【おすすめDLゲーム】少年の悪夢を描いたADV『DARQ』は夢(ゲーム)から覚めずに世界観を堪能できる

キャナ☆メン
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 ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回は、Unfold GamesがPC向けに配信する『DARQ』のプレイレポートをお届けします。

 『DARQ』は、『ヒットマン: エージェント47』などの映画に携わって作曲家活動をしてきたWlad Marhulets氏がほぼ個人制作した作品で、主人公の少年ロイドの悪夢を体験するアクションアドベンチャーゲームです。

 特徴としては、ストーリーや世界観の表現に言葉を用いず、奇妙で味のある独特な雰囲気でプレイヤーを包むような作品になっています。また、ゲームプレイ的にはパズル要素を中心とした内容です。


 悪夢を描いているので、グロテスクな表現や恐怖を与えるホラーエッセンスはあるものの、ホラーゲームと言い切るほどホラーに偏っているわけではなく、プレイヤーの心理を水面に例えるなら、そこに少しずつ水滴を落としていくように、繊細な演出で心をざわつかせるタイプのゲームだと思います。

そぎ落とされたシンプルなゲーム性が悪夢の世界に没入させる

 『DARQ』をプレイして感じたのは、シンプルにそぎ落とされた作りで、“見るゲーム”ではなく“触るゲーム”として悪夢を体験できるということです。

 本作を起動すると、タイトル画面すらなく、いきなりインゲームで主人公のロイドを操作できるようになります。

 言葉による表現がないので、そこにはロイドの置かれた状況を知らせる説明もない。(ポーズメニューで確認できるものの)操作方法のチュートリアルもない。ホラーテイストのゲームであるため、グラフィックは全体的に暗く、サウンドも抑えめです。

 不気味な雰囲気が漂う暗い部屋で、ただ1つボタンに反応するのがベッド。ロイドがベッドに横たわると、幽体離脱するかのような演出が入り、悪夢の世界へと切り替わります。

 とにかく触ってプレイをすることで、ロイドを通して自分の体験しているものが何なのかおぼろげに見え、操作方法もだんだんとわかってくる。書き換えれば、昔ながらの作品のように、手探りでゲームのことを学んでいく感じです。

  • ▲本作は、マップが回転して壁や天井を歩けるようになるギミックが特徴。
  • ▲上の画面でもマップが回転し……。
  • ▲壁が下になって歩けるように。

 その手探りの中、小さな違和感や歪みが悪夢の奇妙な世界観を伝えてきます。ジャンプスケア(唐突な物音や怪物の登場で驚かせる)などの派手な演出は少なく、じわじわと忍び寄るようにして、独特なセンスの雰囲気と世界観に絡め取られていく。

 現実に引き戻されるとすぐに崩れてしまうような淡く繊細な表現であるため、要素を最低限までそぎ落としてゲームだけに集中できる作りであることは、とても大きいと感じました。また、中盤を変に引き延ばさず、クリアまで3時間程度でコンパクトなことも本作には合っていると思います。

  • ▲悪夢の中には奇怪なクリーチャーが存在。見つかると即死でチェックポイントからやり直しなので、身を潜めながら敵をかわしていきます。

 気取った書き方をすれば、ゲームを起動すると同時に、プレイヤーは、まるでロイドが悪夢の世界へ入り込むようにゲームの世界に入り込んで、クリアするまでその夢(ゲーム体験)は覚めない。時間を作って一気に遊ぶと、より楽しめる作品かもしれません。

 パズル要素については、手を止めて考えるほど難しくはなく、かといって何も考えずに解けるほど簡単ではないので、いい塩梅で思考を刺激されるはず。ステージ(章)数は多くないですが、シチュエーションの違いをしっかりと楽しめます。

  • ▲ちなみに1章~6章については、わかりにくいところに隠しアイテムが置かれています。実績のコンプを目指す人はぜひ。

ゲームに集中して独特な雰囲気を楽しめる作品

 本作は価格が2,050円なので、費やす時間・料金ともにおおよそ映画1本ぶんに相当すると言えますが、プレイ後の満足感についても、映画のように集中して時を過ごし、そこからの開放感を味わいながらシアターを出て行く際の気分に似ています。

 ただ、ストーリーが明示されず雰囲気を重視した作品であるため、こうしたゲームで満足できるか否かは根本的に好みの分かれるところかもしれません。好みの面で問題なければ、何か気分を変えて別のゲームを遊んでみたい時などは、非常に適していると思います。

 ゲームそのものとは別に、発売日を発表してからEpic Games Storeに専売契約を打診されて断ったことも話題になっていますが、その経緯はWlad氏が詳しくブログに綴っています。重要な前提として、同氏が語っているようにスタジオごとの置かれた状況によって何が最善かは異なるわけですが、投稿された文章からはWlad氏の真摯な人柄がうかがえると思います。

 ちなみに、あまり言葉は使わないゲームですが公式で日本語対応も行われています。雰囲気重視のゲームが好きな人は、『DARQ』で表現される奇妙で独特な世界観に浸ってみてください。

(C) 2019 Unfold Games, LLC. All Rights Reserved. DARQ title and logo are registred trademarks of Unfold Games.

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DARQ

  • メーカー: Unfold Games
  • 対応機種: PC
  • ジャンル: アクションADV
  • 配信日: 2019年8月15日
  • 価格: 2,050円(税込)

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