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2001年初夏に行われた制作発表会、そして東京ゲームショウ2001秋の2度に渡り、ユーザーが実際に目に触れることができた『ゼノサーガ』。あまりに壮大なスケールゆえ、未だ全容を掴み切れないユーザーも少なからずいるだろう。果たしてこの作品はいかなるものなのか。監督・脚本を担当する高橋氏の言葉から、作品の全貌に迫る【このインタビューは、2001年12月初旬に行われ、2001年12月21日に発売された電撃PS2に掲載された記事を加筆・修正したものです】。

約一年という驚異的な短期間で開発を
終えようとしているSF大作

 

 宇宙創世から終焉までを描く一大叙事詩『ゼノサーガ』。この作品が世に放たれるまで、いよいよ約2カ月後と迫った今、開発チームは最終調整に入っている段階だ。
「ざっと7時間30分に及ぶイベントパートは、現時点(2001年12月初旬時点。現在はすでにマスターアップしている)で99%仕上がっています。一方のクエストパートは、マップに関しては100%、キャラクターも100%、という感じですね」

 そう語るのは『ゼノサーガ』監督・高橋氏。この作品を生み出した人物であり、監督としてすべてを統括する彼は、制作過程の一部始終に立ち会っている。
「モノリスソフトを作ったのは、2000年10月。同時に、『ゼノサーガ』の開発に着手しました。…と言いたいところですが、当初は人材集めに奔走していましたね。ですので、実際に開発が始まったのが、2000年の年末くらいだったりするんです。そんなわけで、実際の開発期間は約1年、になるのかな。シナリオとキャラクターデザイン、メカニックデザインなどの部分は先行して入っていましたけど。綱渡りに近いものがありましたけど、かなり速かったなぁ、と(笑)

 高橋氏の言葉通り、開発は猛スピードで進められ、発売まであと少し、といった状況だ。 昨年秋の東京ゲームショウにて試遊台が設置されたとはいえ、あまりに壮大なスケールゆえ、未だ全容を把握できていないユーザーも少なくないだろう。いったい、どのようなゲームに仕上がっているのであろうか。
「基本的には、マップを移動しながら敵と戦闘したり、ミニゲームをプレイしたりしながらクエストパートを進めて、要所にいくとイベントパートが始まる、という構成のゲームです。特にイベントパートは、専用ボイス、専用アニメーションは言うに及ばず、SEに関しても、7時間半そのすべてのシーンに専用のモノが付けられています。ここまで徹底してイベントが作られているRPGは、恐らくPS2初なのではないでしょうか。
戦闘に関しても、もちろんユーザーの方がじっくりやり込める要素を採り入れていますので、ご安心を。
BGMに関しては、グレゴリオ聖楽系を入れているのは、根本的なネタの1つに宗教的な部分があるので、その雰囲気を出したかったからなんですね。もちろんこれは、光田君(=光田康典氏=『ゼノギアス』『クロノクロス』等のゲーム音楽だけでなく、演劇、ミュージカル等までも幅広く手がける。)の要望もあってのことですけどね。彼とは、既存のRPGのイベントにありがちな"始終バックにループ曲が流れている"なんて形態はなるべく避けようというコンセンサスがあって、極力、各シーン専用の曲作りになっています」

 たった1年とは思えない作り込み。もちろんこの開発力は、システム、BGMだけに向けられたものではない。高橋氏は言葉を続ける。
「監督であると同時に脚本担当でもあるので、もちろんシオンやコスモスをはじめとしたキャラクターの設定やシナリオも手がけています。キャラクターは、これまで以上に深くその性格やバックボーンを描いています。ですから、基本的には主人公シオンの視点で物語が進行していきますが、彼女以外の人物にも目を向けていただけると嬉しいですね。脚本を手がけた立場から見て――自分で書いていて――楽しいのは、未発表の"ある男"。これについては、先々の発表をお楽しみに(笑)。それと、すでに発表されているジギーとモモ、そして彼らを取り巻く人間関係も目が離せないはずですよ。
脚本を手がける上で気を付けている点を挙げるとするならば、"レトリックにこだわらない、凝らない"というコトでしょうか。というのも、ゲーム作品には往々にしてその傾向が強い、と感じるから、その逆でいきたい、と思ったからです。もちろんレトリック志向は悪いことではなく、1つの方向性としてアリだと思うのですが、『カッコイイ台詞をしゃべらせよう』『感動する台詞をここで入れよう』と書き手がレトリックにこだわるあまり、いつの間にか手段が目的となってしまっているんです。本来伝えたかった事柄が伝わらない。登場人物全員がいわば詩人になってしまうわけです。実際、我々はどんな日常生活を送っているかを考えた場合、そんな人間が周りにいたらヘンですよね(笑)。あくまで自然に、登場人物がある状況下に置かれた場合、彼の性格から察するにどんなことを言うのだろう?  そのことを常に考えながら執筆しています。身近にある言葉でも、そのシーンにマッチしていれば、すごく印象に残ることがある。そんな台詞をキャラクターにしゃべらせたいのです」

この壮大な物語は、
まだ1つのエピソードに過ぎない

 氏の構想によると、今作はまだ1つのエピソードに過ぎないという。タイトルに『エピソードⅠ』と併記されている理由は、そこにある。
「全体は、今制作しているモノの約3倍のお話になるのかな、というくらいの構想があります。自分たちのキャパシティを考えると、いきなり全部は作れないんで(笑)。まぁ、ゆっくりやっていこうかな、と思っています。とはいえ、今作だけでもスケールが相当大きいワケでして。先日、スタッフがちょうどボリュームの半分程度までプレイしたんですけれど、約14時間30分かかったようです。となると、総プレイ時間はおよそ40時間くらいなのかな」

 氏の言葉から察するに、この作品がいかに壮大な物語かをうかがい知ることができよう。それは、個性的な多数のキャラクターが登場することからも垣間見ることができるはずだ。
「今作では、かなりの数の主要人物が登場します。それは、これから先のお話にも関係してくる人達なので、まず彼らに触れてもらって、それぞれの個性を掴んでほしいなと思っています。
今作では、映像的な部分、ゲームとしてのやり込みの部分は、ごくごく当たり前に楽しんでいただきたいですね。それ以外に何を見ていただきたいか、と考えると、やはりキャラクターでしょうか。今作の随所に、今後の物語に関わる伏線・仕掛けが――それは台詞であったり、キャラクターの素性であったり、設定であったり、もしくは何気ない背景にチラッと映るものですね――、かなり仕込んであるので、そういったキーワードから、将来どうなるんだろうかと想像してもらえると、うれしいですね」


高橋哲哉氏プロフィール
モノリスソフト 取締役副社長 開発本部 本部長。『ゼノサーガ』監督・脚本。日本ファルコムでデザイナーとして活躍し、スクウェアへ。初監督作品『ゼノギアス』を1998年に発表。翌年モノリスソフト取締役副社長に就任。

『ゼノサーガ』データ
『ゼノサーガ エピソードI 力への意志』
ナムコとモノリスソフトがタッグを組んで贈る、一大叙事詩が、今ここに登場。
■メーカー:ナムコ
■対応機種:PS2
■発売日:2002年2月28日
■価格:7,800円/限定版12,800円
※限定版には、フィギュア《KOS-MOS》、ビジュアルブック、特製バインダー、キーホルダーに加えピクチャーディスク仕様のゲーム本編が同梱されています。
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