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2019年2月27日(水)

『Dead Cells』レビュー。死んでも死んでもやめられない! “ローグヴァニア”の魅力とは【電撃PS】

文:電撃PlayStation

 「アクションゲームは死んでなんぼ。トライ&エラーはゲームの醍醐味さ!」

 無数の敵に囲まれてはボコボコにされ、不安定な足場を踏み外しては落下し、強大な敵の一撃で吹き飛ばされる。そんな数々の苦難に見舞われながらも、諦めることなく挑み続ける……そんな“死にゲー”中毒者に贈る、高難易度インディーレビュー企画第3弾!

 今回紹介するのは、フランスのゲームメーカーMotion Twinによる『Dead Cells』。“ローグヴァニア”という独自ジャンルを謳う2Dアクションゲームです。

『Dead Cells』

2つのジャンルが奇跡の融合を果たした“ローグヴァニア”

 本作が謳うローグヴァニアとは、“ローグライト(ローグライク)”の“死んだらレベル・装備品をロストする、ダンジョンの形や拾える武具はランダム”という要素と、“メトロイドヴァニア(※)”の“特殊な能力を得ることで進行範囲が拡張していく探索要素の強いアクション”が融合したものです。

※メトロイドヴァニアは、不朽の名作『メトロイド』『キャッスルヴァニア(悪魔城ドラキュラ)』を組み合わせた海外発の造語で、これらの作品のような探索型アクションゲームを指します。

『Dead Cells』
▲主人公は首のない死体の頭部に寄生する緑色のアメーバ的なモノ。死んだ(=肉体が壊れた)ら、別の死体に乗り移って再開……まさにDead Cells(亡者の細胞)ですな。ねちょねちょしているうえに、発射できます(2周目以降限定)。

 「ランダムダンジョンなのに、能力で進行範囲を拡張って矛盾してない?」と疑問を持つ人もいると思うので、カンタンに説明します。本作を進めていくと、その過程で戦闘能力には影響しない特殊な能力(パーマネントルーン)を得られ、壁を登ったり、特定の床を踏み抜いたりできるようになります。

 この特殊能力は死んでも失われないので、次のプレイから“最初から行けたルートA”と“パーマネントルーンを使えば行けるルートB”を選べるようになるわけですね。このように、本作は一見すると相反する特徴を持った2つのジャンルを、奇跡的なバランスで融合させて1つのゲームとして成立させている奇跡のゲームなのです!

『Dead Cells』
▲ツタを生やすパーマネントルーンで、上の足場へ行けるように。ランダムダンジョンなのに、同じステージにあるルートAとルートBが絶対に交わらないよう生成されるのはスゲェのひと言。
『Dead Cells』
▲この手のゲームには欠かせない、『ソウル』シリーズリスペクトも。本作には、こういったユーモアあふれる演出も多くて、けっこうニヤリとできます(笑)。

ハードなプレイフィールなのに無限に遊びたくなる!

 では、実際のプレイ感はどんな塩梅かと言うと、毎回形が変わるダンジョンに挑み、ランダムな性能の装備を拾い、最終ステージを目指す。ぶっちゃけて言えば、“アクションになった『不思議のダンジョン』シリーズ”といった感じです。

 言葉にするとなんてことはなさそうですが、想像してみてください。『不思議のダンジョン』の敵がターン制ではなくリアルタイムで動き回り、ガンガン襲いかかってくるところを。怖いですよね? 死にたくないですよね? せっかく拾った強武器を失いたくないですよね? そう、それがこの『Dead Cells』なんです。

『Dead Cells』
▲もちろん、死んだらすべてをロストしてスタートから再出発。チェックポイントもなく、途中脱出もできない一発勝負のゲームです。
『Dead Cells』
▲体力の回復手段もかなり少なめ。ステージに持ち込める回復ポーションは、初期状態で1回、最大でも5回のみ! このポーションはステージをクリアすれば、補充できますが、難易度を上げるとその限りではありません……。

 そんなハードなゲーム性を“何度も遊びたくなる”ように仕向けているのが、あくまで難しいであって理不尽ではない難易度設定です。まぁ、またバランスの妙という話なのですが(笑)。なめらかに動くレスポンスのよい操作性、絶妙な地形や敵の配置、それぞれで使いどころの違う多彩な装備などなど。とにかく、すべてが丁寧に作られていて、とにかく遊びやすく、新しいチャレンジをしたくなる作りなんです。

 たしかに、強武器を持った状態で死んでしまうと「ぐあああ、やってられるか!」と投げやりになる瞬間もあったりします。ですが、その1分後には「よし、やるか」と気持ちの切り替えができる……そんな中毒性を持っている作品なのです。

『Dead Cells』
▲本作はゲームスピードがけっこう速いのも特徴。このスピーディさが、トライ&エラーの繰り返しによるクドさを感じさせないポイントなんでしょうね。

 また、自分の使いたい装備に合わせたキャラクタービルドをするおもしろさも、求心力の1つ。本作は暴虐/戦術/生存のパラメータがあり、ダンジョンにあるスクロールを入手するごとに、1つだけレベルアップさせられます。

 ダンジョンで拾う装備は、それぞれのステータスに対応して効果が高まるため、近接攻撃主体で戦いたいから暴虐を上げる、トラップで一方的に攻撃したいから戦術を上げるなど、好みのビルドができるようになっています。もちろん、そのビルドに合った装備が手に入るかどうかは運。しかし、その思い通りにならなさも、ローグライクの醍醐味の1つですよね(笑)。

『Dead Cells』
▲落ちている装備種類だけでなく、付加効果もランダム。ランクも変動しますが、こちらはステージの進行度である程度決まっています。
『Dead Cells』
▲個人的には、戦術を上げて自動ダブルクロスボウなどの自動攻撃系トラップを多用するビルドが戦いやすくてオススメです。
『Dead Cells』
▲各種装備、パッシブ能力(回復ポーションの回数増加など)のアンロックもビルド要素。アンロックすると画面のフラスコが埋まっていくので、すべてをコンプリートするのもやり込みの1つと言えますね。

1周クリアしただけでは終わらない!? さらなる手応えを求めてハードモードへ挑もう

 その時点で挑める最高難易度の最終ボスを倒すと、ボス・ステムセルというアイテムが手に入ります。これをスタート地点のひと際大きいフラスコにセットすることで、ゲーム全体の難易度が上昇し、より手応えのあるアクションが楽しめます(最大5段階)。1段階上げるだけでも別次元の難しさになるので、ヒリ付く戦いを求める“死にゲー”中毒者のみなさんも、ぜひ挑んでみてください!

『Dead Cells』
▲ちなみに、これが1周目クリア時のスコア。死亡45回は少なそうに見えますが、1プレイが意外と長くなりがち(1時間を超えることも)なので、けっこう心にくるものがありました。

 「落としたソウルも回収すればOKだなんて、優しかったんだなぁ」と思わずにはいられないほど、『ソウル』シリーズとはひと味違ったおもしろさ、そして手に汗握る緊張感が楽しめる本作。“死にゲー”が好き、ローグライクが好き、とにかくトライ&エラーが大好きという人は、ぜひ遊んでみてください。マジでハマりますよ。ちなみに、本作はBGMも超カッコイイので、プレイする際はイヤホンを付けてプレイするのがオススメです!


死にゲー特集バックナンバーはこちら

第1回:『シナー~贖罪の刻~』

第2回:『ソルト アンド サンクチュアリ』

(C) 2018 Motion Twin. All rights reserved.

データ

▼『Dead Cells』
■メーカー:Motion Twin
■対応機種:PS4、Nintendo Switch、PC
■ジャンル:アクション
■配信日:2018年8月7日
■価格:2,480円(税込)

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