機動戦士ガンダム00 1st Season

◆メディア:TV ◆放映年月日:2007年10月6日~2008年3月29日
◆話数:全25話 ◆監督:水島精二
◆キャラクターデザイン:高河ゆん、千葉道徳
◆メカニカルデザイン:海老川兼武、柳瀬敬之、鷲尾直広、寺岡賢司、福地仁、中谷誠一、大河原邦男
あらすじ

 西暦2300年代。深刻なエネルギー危機を予見した各国は、ユニオン、AEU、人類革新連盟の3勢力を形成する。各勢力はそれぞれに軌道エレベーターを建設。これにより太陽光発電システムが稼働し、人類はエネルギー危機を脱したが、依然として世界から争いの火種が消えることはなかった。
 そして西暦2307年。AEUの新型MS発表会の場に、未確認のモビルスーツ(MS)が現れ、新型MSであるイナクトを圧倒する。そのMSの名はガンダム。GNドライヴと呼ばれる動力炉を搭載した機体である。そして、刹那・F・セイエイ、ロックオン・ストラトス、アレルヤ・ハプティズム、ティエリア・アーデら、4人のガンダムマイスターと4機のガンダムを擁する私設武装組織ソレスタルビーイングは、戦争根絶のために世界中の紛争に対して武力介入を行うと宣言するのだった。200年前の科学者イオリア・シュヘンベルグが創設し、量子演算処理システムであるヴェーダの指示によって行動する「ソレスタルビーイング」。彼らは、あらゆる戦いに対して介入を行い、民族紛争が停止するなどの成果をあげていく。

キャラクター

 本作では根強い女性ファンの支持を受ける、マンガ家の高河ゆんがキャラクターデザインとして参加しており、登場キャラクターは美男美女ぞろい。彼らは、「俺がガンダムだ」という刹那のセリフに代表されるような強い個性を持っており、それぞれが数多くのファンを獲得した。
 また、本作を語る上で忘れてはならないのは、刹那の戦いと並行して語られる、沙慈・クロスロードのエピソードである。民間人として平和に暮らしていた彼は、否応なく戦争が生み出す悲劇に巻き込まれる。その日常が穏やかに描かれていただけに、ガールフレンドであるルイス・ハレヴィが、戦火で両親と片手を失うシーンは、多くの視聴者に衝撃を与えた。戦士である刹那が、物語としての戦争を司るキャラクターなら、対照的に描かれる沙慈は、現実的な戦争を体現した、本作のもう1人の主人公であるといっても過言ではないだろう。

用語1

●GNドライヴ

 ソレスタルビーイングが所有する4機のガンダムに搭載されている動力炉。別名を「太陽炉」ともいう半永久機関で、莫大なエネルギーとGN粒子を放出することが可能である。GN粒子はビーム兵器に転用できるほか、大気圏突入をも可能とするバリアとしても機能する。なお、現存するオリジナルGNドライヴは5基すべてをソレスタルビーイングが所有している。
 GNドライヴはイオリアの計画を支える重要な要素であり、単なるMSの動力以上の役割を持たされているようだが……。

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ストーリー

 これまで架空の未来世界を描き続けてきた『ガンダム』シリーズ。しかし、本作では現実世界と地続きである西暦が舞台となっている。これにより、差し迫ったエネルギー問題や、各地で頻発する紛争などが描かれ、より現実的な世界観が構築されているのだ。そうした意味では、シリーズでも群を抜くリアリティに支えられたが、やがてイオリアの目的が明らかにされていくにつれて、SF的な色彩を強く帯びていく。そして、このSF的展開は、これまでの『ガンダム』シリーズが描いてきた、人と人の戦争という枠組を大きく超えるものになっていくのだ。
 本作では物語の全貌は明らかにされず、真の結末は『機動戦士ガンダム00 2nd Season』そして、『劇場版機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』で描かれる。本作はその布石として、リアリティとSF観の双方を併せ持つ懐の広い世界観を確立した立役者と言えるだろう。

メカ

 本作には非常に数多くのメカデザイナーが参加している。これにより、各陣営ごとに特色あるMSが生み出された。たとえば人類革新連盟の主力MSティエレンは、質実剛健を絵に描いたような戦車を思わせる兵器のようなとしたデザインである。一方、ユニオンの主力MSフラッグは、航空機を思わせる未来的でスマートな機体となっている。こうしてメカデザインを眺めるだけでも、各国の技術や思想などの背景がうかがえるようになっており、視聴者の多様な嗜好にも幅広く対応しているのだ。
 また、「入れ子状になったガンダム(ガンダムヴァーチェ)の中に、別の機体(ガンダムナドレ)が内蔵されている」というような、これまでのガンダム作品では考えられなかったようなサプライズも、ストーリーを大いに盛り上げていた。

用語2

●ソレスタルビーイング

 イオリアによって創始された私設武装集団。イオリアの計画を遂行するべく、量子演算処理システムであるヴェーダのバックアップを受けて活動する。GNドライヴを搭載した4機のガンダムと、その輸送艦であるプトレマイオスを実働部隊とし、世界中のあらゆる紛争に対して武力介入を開始した。その全貌は判然としておらず、プトレマイオスを核とする実働部隊のほかにも、さまざまなセクションが存在する模様。また、各地の王留美(ワン・リューミン)をはじめとした有力者とつながりを持ち、経済・情報面で支援を行うエージェント(協力者)もいる。