっていうのはすごくうれしい話です。

【STG座談会:前編】

木村祥朗:イベントのためにゲームを作るっていうモチベーションがあると、イベントの意味や立ち位置が開発者にとっていい意味でぜんぜん違ってきます。

ジェームス・ラグ:去年、『ライバル・メカガン』の作者を呼んで“ビットサミット”に出展しました。彼もゲームを出展しにいろんなイベントに行っているのですが、日本のゲームに憧れて作っているので、日本人のプレイヤーがどう遊んでくれるか見れるというのは、やっぱりモチベーションがすごく上がりました。

 作者に勝ったら景品をあげるという企画をやったんですけど、作者が弱すぎるっていうくらいボロ負け。みなさん、うまいですね。

ベン・ジャッド:海外のクリエイターは日本のゲームに憧れている人も多いので、“ビットサミット”で日本のユーザーの視点でどういうウケ方をするのかはどうしても気になるんですね。

 日本のユーザーはどこまでSTGという昔の文化を大事に思っているか、ちょっと私には見えないところがあるんですけど、海外のクリエイターは日本のユーザーにより熱くアピールしたいっていうモチベーションを持っています。

外山雄一:責任重大ですね(笑) 来ているお客さんも、他のゲームイベントとは違っていますよね。

木村祥朗:海外のお客さんも大勢来ているから、ちょっとした外国に行った気分を味わえます(笑)

ベン・ジャッド:海外のユーザーと日本のユーザーをバランスよく集めるのが結構難しいんですよ。

木村祥朗:“ビットサミット”で日本の開発者と海外の開発者が距離的には3cm横にいるんだけど、コミュニケーションがないよね(笑) 僕はちょっと英語しゃべるから頑張るんだけど、交流ありそうでまだ薄いんだろうな。

ベン・ジャッド:お酒の量が足りないです。クリエイターは言語関係なしにしゃべれるはずです(笑)

――座談会前編はここまで。後編では、『ダライアス』のシリーズ化が続く理由やeスポーツの参入などをテーマにしています。お楽しみに!

【STG座談会:前編】

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データ

▼『ブラックバード』
■メーカー:Onion Games
■対応機種:Nintendo Switch
■ジャンル:STG
■発売日:2018年10月18日
■価格:1,980円(税込)
▼『ブラックバード』
■メーカー:Onion Games
■対応機種:Steam Win&MAC
■ジャンル:STG
■発売日:2018年10月18日
■価格:1,980円(税込)
▼『デビルエンジン』
■メーカー:DANGEN Entertainment
■対応機種:PS4
■ジャンル:STG
■発売日:2019年
■価格:2,050円(税込)
▼『デビルエンジン』
■メーカー:DANGEN Entertainment
■対応機種:Nintendo Switch
■ジャンル:STG
■発売日:2019年2月21日
■価格:2,050円(税込)
▼『デビルエンジン』
■メーカー:DANGEN Entertainment
■対応機種:PC
■ジャンル:STG
■発売日:2019年2月21日
■価格:2,050円(税込)
▼『ライバル・メガガン』
■メーカー:デジカ
■対応機種:PS4
■ジャンル:STG
■発売日:2018年11月29日
■価格:1,480円(税込)
▼『ライバル・メガガン』
■メーカー:デジカ
■対応機種:Nintendo Switch
■ジャンル:STG
■発売日:2018年11月29日
■価格:1,480円(税込)
▼『ライバル・メガガン』
■メーカー:デジカ
■対応機種:Xbox One
■ジャンル:STG
■発売日:2018年11月29日
■価格:1,480円(税込)
▼『ライバル・メガガン』
■メーカー:デジカ
■対応機種:PC
■ジャンル:STG
■発売日:2018年11月29日
■価格:1,480円(税込)

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