2019年2月26日(火)
『P5』新作コミック第1巻が発売!! ゲーム本編とはひと味違う物語の魅力を斉藤ロクロ氏に独占インタビュー
アトラスが放つ、大人気RPG『ペルソナ5』(『P5』)の新作コミックが電撃マオウで大好評連載中!! その名も『ペルソナ5 メメントスミッション』。気になる内容はというと、原作ゲームとはひと味違った怪盗団の活躍が楽しめる、ミステリ風味の世直し活劇だとか。
そこで今回は単行本第1巻の発売を記念して、都内某所のコーヒーショップにてマンガ家・斉藤ロクロ先生に直撃取材を実施♪ ルブランのコーヒーを飲んだ気分になりながら、キャラクターへの想いや制作秘話をたっぷり語ってもらったゾ!! また、インタビューの最後にはお楽しみのプレゼント企画もあるので、最後まで見逃さないでね!
コミック『ペルソナ5 メメントスミッション』とは?
アトラスが放つ、大人気RPG『ペルソナ5』の新作コミック。昼はふつうの高校生、夜は悪いオトナを改心させる心の怪盗団“THE PHANTOM”(ザ・ファントム)のメンバーへ――。リーダーの雨宮蓮と個性豊かな仲間たちが、平和な街で続発する怪事件の謎に挑む。
注目の第1巻では、芸能事務所社長の殺人未遂事件、武見内科医院の毒殺製造疑惑、ミリタリーショップ店長の怪しいシゴトなどに巻き込まれて大騒動に……!? 高校生探偵の明智吾郎ほか、岩井宗久、武見妙などのコープキャラクターも登場し、ゲーム本編とはひと味違ったストーリーが楽しめるのが最大の魅力だ。
斉藤ロクロ(さいとうろくろ)プロフィール&最新情報
マンガ家。代表作は、電撃コミックスNEXT『ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド』(全4巻)、電撃コミックスNEXT『GOD EATER 2 -undercover-』など。『一血卍傑-ONLINE-』ではハットリハンゾウのキャラクターイラストも手がける。現在、電撃マオウにてコミック『ペルソナ5 メメントスミッション』を連載中。Twitter:@s_696
▲大人気RPG『ペルソナ4』の正統続編として、2014年にアトラスがリリースした同名の2D対戦格闘ゲームの公式コミカライズ。物語は完結し、単行本全4巻が好評発売中。『ペルソナ』ファンは、こちらも要チェックだ。 |
雨宮蓮の目線で感じる“生活感”や“日常”を描いてみたいと思った
――このたび、コミック『ペルソナ5 メメントスミッション』の第1巻が無事発売されました。今の素直な心境を教えてください。
斉藤ロクロ(以下、ロクロ):「やっとゆっくり眠れるぜぇ~…」……のひと言でしょうか(笑)。去年の電撃マオウ12月号(2018年10月27日発売)から連載を開始して、自分的には毎月、ちょっと多めの枚数を描いてきたので、無事発売されて感無量です。(※胸の前で手を合わせて)あとは多くの読者のかたに読んでもらえることを祈るのみ……。
▲芸能事務所社長・麻倉の毒殺疑惑から幕開ける第1巻。モデルの高巻杏、ミカを巻き込んで、事態は予想外の方向へ……!? |
――本作は、原作ゲームに登場するコープキャラクターと、大衆のパレス“メメントス”にて怪盗団が改心させた人物のエピソードが交錯し、同時進行で進んでいきますよね? ミステリ風味の世直し活劇ということですが、なぜこの構成にしたのでしょうか。
ロクロ:『P5』の魅力を伝えようと思った時に、すでにゲーム本編のメインストーリーを追っているTVアニメやコミカライズもありますし、それ以外のこと――つまり、主人公・雨宮蓮の目線で感じる“生活感”や“日常”を描いてみたいと思ったからです。アニメやコミックで『P5』の根幹となるストーリーを再現しようと思ったら、構成の都合上どうしてもサブエピソード的な枝葉の部分は削ぎ落とされてしまいがちですよね。でも、自分たちはその落ち葉に魅力を感じていて、それを拾い集めて、1つの作品にしたいと思ったんです。
▲原作ゲームではコープキャラクターだった、岩井宗久、武見妙、大宅一子も登場。それぞれがどう物語に関わっているのか注目です。 |
そう考えると、怪盗団全員がそろっていて、メインストーリーの影響を受けない時期のほうがよいだろうということになって……。本作の時間軸は、怪盗団がフルメンバーになっているけど、高校生探偵の明智吾郎はまだ仲間になってない秋を想定しています。
▲第1幕から登場する高校生探偵の明智吾郎。本作では蓮に関わる人物として、活躍するシーンも多い。また、単行本には明智と検事・新島冴の特別短編が収録されているので、こちらにも注目だ。 |
「悠と蓮の一番の違いはなにか?」という疑問を手掛かりに蓮の内面に潜る
――毎話、主人公の雨宮蓮にスポットが当たっていて、彼の行動が魅力的に描かれていますよね。蓮を描く上で特に気をつけていることはありますか?
ロクロ:ひと言でいうと、悠との違いですね。
――それはロクロ先生がコミカライズを担当した、コミック版『ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド』(『P4U2』)の主人公・鳴上悠のことですね?
ロクロ:はい。自分たちはコミック版『P4U2』で鳴上悠をずっと描いていたので、「同じ主人公だけど、悠と蓮の一番の違いはなにか?」というところから、蓮の内面性に迫っていきました。これは原作もとのアトラスさんにも意見をおうかがいして、自分たちの中で答えが出るまで議論しましたね。今回もアトラスさんの開発スタッフのみなさんには、ガッツリ監修していただいて本当にありがたく思っています。特にコミック版『P4U2』から引き続き、監修を担当してくださっている小林鉄兵さんをはじめ、シナリオチームの方々には頭が上がらないです。そんなアトラスさんのためにも、クオリティーの低いものは作れないと思っています。
第1巻に描いたところだと、他人との距離感をどう描くかです。蓮は過去に人生を狂わす大きな裏切りにあっている。少なからず、それが彼の対人関係に影響をおよぼしているはずなんです。誰にでも平等に接するというよりは、心を許した仲間とそうじゃない他人を線引きしているんじゃないか、と……。なのでこの作品では、怪盗団のみんなに接する時は口調も表情もふくめ、ほんの少し柔らかく描いています。TVアニメの場合、声優さんの絶妙な演技で表現されるところだと思うのですが、コミックには声がありませんから。
▲主人公は蓮だが、他の怪盗団のメンバーも登場してにぎやかな日々!! 予想外の行動にハラハラさせられたり、作戦会議の最中に仲よくコーヒーを飲んでいたり、自然体の怪盗団を垣間見られるシーンも多いのだ。 |
あとは雨宮蓮の頭の中で、いろいろ駆け巡っているはずの思考です。その出力をどうするか……ですね。
――なるほど。現実世界でも、言葉少なげな人が何も考えてないとか、言いたいことがないワケではないですからね。
ロクロ:そうなんです。心の声の扱いは、ちょっと悩みました。例えば、TVアニメ版の主人公・雨宮蓮は多くのハードボイルド作品の主人公がそうなように、視聴者が彼の内面を察する演出になっていたと個人的には感じたんです。これをやると、性格に凄味が出て格好イイんですよ!
今回はそのキャラクターメイクにもう一歩踏み込んで、心の声を言語化しようと思いました。蓮の内面を描くことで、人間味や親近感を出したかったというのもあるし……。蓮の感情が行動を決め、その選択が物語を動かしていく。その様子をしっかり描きたいと思ったんです。
ゲームの場合、プレイヤーが主人公を動かしているので、プレイヤーの意欲や熱意が主人公の性格を補強していると思うんです。コミックの場合はそのブースターがないので、主人公自身が強い意思を持つ必要がある。ゲーム原作の作品をコミカライズする場合、そのさじ加減に難しいなって。「コレは俺の知ってる主人公じゃねえ」と感じさせてしまったらNGですし、一番おもしろいところを探ってく究極のサービス業だと思ってます(笑)。
蓮が銭湯に入るシーンは、日常感と場面転換の意味で毎回挑戦することに
――特にこだわった部分やお気に入りのシーンはありますか?
ロクロ:うーん、第3幕の四軒茶屋の街の様子が伝わるシーンですかね。あそこは映像的なコマ割りと意識して……ガチでやるとコマがたくさん必要なので、多用はできないんですけど(苦笑)。特に電話で竜司と話しているシーンは、銭湯のあとに焼き芋を買い、自然に街を歩いている空気感が伝わってくるのでお気に入りです。アシさんが背景をスゲ~いいカンジに仕上げてくれたんで、ほぼアシさんの力です。
▲第3幕で銭湯帰りに、裏路地の焼き芋屋へ。四軒茶屋のレトロな雰囲気が背景から伝わってきます。 |
あとは原作ゲームのUI(ユーザーインターフェイス)から影響を受けた背景作画ですね。よりフラットに、よりグラフィカルに……という感じで、原作ゲームの持っているモダンな雰囲気を可能なかぎり再現しようと試みています。『P5』の魅力の1つは、あのスタイリッシュなデザイン性じゃないですか。も~~~~アレ本当にさいこう……。それを読者のみなさんと共有したいなぁと。
▲夜の街や手帳などのモチーフも『P5』風にデザインされている本作。よく見ると、バーや靴屋の店内などにも積極的に用いられ、世界観の再現にひと役買っている。 |
――1つ気になったんですが、蓮が銭湯に毎日通っていますね。ゲーム本編にも登場した“富士の湯”ですが(笑)。
ロクロ:あれは「日常の極み!」ということで、蓮の生活に組み込むよう担当編集から提案がありました。アイツが蓮の筋肉を見たいだけかもしれませんが(笑)。この国に住んでいたら、1日の終わりには熱い風呂に入って疲れを癒したいと思うものじゃないですか? 湯船に浸かって考え事をするのもいいし、逆に頭をからっぽにするのもいい。毎日利用するものなのに、風呂の詳細な設定がある作品ってなかなかないんですよ。実際にネーム作業しながら、人間がふつうに生活する芝居をつけてゆくと、「ここ設定ねえぞ!! どうする?」みたいなことザラにあって。
今回は幸運にも、ゲーム本編のほうに「銭湯通いをすると魅力のパラメーターがアップする」というシステムが採用されているので、その効果を最大限に利用させてもらってます。銭湯があるおかげで、かなり生活感は出ているじゃないかと。
▲「会話劇的なシーンも多いので、場面転換のギミックとしても銭湯は大いに利用しています」とロクロ氏。ゲーム本編と同じように蓮がのぼせる名シーン(?)も採用されていて、その再現度はなかなかのもの。 |
購入者特典も力作!! ロクロ氏の意外な想いが込められていた!
――そういえば、アニメイトと東海道の老舗書店グループ・三洋堂書店で第1巻を購入すると、描き下ろしイラストを使用した特典をもらえますね。あの絵柄が魅力的で気になるのですが、どんなコンセプトで作成したのですか?
ロクロ:アニメイトさんのほうは、担当編集から「どうしてこの状況になったか、ゲットした人が考える絵にしてほしい」と要望がありました。「なんじゃそりゃ!?」って感じですけど(笑)。イラスト鑑賞の醍醐味の1つとして、絵柄からストーリーを想像するというのがありますよね? それです。ふつうに考えたら、ライバル同士の蓮と明智がクレープ屋に居合わせるのは謎なワケです。
▲こちらがアニメイト用のイラスト。ゲーム本編では意気揚々と買いに行っても、「ガラじゃないだろ?」とモルガナに阻止されるあのクレープ屋が舞台のようだ。 |
でも、たとえば1日20食限定の特製クレープが発売され、その評判を聞きつけた2人が偶然バッタリ会ったらどうでしょうか。しかも、あのクレープが最後の1つだったら――? とかなんとか。この特典を入手したみなさんがそれぞれに、オリジナルのストーリーを考えて楽しんでもらえるといいな。素敵なお話が思いついたら、ぜひ教えてください。
一方、三洋堂書店さんは、今年創業60周年を迎えるお店の、伝統ある店内に飾ってもよい品のある絵柄を目指しました。サスペンダーが描きたかっただけというのもありますが(笑)。どちらも、全国からの通販も可能ですので、お気に入りのほうをゲットしていただけるとうれしいです!!
▲こちらは三洋堂書店用のイラスト。どちらの特典も数に限りがありますので、在庫の有無は、アニメイトと三洋堂書店の各店舗にお問い合わせを。 |
――最後になりましたが、読者のみなさんへメッセージをお願いします。
ロクロ:10年前に電撃コミックス『GOD EATER -the spiral fate-』でコミカライズ作品を担当して以来、コミカライズの奥深さに気づき、その可能性を自分たちなりに模索してきました。最初はとにかく、ゲームのコミカライズ作品についてまわりがちな「オリジナル作品よりもレベルが低い」とか「面白くない」というイメージを払拭したかった。コミックの1つのジャンルとして、認められる作品作りをしたかったんですね。そういう意味では、コミック版『P4U2』シリーズは自分の中で完成系に近いものでした。登場人物の掘り下げと原作のストーリー補強こそ、コミカライズの醍醐味でもあります。
でも、1つだけやり残したことがあって……。この『ペルソナ5 メメントスミッション』では、それを実現させたいと思っています。ぜひ実際に読んでいただいて、日常と非日常、学生と怪盗の狭間で揺れながら、絆を深める怪盗団のエピソードを楽しんでいただけたらうれしいです。連載はまだ続きますので、今後ともひとつヨロシクチャンです。
第1巻の口絵の色校を斉藤ロクロ先生のサイン入りで6名様にプレゼント♪
電撃コミックスNEXT『ペルソナ5 メメントスミッション』第1巻の発売を記念して、実際に作業で使用した口絵の色校に斉藤ロクロ氏の直筆サインを入れて6名様にプレゼントしちゃいます!! ふだんなら表に出ないスペシャルなアイテム、ぜひ奮ってご応募ください。
応募の方法は、下記の住所へのハガキ&封筒での応募となります。下記のあて先に、(1)氏名 (2)郵便番号・住所 (3)電話番号 (4)ロクロ先生へのメッセージを書いて(「クール!」などひと言でもOKです)郵送してくださいね。
★あて先★
⇒ハガキでの応募
〒102-8177 東京都千代田区富士見2-13-3 角川第2本社ビル 電撃マオウ編集部
「P5MM第1巻発売記念プレゼントがほしい!」係
応募締め切り
2019年4月1日(当日消印有効)
※ご提供いただいた個人情報はアイテムの発送以外の目的では利用いたしません。
※当選者の発表はプレゼントの発送をもって代えさせていただきます。
※譲渡・転売しないことを応募・当選の条件とさせてください。
※当選者の方には、2019年4月中旬に発送する予定です。
以上、現場からお伝えしました!! 『P5』へのリスペクトと高い画力に定評のある斉藤ロクロ氏が生み出す、新作コミックにいやがおうにも期待が高まりますね!
また、来たる3月25日には曽我部修司氏の描くコミック版『P4』最終巻の第13巻が発売予定。刊行が続く電撃マオウの『ペルソナ』コミックに注目です。
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(C)SAITO ROKURO 2018
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