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 広大で美しい世界を舞台に、プレイヤーが思うがままに冒険が楽しめるファンタジーRPG。メインクエストをマイペースに進めたり、無数にあるサブクエストを引き受けたりと、遊び方は自由自在。ゲーム中に登場する1,000人以上のNPCは、人工知能システム「Radiant A.I.」の採用により、周囲の状況に応じて自分の意志で行動する。

  • ■メーカー:ベセスダ ソフトワークス
  • ■ジャンル:RPG
  • ■価格:3,990円(税込)
  • ■年齢区分:17才以上対象(D)

ライトユーザー代表:田渕健康

 作り手の「個性」が色濃く出ているゲームシステムやエキセントリックなストーリー展開が好み。アクションからシューティング、はては美少女ゲームまで「広く浅く楽しむ」ライトユーザー系ライター。

「直感」で紡いでいく自分だけの物語

 多くのプレイヤーに支持されている人気RPGシリーズということだが、筆者はこの『OBLIVION』が初体験。一人称視点のゲームは三半規管がすぐに悲鳴をあげるということもあって、多少の不安を覚えつつプレイ開始。感想からいえば「直感でプレイできる親切かつ優れた作品」。従来のシリーズの予備知識がなくても物語や世界観は十分楽しめるし、乱暴な話をすれば説明書を読まずともゲーム中のチュートリアルで操作方法からテクニックまですべて学べてしまう。要するに、スタートボタンを押した瞬間から剣と魔法が渦巻く世界にダイブできるというわけだ。さて、自由度の高さをウリにしたゲームは数あれど、実際に遊んでみると本作のプレイの幅広さはハンパじゃないことが思い知らされる。プレイヤーは気ままに世界を練り歩き、自由に行動指針を決められるのだ。戦士ギルドに入って腕を磨くもよし、追いはぎになって日銭を稼ぐもよし。ゲームの世界においても直感に従って遊ぶことができる。なんか「こんな自由度の高いRPGを作りたい」と子供が夢見るような(無茶な)ゲーム性がすべて盛り込まれている感じ。外国人のやることってすげーなー。

『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』 『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』
自由度の高さはスタートした直後から実感できる。性別や種族、星座などでキャラクターの個性が変わってくるため、キャラメイキングだけでも小一時間は優に悩めてしまう。

善に生きるも悪に生きるも自己責任で……

 自由度の高さと並んで本作の特筆すべき点が、ゲームに登場するNPCたちの作り込み。NPCたちはそれぞれが独自の思考ルーチンを持ち、まるで人間が操作しているかのような立ち振る舞いしてくれる。例えば朝がくると町に姿を現し、夜になると家に帰る。プレイヤーが善良な態度で接するとそれなりの礼を返し、刃物をちらつかせて迫ると警備兵を呼ばれる、といった具合だ。『OBLIVION』の世界には現実さながらの倫理観が存在しているため、日ごろのうっぷんを晴らすぜーと欲望のまま好き勝手に振る舞っていると、コワモテのお兄さんたちに連行されて冷たい石の中で過ごすことに……。そんなアウトローな生き方も本作の楽しみ方の1つ。俺? NPCに嫌われたくない筆者は現実と同様、偽善的な人生を送っています、ええ。

『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』 『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』
NPCとの会話ではプレイヤーの日ごろの行いで対応が変わることも……。NPCとコミュニケーションをとりながら、さまざまなミッションをこなしていこう。

SLGユーザー代表:弩左右衛門

 ヘビーではないけどゲーム歴は長い、SLGプレイヤー代表。SLGと聞くと心がうずく偏執狂。SLGとつけば、ドライブライフSLGだろうが環境シミュレーターだろうがなんでもやります、楽しめます。リアルな趣味は車いじりですが、最近ガソリン高いし、車壊れてるしでゲームに逃避中。

名づけて「行ってこい型RPG」

 日本のRPGといえば、ストーリーが決まっていて次にどこに行くかを指示してもらえる、いわゆる護送船団型ツアーRPGが多いですが、『オブリビオン』は全くの逆。自分はいきなり牢屋の中からスタート。よく分からぬままに事件に巻き込まれ、後は勝手にやれとばかりの放置プレイっぷり。日本人の想像する明るく清潔な中世のイメージなどどこへやら、序盤はひたすら薄暗い(というより真っ暗な)地下を放浪し、死体から武器やアイテムを引っぺがし、ただ生存本能のおもむくままにネズミ殺して肉をはぐ。華やかさとは無縁の作品であります。宝箱を見つけては鍵開けツールでこじ開けるなど、一から十まで順法とは真っ向勝負な内容はまさにアウトロー。でも、よくわからない世界に放り出されてそこで生活しろといわれたら実際の自分もきっと同じことをするに違いない。そんなリアリティがあります。法はモラルの最低限ですが、人と見るや襲いかかってくるネズミや訳の分からんゾンビがうようよしている世界では、きれいなお題目など寿命を縮めても、腹の足しになる事はないのです。そんなサバイバル生活ですさんでいく自分がちょっとステキ。

『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』 『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』
右も左もわからない。ついでにいきなり話を振ってくるおっちゃんたちの言ってることは早すぎて追いつけない。海外にいきなり放り出された心細さがあります。キミタチ、もうちょっとわかりやすく、ゆっくり喋ってくれんかね? あとできれば日本語で。

俺がんばって生きていくよ!

 殺しに巻き込まれたりしながら、何とか表に出ると、今度はどこにでもいける状態になります。ここからは、好きなように生きていけます。とはいえ、無目的なのもつらいので、戦士ギルドに入ってみました。こうしてこのオブリビオン世界の歯車になっていくわけです。無論、ギルドは戦士だけではありませんし、ギルドに所属しなくても問題ありません。一応、「オブリビオンゲート」という地獄の門みたいなものがあって、それを閉じることで世界を救うこともできますが、やらなくてもいい。必要なものは、自分がどうしたいかだけです。僕は今、ギルドから受けた仕事で小金を稼いで暮らしています。現在の夢は、一応聖騎士なので、フルプレートで装備を固めることです。あと、5000で家を売ってくれるという人にも会いました。ひと仕事して100から200の給料ですから、遠い道のりですが、コツコツがんばろうと思います。

『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』 『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』
RPGにおける自由度の高さは、自分で目標を設定して世界に参画するということ。序盤で自分の決めた職業などを再度聞いてきます。ここで、現在の職が気に食わなければ変えることもできます。どうやって生きるのか、よく考えて決めましょう。

ヘビーユーザー代表:西岡浩二郎

 模型などの立体物やメカ好きでしたが、RPGをきっかけに剣と魔法の世界にはまったことから、世界観とか設定重視の3DRPG好きとして今に至ります。アニメや漫画もたしなみつつ、最近はフィギュア(主に美少女系)も…。

いきなり皇帝暗殺を目撃!? と思いきや……

 まずはキャラクターメイクから。海外ファンタジーRPGの基本ですね。ここがくせ者で、自分は結局一度ゲームを始めた後、キャラクターを作り直しました。長い付き合いになるので、こだわりたいところです。さて、ゲームはいきなり牢獄から始まります。その後、秘密の通路から脱出しようとする皇帝にくっついて、自分も逃げ出すのですが、皇帝は結局暗殺されてしまいます。しかも、その後のことを任されちゃったりするんですが、全部おっぽりだしていいよとも言われるんですね。自由度が高いよということでしょうが、でかい話には乗っておいたほうがおもしろいのは間違いありません。使命も果たしつつ、好きにやらせてもらうことにしました。

『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』 『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』
さまざまな特徴を持つ種族と職業がある上、キャラクターの顔を事細かにいじることができます。デフォルトで気に入った顔があればいいのですが、思い通りの顔を作るのはかなり大変です。しかし、長い付き合いになるのでじっくり時間をかけて作ることを強くオススメします。獣頭の種族でよければ、どれも同じに見えるので楽かもしれませんね。

歩けば、そこにある冒険ネタの数々

 さて、何をしてもいいよと言われますが、特にあてもないので、使命を果たしに行くことにします。このゲームは実は親切なことに、請け負ったクエストの目的地が地図に表示されるうえ、その方向をコンパスで常に表示してくれるのです。そのため、町中での人捜しなども非常に簡単です。とはいえ、コンパスだけ見ていると、街道から外れて、野山を駆け回ることになります。でも、これがまた楽しい! 野山を歩いてると、突然、洞窟とか崩れた要塞とか、いかにもな冒険スポットに出くわすんです。当然、寄り道しちゃいますよね!?

『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』 『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』
冒険できる場所はとてもたくさんあります。でも、ときには非常に強い敵に出くわすことも。そうなったら逃げるだけですね。ただし、敵はダンジョンの外まで結構しつこく追ってくるので、逃げるのも結構大変です。街道に出て、巡回している帝国の警備兵に助けてもらうのが一番です。

熱い展開とやり込み要素もあります

 さて、自由度がウリのこのゲームですが、メインストーリーの他、滅びた騎士団を復活させるという大きなサブクエストが楽しめます。この2本については、異世界に行ったり、途中で大勢の仲間と大規模な戦いをするイベントもあり、英雄物語らしい白熱した展開が楽しめました。また、戦士や魔法使いだけでなく、盗賊や暗殺者のギルドもあり、裏社会のクエストが楽しめたり、自由に魔法を作る、魔法の武器や防具を作るなんてことも可能であるなど、ダンジョン探索以外にもやり込み要素満載で、かなり長く遊び続けることができるゲームですね。

『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』 『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』
もう1つの物語である九大神の騎士のクエストでは、騎士団崩壊の真実を探り、仇敵を倒すことになります。円卓の騎士とかが好きな人にはたまらない展開になってます。