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近未来ヒャッハーな世界観に影響を与えた作品は? 『Huntdown』開発者インタビュー【電撃インディー#120】

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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は2Dアクションゲーム『Huntdown(ハントダウン)』の開発チームへのインタビュー記事をお届けします。

 本作は、荒廃した近未来が舞台の2Dアクションゲーム。一人の賞金稼ぎとなって悪党を倒すシンプルで分かりやすいストーリーと、爽快アクションが魅力的な作品です。本作のPS4/Switchパッケージ版が10月28日に発売されました。

 本インタビューでは、『ハントダウン』の開発者の1人・トミー・グスタフソン氏にお話を伺いました。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

トミー・グスタフソン氏(アートディレクター、その他)インタビュー

――『ハントダウン』の注目点を教えてください。

 アクションとハチャメチャ感、そして楽しさです。爽快なバトルや、素晴らしい俳優陣が演じる何千種類ものセリフ、ユニークな武器やボスなど、多くのプレイヤーに「このゲームには見た目以上のものがある」という感想をいただいています。

 『ハントダウン』は小さなチームで制作されていますが、ピクセル単位で隅々まで美しく手作りされており、非常に豊かなゲーム性を持っています。

――開発で苦労していたところを教えてください。

 まず、仕事量が尋常ではありませんでした。ゲームの大部分は2人のプログラマーと2人のデザイナーによって制作されましたが、彼らがレベルデザイン、ライティング、サウンドデザイン、音楽も担当しています。

 ゲームの全体を少人数で制作したことにより、最終的なクオリティをかなりコントロールできましたが、とにかく時間がないのが難点でした。

 もう1つの困難は、協力プレイを念頭に置いて、すべてのステージ、イベント、ボス戦をデザインすることでした。すべてがシングルプレイヤーでも機能しつつ、協力プレイにおいても同様に素晴らしいものでなければならないので、いくつかの部分に制限を持たせざるを得ませんでした。

――開発をするうえで、特に気を付けている点などを教えてください。

 ゲーム体験にすみずみまで気を配り、何1つ妥協していません。限られた色数となるピクセル調のグラフィックで、すべてを80~90年代のような手法で描き出したいと考えました。

 そのため、アニメーションはピクセル単位ですべて手描きです。また、プレイヤーの動きにも注目しており、どんなに困難で混沌とした状況でも、プレイヤーが主導権を握っている状況では、キビキビとしたレスポンスの良い操作性を求めました。

 すべてのボスが個性的で、これまでのボスの“皮を被った亜種”のようにはしたくありませんでした。

 ゲームに何かを追加するときは、できるだけ良いものにしたいと考えています。例えば、80年代のアクション映画に出てくるヒーローのように、主人公たちにカッコいい一発ギャグを言わせたいと初期の段階で決めていました。

 最初はいいアイデアだと思ったのですが、実際にはそれにふさわしい俳優を見つけるために何度もオーディションを行い、キャラクターのために何千もの異なるセリフを用意しました。

 主人公が敵を倒すたびにクールなキメ台詞を言うような感じです。繰り返しにならないよう、敵を殺すたびに(その場面に応じて)約60種類の台詞を用意しています。

 それだけではありません。2人の主人公が協力してプレイするためには、同じ台詞を言わないように個性的なものにしなければなりません。この考え方が私たちのルールとなりました。

 主人公が3人いるので、“殺しの成功時”のバリエーションだけでも180個くらいの台詞がありますよ。

 これはほんの一例で、敵からダメージを受けているとき、味方からの攻撃を受けているとき、手榴弾を投げているとき、さらにはエレベーター待ちの相手に急げと叫んでいるときなど、さまざまな場面で特別な台詞があるんです。

 振り返ってみると、この部分はやりすぎたかもしれませんね。ピクセル2Dアクションゲームでの、台詞数の記録を更新したのではないでしょうか……。(笑)

――ゲームタイトルにこめた想いを教えてください。

 私たちは、2Dアクションゲームのようなありふれたジャンルであったも、革新的な要素を与え、感動を与えることができると強く信じています。

 そして、ゲームのスクリーンショットや実況配信ではわからない『ハントダウン』のおもしろさに、新しいプレイヤーが驚いてくれることを願っています。

――荒廃した近未来的な世界観が特徴の本作ですが、影響を受けた作品はありますか?

 もちろんです! 古いアクション映画やSF映画に影響を受けただけでなく、それらへのオマージュも入っていますよ。

 『バトルランナー』、『トータル・リコール』、『ターミネーター』、『ロボコップ』、『コブラ』、『ブラッドスポーツ』、『ニューヨーク1997』、『ラスト・ドラゴン』、『ブレードランナー』などの映画に大きな影響を受けています。

 これらはすべて、私たちが子どものころに観た、ダークで素晴らしい映画です。

――主人公3人のキャラクターとしての特徴や見どころを教えてください。

 『ハントダウン』では、敵キャラクターを輝かせたいと考えていました。そのため、主人公である3人の賞金稼ぎよりも、ギャング達の方がよりカラフルにデザインされています。

 ギャングたちを目立たせるために、主人公たちのデザインはあえて単調にしているのです。当初、モウ・マンはこげ茶色のコートを着ていたのですが、協力プレイ時の視認性に問題があったため、黄色の破れたレインコートに変更しました。

 賞金稼ぎ達は普通の善人ではなく、サイコなアンチヒーローの方が面白いと思っていました。その方がテーマにも合っていますしね。まあ“普通の善人ヒーロー”が街中でマシンガンを持って何千人もの人をなぎ倒していたら、なんだか違和感がありますし……。

 でも、『コマンドー』のようなアクション映画の死体数(スクリーン上で約150人が死亡)が、その責任から我々を解放してくれたことに感謝しています。1980年代のアクション映画は非常に暴力的だった。そしてそれがこの『ハントダウン』にも反映されているのです。

――本作に登場するボスはどれも個性的ですが、とくにお気に入りは誰でしょう?

 個人的にはRingo Road Rageが好きですね。朝の渋滞の中でハンドルを握っていると、多くの人が彼の怒りに共感するのではないでしょうか。

――今後、実現したい野望などありますでしょうか?

 『ハントダウン』で得たすべての教訓を、今取り組んでいる次のゲームに生かすことです。詳細はまだ明かせませんが。

――ゲームの開発に携わることになったきっかけについて教えてください。

 私とAndreas Rehnberg(マスタープログラマー)が『ハントダウン』のアイデアを思いついたのは2015年のことで、2人で会社を立ち上げ、素晴らしい才能を持った人たちとチームを組み、パブリッシャーのCoffee Stainとも手を組みました。

 現在、私たちはCoffee Stainを通じてEmbracer Groupの一員であることを誇りに思っています。

――ここ数年でもっとも感銘を受けた、おすすめのインディーゲームについて教えてください。(インディーゲームでなくても構いません)

 『Carrion』がとても気に入っています(素晴らしいゲームだ!)。このゲームはムードがありますし、クラシックなホラー映画のモンスターを演じたくない人なんているでしょうか?

 『Perfect Cell』というモバイルゲーム、これもとてもいいですね。問題解決型のパズルや、建築的にデザインされた空間や部屋の背後にあるすべての開発作業は、とても想像に容易いものではないでしょう。

 このゲームのムードある世界観もとても気に入っていて、『Half-Life』の世界を思い出させてくれます。

――最後にユーザーに一言お願いします。

 『ハントダウン』に興味を持っていただき、ありがとうございます。私たちが本作を楽しんで開発したように、皆さんにも80年代にインスパイアされたアーケードアクションを楽しんでいただきたいと思っています。さあ、狩りの季節を始めましょう!


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