真マジンガー 衝撃!Z編

◆メディア:TV ◆放映年月日:2009年4月4日〜2009年9月26日
◆話数:全26話 ◆原作:永井豪
◆監督:今川泰宏 ◆キャラクターデザイン:竹内進二
◆マジンガー&機械獣デザイン:野中剛(プレックス)
あらすじ

 富士山麓に建設された光子力研究所。そこで、ようやく光子力の実用化が実現したある日、世界征服を目論む悪の科学者Dr.ヘルが、光子力を狙って日本侵攻を開始した。科学者である兜十蔵博士が、連続殺人事件の容疑者として暗黒寺刑事に疑いをかけられるなか、Dr.ヘルの配下のひとり、あしゅら男爵は巨大なタロス像を用いて十蔵とその孫である兜甲児を狙う。光子力研究所のロボット、アフロダイAの介入によって、ひとまず難を逃れた甲児に、十蔵は密かに開発していた「神にも悪魔にもなれる」力を持つスーパーロボット、マジンガーZを託す。甲児はマジンガーZを操り、その必殺のロケットパンチで、タロス像を粉々に打ち砕くのだった。だが、Dr.ヘルは続けざまに機械獣を繰り出し、光子力研究所へ襲撃をかける。甲児はかろうじて爆撃獣相手に勝利するが、十蔵は帰らぬ人となってしまう。
 十蔵の仇を討とうとする甲児は、十蔵の旧知である温泉旅館「くろがね屋」の女将、錦織つばさのもとに身を寄せる。彼女はDr.ヘルの本拠地、バードス島の場所を知っているというのだ。超合金Zでできた武器を持つ男達を従えるつばさ……その正体は、甲児とその弟シローの実の母であった。そして、彼女は夫であり甲児らの父である兜剣造を殺したという。

キャラクター

 本作の影の主役とも言うべきキャラクター。それは、Dr.ヘルの腹心あしゅら男爵である。これまでの「マジンガー」シリーズ作品では、ある意味<愛すべきやられ役>のような立場であった彼(?)だが、本作では古代ミケーネとの関係がきわめて重要なファクターとなっており、あしゅら男爵の行動が物語進行のカギとなることも少なくはなかった。また、生身でマジンガーZに対抗できるほどの力を発揮したこともある。
 なお、本作には、かつて永井豪作品に登場したキャラクターが数多く登場する。ゼウスやハーデスもコミック版「Zマジンガー」に登場した同名の神によく似た外見と役回りであった。そのほか、出典元では名もないチョイ役だったキャラクターが、超人的な力でロボット顔負けの活躍をすることも多い。このように、永井豪作品に精通している人ほど、本作をより深く楽しめるようになっている。

用語1

●超合金Z

 富士山麓でしか産出されないとされるジャパニウム鉱石を生成して生み出された超合金。マジンガーZやエネルガーZのボディ、さらにはくろがね屋の男衆が持つ武器の構造材となっている。また、くろがね屋の番頭クロスの正体は、頭部と両腕が超合金Zで作られたサイボーグであった。なお、古代ミケーネと戦ったゼウスの斬り落とされた右腕も長い年月を経て結晶化することでジャパニウム鉱石となっており、十蔵はこの右腕からゴッドスクランダーを開発した。

©2009 永井豪/ダイナミック企画・くろがね屋


ph01 ph02ph03 ph04 ph05
ストーリー

 ロボットマンガの金字塔である『マジンガーZ』。その不朽の名作を、永井豪と今川泰宏のタッグが独自の世界観で元祖スーパーロボットを完全アニメ化。Dr.ヘルの侵略の魔の手に対し、兜甲児が祖父の残したマジンガーZで立ち向かっていく、という構図自体は『マジンガーZ』をベースとしながらも、随所において非常に大胆なアレンジが加えられているのが特徴だ。甲児の母親であるつばさの存在や、あしゅら男爵と古代ミケーネのつながりなどは、その最たるものであろう。また、ゼウスやハーデスなどの神々が登場するギリシア神話も密接に関連しており、壮大なスケールの物語が展開する。また、本作は「機動武闘伝Gガンダム」や「鉄人28号」(平成版)などで知られる今川泰宏監督が手がけた作品。最終話におけるロケットパンチ100連発など、常識はずれのド派手な展開も大きな見どころだ。

メカ

 本作は、メカニック面でのトピックも非常に多い。まず、マジンガーZの最強武装であるゴッドスクランダーが新たに追加されたことがあげられる。ゴッドスクランダーを装着したマジンガーZには、巨大な拳——ビッグバン・パンチ——へと変形するという、前代未聞のギミックが用意されていた。また、マジンガーZと、そのプロトタイプであるエネルガーZの激突も、ディープなファンを驚かせた要素である。エネルガーZは、1972年の「マジンガーZ」開始以前に考えられていたマジンガーZのプロトタイプで、知る人ぞ知る幻のロボットだったのだ。ほかにも、同じく永井豪原作作品である「グロイザーX」の主役ロボット・グロイザーXにそっくりな、爆撃獣グロイザーX9〜12が登場し、マジンガーZとの作品の枠組みを超えた対決も実現している。

用語2

●古代ミケーネ

 はるかな太古、バードス島において繁栄を極めていた文明(国家)。その正体は、移動要塞バードス島に乗って宇宙から飛来したミケーネ人と神々(巨人兵士のボディに、ミケーネ人の脳を用いて作ったケドラという戦闘頭脳を搭載した存在)によって形成されたきわめて高度な文明である。
 かつて地球は、神々による宇宙戦争の重要拠点であった。そのため、ミケーネの母星は、大神ゼウスを指揮官とした軍勢を派遣し、地球を占領したのである。だが、先住人類の抹殺を命じられたゼウスはこれに反発し、ミケーネに対して反旗を翻した。そしてゼウスは、彼に代わって派遣された指揮官ハーデスと対峙し、これを打ち破ったのである。
 なお、Dr.ヘルはバードス島の調査により、この巨人兵士のボディを発見し、機械獣として用いていた。また、あしゅら男爵の正体は、ミケーネの巫女だったトリスタンとイゾルデであり、最終話では彼らの自決によって古代ミケーネ復活の儀式が完成している。