2019年3月29日(金)
『エンゲージプリンセス』レムレス役・三澤紗千香さんインタビュー。演技のテーマは“心の開き具合”
“電撃文庫”25周年記念作品としてドワンゴとKADOKAWAが共同開発し、2019年4月1日から配信予定のPCブラウザゲーム『エンゲージプリンセス ~眠れる姫君と夢の魔法使い~』。メインヒロインの1人・レムレスを演じている三澤紗千香さんの収録後インタビューをお届けします。
『エンゲージプリンセス ~眠れる姫君と夢の魔法使い~』は、電撃文庫『エロマンガ先生』や『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』で知られる伏見つかさ先生が原作・メインストーリーを、かんざきひろ先生がメインキャラクターデザイン・イラストを担当する作品です。伏見先生、かんざき先生のお2人をはじめ、シナリオとイラストを電撃文庫の作家&イラストレーターが手掛ける豪華な内容となっています。
プレイヤーは、ゲーム中に存在するアプリ『エンゲージプリンセス』を起動したプレイヤーとなり、ゲーム内のNPC“ナイトメア”を仲間にし、“絆(エンゲージ)”を深めながら、願いがかなうという大迷宮“レムリア城”の踏破を目指します。
ゲームのメインストーリーは伏見つかさ先生による書き下ろし&フルボイス。メインストーリー以外にもヒロインとの出会いを描くキャラクエストなど盛りだくさんとなっています。アドベンチャーパートでは、異世界と現実世界が融合したような“夢世界メアトピア”を舞台に、ヒロインたちとの交流を楽しめます。
さらに特徴的な要素として、総勢100名以上のヒロインからお気に入りのヒロインを選んで仲よくなり、プリンセスリングを渡してエンゲージ(婚約)状態にする“婚約システム”が存在。これは、自分だけのヒロインを選んで婚約しヒロインを強化できる、ゲームクリアを目指すうえで重要となるシステムです。
バトルパートでは、編成画面で組んだヒロインのパーティでエネミーなどと戦います。ヒロインそれぞれの固有スキルを把握して編成するのがポイントです。バトルでは、歌姫を呼びだす“歌姫(DIVA)システム”がカギに。歌姫を呼び出すとゲームオリジナルの専用楽曲が流れてヒロインが強化され、バトルを有利に進めることができます。
歌姫が歌う楽曲は、すべてニコニコ動画で活躍中の総勢20名をこえるボカロPによる完全新作楽曲となっています。
そんな本作でレムレスを演じる三澤さんは、どのように収録に臨まれたのでしょうか? インタビューではそういったことをはじめ、さまざまな質問に答えていただきました。
レムレスの音声収録におけるテーマは“心の開き具合”
▲三澤紗千香さん | ▲三澤さんが演じるレムレス。 |
──まずは、レムレスの音声収録を終えた感想を教えてください。
セリフの量がとても多かったので、録り終わった時は「本当に終わったんですね?」と何度も聞きなおしてしまいました(笑)。“ナレーションのレムレス”と“ヒロインとしてのレムレス”で違う台本を用意していただいていて、最初は一緒に収録するほうがやりやすいかもと思っていたのですが、別々にしていただいたおかげで自分でも仲間との絡みがわかりやすくなったと思います。
レムレスは最初、ほかのヒロインに対してよそよそしいのですが、だんだん仲よくなっていく感じや人間味を帯びていく感じが、うまく流れで演じられたのではないかと思ってます。
──レムレスは“ナレーションの擬人化ヒロイン”という特徴を持っていますが、ナレーション部分とヒロインとしてのレムレスで演技も大きく変えられたのでしょうか?
ナレーションは、プレイヤーが初めてレムレスと出会った時くらいの声のトーンで演じ、プレイヤーに“レムレスが状況を説明している”とわかるようにしました。話が進んでいくと、もしかしたらナレーションのレムレスも、気持ちが盛り上がってくるかもしれません。
──今のところは、ナレーションとヒロインとしてのレムレスで演じ方を分けられているんですね。
そうですね。普通の女の子らしいヒロイン部分と、NPCという仕事に徹している状態でしゃべっているナレーションは、ちょっと違うかなと思って演じています。
──これまで様々なヒロインを演じてこられたと思いますが、レムレスというキャラクターの印象を教えてください。
最初にキャラクターのイラストを見たら、自分がこれまであまり演じてきたことがないツインテールの女の子だったんですよ。でも、青い髪だしクールな目をしているところが印象的で挑戦してみたいと思い、オーディションを受けてみました。ナレーションもあるということで、どんなお話になるのかワクワクしたことを覚えています。
──演じられたなかでお気に入りのシーンや、もっとも印象に残ったシーンはどこですか?
レムレスは自分がすごくしっかりしていると思っているし、NPCとして理路整然と仕事に取り組んでいるんですよ。でも、プレイヤーやマーリンと絡むと、実は人間味あふれているところや、仕事していると言っている割には普通の女の子っぽい部分が滲み出ちゃう。そんなところがカワイイですね。しかも自分では感情がないと思っていて、まったく気づいていないのが、またカワイイところで(笑)。
そのことを他のヒロインから指摘されると「違います!」と言ってごまかしたり、それっぽい理屈を並べて言い返すことはできるけど、指摘された感情が出てしまうのを抑えることはできなくて……。ツッコミどころがなさそうに見えるのですが、プレイしていただけると“ツッコミどころしかない女の子”なのがわかると思います。チュートリアルではゲームのやり方やバトルの進め方などを解説してくれてとても安心できる存在なので、日常シーンとのギャップを楽しんでいただければと思います。
──レムレスは、徐々に人間性を獲得していくというキャラクターですが、ストーリーの段階を追って演技も変化していったのでしょうか?
彼女は最初、自分がNPCであるということを疑うことなく、とてもまじめで仕事ができるNPCだと思っているんですよ。でも、彼女が思っているように動かないのがプレイヤーやマーリンのいいところで、彼らから影響を受けて、仕事なのに寄り道しちゃったりする。そうしたカワイイ部分やギャップを楽しみながら演じました。
自分は感情がないと思っているけど、マーリンのノリのよさや勢いとか、プレイヤーが(選択肢などで)レムレスを触ってくるといった出来事に対して、動揺しちゃう。その部分に対して「自分は動揺していませんよ」というアピールを、演技でどれくらい表現するべきか。そこがとても難しかったです。
ゲーム序盤は、自分でも隠せている……と思っている(でも実際は隠せていない)くらいだったのですが、後半になるとだんだん開き直ってくる感じにしてみました。
──発売前の情報だとクールなキャラクターだと思っているユーザーも多いと思いますが、意外と抜けたところもあるキャラクターなのですね。
そうなんですよ。たとえば、食いしん坊な一面があるのですが、それを自覚していないので「味なんてどうでもいいはずなのに、なんで私はこんなに食べたいのだろう?」と思ったり、自分でも理解しづらい感覚に翻弄されていたりするところがカワイイです。もっと一緒に冒険して、いろいろな感情を持って欲しいという気持ちになる女の子だと思います。
──そこはきっと、ユーザーが実際にプレイして意外なところとして受け取ると思います。収録はお1人ずつ行ったと思いますが、レムレスとの掛け合いを演じて、気になったキャラクターを教えてください。
やっぱりマーリンですね。私も日高里菜ちゃんも電撃文庫作品に出ているので、お互いにどんなお芝居するのかを知っていますし、収録前に一緒にイベントにも出ていたので、どんなキャラクターになりそうなのか想像できました。
▲日高里菜さん演じるマーリン。 |
収録していて「里菜ちゃんだったらこうくるかな?」という部分が、自分のなかでとても想像しやすかったです。きっと、里菜ちゃんも「三澤ちゃんならこうくるかな?」と想像して演じてくれていると思ったので、お互いを信頼しつつバトンの渡し合いがうまくできたんじゃないかと勝手に思っています。
──なるほど。よく知っている日高さんもキャスティングされていたから、よりうまく収録できたということですね。
はい。2人の声の違いや芝居などもお互いにわかっていると思います。すごく楽しかったですし、重要な役であり、引っ掻き回すマーリンという役が里菜ちゃんでよかったと思います。
──電撃文庫のファンからすると、お2人が出演された『アクセル・ワールド』の印象が強いですから、本作でまたお2人の掛け合いが見られるのはうれしいと思います。
確かに出演者同士はやりやすかったのかなと思っています。ゲームの収録は相手の声を聞けないのですが、本作では安心してできました。
──演じていて印象的だったことや、少し困ったことなどはありましたか?
台本には、特にブレスの位置は書かれていないのですが、どこで息を吸ったらユーザーのみなさんがわかりやすいのか考えたり、読点で区切られているところも「伏見先生が書かれた読点だから、きっと意味がある!」と読み解きながらナレーションを収録しました。そこが難しくもありつつ、すごく楽しかったです。自分が知らない漢字がいっぱい出てきました(笑)。
──そんなに難しい漢字が多かったのですか?
結構ありましたね。情景描写をする時に、普段の私たちだったら「楽しい」とかで終わらせてしまうところに、見たこともない漢字やあまり口にしない表現が出てくるんですよ。でも、ちゃんと意味がわかっている状態で演じたいので、その漢字の意味とアクセントを調べることが結構ありました。
この漢字はそうやって読むんだ。助詞はここで下がるんだと、声優としてすごく勉強になりました。たぶん、漢字に強くなったと思います(笑)。
──レムレスは、特に感情を表に出さないキャラクターだとは思いますが、一番気合や感情を込めた場面を教えてください。
気合や感情が一番入ったのは、エンゲージするところです。タイトルにもあるエンゲージ(婚約)はゲームを進めていくとできるようになるのですが、たぶん、みなさんが一番楽しみにしているところだと思いますし、自分でも楽しく演じられました。
それから、ナレーションとしてのレムレスは、プレイヤーに「生涯の伴侶を選んでください」とうながすことがあります。それが自分(レムレス)の場合もあれば、マーリンのようなほかのヒロインの場合もあるので、うながすところがすごく複雑でした。違う子が選ばれちゃうかもしれないけど、それはプレイヤーにとってもヒロインたちにとっても幸せなことだから、どれくらいのテンションで読むのかが難しかったです。
──確かにレムレス=ナレーションなのですが、ゲームの重要なシーンなので、淡々と説明すべきかどうか、難しいですね。
せっかく一番盛り上がる場面なのに、冷たく読んでしまったら楽しいところでも楽しくなくなってしまいますし、かといってノリノリで読みすぎるのも違いますよね。ほかの子と婚約されると、ちょっと寂しいと思いつつ……。どれくらいのテンションで読んだのかは、実際にゲームを遊んでいただいて、エンゲージをする時に感じていただければと思います。
──本作には戦闘を有利に進めることができる歌姫(DIVA)システムが搭載されており、レムレスには“トビラシア”という楽曲が割り振られています。この曲についての印象や、聞きどころなどを教えていただけますか?
“トビラシア”は40mPさんに書いていただいた曲なのですが、40mPさんのことはニコニコ動画で見てよく知っていたので、まず先に「あの40mPさんに書いていただけるんだ!」といううれしさがありました。
実際に曲を聴くと、ミステリアスだけどドラマチックで壮大な曲で、これがバトルで流れたらワクワクするような、アップテンポな曲にしていただけたのがわかりました。ただ、レムレスの声で歌おうとすると困るんです(笑)。彼女は「自分は心なんて動きません」という顔をしているのですが、歌は心が動かない状況だと歌えないんです。とはいえ、収録のときには「これは戦っている時にみんなが強くなれる応援ソングで、鼓舞する力がある曲です」という説明を聞いたので、ちょっとノリノリで歌いました。
たぶん、レムレスはプレイヤーに歌って欲しいと頼まれて「仕方ないですね」という感じで歌っていると思います。でも、みんなを鼓舞することはイヤじゃないし、実際は楽しいとかうれしいと思いながら歌っているんだろうなと想像しつつも、笑顔ではなく凛としたまま「扉を開けよう」という感じに歌えたらなと思って収録しました。そこもすごく難しかったです。
“トビラシア”は初期の戦闘でも流れますし、終盤の戦闘でも流れるので、いつ聞いてもいいように心がけました。初期に聞いてすごくデレていると思われてもイヤですし、終盤に聞いて「アドベンチャーパートでは仲がいいのに、なんでツンツンしてるの?」とならないように気を遣いました。
──感情の置きどころがとても難しい歌なんですね。お話をうかがっていると、レムレスを演じるにあたって、とても気を遣われていることがわかりました。
そうですね。そこがアニメとゲームでちょっと違うところかなと。アニメなら話が進んでいけばキャラクターが自然と仲よくなっていくと思うのですが、ゲームはプレイヤーによって、どの段階までのストーリーを終えていて、どのキャラクターと仲よくなっているのかがバラバラだったりするので、今回の収録は“心の開き具合”が自分の中でのテーマでした。
──レムレスは、収録が終わった段階だとどれくらい心を開いているのでしょうか?
結構開かされていますね(笑)。初期でもマーリンの勢いがすごいのに、どんどん激しくなっていくんですよ。さらに、ほかのキャラクターたちも自分を出していくので、そのまま静かにしていたら置いて行かれちゃう。しっかりしているようで意外とゆるいキャラクターが多いので……(笑)。
そんなみんなをサポートするために、さまざまなアドバイスをすることによって、リーダーシップをとっているとレムレスは思い込んでいるんです。もちろん頼りにはなるのですが、みんなと会話をすればするほど「あれ? もしかしてレムレスってちょっと抜けているところある……?」と感じるところが、すごくカワイイなと思いながら演じていました。
──ということは、今後シナリオが追加されていくとさらにデレていくところが見られそうですね。
そうかもしれないです。そのシナリオが、メインストーリーのどの段階ですかと聞きながら収録すると思います。期間限定のイベントシナリオだとしたら、時期によってはまだプレイ初期のユーザーさんがいるかもしれないので、相談しながら収録していこうと考えています。
──最後に、配信を待っているユーザーの方々に一言お願いします。
このゲームはタイトルにもある“エンゲージ”が気になるポイントだと思います。エンゲージ(婚約)システムもありますし、バトルをしながらカワイイ女の子たちと仲よくなれるゲームです。
バトルは、ボス戦になると先を読んでいつ誰を歌わせるか考えるなどのシビアな部分も出てきますが、歌姫(DIVA)システムで歌が聞けてテンションも上がりますし、オートモードにもできます。慣れてくれば戦えるようになりますし、普段ゲームをあまりやっていない方にも楽しんでいただけるのではないでしょうか。
特に日常のパートがおもしろいのと、電撃文庫とコラボしたキャラクターも出ることがほかのゲームと違う部分だと思うので、ぜひいろいろな方にプレイしていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。
──ありがとうございました。
※画面は制作中のものです。
(C)2018 伏見つかさ/ストレートエッジ (C)KADOKAWA CORPORATION 2018
(C)2018 DWANGO Co., Ltd.
イラスト/かんざきひろ
データ
- ▼『エンゲージプリンセス ~眠れる姫君と夢の魔法使い~』
- ■メーカー:ドワンゴ
- ■対応端末:PC
- ■ジャンル:RPG
- ■配信日:2019年4月1日
- ■料金:基本プレイ無料(アイテム課金制)