天元突破グレンラガン

◆メディア:TV ◆放映年月日:2007年4月1日~2007年9月30日
◆話数:全27話 ◆監督:今石洋之
◆キャラクターデザイン:錦織敦史 ◆メカニックデザイン:吉成曜
あらすじ

 人類が地底に移り住むようになっている遠い未来。そんな村の1つ、ジーハ村に住む、穴掘りが得意な少年シモンは、兄貴分のカミナに強引に誘われ、今やその実在を誰も信じなくなってしまった地上への脱出を試みる。そんな中、天井から巨大な顔の形をしたメカ――ガンメン――が突如落下してくるのだった。シモンとカミナはガンメンを追ってきた女スナイパー・ヨーコと協力。シモンがトンネル掘りの最中に掘り当てた小型メカ、ラガンに乗って敵ガンメンを撃破し、念願の地上へと脱出を果たすのであった。
 しかし、地上は獣人たちを束ねる螺旋王によって支配される無法の荒野と化していた。カミナは襲ってきた獣人に挑んでガンメン――グレン――を奪う。そして、カミナのグレンと、シモンのラガンが合体して誕生したグレンラガンは、獣人部隊の隊長であるヴィラルのカスタムガンメンをも打ち倒す。その後、カミナとシモンは獣人から地上世界を取り戻すため螺旋王の居城を目指し旅を始める。

キャラクター

 本作のストーリーの本質は、シモンの成長劇にある。カミナの死や、ニアとシモンの絆のてん末など、決して軽く、明るいテーマが扱われているわけではない。だが、暗さをまったく感じさせないのは、登場人物の強烈な個性によるところが大きい。シモンやニア、ヨーコのようなメインキャラクターだけでなく、脇役にいたるまで、みんなが「無理を通して道理を蹴っ飛ばす」というカミナのセリフに代表される、バイタリティを持っているのだ。彼らのやりとりは時にコメディチックであり、視聴者の笑いを誘うものとなっている。だが、それこそが視聴者の感情移入を助け、脇役1人1人の死にすら涙させられてしまう所以となっているのだろう。

用語1

●螺旋力

 上昇する螺旋構造によって、無限に増大・進化する力のことである。グレンラガンは、この力を用いて受けたダメージを瞬時に回復する力を持っている。人の形こそが最も効率よく螺旋力を発揮するとされ、グレンラガンと合体したダイガンが人型に変形するのはこのためである。また、劇中ではブタモグラのブータが、人型へと一時的に進化している。なお、ロージェノムがクローニングによって生み出した獣人は、螺旋力を持たない。
 一方、進化の果てにはスパイラルネメシスと呼ばれる現象が待っており、全宇宙を無に還してしまうという。

©GAINAX・中島かずき/アニプレックス・KDE-J・テレビ東京・電通


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ストーリー

 昨今まれに見る熱いドラマが展開される本作。「お前を信じる俺を信じろ!」など、物語序盤からカミナによる名台詞が続出する。そのカミナの死にまつわる第8話は、涙なくして見ることはできないだろう。そして、そのカミナの死を受け入れて次第に大きく成長していくシモンの姿こそが最大の見どころとなる。
 「ドリル」をテーマとした本作だが、メカニックやガジェットといった上辺だけにとどまるものではない。物語終盤で語られる「一回転すればほんの少しだが前に進む」という、人の意思を現したセリフは、本作の根幹に「ドリル」が通底していることを思い知らせてくれるだろう。

メカ

 本作に登場するメカはガンメンと呼ばれる、巨大な顔に手足がついたもの。必ずしもカッコイイだけのものではなく、どこか愛嬌のある、世界観に合致したデザインだと言える。だが、その戦闘シーンはロボットアニメの王道を貫くかのような大迫力で展開される。
 また、アンチスパイラルとの戦いに身を投じた後の、グレンラガンの相次ぐパワーアップにも大いに驚かされる。アークグレンラガンは大都市をまるごと内包できるほどの巨大ガンメンだが、超銀河グレンラガンは衛星ひとつと同等、天元突破グレンラガンにいたっては「銀河を投げる」という人智を超えた超絶スケールとなっている。むろん、戦闘の迫力もそれに追随してパワーアップしていくのである……!

用語2

●アンチスパイラル

 宇宙を崩壊させてしまうスパイラルネメシスの脅威を知り、自ら進化を止めて同胞に牙を向いた螺旋族。螺旋力を持つ生命体を抹殺しようと目論む。時空間を超越し、多元世界へも影響を及ぼせる、宇宙そのものともいうべき絶大な力を持っている。
 かつて螺旋王ロージェノムは、アンチスパイラルに対して反旗を翻したが、その力の前に屈している。ロージェノムが人類(螺旋族)を地下へと押し込めたのは、アンチスパイラルがしかけた人類せん滅システムの発動を防ぐためであった。