幻霧ノ塔ト剣ノ掟

連載企画

もうプレイ放棄ですか?
いしのなかYK3

 どこか懐かしい3DダンジョンRPG『幻霧ノ塔ト剣ノ掟』。腐女子「おおっと」りえぽんが、本作に挑戦! 前回の「訓練場」だけで、すでにやる気がない彼女に、なんとかプレイさせる方法はないだろうか。

登場人物紹介
いしのなかYK3
電撃オンライン編集部、中年ゲーマー代表その1。もちろん、若きころは某3DダンジョンRPGに大ハマり。
おおっとりえぽん
編集部唯一の腐女子。最近のゲームしか知らないライトゲーマー。今回“いしのなかYK3”に目を付けられたのが運のつき。

10階まででも十分です!
さて、先週の続きをやりますよー。『幻霧ノ塔ト剣ノ掟』を、続きからプレイしてください。
「訓練場」をクリアして、「よぉしっ! 合格!」って言われたんだから、もういいじゃないですかー。
だから、そこはあくまでも「訓練」なんだから! ちゃんと本番ダンジョンにも行かないと、プレイレポートにならないよ!
うぅ、じゃあダンジョンに行ってみます。最初のダンジョンは「幻霧の塔」でしたっけ?
「最初のダンジョン」も何も、これ1つだから。
え! たくさんダンジョンがあるんじゃないんですね。じゃあ、この塔が99階まであるんでしょう。
ありません。10階までです。地下もあるけどね。
10階!? そんなの、すぐ終わっちゃいませんか。
君は3DダンジョンRPGと言うものを、何もわかっちゃいない! 俺たち中年冒険者からすれば、10階は相当深いダンジョンのイメージだよ。
えぇ? 1階層がものすごく広いってことですか?
広くはないんだけど、1階層でやることがものすごくたくさんあるんだよ。マップの隅から隅まで調べないと、攻略ができないからね。
なんか面倒な感じですね。
面倒とか言うな! この腐女子ゲーマーめ……。
そうだ、前回言っていた「オリジナルver」ってなんですか?
あぁ、画面の表示方法が変わるんだけど、たぶんやらないほうがいいと思うよー。
そんな風に言われると、やってみたくなります。どれどれ……。
▲グラフィック、BGMがすべてシンプルな「ファミコン風」に変更可能!
うわ! 地味だった画面がさらに地味に!
地味って言うなよ! レトロな感じがたまらないじゃないか。
しかも、この画面だと余計に自分の位置がわかりにくいです! 元に戻しますよ。
うーむ。やっぱり若者には「オリジナルver」の素晴らしさが伝わらないのか……。


宝箱を開けるためにも一苦労
文句が多い割には、順調に進んでるみたいだね。
いえ、ちっとも。さっきから同じ場所を歩いてるような気がしてなりません。
ちゃんとマップ確認しながら歩いてる?
だって、見たって自分の場所がわかんないから意味ないですよ。
だからー! ちゃんと歩いてきた道とか、今向いている方向とかを自分で覚えておかないと!
本当に面倒だな……。
マップはともかく、戦闘はどう? さっきから全滅とかはしていないみたいだけど。
HPが低すぎて! ダンジョンと町を往復していますよ。ちっとも奥に進めません。
いやいや、それでいいんだよ。無理をせずに、最初は町と往復しながらゆっくり攻略していかなくちゃ。
えー。ダンジョンと言ったら、一気に最深部まで進んで、ボスを倒すものじゃないですか?
その考えはこのゲームでは通用しない!
▲マップを見ても、自分の場所がわからない“おおっとりえぽん”。
せっかくの「オートマッピング機能」も使いこなせていない?

戦闘はなんとか無難にやっていますけど、敵が落とす宝箱がほとんど罠ですよ! これは仕様ですか?
仕様って……。ちゃんと宝箱を開ける前に、「盗賊」技能を持ったキャラクターで調べてる?
調べてますよ! あれ、でも「盗賊」のキャラクターでは調べていないかも。
何のための「盗賊」技能だよ! そのキャラクターで調べれば、少しは罠の解除率が上がると思うよ。
「少しは」なんですか?
「盗賊」でも失敗することはあるのさ。
▲宝箱を「調べる」と、仕掛けられている罠が外すべき順番に並んで表示される。
しかし、「調べる」の段階で罠の順番を間違えてしまっていることも。
なんか納得できません。どうして罠解除が100%成功しないんですか!
世の中、100%できる人間なんていないだろ? そういうことさ。
全然わかりません。
この「リアリティ」がいいのになぁ。


想像することで、いくらでも楽しくなる!
あまりの不便さに疲れてきました。ちょっと休憩がてら飲み物を買ってきます。
不便じゃないよ! まったく、最近の親切ゲームに慣れすぎなんだよ君たちは! 昔は本当に、こんなゲームばっかりだったんだからな! って、もういないし!
  (1時間後)
うおー! 戻って来ない! もう、どこ行ったんだろう。
キャー! ステキ!
ん!? どこか遠くから声が聞こえるぞ!
   
ここは、同じ階にある乙女系ゲーム雑誌の編集部じゃないか。おーい! “おおっとりえぽん”!
あれ、どうしたんですか?
「どうしたんですか?」じゃない! 『幻霧ノ塔ト剣ノ掟』のプレイレポート中だろ!
あぁー、すっかり忘れてしまいました。今それどころじゃないんです! 新しい乙女ゲーが!
だぁぁ! この腐女子が! いいからこっちやれ!
うわぁぁん。
   
もうプレイ放棄ですか。そうですか。
放棄はしてないですよー。他のものに目が行ってしまっただけじゃないですか。色気のないダンジョンRPGより、色気のある男性キャラクターに萌える年頃なんですよ。
それは、年頃とかそういう問題じゃないよ……。それより、本当に君はわかってないね。シンプルだからこそ楽しめるこのゲームの魅力に。
どういう意味ですか?
グラフィックばかり気にしていてはダメだよ。ダンジョンの様子や戦闘での激しい攻防が、テキストでしっかり書かれているのに注目しなきゃ。
うーん、確かにテキストは多いですよね。でも、グラフィックでは表示されないから……。
だからこそ! 自分でそのシーンを想像してみるんだよ。想像することで、リアルな冒険が生み出されるのさ。
イマイチわかりません。
これだけ言ってもダメか(泣)。そうだ! キャラクターにグラフィックがないから、自分で想像しちゃえばいいんだよ! ほらほら、この「司祭」はメガネのイケメンだよ~。
なんかバカにされているような気が……。だけど、その考えはありですね。あぁ、夢のイケメンパーティも作れちゃうかも!
そうそう! その調子!
でも、それはそれです。このゲームの理不尽さは、想像だけでは解消できません。
くっ。あと一歩だったのに!
いしのなかYK3

 「イケメンパーティ」というエサで釣る作戦、もう一息だったんだけどなぁ。とにかく、来週もプレイしてもらわないと! この調子だと次回も、“おおっとりえぽん”の文句が炸裂しそうだよ(泣)。
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