電源がなくても使える! ASUSモバイルゲーミングモニター『ROG Strix XG16AHP』シリーズが快適すぎた

澤田真一
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 10月22日、ASUS JAPANから外付けゲーミングディスプレイ『ROG Strix XG16AHP』シリーズ(以下『XG16AHP』)が発売されます。

 最近ではノートPCに設置するためのディスプレイが数多く発売されるようになりましたが、この『XG16AHP』はゲームでの利用を想定。海外のテクノロジーメディアでは、既にレビュー記事が出ています。

 そして当記事は、もしかしたら日本語メディアで初めての『XG16AHP』レビュー記事になるかも? 何と日本発売前の製品が、筆者の事務所に届きました!

部屋に馴染む機能美

 『XG16AHP』シリーズは3種類。三脚スタンドのある『XG16AHP』、ホワイトカラーの『XG16AHPE-W』、そして三脚スタンドを省いた『XG16AHPE』です。今回は『XG16AHPE-W』をASUS JAPANから貸していただきました。

 画面サイズは15.6インチ、厚さは11.8mm、そして重量は900g。非常にスリムで、持ち運びもできるくらいの軽さです。フルHD(1920×1080)の画面を映し出します。

 興味深いのは、この製品が7,800mAh容量のバッテリーを内蔵しているという点。充電さえしておけば、電源なしで稼働することができます。

 早速、筆者のノートPCの横に置いてみましょう。まだ電源は入れません。ですが、実はこれだけでも『XG16AHP』の機能美を感じ取ることができます。

 机を丸々占拠するような圧迫感は一切なく、癖のないデザインを相成って部屋と調和しています。“いかにもガジェット”というような印象は皆無で、むしろかなり以前からそこに置かれていたのでは……と錯覚してしまうくらいの自然さです。また、15.6インチというサイズはノートPCのサブディスプレイとして使うにはちょうどいいと感じました。

 なお、『XG16AHPE-W』は三脚スタンド対応ですが、今回は敢えて内蔵のスタンド機構で製品を立てています。まるで折り紙のような設計で、シンプルだからこその合理性がそこにはあります。

仕事の合間のゲームにも

 では、『XG16AHP』をノートPCと接続してみましょう。

 もちろん、今回も何かゲームをプレイしてみます。悩んだ末、筆者が選んだのはSteamで配信されている『Kenshi』というタイトル。

 これはオープンワールド方式のRPGで、舞台は荒廃した世界。一部の土地を除き、どこまでも砂漠と荒野と酸性雨の降る汚染地帯が続くような環境です。主人公はそのような過酷な世界を生き抜きます。

 一般的なRPGは、物語が進行する毎にモンスターも強くなっていきます。しかし『Kenshi』にそのようなご都合主義は一切ありません。主人公の境遇によっては、片足を失った状態でいきなり強いモンスターのいる砂漠へ放り出されます。その上、このゲームには“空腹”という概念もあり、何か食べなければいずれ餓死してしまいます。

 それじゃあ、一体どうしろってんだ!? そんな疑問が浮かびますが、モンスターに襲われているのは自分だけではありません。通りすがりの旅人が砂漠のど真ん中で行き倒れていることもあります。もうすぐ死にそうな人から身ぐるみを剥ぎ、それを町で売っておカネを作り、食料を買って腹ごしらえをしてまた追い剥ぎに……ということをやって何とか命をつなぎます。

 時には旅人からリンチされるかもしれません。もちろん、最初は腕っぷしも弱いため呆気なくノックアウトされます。しかしそうして殴られるうちに“打たれ強さ”が上がっていき、気がつけば滅多なことではKOされない肉体を入手しています。

 そんな夢もへったくれもないゲームを、筆者は仕事の合間にプレイします。そのような時、『XG16AHP』でデュアル画面にしておけば非常に便利です。また、『Kenshi』はグラフィック重視のタイトルではないとはいえ『XG16AHP』に映し出すとキャラが非常に際立ちます。「こいつ、こんな美人キャラだったっけ?」と、つい疑ってしまうほどです。

1930年代の名曲を聴いてみる

 それにしてもこの『XG16AHP』、とてもいい音響です。下の画像で筆者が指差している部分がスピーカーになっているのですが、これはちょっとしたオーディオ機器ではないか……と考えてしまいました。

 そこで筆者は『Kenshi』のプレイを中断し、代わりにYouTubeを開きました。これで音楽を聴いてみましょう。

 筆者が選んだのはビリー・ホリディの『奇妙な果実』。かなり暗い曲ですが、実はビリーの伸びのある歌声と『XG16AHP』のスピーカーは相性がいいのでは……と筆者は感じました。まるで全盛期のビリーが目の前にいるかのようです。

 南部の木には奇妙な果実が実っている。血のついた葉、血のついた根。黒い身体が南風に揺れている。

 1939年にリリースされた『奇妙な果実』の歌詞は、当時のアメリカ南部州で横行していた「黒人へのリンチ」を告発する内容でした。あまりに悲惨かつ恐怖でしかない歌詞のため、『奇妙な果実』はクラブハウスの客には受け入れられないだろう……と思われていましたが、実際に歌ってみるとクラブハウスは大きな拍手で爆発しました。

 「ビリー、最後はあの曲で締めてくれ」

 クラブハウスのオーナーにそう乞われ、ビリーはこの曲を歌い続けました。その最中、バーテンダーもウェイトレスも仕事の手を止め、ビリーの歌声に耳を傾けます。

 『XG16AHP』は、30年代ニューヨークの雰囲気を余すことなく再現してくれました。

仕事から趣味までカバーする“オールマイティ選手”

 そんな『XG16AHP』ですが、日本ではAmazonや楽天など販売されています。価格は専用三脚付属モデルが約59,000円、三脚なしのモデルが約55,000円。この製品はテレワークでもゲームでも動画・音楽視聴でも使える、まさにオールマイティ選手です。

 年末年始、家族で動画オンデマンド配信の映画を観る際も『XG16AHP』が重宝するかもしれません。もしもこれを衝動買いしてしまったとしても、決して無駄にはならない製品と筆者は確信しています。

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