電撃ドットコム > 電撃オンライン > 『ひぐらしのなく頃に祭』特集ページ

中原麻衣インタビュー

原作者の竜騎士07氏に『ひぐらしのなく頃に』のインタビューを決行! 作品にかける情熱や開発中の裏話などを語っていただいた。(※このインタビューは、2月27日に発売された「電撃「マ)王4月号」に掲載されたものです。ご了承の上お読みください)

――まず『ひぐらし』を制作しようと思った動機をお聞かせください。

竜騎士07氏(以下竜騎士、敬称略):一言で言うなら自己表現ですね。私は子どもの頃からゲーマーであり、オタクであったので、いつかは自分で作品を提供する側に回りたいと思っていました。何か自分が存在したという証を残したかったんです。ちょうどその頃、知り合いの声優さんが小劇場をやっておりまして、そこで「雛見沢停留所」という舞台脚本を書いたのですが、これが『ひぐらしのなく頃に』の原点になる作品ですね。

――全8話にわたる『ひぐらし』の物語はどうやって作られたのでしょうか。

竜騎士:物語の要所要所にある重要なチェックポイントをまずきちんと決めます。それ以外は私が書いていてつまらなくならないように、わざと曖昧にしています。例えば「祟殺し編」では圭一と沙都子が仲よくなるというポイントは決めていますが、“野菜炒めを作りに来る”などの具体的なエピソードは執筆直前に考えています。開発に4年もかかる作品を作るのは、執筆しているほうとしてもおもしろみを保つことが大事なんです。

――本作では“部活”シーンなど、日常シーンもしっかり描かれていますが、これには何か意味があるのでしょうか。

竜騎士:当初『ひぐらし』の設定には“ギャルゲーと見せかけてホラー”という狙いがあったんですよ。「鬼隠し編」は一見、何気ない日常が描かれていますが、日常が突然瓦解する瞬間が1番の見せ場ですから。ただ、のちにサスペンスや殺人事件と公言したほうがユーザーさんに手に取ってもらいやすいことがわかったので、「祟殺し編」あたりからはアピールの路線は変わりましたけどね。

――『ひぐらし』には、基本的に選択肢がないのが特徴ですが、選択肢を用意するという考えはありませんでしたか?

竜騎士:いや、最初は作る気マンマンでしたよ。「鬼隠し編」をクリアしたら「綿流し編」と「祟殺し編」に進めて、「綿流し編」をクリアすると「目明し編」に進めるといったように。当時は「鬼隠し編」が終わったら、その「鬼隠し編」に選択肢が出現するようにしようかと考えていました。ただ、そんなことをしている暇があったら次の話を書きたいと思って、「祟殺し編」まで書いちゃったんです。このあたりにいただいた感想の三分の一には「選択肢がないのは体験版だからですよね?」というのがありましたね。そこで私も開き直って、「選択肢がないのはスタイルです」と言ったため、選択肢はなくなりましたね(笑)。

――ということは、選択肢が付いたPS2版は最初に原作で考えていた形に近いものになったのでしょうか?

竜騎士:PS2版で選択肢が付いたのは、原点回帰というわけではないんですね。むしろ原作に選択肢がないので、原作とは違うアプローチとして考えられました。私がアルケミストのスタッフさんにお会いしたときにお話したのは「完全移植にこだわるのはやめましょう。原作をプレイした方にも“おっ”と思わせるようなシステムを入れましょう」というものでした。原作と違う遊び心があるのは大いに歓迎だし、多少の差別化は図られてもいいのではないかと思いました。その結果、PS2版には「祭囃し編」に代わる「澪尽し編」が加わり、さらにその他にも「憑落し編」、「盥回し編」が加わり、原作をやっている方にも価値があるものになりました。

「電撃「マ)王4月号」本誌では、TVアニメ版やコミック版に関するコメントの他、次回作『うみねこのなく頃に』や「裏噺し編」と題した制作秘話なども掲載されている。「ひぐらし」ファンはぜひこちらもチェックしてみてほしい。

Return to TOP