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  Interview with Tetsuya Mizuguchi for DENGEKI Online Part 1/4
セガのPS2参入第1弾タイトル『Rez』を開発する、株式会社ユナイテッド・ゲーム・アーティスツ(UGA)のプロデューサー・水口哲也氏が、『Rez』について語る必見のロングインタビューを世界で初めて掲載。映像と音楽がメインになるゲームだけに、言葉でどれだけ伝えられるかについては不安もあるが、1万字以上を費やすことによって『Rez』の魅力に可能な限り迫っていこう。

<PROLOGUE>
June 27th PlayStation2 Party
in Summer at ShibuyaAX

●「PlayStation2 Party」にて『Rez』初公開!
 東京・渋谷で開催された「PlayStation2 Party」には、多くのゲーム業界関係者やマスコミが来場し、下半期の強力なPS2ラインナップに胸を躍らせた。『Rez』は、プロデューサーの水口哲也氏が実際にゲームをプレイするという形でプレゼンテーションが始まった。
 スクリーンに、ヒューマンタイプのキャラクターとロックオンサイトのようなカーソルが映し出された。水口氏は、アナログスティックを動かして、画面に表示されたカーソルを移動させる。そして、出現したエネミーにカーソルをロックオンすると、レーザーを発射してエネミーを破壊していく。
 画面を見る限りでは、きわめてシンプルな3Dシューティングのように見える。しかし、エネミーにカーソルがロックオンするたび、そしてエネミーを破壊するたびに、さまざまな音がバックに流れる四つ打ちビートに重なっていく。やがて断片的な音の数々は、加速度的にリズムを生成し、会場全体を包み込んだ。画面では、エネミーの破壊によって光の粒子が散乱し、音楽との絶妙なシンクロが始まっていた……。会場を訪れた人々は、今までに体験したことない光景を目撃して呆然となっていた。
 約10分におよぶプレイを終えた水口氏が、壇上でスピーチを始める。「この気持ちよさを秋にはみなさんにお届けします」。ひときわ大きな拍手が、水口氏を讃えた。

<INTERVIEW>
June 28th
United Game Artists at Shibuya

 水口氏へのインタビューは、「PlayStation2 Party」の翌日に興奮も覚めやらぬまま、UGAの社長室で始まった。

●シンプルなゲームへの回帰
――まずは、先日の「PlayStation2 Party」で実際に『Rez』をデモンストレーションしたときの感想から聞かせてください。
水口:プレイ直後に「頭が真っ白になってしまいました」という言葉が口から出たんだけれど、あれはネタではなくて率直な感想だったんですよ(水口氏はこの日のために、髪を白く染めていた)。自分が髪を白くしたことも忘れてて、僕がステージの上でこんなに気持ちよくなっていいのだろうか、というぐらい気持ちよかった。会場がライブハウスだったし、音のボリュームが大きかったというのもあるんですが、ミュージシャンやDJがプレイするときの快楽っていうのはこんな感じなのかな、と思いました。
――そもそもどういった発想から生まれてきたゲームなんですか?
水口:『Rez』(当時は、『K-Project』というコードネームで呼ばれていた)というゲームを構想してから、現在まで3年以上が経過しています。3年前に考えていたのは、ゲームって必ずしもリアルだからおもしろいわけじゃないよなってこと。最近のゲームというのは、映像や音楽を含めたあらゆる要素がリアルな方向へ一方的に進んでいく傾向にありますよね。僕もレースゲームを何本かつくった経験があるけど、このままいけばゲームはどんどんリアルになっていくことは想像できる。でも、おもしろさよりもリアルさが重視されちゃうんじゃないかという怖さもありました。だから、時代の流れに逆行することになっても、あえて戦わなきゃ、っていう思いが自然と湧きあがってきたんです。
 今のゲームの方向とは、全然逆のことをやりたいと思ったんですよね。「なんでやりたいのか?」って言われたら、そういうゲームがないからというのもあるし、「みんなやりたいんじゃないかな?」って思っているのもある。今のゲームって、何よりも昔のゲームにあったようなドキドキ感が薄れてきたなって思うんです。そのドキドキ感って何だったんだろうって考えていくと、リアルなグラフィックじゃないことだけは確かなわけですよ。ただ、平日の午後とか閉店間際の誰もいないゲームセンターで、『R-TYPE』(※1)や『イメージファイト』(※2)に没入していた感覚は今でも思い出すことができる。だから、すごくシンプルなところにゲームのおもしろさがあるような気がしたんですよね。
――『Rez』では3Dシューティングというスタイルが採用されていますが、シンプルなゲーム=シューティングということなんでしょうか?
水口:昔のゲームセンターでインスパイアされたゲームは、もちろんシューティング以外にもあるんだけど、最近はシューティングゲームって昔に比べてだいぶ少なくなってて、「何でなのかな?」って思ったんですよね。「みんな飽きてしまったのかな?」とか。「難し過ぎるのかな?」とか。シューティングを採用したのは、とにかく深く考えずに生理的に遊べるからなんです。ルールが単純明快で、みんなが感覚的に遊べる題材がほしかったんですよ。我々の年代で『ゼビウス』(※3)をプレイした人は多かったと思うし、女の子だってやってましたよね。でも、今のシューティングって、あまりにも難しくてできないっていう人が多いんです。でも、これはゲーム業界がつくりあげた幻想なのかもしれないって思った。逆に打ち壊せる幻想なんじゃないかと。シューティングというのは難しくて、行くところまで行ってしまったと思うのはちょっと待った方がいいよって。

水口哲也氏プロフィール
 1965年小樽生まれ。1990年日大芸術学部芸術学科卒業、同年セガ入社。1994年に初めてのプロデュース作品である『セガラリー・チャンピオンシップ』で世界的なヒットを記録。以降、1995年『マンクスTT』、1996年『セガ・ツーリングカー・チャンピオンシップ』、1998年『セガラリー2』などレースゲームを次々と制作。1999年にはコンシューマ初のプロデュース作品となる『スペースチャンネル5』(DC)をリリース。主人公の「うらら」は、MTVのAWARDにも出演した。2000年セガの分社化にともない株式会社ユナイテッド・ゲーム・アーティスツ(UGA)の代表に就任。

『Rez』データ
『Rez(レズ)』
■メーカー:セガ/UGA
■対応機種:PS2/DC
■発売日:秋予定
■価格:未定
(c)2001 SEGA/UGA

脚注

(※1)アイレムより87年にリリースされた、アーケード用の横スクロール型シューティング。フォースと呼ばれる攻防一体のオプションを駆使し、全8ステージに及ぶバイド帝国との戦いに挑む。フォースという独特なシステムとともに『R-TYPE』を特徴づけるのが、生体と機械の融合をモチーフに描き出される世界設定。STAGE3をまるまる使った巨大戦艦との死闘は、いまなお語り継がれるハイライトシーンである。

(※2)『R-TYPE』に続いて、88年にアイレムが送り出したアーケード用の縦スクロール型シューティング。3個まで装備できる赤と青のポッド、スピード調節を使ったバックファイヤー、ボス戦における安全地帯などをうまく使っていくのが重要なテクニックだった。ゲームは全8ステージで、ステージ5まではシミュレータ上での戦闘訓練という設定。ステージ5終了時に敵の破壊率が90%以下になっていると激ムズの補習ステージをプレイすることになる。

(※3)シューティングゲームの歴史を語るうえで、欠かすことのできない不朽の名作。ゲームデザイナー遠藤雅伸氏の名を世に知らしめた。82年にナムコからリリースされた縦スクロールタイプの作品で、ザッパー、ブラスターと名づけられた対空、対地攻撃を使い分けながら16のエリアを進んでいく。練り込まれた敵機のアルゴリズム、フィールドに隠されたソルやスペシャルフラッグなどの隠しフィーチャー、ナスカの地上絵の上を飛来するバキュラをはじめとした神秘的な世界観など、その魅力は多岐にわたる。余談だが、ゲーム開始直後に画面右側へ移動し、森に反応があった場所をブラスターで攻撃すると、隠しメッセージが出現する。