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2019-05-01 12:15

歌広場 淳さんインタビュー企画“KEY”連載2回目。『コルダ』や『ヒプマイ』の話も

文:ガルスタオンライン

 ガルスタオンラインのオリジナルインタビュー企画“KEY”

“KEY”歌広場淳さん02

 今回の全4回の連載では、ヴィジュアル系エアーバンド“ゴールデンボンバー”のメンバー・歌広場 淳さんにお話を伺っています。

 前回のお話で、銀髪キャラがお好きだということが判明。さらに今回は『金色のコルダ』や『ヒプノシスマイク』のお話も‼ じっくりとお読みください。

 ■第1回目の記事:イケメン好きの原点は銀髪キャラ!? “ゴールデンボンバー”歌広場 淳さんインタビュー連載企画“KEY”

ゴールデンボンバー・歌広場 淳さん、熱く語りき~2回目~

“KEY”歌広場淳さん02

──「銀髪が好き」という嗜好のお話も出ましたが、これは歌広場さんがヴィジュアル系バンドに興味を持ったことともつながるんでしょうか?

 そうですね。銀髪が好きというのはどういうことかといえば「普通じゃないのが好き」ということ。普通ってどういうことかといえば、一般的には爽やかでサッカー部に所属するイケメンみたいな感じで(笑)、どの作品にも必ずひとりは出てきます。当時の僕はそういう普通にはまったく惹かれませんが、今思えば彼らの魅力についてももっとわかっておくべきだったなとは思います。どういうことかというと、当時僕が好きだった女の子が、好きだったのが『金色のコルダ』の火原和樹くんだったんですよ(笑)。

──なるほど!(笑) たしかに火原くんは爽やかでまっすぐなイケメンですよね。

 好みが違えば惑星間戦争も起きます(笑)。自分が好きな人の好きな人のことがわからないというのは本当につらい経験で……。今ならば好みが違っても理解はできるはずです。僕が好きだった女の子は「人の都合で変えさせられるぐらいならこっちに行く!」って言って離れていったので。そういう考え方はすごく尊敬します。

──好きという気持ちが環境によって曲がることは本質的にはない?

 そこはすごく難しいところですね。別に自分の都合で好きという気持ちが曲がることはあってもいいんですけど、誰かの都合で好きという気持ちを曲げさせられてしまうのはよくないことだと思います。

 最初に僕がゲームに触れたのは父からプレゼントしてもらったファミコンの野球のゲームで、けれどもそれがまったくおもしろくなかった。興味が持てなかった。ところが自分で選んでゲームソフトを買ってもらうようになったら、それがどんなクソゲーであってもすごく楽しくって!

──自分の意思で選ぶというのがそれだけ大切だと。

 はい。好きなものを自分で選択をするというのは大切ですし、それができるユーザーを僕は無条件で尊敬します。個人的な意見になりますが、それとは逆にアニメで「推しのキャラクターの中の人が炎上したから、演じていたキャラクター自体も嫌いになる」というのが僕にはよくわかりません。もちろん、それが自分で考えた結果であれば前向きな選択だと思うんですが、周りの目や風潮を気にして好きな気持ちを曲げてしまったのであればそれは残念なことだと思います。

──2次元や2.5次元など最近はコンテンツのメディアミックスが一般化しています。歌広場さんはこういった現状についてはどのように感じていますか?

 単純にいいことだと思います。中でつながっているのはいいことも悪いこともあるでしょうけど、別々の入り口から入った人たちが最終的な出口で合流することもあるはず。単純に可能性があるというのは素晴らしいことではないでしょうか。僕はミュージカル『刀剣乱舞』が大好きでよく観に行っていますが、逆にゲームの『刀剣乱舞-ONLINE-』はそこまでヘビーには触っていません。むしろ、「わからないことがあったらゲームをやろう」みたいな感覚で楽しめているので。人によっては“どこから入ったか”を重視する方もいらっしゃると思いますし、郷に入っては郷に従えというのが正しいのかもしれませんが、個人的な考えを述べるのであれば、そこはコンテンツを楽しむ上ではそんなに重要ではないと思っています。

──2次元から入っても、3次元から入ってもいい?

 そうですね。まぁ、イケメンについて細分化する上で2次元か3次元かというのは大きな分類ではありますが、どんなメディアであってもイケメンがイケメンであることには変わりないはず。

“KEY”歌広場淳さん02

──歌広場さんはイケメンを語る際にいろいろなところで「内面が大事」ということをおっしゃられていますが、それは2次元のキャラクターであっても変わりないポイントでしょうか?

 むしろ、3次元のイケメン以上に大切なポイントだと思います。『ヒプノシスマイク』で伊弉冉一二三というホストがいますが、名前を見た瞬間に「こいつは作り手に愛されているな!」とピンときました。彼は職業がホストだから、四五六(ジゴロ)という名前をつければいいところが一二三という名前になっている。つまり「本質的にはジゴロではない」と言いたいんだろうなと思って設定を見たら、「極度の女性恐怖症だけどスーツを着ることで豹変する」ということで我が意を得たりと(笑)。彼は伝わらなくても支障はないけれど、伝わればよりそのキャラクターを愛してもらえるフックになるという制作者のギミックが仕掛けられた好例だと思います。

──名前にギミックを仕掛けるというのは王道パターンのひとつかもしれませんね。

 3次元のイケメンの魅力は“神の手”による部分が必ず入ってきますが、2次元のイケメンは100%創作の産物ですから逆に考え抜かれた魅力がある。だからこそ外見以上に内面の深層的な魅力が大切になってくるのではないでしょうか。

──『ヒプノシスマイク』も話題に出ましたが、同作はラップというこれまで女性向けのジャンルでは開拓されきっていないテーマを扱っていることでも注目を集めています。ヴィジュアル系エアーバンドとして活躍する歌広場さんから見て、こちらはどんな印象ですか?

 この作品から入ってジャパニーズラップやヒップホップに興味を持った方がたくさんいると思うので、やっぱり素晴らしいことだと思います。先ほどからも言っていますが、何かに興味を持つにしても入り口はどこであってもいいものなので。そして、イケメンという存在はものすごくキャッチーなので、だからこそ離れた別の世界の入り口にもなるもの。対象にまったく興味を持たない人にどうやって興味を持たせるかというのがすべてのエンターテインメントの命題でもあるんですけれど、イケメンはその最適解のひとつなんです!

──たしかに女子にコンテンツの布教をする際に「イケメンが出てるよ」というと、多少なりともリアクションが期待できますもんね。

 まったく興味を持たずにそっぽ向いてた人が「どんなイケメン?」と一瞬でも振り向いたら勝機。イケメンにはそういう力があるんです。ただ、それだけ力があるからこそイケメンは業界に跋扈していますし、その中でも目を引くイケメンは何かというと、より見たこともない知らない世界に連れて行ってくれるイケメンではないかなと。

──今の歌広場さんから見て「こういう世界に連れて行ってくれるイケメンが見たい」という具体的なビジョンはありますか?

 むしろ、それは僕なんかじゃ想像できません(笑)。ジャンルが細分化されすぎているからこそ、ユーザーももはやただの女の子ではいられなくなっている感じがします。守ってもらうだけのお姫様では物足りないでしょうし……。『ヒプノシスマイク』はまさにそういう先鋭的な世界に連れて行ってくれる作品だと思いますし、最近ではお坊さんをテーマにした作品が出てきたのも興味深いです。突然世の中に般若心経を唱えられる女子があふれたりしたらおもしろいでしょう(笑)。こういうことを言っていると「はぁ? そんなことあるわけないじゃん」と感じる人もいるでしょうけど、「本当に10年後にそういうことがないと言いきれるの?」と僕は問いたいです(笑)。世の中ってそれぐらい読めないものなので。

──最近は主人公がヒロインじゃなくてもいいという作品も増えました。

 どんどん視点が神様のようになっているんでしょうね。ただ、『金色のコルダ』や『アンジェリーク』のようなネオロマンス作品はまさにそうですが、主人公とプレイヤーが同じ目線でいられるからこその良さもありますし、神の視点になってくると作品やキャラクターに対する付き合い方も上から目線になってしまう。アニメ化や舞台化の際に、主人公をひとりのキャラクターとして確立させた方がスムーズに行くという世の中の流れも影響しているとは思います。

──商業である以上、そこはしょうがないポイントなのかもしれませんが。

 最近はアニメやゲーム以上に映画業界がそんな感じで、海外資本に配慮して登場人物の国籍を決めたりするような風潮があるように感じます。でも、そこに志はあるのかというと……。それに乗じて最近では制作者じゃない人や、果てはユーザーまでもが介入して「うちの子はこんなことを言いません」みたいなことを言い出したりするケースもありますし、それはもう神の目線になりすぎたことの弊害ではないかなと。すべてのクリエイターに小さなころのムラムラした気持ちのまま作品を作ってもらえたら……。王道学園モノでも、擬人化した動物と飼育員の触れ合いでも、シチュエーションは何であっても根底にあるときめきがホンモノであればいいなと!


 第2回目は以上です。次回も引き続き、熱く語っていただきます。更新をお楽しみに♪

インタビュアー:原 常樹
撮影:編集部

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