電撃ドットコム > 電撃オンライン > レビュー > 『塊魂』

◇ レビュー ◇
電撃オンライン編集部がオススメするソフトを個性的なレビュアーがアツく語ります!
タイトル
塊魂
レビュアー
いぐどん

感じるわ。コスモを感じる。
おうし座が颯爽と帰ってきたわ。モー。(5,378文字)


『塊魂』。これがこのゲームの名前です。「かたまりだましい」と読みます。名前からして怪しい香りがプンプン漂いまくりですが、見た目・世界観・登場キャラもそれ以上に変です。独特という言葉では全然足りないほど。ユーザーを遥かかなたに置いてけぼりっぷりは、過去発売されたゲームでも余裕で1、2を争うのではないでしょうか。新感覚にもホドがあるってものです。でも、そんな外見に惑わされてはいけません! さすがゲーム業界の雄・ナムコ様。誰でも手軽に遊べる操作や画期的なゲームシステムなどなど、自転車で換算すると1000万台分の魅力あふれる、とっても素敵なゲームにきっちり仕上げています。おかしな設定やキャラだけしかウリのない、気をてらったゲームではないわけです。変化球に見えて、男らしく直球勝負なのです。ゲーム画面だけを見ると、挑戦的な意見も言いたくなると思います。ゲームをプレイしたことないと普通はそう思うはずです。あんなゲーム画面では。じゃ、お読みなさい! 『塊魂』の魂あふれる魅力の塊の数々を。

●世の中にはこんな世界もあるらしい
 酔っ払った大コスモの王様は、酔った勢いで夜空に浮かぶ星を破壊してしまいました。星がなくなったことに民衆は怒り、王様は星を取り戻すべく一念発起し、息子の王子をモノだらけの地球にワープ。何でもひっつく謎の"塊"を転がさせ大きくして、星を作らせることに…。果たして、王子は無事星を作り、星空の輝きを取り戻すことができるでしょうか──。『塊魂』はこんなかなり謎の物語のACTです。ゲームシステムについては、あとで詳しく語るとして、やはり物語からもビンビンわかるように『塊魂』のわかりやすい魅力は、ブッ飛びの世界観でしょう。王様はかなり大きいってことで、星を壊すってのは納得としても、地球上にあるモノを巻き込んで大きくして、星を作るってのは…。ズバリ訳わかりません。マトモな大人の考えることではないですね、これは。かなり浮世離れした人か、すごく子供(ガキ)…いや、ピュアな心の持ち主か、はたまた何かが降りてきているのか…。この設定を考えた人と、一度会ってお話してみたいです。ちょっぴり怖い気もしますけど。まぁそれはともかく、設定が面白いぶんには問題ないでしょう。個人的にはかなり好きですし。こういう雰囲気が好きな人は、どっぷりハマれると思います。ちなみにそんな世界観が濃縮されたオープニングムービーは必見です。パンダが踊り、王様がギターを奏で、巨大キノコが富士山に生える。独特なゲームの空気や雰囲気がキミのハートを直撃!! 一生のうちに一度は見ておきたいムービーの1つです。超オススメ。パンダ以外に動物もたくさん登場するので、アニマルファンも注目!!

●登場キャラたちもスゴイようだ
 次にキャラですが、これもぶっ飛んでます。大コスモの人たち(王様、王子、王妃)は、一応人の形をしてますが、頭が横に長いです。クスリのカプセルみたいな形をしています。帽子のようなモノをかぶってるだけなのか、本当に頭が長いのか…。一度気になり出すとプレイに集中できません。しかも、王様は星を破壊するほどデカイのに、王子の身長は5センチ。成長の仕方が想像できません。お手上げ。登場キャラの設定も神懸り的です。まぁ、かなり好きなんですけど、こういうの。なお、王様以外はしゃべりません。ただそのぶん、王様は口が達者です。うるさいぐらいしゃべりまくりで、しかも毒舌です。毒舌王です。たまに頭にカチンとくることを口走ります。なぜこんな野郎(←失礼)が王様なのかと疑問を抱きたくなります。でも、ステージの冒頭で世界各国の言葉でアイサツしてくれます。「ヒューデヮミッダヒ」「ジェンドブリ」などなど。海外旅行に行くときに役立つかも。そんなことを考えると、王様に好感を持っている自分がいたりします。アメとムチ? さすが王様、人民の心のつかみ方を知っているなぁ。というか、大コスモって、どんな国なんでしょう。詳しくは知りたくないけど、気になります。
 あと大コスモの人たち以外に地球人もステージクリア後に挿入されるムービーで登場します。星野一家です。一応日本人ですが、大コスモの人たちに負けず劣らずの個性一家です。顔が異様に濃くて、顔・体・手・足など、体の部位が四角いです。実はカクカク星人ですか。日本人といってもホッとなどできません。街ですれ違いたくない空気を携えてます。なお、冒頭の「感じるわ。コスモを~」という言葉。これは星野一家の娘・ミチルの名言です。隠れ聖闘士星矢ファンらしい。

●ゲームはやっぱりシステムありきみたい
 外見ばかり長々と語ってしまいましたが、いよいよ肝心要のゲームシステムです。ゲームの目的は、星を作ること。"塊"と呼ばれる丸い球を転がして、ステージ上に落ちているモノを巻き込み(ひっつけて)、規定時間内に一定以上の大きさにすればOKです。ステージ上にはたくさんのモノがあり、道端にお寿司が落ちていたり、滑り台の階段に赤いルージュが置いてあったりしますが、そこはもうあえて詳しく言及しません。独特な世界観を考えれば、もう納得です。そんな感じでステージ上にはたくさんのモノが所狭しと点在しているので、「なんだぁ~、モノがいっぱいあるから簡単に大きくできるじゃん」と思うかもしれません。が、巻き込みには1つの決まりがあります。それは巻き込めるモノの大きさは、塊の大きさに比例する。つまり、塊が小さい段階では、いきなり巨大なモノは巻き込めないわけです。そこで徐々に塊を大きくする必要があり、(ステージによりますが)最初はたこ焼きぐらいの大きさのモノしか巻き込めないが、ある程度それらのモノを巻き込むと、塊はひと回りビッグに! 今度は牛乳パックぐらいの大きさのモノが巻き込めるように。そして、それらを巻き込みさらに大きくなったら、次はスイカぐらいの大きさのモノが…。こういった具合に、小さいモノから徐々に大きなモノを巻き込んで、塊を大きくしていくことになるわけです。ステージによっては、塊はかなりの巨大になります。初めは50センチ足らずの塊が、クリア時には500メートルを軽く超す大きさになります(うまくやればもっとデカくなると思います)。デカ過ぎです。消しゴムですら巻き込めなかった塊が、人間、木、ガードレール、牛、自動車、象、クレーン車、ビル、正義の巨大ヒーロー、怪獣、島などなど、やたらめったら何でも巻き込めるようになります。ここまで大きくなると、なんか神様気分です。怖いものなしです。ホントに。塊だけでなく、自分も大きくなった気分になります。まぁ、錯覚なんですが…。結構快感です。ただし注意が1つ。制限時間があるので、効率よくモノを巻き込んでいかないとうまく大きくなりません。テキトーにやってると、クリアもままなりません。まずは何を巻き込んでから移動して、次はこれを巻き込むなど、しっかり考えてプレイしないといけなかったりします。つまり、かなり歯応えあるってことです。ACTが苦手という人にとっては、その辺りが正直ネックになってくるかもしれません。でも、操作も思い通りできるようになり、攻略パターンが見えてくると、雪だるまを作るがごとく、どんどんどんどん塊が大きくなっていきます。こうなると気持ちよさが止まらない! ぜひ一度体験してほしい快感です、これは。

●操作は変わってるけどシンプルなのね
 塊を転がす。なんだか操作が難しいそうに思えますが、いたって簡単です。基本的に使うのは、L/Rスティックのみ。両方のスティックを前に倒すと前進、後ろに両方倒すと後退。左だけを前に倒せば左に旋回、右だけを前に倒せば右に旋回、さらに左右同じ方向に倒せば、真横に移動。これで操作はほぼOK。戦車のラジコンを遊んだことがある人(ナムコの名作戦車ACT『アサルト』でも可)は、それを想像してもらえるとわかりやすいのでしょう。遊んだことのない人でも、スティックと塊の動きが連動しているので、感覚的に誰でもすぐわかると思います。ゲーム内でも操作を練習できたりするので、ACTは操作が複雑だから敬遠している人でも安心かと。あとわざわざ操作を確認するのに説明書を読むのが面倒って人にもオススメ。でも、説明書は見た方がいいでしょう。ゲーム同様のノリ満点で愉快です。普通の説明書と見方が違う(ページを上下に開きます)し、イラスト入りでわかりやすし、王様のチャームポイントについて載ってたり…。メガドライブで名を馳せた今は亡きテンゲン(もしくはタイムワーナーインタラクティブ)制作のソフトの説明書までとはさすがいきませんが、一見の価値アリです。しっかり世界観が説明書にも入っていてハナ丸です。私なら、この説明書だけでも500円でお買い上げです。

●サウンドにも耳を傾けてみては?

 ゲーム画面から伝われないのが心苦しい限りなのが、『塊魂』の素晴らしきサウンドの数々。これは絶対聴くべき。かなりインパクト大で、1度聴いたら、たぶん耳から離れなくなるでしょう。謎のヴォーカル入りで、夜うなされ…もとい、思わず口ずさんでしまうこと必至です。特にオススメなのが"塊オンザロック"。冒頭の「NANAーNANANANANAーNAーNAーNA、NAーNAーNANAーNAーー♪」という地の底から聞こえてくるような低音の部分が、相当キテます。まるで何かの呪文のようにです。カラダニトリツキマス。私の場合、電車にある『塊魂』の広告を見て、反射的にこのフレーズを歌ってしまい、恥ずかしい思いをしました。それほど名(迷)曲です。これは公式サイトの"塊魂オンザウェブ(http://katamaridamacy.jp/)"でほんのりと少しだけ視聴ができます。下の「とてもよかった」とクリックしてから、早速アクセス。聴いてみてください。ホント病みつきになりますから。『もじぴったん』の曲も良かったけど、病みつき度としてはこっちの方が断然上かな。ちなみに音楽だけでなく、効果音もいいカンジです。人間を巻き込むと「キャー」や「ギャー」と叫んだり、牛なら「モー」と鳴いたり、トロフィーなら「キラリーン」と豪華な感じの音がしたりします。細かいことですが、こだわりを感じます。

●そんなところまでこだわってるんだ!
 こだわりと言えば、何といってもこのゲームのある意味主役であるモノ。その多種多様ぶりには、相当こだわりを感じます。その種類は『パックマン』のボーナスでおなじみのフルーツから野菜に、調理器具、文房具、おもちゃ、武器、生き物、建物etc。1つ1つ具体的にモノの名前を挙げていったらキリがありません。そんなモノの総数はなんと1400以上。1日1個のモノを巻き込んだとしたら、4年近くも遊べる計算になります。なんてコストパフォーマンスの高いゲームなんでしょうか。ポリゴンとはいえ、これを1つ1つ作ったと思うとかなり頭が下がります。「お疲れ様」とポンと気軽に肩も叩けやしません。スゴイのひと言。魂がこもりまくりです。また巻き込んだモノは、コレクションされて閲覧が可能なのですが、説明文とかも1つ1つきちんとあったりして…。読み応え満点というか、1400以上もテキスト書いたのかと思うと、文章を書いているライターのワタシとしては大尊敬です。私だったら、こんな仕事断ってますよ、確実に。しかも、量にもまして質も充実。解説がかなり面白い。個人的に相当ツボです。フライドチキンの解説で「オイシンガ ニワトリノ ドコカノ ブブンナノデ トラレタ ニワトリハ タブン トベナクナッテル」とは普通書かないと思います。名前や王様のセリフの言い回しのセンスは、かなり気に入ってますが、この解説にはノックアウトです。ちなみに建物の名前が"シシャモビル"や"サバビル"など、かなり生臭いです。どうしてこんな名前なのか、クリアした今でも理解できません…。なぜに魚介テイスト?
 あとすっかり忘れてましたが、『塊魂』は"ロマンチックアクション"と銘打たれてます。信じられないと思いますが…。「正直、どこがだよ!」なのですが、作った星を閲覧できるモードがあり、それは実際ロマンチックです。部屋の電気を消してみれば、プチプラネタリウム気分です。彼女もうっとりです。この機会に「一緒に塊を転がそう!」とか、「オレの人生に巻き込まれてくれ!!」だのプロポーズしてみるのも手かも。ぜひプロポーズを考えている人は『塊魂』で。責任は一切もてませんけど…。万が一、成功したとしても絶対にプロポーズの言葉は、身内や将来子供には話せないと思いますし……。

●最後にまとめてみました
 物語やキャラなどがアクが強すぎて、異色ゲームととらえられがちですが、ゲームとしての完成度は相当高いです。モノを巻き込んで塊を大きくするというシンプルなシステムに、塊の大きさに比例したモノしか巻き込めないというたった1つの法則で、ここまでゲーム性の高い作品を作り上げるところは、さすがといったところです。しかも、続編ばかりの最近のゲーム業界。そんな中に、こういう純粋にゲームと呼べるオリジナル作品を発売する心意気。ナムコに盛大な拍手を贈りたいものです。
 
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レビュアー紹介
いぐどん
 メガドライブのソフト全タイトルを所有している、かなり偏ったゲームライター。そんなワケなので、トレジャーとかが大好き。なんか、見た目にも人とはちょっと違った変な人。


●好きなゲーム
『セブンスクロス』
『ジェットセットラジオ』

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