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オフラインでありながら、オンラインRPGをプレイしているような感覚が味わえるという画期的な作風で、日本国内はもちろん全世界に多くのファンを持つ作品となった『.hack』シリーズ。その最新作となる『.hack//G.U.』が、5月に開催されたE3で大々的に発表された。その新たなる販売戦略やゲームの詳細な内容、そして主人公の秘密などをバンダイのプロデューサーである内山大輔氏と、サイバーコネクトツー社長の松山洋氏に聞いてみた。「The World」の扉が、今再び開かれる……!


――初めに『.hack//G.U.(以下G.U.)』の企画がスタートした時期と、その経緯について教えてください。
松山洋氏(以下、松山。敬称略):
企画がスタートした時期からで言えば、もう3年は経ってますね。つい先日、うちの企画担当の人間ともそういう話をして調べたんですよ。それで『G.U.』の一番古いファイルのデータを見たら2002年の10月って書いてありました。だいたい前シリーズの2作目『.hack//悪性変異 Vol.2』(2002年9月19日発売)と、3作目『.hack//侵食汚染 Vol.3』(2002年12月12日発売)の間くらいですね。根本的な部分の構想はそのへんから始めてました。前シリーズは発売スケジュールがカッチリと決まっていまして、1作目が発売されればその後の開発はレールの上を行くように進んでいったんですよ。そのあたりの隙間を利用して、次回はどんな展開をしていこうか? ということはちょくちょく話してましたね。
――現行のシリーズが動いている段階で次のシリーズの企画が動き出すというのは珍しいケースだと思いますが、そもそもその段階で次回シリーズを作ろうと思われたきっかけは?
松山:前作のシリーズ4巻含めてですが、思いのほか時間がかかったんですよ(苦笑)。そういったこともありまして、企画の根っこの部分に関してはかなり先行させないとマズイというのは前々からわかってたんです。だからそうならないように、今回は先行してスタートしたという感じですね。
――「E3 2005」で新シリーズの始動とPV(現在は公式サイトで公開中)が発表されましたが、アメリカでの反響はいかがでしたでしょうか?
内山大輔氏(以下、敬称略):じつは停電というアクシデントに見舞われまして(笑)。ちょっとバタバタしてしまったんですが、それでもPVの放映時間になるとモニターの周りには、ちょっと歩くのが困難なくらい大勢の人が集まってくれまして……。本当にありがたく思っています。
松山:PVの放映が終了するたびに毎回拍手が起きたりして、予想以上に素晴らしい感触でしたね。
――日本での反響はどんな感じですか?
内山:だいぶ返ってきてますよ。なかには公式サイトで公開しているPVを1フレーム1フレームチェックして、その映像の断片から今回のシナリオとかを想像してくれている人もいたりして、ちょっとビックリしました。
松山:みなさん、すごい想像力を持っているな~と感心しました。まぁ我々が出したがりなもので(笑)。PVのなかにキーワード的なシーンやメッセージを詰め込んでいるんですよ。数フレームだからわからないだろうと思っていましたら、それをほとんどすべてひもといてくれていましたね。
――そのなかに核心に迫るようなものはありましたか?
松山:う~ん、まぁいろいろと(笑)。ただ、勘違いなさっている人もいますので、いくつか答えをお話していきたいと思います。まずタイトルの『.hack//G.U.』ですが、ボクらは『G.U.』と呼んでますけど、これはプロジェクトのテーマであり、最新作のテーマでもあります。意味はわかりやすく“成長(グロウアップ)”ですね。それが『G.U.』の正体です……表向きの。
――“表向き”というのは?
松山:裏側に12個の『G.U.』の意味があるんですよ。PVのなかにも答えがあったりします。ただ全部は出していません。ゲームをプレイしてひもといていくことで、すべてわかるようになっています。その1つずつにメッセージが隠されていますので、少しずつみなさんに集めていって欲しいなと思ってます。
――前作では「連作」と「OVA同梱」という形態で4作品が発売されましたが、今回はどのように展開していく予定でしょうか?
松山:OVAはどうでしょうねぇ? やっぱりあったほうがいいと思いますか?
――多分前作にあった物がなくなると、ちょっとガッカリするユーザーも多いかもしれませんね。
松山:う~ん……。ただ我々はずっと今回の作品のことを『.hack』と呼ばずに『G.U.』と呼んでいたんですよ。というのも『.hack』という冠をつけるかどうか、最後まで悩んでいたんです。結果的に『.hack//G.U.』としてお届けすることになったんですけど……。我々の考える『.hack』のスタイルというのは「新しいことをやる!」ということなんです。OVAを同梱して2枚組みで発売したのも、その新しいことの1つだったんです。これをもう1度やったとして、その方向性やクオリティは違うにせよ「あぁ、あれね」ということになりませんかねぇ。
――あぁ、その可能性は高いですね。
松山:我々が『.hack』というコンセプトの中でやっていきたいことは「あぁ、あれね」じゃなくて、「そうきたか!」ということなんです。そのコンセプトで進めていますので。でも、だから今回はOVAは付けません、ということではありませんけどね(笑)。でも、まだ何にも言ってないですよ! 一応そんな心構えでやってます、ということも知っておいてもらいたいと思いまして。まぁ、いろいろと今回も悪巧みしてますけど。
内山:悪巧みは楽しいですねぇ~(笑)。
――現段階では発表できないにせよ、今回も何か新たな仕掛けを考えていると?
松山:それはもう当然そうですね、考えています! 仕掛けがいっぱいで、ちょっと目が回りそうですが(笑)。
内山:正直、やり過ぎですよ(苦笑)。
松山:前回の反省が全く活かされていませんね。実を言うと、前作の時は本当に手が回らなくなったんですよ。それがもとで、大人だったら破らないようなルールを破ったりして。ご迷惑をお掛けしたにも関わらず、今回もすでに手が回らなくなってきてます(笑)。この調子だと、またいろいろなところにご迷惑をお掛けしちゃいますね、きっと(笑)。
内山:なるべく少なめで!
――OVAが付くかどうかは想像できましたので、さらに聞いてしまいますが今回も連作という形態でリリースされていくのでしょうか?
松山内山:……。
内山:まぁ、まだ発表するにはちょっと早いかなぁと(苦笑)。
松山:色違いとか別バージョンという販売戦略は考えていませんし。やるのであれば……、やるのであればといいますか、やっちゃいますけど(笑)。
内山:やるのであれば、やはり連作です! ただ全何巻でお届けすることになるのか、というのはまだお話できませんが、きっと満足してもらえるようなボリュームと構成になっています。まぁ詳しくは正式発表をお待ちくださいと。
松山:ライブ感といったら変かもしれませんが、そういうのを大事にしていきたいと考えているんですよ。というのも、前作の時の話ですが、ゲームが定期的に発売されていく中で返ってくるユーザーさんからの反応というのを我々はすべてキャッチしていたんです。アンケートハガキとかホームページの書き込みとか、それこそ個人のサイトにいたるまで、実は隅々まで目を通していたんですね。そういうのって反映されてるのかな? 僕らの意見は届いているのかな? と思われているユーザーさんもいるかと思いますが、間違いなく届いてますから! それを踏まえて我々は行動していましたし。連作という形式をとることで、そういったものをすごく反映しやすくなりますので、今回もそういう部分に関しては最も大事にしていきたいと考えています。本当はすっごく大変なんですよね、この作り方(笑)。
内山:企画当初は1本作って、あとはそのシステムで作れるから少しはラクができるよ……という話でしたが、変わってきちゃいましたからね(笑)
――3カ月で1本のペースで作って、なおかつ本当に少しずつシステムも改良されていきましたからね。
松山:あれはまさに努力と根性。本当に真心で出来てましたよ(笑)。
内山:まあそういう部分で、だいぶ多方面にご迷惑をお掛けしたんですけど(苦笑)。
松山:……まったくです(笑)。
――物語の舞台となる世界は、前作と同じく「The World」なのでしょうか?
松山:「The World」ではありますが……。ただ時代背景を少し整理しますと、前作が2010年。TVアニメの「.hack//SIGN」がその半年前。コミックが2014年。そして最新作『.hack//G.U.』が2017年になります。この7年の間にとある事件がおきまして、それをきっかけに「The World」の世界も仕様変更を余儀なくされたと。こうして誕生したのが新しい「The World」です。部分的なマイナーチェンジではなく根本的に仕様変更していますので、いろいろな部分が変わっています。
――具体的にどんな部分が変わっているのでしょうか?
松山:これも設定的なことですが、まず「The World」の総プレイヤー数が2000万人から1200万人に減っています。で、世界には呪紋の代わりに蒸気機関の文明を手に入れた人と、テクノロジーを否定して呪紋と自然を尊びながら暮らす獣人がいて、それらはずっと紛争を繰り返していると……。そういった世界ですね。
内山:……ちょっと言い過ぎた?
松山:え……いや、けど……いやえっと……。サラリと言ったつもりだったけど。
内山:たぶん松山さんのなかではね(一同爆笑)。
――舞台は同じだけど、何かが大きく変わってしまっているということですか?
内山:そう考えていただいて間違いありません。基本的な部分からすべて作り直していますから。
松山:そうですね、まったく新しい作品をスタートさせるつもりで開発していますから。前作と比較してアレが違う、コレが違うとかいうことで楽しんでもらおうとはまったく考えていません。ですからこれまで『.hack』という作品を知らない人でも、正々堂々と正面から入ってきてほしいなと思っています。もちろん、前作のファンの人に対するサービスもドッサリと用意してありますけど。
――物語はどんな感じになりますか?
松山:いろいろな要素を盛り込んで構成していますが、端的に言うなら“ハセヲ”という少年の長い時間をかけての成長物語になります。
――主人公は“ハセヲ”と考えていいのでしょうか?
松山:そうですね、プレイヤーの分身は“ハセヲ”です。ただ、彼が主人公かというと……。今回はいわゆる主人公クラスのキャラが8人いるんですよ。でもプレイヤーは1人ですから、“ハセヲ”というキャラを通して今回の事件を追いかけていくことになります。まあ我々的には8人のキャラの物語を作っているんですけどね。
――「8」という数字にも何か意味がありそうですが……。
松山:はい、当然あります。
内山:PVに8人のイラストが登場しますし、まぁ「8」という数字の意味に関しては明かしてませんが、英字でヒントみたいなものも入れてありますので確認してみてください。
――PVを見てキャラが表情がすごく豊かになったように感じましたが……。
松山:フェイシャルモーションに関しては、だいぶ実験しましたから。ここまで動かすとアゴが外れるとか、CGモデルの限界値を知るためにギリギリのところまでやってますね。まだお見せできませんが、真骨頂はこれからです!
――「てめぇぇぇ!」と叫ぶなど、“ハセヲ”からは前作の“カイト”よりも粗暴な印象を受けますよね。
内山:そう感じてもらえたなら成功です(笑)。前作の続編を普通に作るのなら、“カイト”のその後とか、“オルカ”を主人公にしたりとか考えられそうですが、すべてを変えていますから。
松山:ですから今回は、『.hack』という名前を付けようか迷ったくらい完全新作として作ってます。前作をプレイしている人もそうでない人も、誰もが同じスタートラインに立って楽しんでいただけるのではないでしょうか。もちろん、前作までをしっかりプレイしてくれている人へのサービスも、ちゃんと用意してあります。
――“ハセヲ”はPKKという設定ですが、これについて教えてください。またPVでは複数の武器を使っているようでしたが、あれは1つの武器が変化しているのですか?
松山:PKKというのは一般的なMMO形式のRPGでいうところのプレイヤー・キラー・キラーですね。PKを懲らしめる存在といいますか……。ただPKKが善良かというと、そうでもありませんので、そのあたりにもちゃんとした設定があります。“ハセヲ”の武器ですが変化するというより、“ハセヲ”がマルチウェポンという職業のPCなんです。今回のPVでは双剣、巨大なカマ、大剣(チェーンソー)を使っているシーンが見られますが、彼はいくつもの武器を使いこなせる職業なんですね。では、この世界に存在するすべてのPCがマルチウェポンかというと、そうではありません。そこにも意味があります(笑)。
――前作の7年後という設定なので前作のキャラも健在だと思いますが、そういったキャラたちは登場するのですか?
松山:今はナイショにしておきましょうか(笑)。ただ先ほども言いましたが「The World」自体が仕様変更をして、プレイヤーキャラが1度リセットされているわけですよ。ですから、前と同じ容姿のキャラを使いたくても使えないわけです。まったく新しいキャラメイクを作り直す必要があるので……。
――ということは、キャラの容姿は違うけど操作している人は同じという可能性も?
松山:
……核心を突いてきますね(笑)。
内山:「ないことはないでもない」という感じでしょうか(笑)。
――とすると、その仕様変更の影響を受けずに、前と同じ“カイト”の姿をしているキャラは、何か特別な存在ということでしょうか?
松山:(苦笑)。それもですね……、ただ誤解を招くといけないので言っておきますが、彼は「トライエッジ」という異名を持つキャラなんです。おっしゃるとおり、重要な役割を持っています。彼のことは「トライエッジ」と呼んでください。
――PVでは圧倒的な強さで“ハセヲ”を圧倒していましたが、あの力というのは……。
松山:
そのへんになると口数が少なくなりますが……、今後の情報をお待ちください(笑)。
――最後に楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
内山:すごくホットでクールな完全新作として、もっと多くのお客さんに遊んでいただきたいと思って作っていた新シリーズがようやく発表できました。前作のゲーム、アニメ、コミック、小説、どこからか触っていただいた方はもちろん、まったく知らない方も、1度触れていただいたら退屈させないものになっていると信じております。今後、徐々に情報をお出ししていくことになると思いますので期待していてください!
松山:いよいよ始動! ということをようやくみなさんにお伝えできました。E3の映像はほんの一部分で、もっともっといろいろなアイディアが詰め込んであります。これから少しずつ、ときにはドンッとみなさんにお見せしたいなと思っています。前作のシリーズとは違う新しい驚きとかワクワクを作品に詰め込んでいますので、ぜひお楽しみに……じゃなくて、覚悟して待っていていただきたいですね。また、弊社のホームページ(サイバーコネクト2公式サイト)でも情報を公開していきますし、掲示板やメールも1つ残らずチェックしています。ファンレターとか、気づいたことがありましたら書き込んでみてください。こまめにのぞいていただければ、ポロリもあるかもしれませんので(笑)。
内山:ポロリは控え目にお願いしますね(笑)。
――ありがとうございました。


内山大輔氏
内山大輔氏
株式会社バンダイ
チーフプロデューサー

 プロジェクトのすべてを知る人物。『.hack』シリーズのほか、PS2用ソフト『ドラゴンボールZ』シリーズや『NARUTO -ナルト- ナルティメットヒーロー』など多数のゲーム制作に携わる。バンダイにも看板ソフトとなるようなRPGを! と探し求めていたときに、『.hack』と、運命的な出会いをはたしたとか。
松山洋氏
松山洋氏
サイバーコネクトツー
代表取締役社長

 『.hack』シリーズのほか、『テイルコンチェルト』、『サイレントボマー』、『ナルトナルティメットヒーロー』シリーズなどの名作を世に送り出したサイバーコネクトツーの社長。ゲーム開発のかたわら、講演会などもこなし、次代をになう若手クリエイターの育成にも積極的に取り組む。『.hack//G.U.』の内容に関しては、こちらが心配するほど熱く語ってくれた。

.hack//G.U.
画面写真
■メーカー:バンダイ
■対応機種:PS2
■ジャンル:RPG
■発売日:2006年発売予定
■価格:未定
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