六神合体ゴッドマーズ

◆メディア:TV ◆放映年月日:1981年10月~1982年12月
◆話数:全64話 ◆チーフ・ディレクター:今沢哲男
◆作画監督:本橋秀之 ◆メカニック・デザイン:亀垣一
あらすじ

 時は西暦1999年。人類は宇宙へと進出し、太陽系の惑星開発に着手していた。だが、突如として現れた、ギシン星皇帝ズールを名乗る者が宇宙船団を破壊し、地球へ降伏を勧告する。その日、地球防衛機構バトルキャンプのクラッシャー隊に所属する明神タケルは、夢の中でズールと対面する。なんと、タケルは地球を破壊するために送りこまれたズールの息子マーズだというのだ。愛する地球の破壊を拒否したタケルは、ギシン星の超能力者により襲撃される。危機に陥ったタケルを救ったのは、明神礁の神像の中から現れたロボットのガイヤーであった。しかし、なんとガイヤーには地球を破壊するための反陽子爆弾が搭載されていたのである。
 父の告白により、出生の秘密を知るタケル。自身が地球人でないことを知ったタケルの前に、再び現れるギシン星からの刺客。ガイヤーをも圧倒するギシンメカ・ギララに対し、世界各地より5体のロボット(五神ロボ)が飛来。ガイヤーと六神合体し、ゴッドマーズとなる。これにより、ゴッドマーズは圧倒的な力で、ギララを撃破するのだった。

キャラクター

 『ゴッドマーズ』は、当時女性ファンから熱狂的な支持を受けたとして、現在に名を残す作品だ。本橋秀之氏による美形キャラクター(ただし、本橋氏自身は美形キャラクターであるという認識はなかったという)が多数登場し、タケルとその兄マーグの兄弟愛が注目を集めた。1982年2月に放映された第19話でのマーグの悲劇的な死には、多くの女性ファンが涙した。そして、1982年3月、「マーグよ、安らかに眠れ」と題した追悼イベントが、日本テレビの主催により開催された。全国のファンから申し込みが殺到。300人のファンが参加し、マーグに哀悼の意を捧げたのであった。アニメキャラの追悼イベントとしては『あしたのジョー』の力石徹の葬儀以来のことで、極めて異例なことであった。
 なお、本橋秀之氏は『UFOロボ グレンダイザー』で多数の美少女キャラクターを生み出したアニメーター、荒木伸吾氏の弟子筋に当たる人物であるため、ロゼをはじめとした女性キャラクターも美少女ぞろいであった。

用語1

●ギシン星

 地球から見ると、天の川の外にあるという第4恒星系の第1惑星。皇帝ズールによって支配されており、多くの超能力者をその配下とする。その勢力は半径1千光年にもおよび、極めて高度な科学力を用いて500もの星系に対して戦争をしかけていた。皇帝ズールは9つの惑星を勢力下においており、本星であるギシン星のほか、第8番惑星と第9番惑星が居住可能な星だが、ロゼの故郷である第8番惑星では住民は絶対服従を強いられており、第9番惑星ではズールに逆らった者たちが強制労働をさせられている。

©光プロダクション・TMS


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ストーリー

 横山光輝氏のコミック『マーズ』を原作として、大胆なアレンジが加えられた『ゴッドマーズ』。原作自体は、地球を破壊するために送り込まれた人工生命体(無生殖人間)マーズが、地球人たちと交流しつつも、最終的には地球人に絶望し、地球を滅ぼしてしまうという衝撃的な作品であった。一方、この作品では正反対に、兄であるマーグとの家族愛、母である静子との家族愛、そしてクラッシャー隊の仲間やロゼとの絆が繰り返し描かれ、タケル(マーズ)は最後まで、その愛の力でズールをはじめとした巨悪に立ち向かっていくのである。
 この作品は第25話までの「ギシン星編」、第26話からの「マルメロ星編」、第52話からの「地球編」と、大きく3つのストーリーに大別される。好評のあまり、放映期間が延長されていった結果、ギシン星編のみで終了する予定だったストーリーが、大幅に拡張されたのである。その人気は、ファンの署名運動により、劇場版の製作が決定したという逸話すら残している。ギシン星編を再編集した劇場版は、TV版の放映終了を間近に控えた1982年12月に上映。しかし、なおもその人気はとどまることを知らず、1988年には新作OVA『六神合体ゴッドマーズ 17歳の伝説』が発売されるにいたっている。ちなみにこの作品、タケルを主人公としているが、タケルとマーグの兄弟愛を中心に描かれている。

メカ

 6体ものロボットが合体して誕生する『ゴッドマーズ』。当時の合体ロボットは3機~5機程度のメカ(戦闘機など、人型でないメカを含む)が合体するものが主流であった。それに対して、この作品は6機のメカ、それもそれぞれに個性的なデザインを持つ人型ロボットが合体するという前代未聞のものであった。しかし、それによって生まれるゴッドマーズは、非常に線の多いデザインとなっており、動画として動かすのが困難だったという。実際に、この作品は本編中で派手な動きをすることがほとんどないのだが、カット割りの巧みさによって、「敵の攻撃を受けてもビクともせず、敵を一撃のもとにしとめる」という無敵のロボットとしての存在感を見せつけていた。一方、六神合体前のガイヤーは、アグレッシブなアクションを見せており、その対比がみどころでもある。

用語2

●マルメロ星

 太陽系から1万4000宇宙km離れた場所にあるとされる惑星。死の星と呼ばれる不毛の惑星とで、二連星を形成している。超能力者を数多く輩出する星で、ギロン総統によって独裁統治されている。天の啓示を受けたギロンの命により、プラス・エネルギーを持つ超能力者が、マイナス・エネルギーを持つ超能力者を迫害しており、マイナスの超能力者を死の星へと投獄するマイナス狩りも行われている。ちなみに、プラスとマイナスのエネルギーは本質的には差異のないもので、ギシン星人出身の超能力者の多くはプラスのエネルギーを有している。