装甲騎兵ボトムズ
ペールゼン・ファイルズ

◆メディア:OVA ◆放映年月日:2007年10月~2008年8月
◆話数:全12話 ◆監督:高橋良輔
◆キャラクターデザイン:塩山紀生 ◆メカニックデザイン:大河原邦男
あらすじ

 百年戦争末期。ヨラン・ペールゼン元大佐が設立した特務部隊レッドショルダーを除隊となったキリコ・キュービィーは、惑星ロウムスのタイバス渡河作戦に従事し、唯一の生き残りとなった。そして、地獄を切り抜けた彼に、新たな部隊への配属命令が下される。軍上層部の命により、ノル・バーコフを分隊長とし、ガリー・ゴダン、ゲレンボラッシュ・ドロカ・ザキ、ダレ・コチャックらにキリコを含めた5人による、バーコフ分隊が結成されたのである。彼らはいずれも軍内では問題児とされる兵士であり、その誰ひとりとして自分が分隊に選抜された理由を理解していなかった。

キャラクター

 作中の時間軸的には『野望のルーツ』の少し後となる本作。『野望のルーツ』で圧倒的な存在感を放っていたペールゼンの執念に、よりクローズアップしたストーリーが展開される。それぞれにひとクセもふたクセもあるバーコフ分隊の仲間たちや、数多の戦いを通じて、バーコフ分隊の仲間たちに対して、次第に愛着を抱いていくキリコの姿にも注目したい。だが、本作における最大のサプライズは、TV版では非常に重要な役割を担っていたジャン・ポール・ロッチナらしき人物が、思いもよらぬ役どころで登場していることだろう。

用語1

●コッタ・ルスケ

 TV版ではギルガメス軍大尉として登場。後にバララント軍に寝返って大佐となる。かねてよりワイズマンの命令に従い、キリコをワイズマンのもとへ導くため、「神の目」として暗躍していた。だが、ワイズマンの誘いに乗らなかったキリコに対して、「私が異能者であったなら!」と心情を吐露する野心家でもある。TV版の約30年後を描いた『赫奕たる異端』や『幻影篇』でも、キリコの研究に対して狂気的な執念を燃やす老人として登場している。

©サンライズ



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ストーリー

 『ペールゼン・ファイルズ』は、前作(時系列としては後)に当たるOVAシリーズ『装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端』から、10年以上の年月を経てリリースされた、待望のシリーズOVA新作で、『野望のルーツ』とTV版の間をつなぐエピソードが描かれている。『ボトムズ』シリーズでは紛争をテーマに取り上げているものの、物語の背景となる百年戦争を描いたエピソードは、実は初めてである。そんな中、本作は百年戦争の真っただ中でストーリーが展開する、いわば空白を埋める作品となっており、ミリタリズムを追求する最低野郎ならば必見の作品である。
 なお本作はのちに再編集され、劇場版として上映された。こちらは、TV版で用いられた主題歌『炎のさだめ』が、オリジナル歌手のTETSU(織田哲郎)によって新録されたことでも大きな話題を呼んでいる。

メカ

 本作では、『ボトムズ』シリーズとしては初めて、CGによってATをはじめとしたメカニックが描かれている。これにより、タイバス河の渡河作戦や惑星モナド攻略戦など、大量の兵器が登場する大規模な戦場の再現が可能となったのである。その迫力の戦闘シーンは、一見の価値があると言えよう。また、新ATとしてバララント陣営の量産型ATチャビィーが登場。これまでのシリーズでは、ギルガメス陣営のATが拡充されることが主だったため、チャビィーの登場は「ボトムズ」の世界観をより深めることとなったのである。

用語2

●モナド

 もとはギルガメスの要塞だったが、バララントにより占拠された惑星。本来は惑星クエントを中心とした先史文明の遺跡であり、現在も膨大なエネルギーを放出し続けている。