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マーベラスエンターテイメント×電撃 連動企画『ルミナスアーク』スピンオフ連作小説「アリスとテレスのぬのぬぬ物語」

 マーベラスエンターテイメントが、DS初の本格派S・RPGとして世に送り出した『ルミナスアーク』。その第2作となる『ルミナスアーク2 ウィル』の発売に先駆け、スピンオフ企画として「電撃オンライン」と「電撃「マ)王」、そして「電撃DS&Wii Style」の3媒体でノベライズを連続掲載する!
  今回の「電撃オンライン」では、全3話の第1話目を掲載。『ルミナスアーク』に登場した見習い魔女の“アリス”&“テレス”の姉妹が体験した小さな冒険をほのぼのと描きながらも、シリーズの世界観を垣間見ることができるお話だ。

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『ルミナスアーク2 ウィル』

王道S.RPGの第2弾が、パワーアップして登場!!

 主人公“ロラン”を中心に、魔女と魔法をめぐる物語が展開される『ルミナスアーク2 ウィル』。S・RPGのキモの1つであるやり込みがいバッチリなバトルをカンタン操作で行え、また魔女と「契約」をすることで強大な力が手に入る「エンゲージリンクシステム」といった新要素もふんだんに盛り込まれている。

『ルミナスアーク2 ウィル』
■メーカー:マーベラスエンターテイメント
■対応機種:DS
■ジャンル:S・RPG
■発売日:2008年春発売予定
■価格:5,040円(税込)
■CERO年齢区分:審査予定
■関連サイト:公式サイト
  マーベラスエンターテイメント

(C)2008 Marvelous Entertainment Inc.

アリスとテレスのぬのぬぬ物語:第1話

その日、魔女の森では小さな騒動が起こっていました。騒動の原因は、いつものようにアリスとテレスのお転婆娘……ではなく、魔女見習いのふたりでした。
ふたりは今日も、魔法の修行そっちのけで、大好きなお菓子作りに精を出していたのですが、ミラクルクッキー試作第48号を焼いている途中で、オーブンが破裂してしまったのです。
「もう! アリスがゲキヤバ草を入れすぎるから破裂したんだよ!」
「だって…、ゲキヤバ草の舌のしびれる刺激が大好きなだもん…」
「だからって、限度ってもんがあるでしょ!」
「ううっ…」
強気な妹のテレスが、姉のアリスを怒鳴りつけます。おとなしい性格のアリスは、いつもならやりこめられてしまうところですが、今日はちょっと違いました。
「で、でも! テレスだって、ゲキアマ草を入れすぎたじゃない。あれが原因かもよ?」
「そ…、そんなわけないでしょ!!」
「あ、目が泳いでる…。さてはテレス、他にも何かヤバイ材料を使ったでしょ…」
「そそそ、そんなことないもん! いいがかりよっ!」
アリスの思わぬ反撃に、テレスはしどろもどろです。
「白状しなさい。何を入れたの、テレス!」
「何を入れようと私の勝手でしょ!」
「やっぱり何か入れたんじゃない! 何を入れたのよ!」
「うるさ~いっ!」
……とまあこんな具合に、ふたりはいつも何かドジをやらかして、ボヤ騒ぎを起こしたり、感電したり、ずぶ濡れになったりしていました。
「あなたたち、また何か失敗したのですか?」
そこへ現れたのは、アリスとテレスの保護者であり、魔女の長でもあるクレアでした。「あ、クレア様!」
「な、なんでもありませんよぉ……フフッ、ねぇ~」
「こんなに台所をメチャメチャにしておいて、なにがなんでもないんですか。まったく、お菓子を作っていて、どうしてこんなことになるんです?」
クレアは半壊した台所を見て、嘆きの声をあげました。
「だって、アリスが……!」
「違います、テレスが……!」
アリスとテレスは、すかさずもうひとりに罪を押しつけようとしました。
「言い訳は聞きたくありません。それに何ですか、責任をなすりつけあうなんて。最低の行いですよ!」
「でも……」
「だってぇ……」
「きっと私の教育が間違っていたのですね……。ああ、私はリーダー失格なんだわ……。よよよ……」
落ち込みやすい性格のクレアは、自分の無力を嘆き、泣き崩れてしまいました。
「ク、クレア様……!」
「あ~あ、あんたが泣かせたんだからね!、アリス!」
「そういうふうに人のせいにするからダメなんでしょ。クレア様は、あんたのそういう性格の悪さをお嘆きになって……」
「ふたりとも、おやめなさいっ!」
「…ごめんなさ~い…」
温厚な性格のクレアも、醜い言い争いを続けるアリスとテレスの態度に業を煮やし、大声をあげてしまいました。
「もういいですわ。せっかくあなたたちに大事な仕事をお願いしようと思ったのに、これでは頼めませんね……」
クレアは眉間にしわを寄せながら、大きなため息をつきました。
「大事な仕事?」
「それって何ですか、クレア様?」
「お菓子作りの仕事だったんですが……。もういいです。他の人に頼みます」
「そんな! お菓子作りなら、ぜひ私たちにやらせてください!」
「ねぇ~アリス!」
「ねぇ~テレス!」
「ケンカばかりしているような悪い子には任せられませんね」
「今日から心を入れかえます。ケンカはもうしませんから! ね、テレス?」
「うん! 約束するよ、クレア様!」
お菓子作りの仕事と聞いて、アリスとテレスは必死になって食い下がりました。
「まったく、お菓子と聞いたとたん、急に意見が合うのね……。わかりました。あなたたちにお願いしましょう」
「やったね、アリス!」
「それで、大事な仕事って、何ですか?」
「あなたたちのお菓子作りの腕前を見込んで、これを作ってもらいたいのです」
そう言うと、クレア様は1枚の紙を取り出して、アリスとテレスに渡しました。
「……『ぬのぬぬ』の作り方?」
「これって、見た目はケーキみたいだけど……」
「そうです。それは人間の世界で言うところのケーキ……長老パヤン・パヤン様のバースデーケーキです」
「バースデーケーキ?」
「そっか、もうすぐパパ様の誕生日だっけ!」
パヤン・パヤンは、ジュゴンにそっくりな姿をした「よなたま族」の賢者様で、アリスとテレスに呪言を伝授しているお師匠様です。パヤンパヤンは、魔女たちから「パパ様」の愛称で親しまれていました。
「いつもは私がお作りしていたのですが、私は明日から帝都に出張しなければならないので、作れないのです」
「帝都に行くんですか?」
「ええ。ヒース様が私に力を貸して欲しいとおっしゃるので……」
アークナイトのヒースは、今は聖都に常駐し、ルミナス教の立て直しに全力を注いでいました。
「帝都で何があったんです?」
「……あなたたちが気にしなくてもよいことです。あなたたちは、ぬのぬぬ作りに専念してください」
クレアは、一瞬だけ険しい表情をしました。
「え~、何だか気になるなぁ……」
「そっちの話の方がおもしろそうよね」
「ぬのぬぬを作るのがイヤなのですか? それなら、他の人に頼みますが……」
「あ、いえ! やります! やらせてください!」
「帝都のことなんか、何も興味ないもん!」
アリスとテレスは、あわててそう言いました。
「大好きなパパ様のために、全力でぬののの作りをやっちゃうぞーっ!」
「ぬのののじゃありません! ぬのぬぬです! ぬのののなんて……、そんなはしたないことを大声で言うんじゃありません! お嫁に行けなくなりますよ!」
「え?」
クレアの顔が真っ赤になっています。よなたま族の言葉に詳しくないアリスとテレスはキョトンとしていますが、どうやら「ぬのぬぬ」ではなく「ぬののの」という言葉は、とても恥ずかしい言葉のようです。
「お、お誕生日パーティーは3日後ですから、さっそく材料の調達に行ってきてください」
「はい! シェイダスまで足を伸ばして、最高の材料を買って……」
「いいえ、ふたりには虹の森に行ってもらいます」
クレアは、ふたりにそう言いました。
「虹の森ですか?」
「そうです。虹の森へ言って、まももんの実を取ってきて欲しいのです」
「まももんの実って?」
「そんな実、聞いたことないけど……」
「まももんの実は、虹の森に生えている珍しい木の実で、ぬのぬぬを作るのに欠かせない材料です。栗の実でも代用できないことはないのですが、パパ様のお誕生日に代用品をお出しするわけにいきませんからね」
「まももんの実って、お店で売ってないの?」
「まももんの実は、木からもぎ取ると、3日で蒸発してしまうのです。ちょうど蒸発するタイミングでお菓子や料理に入れて、蒸発する時の食感を楽しむのが醍醐味なんですよ」
「へえ……。なんだかおもしろそう!」
「私も食べてみ~たい! どんな食感なだろう?」
「ケーキ以外のお菓子にも使えそうね……!」
アリスとテレスの瞳がキラキラ輝き始めました。
「では、さっそく虹の森へお行きなさい。頼みましたよ」
「わかりました」
「じゃあ行ってきま~す」
こうしてアリスとテレスは、まももんの実を求めて、虹の森へと向かったのでした。

アリスとテレスのぬのぬぬ物語:第1話

半日ほど過ぎた頃、アリスとテレスは虹の森の入口に立っていました。時刻はお昼過ぎ。お日様がだんだん傾いてきて、まもなく夕方になろうとしていました。
「ねえ、テレス。もうすぐ夕方だし、夜になって迷子になったら大変だから、今日は近くの宿に泊まって、森に入るのは明日の朝にしない?」
アリスが心配そうに言いました。
「大丈夫! 森に入って、木の実を採ってくるだけだよ? 夜になる前に戻ってこられるよ。それに、パパ様の誕生日まで3日しかないし。急がなきゃ!」
すかさずテレスが反対します。
「ほんとに大丈夫かなぁ……」
「アリスは心配しすぎだよ。だからいつもビビって、失敗するんじゃない」
「テレスが大雑把すぎるのよ。だからいつもドジって、失敗するんじゃない!」
「違うよ! アリスがいつも……!」
「待って!」
アリスがテレスの口にひとさし指を当てました。
「もうケンカはしないって、クレア様と約束したばっかりじゃない」
「……あ、そうだったね。それじゃ、行こうか! 迷ってる間に日が暮れちゃうよ!」
そう言うと、テレスはさっさと森の中に入ってしまいました。
「あ、ちょっと! 勝手に行かないで!」
アリスはテレスの後を追いました。こうしてふたりは、なし崩し的に森の中へと入って行きました。
「ところで、アリス」
「なあに?」
「さっき、『ゲキアマ草を入れすぎたでしょ!』って反論してきたでしょ?」
「うん」
「いつもならシュンとしちゃうのに、今日はどうして言い返してきたの?」
「……あのね、ラピス占いの本に書いてあったの。今週は強気で押せば勝負に勝てるでしょうって」
「はぁ? 私たちは双子なのよ? 同じ日に生まれたんだから、運勢は同じに決まってるじゃない! それで私に勝てると思ったの?」
「あ、それもそうか……」
「ほんっと、天然なんだから……」
「ふん……」
そんなことを言いながら、ふたりは森の中を奥へ奥へと進んでいきました。
「森って、ずいぶん暗いんだね……」
「うん……」
森の中は、木によって陽射しが遮られ、思った以上に薄暗く、なんだか不気味な雰囲気です。
「まだ夕方前なのに、こんなに暗いなんて……」
「オバケが出そうだね……」
「イヤなこと言わないでよ! ねえ、やっぱり明日にしようよ……」
「今さら引き返すより、さっさと用事をすませちゃったほうがいいってば!」
「テレスはいつも強引なんだから……」
どれくらい歩いたでしょうか。夕方になり、日が落ちてきて、森の中はさらに暗くなってきました。
「……前がよく見えなくなってきた」
「念のためにランプを持ってきてよかったわ」
「早くつけてよ、アリス」
「せかさないでよ! 誰よ、夜までに戻ってこられるなんて言ったのは……!」
「も~、昔の話をネチネチ言わないでよ。ほんと、アリスはしつこい性格なんだから……」
「ついさっきの話でしょ! ほら、ついたわよ!」
「これでまた探せるね。さあ、行こっ!」
アリスとテレスは、ランプの光でうっすら明るくなった森の中をさらに奥へと進んでいきました。
しばらく歩いていると、背後の木の陰から

 ガサガサッ!

 と音がしました。
「きゃっ!」
「何? 何の音?」
ふたりは音のした方にランプの光を向けました。

 ガサガサッ!

 ふたたび、草木のこすれる音がしたかと思うと、突然、白い光がスーッと現れました。
「出たーっ!」
「オバケーっ!」
ふたりは腰を抜かさんばかりにビックリしました。逃げだそうにも、怖くて足が動きません。

 サクッ……サクッ……

 地面に落ちた葉っぱを踏みしめながら、白い光は、だんだんふたりのほうへ近づいて来ます。
「あ、あっちいけ~っ!」
「誰か助けてえぇぇ~」
ふたりの叫び声は、森の木々にむなしく吸い込まれていきました。
はたして白い光の正体は? そして、アリスとテレスはどうなってしまうのでしょうか?

[第2話(電撃「マ)王4月号掲載)に続く]

アリス

魔女見習いとして、賢者のもとで修行をしているおっとりとした双子の姉。

テレス

“アリス”の双子の妹。しっかり者の姉を尊敬している、活発な女の子だ。