『ぷよぷよ』サウンドのキーマン・吉永さん&安倍さんに質問。『ぷよクエ』テーマ曲のコンセプトとは!?

電撃オンライン
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 iOS/Android用アプリ『ぷよぷよ!!クエスト』の新たなテーマ曲『ココからもっと!ぷよぷよ!!!』を手掛ける開発スタッフへのインタビューをお届けします。

 “スーパーぷよクエプロジェクト”は、『ぷよクエ』の中で、これまで類を見ない大型のプロジェクトです。さまざまな要素があり、長期に渡ってユーザーを楽しませるものになっています。

 10月27日に実施された“スーパーぷよクエプロジェクト”第1弾アップデートで追加されたテーマ曲について、“スーパーぷよクエプロジェクト”ディレクターの吉永匠さんと、『ぷよぷよ』シリーズサウンドディレクター・安倍栄基さんに質問。サウンドを手掛ける際に心がけていることや、テーマ曲のコンセプト、収録時の印象などをお聞きしました。

  • ▲左が吉永匠さんで、右が安倍栄基さん。

『ぷよぷよ』サウンドを長く手掛ける2人にインタビュー

ーーまず、これまでに作られたタイトルについてお教えいただけますか?

安倍:セガからリリースされている、多くの『ぷよぷよ』シリーズにかかわっています。他のタイトルだと『サクラ大戦』シリーズの『3』や『4』をはじめとする、ドリームキャストタイトルを担当しています。曲の仕事は『ぷよぷよ』が多いのですが、『ファンタシースターオンライン』の効果音など、SEまわりはいろいろなタイトルをやっています。

吉永:『スペースチャンネル5』や『きみのためなら死ねる』、『うた組み575』などを担当しています。『ぷよぷよ』シリーズだと、『ぷよぷよ7』や『ぷよぷよ!!(20周年記念タイトル)』ですね。

ーーサウンドの担当者はどのようにして決められているのでしょうか?

安倍:サウンドチームに依頼があった際、スケジュールを見て対応可能な人が行うことが多いですね。

 ただ、シリーズの曲については、経験者に「次のタイトルもお願い」となることもあります。知っておいたほうがいいルールなどがあるのでノウハウがある分、他の人よりスムーズにいきますし、楽曲に統一感も出るので。

吉永:『ぷよぷよ』であれば安倍がずっと手掛けているので、言い方はあれですが“お願いすれば間違いがない”のです。『ぷよぷよ』の世界観と“安倍サウンド”があっているので、開発チームからも安心感があり「安倍さんなら大丈夫」というふうになります。

ーー“安倍サウンド”という言葉が出てきましたが、『ぷよぷよ』のサウンドを作る際に、どのようなことを意識されていますか?

安倍:最近だと何をするにも生演奏で、本格的なサウンドを求められますが、『ぷよぷよ』は8bit、16bitの時代に生まれた作品です。そのため、音源があまり豊富でないけど工夫したり、メロディ主体にしたりといった、昔ながらのゲームミュージックっぽさを残したサウンド作りを大事にしています。

吉永:おそらくそこがあるから、ハードスペックがあがり、音が豊かになったとしても、昔からある『ぷよぷよ』のタイトル性にマッチする音を作ることができるのだと横から見ていて感じます。

ーーそれはある意味で“制限”ということでしょうか?

吉永:もし現代のゲームに、サウンドだけを昔のような音源で乗せると違和感があると思います。ゲームの表現があがっているのにあわせて、強化もされているサウンドを搭載しているのが大事。制限ではないのですが、当時の雰囲気を表現したサウンドにするのが大事だと思います。

 リッチな音づくりに振り切らないのは、作るほうからすると“制限”ともとれるのかもしれませんが、それが安心感につながっているのかもしれませんね。

安倍:僕自身は制限というか、ルール作りがあったほうが考えやすくてやりやすいのですが、それによる弊害ももちろんあります(笑)。そのため、バランスが大事なんですよね。

吉永:ユーザーさんにサウンドを評価していただいているのは、そのバランスがしっかりあるからこそだと思います。これは長く作っている安倍サウンドだからこそできていると考えます。

ーー長くシリーズにかかわっているからこそ、開発環境の変化を感じたことはありますか?

安倍:ツールなどは多少は変わっているのですが、環境自体はそこまで変わりはないですね。

 現在ではCDのような音源を自然に流せるものになっていますが、ニンテンドーDSまでは、本体の音源を使っているため、音色データと音符情報をセットで組み込むというものでした。

 時代が進化していくことによって、作りやすくなった部分もあるのですが、内蔵音源が好きな自分としては環境の変化は少し寂しくもありますね。

 シリーズで長くつながっているゲームだからこそ、以前の雰囲気を残したいという気持ちを込めつつ、『ぷよぷよ』サウンドの仕事をしていたりします。

『ココからもっと!ぷよぷよ!!!』のコンセプトや開発者として注意したことは?

ーー曲『ココからもっと!ぷよぷよ!!!』のコンセプトについて教えていただけますか。

安倍:開発スタッフから、目指している方向について「楽しいこと」、「新しいキャラ」、「リニューアルにふさわしい景気のよさ」などのテーマが共有されたので、基本はそちらをコンセプトにしています。

吉永:加えて、これまではおだやかな曲が多かったのですが、疾走感が少しあったり、少し勇ましさが入っていたりする曲というのを求められましたね。特に“勇ましさ”はこれまでとは違うオーダーだったので、いいところを拾ってもらい、作ってもらっています。

安倍:その中で自由に作らせていただきました。できあがった曲に対して「短い間にセリフをもっと詰めたいのでメロディを短くしましょう」などの意見をいただき、詰めていきました。

吉永:「こういうセリフを入れたいので譜面を直してもらえますか?」というお願いは何回かありました。

ーー『ぷよぷよ』のゲームの歌入り楽曲といえば、『ぷよぷよのうた』を思い出します。

安倍:『ぷよぷよ7』の主題歌であんどうりんご役の今井麻美さんに歌っていただきました。ちなみにその時のディレクターは吉永さんです。

吉永:ああ! 『ぷよぷよ』のゲームの歌入り楽曲というと、『ぷよぷよのうた』を思い出すんですね(笑)。自分が担当する時は、何気に歌入りの楽曲をやっているのかもしれません。

ーー新キャラの“あたり”が歌うことについて、意識したことはありますか?

安倍:新しいキャラということでまだイメージがなく、しゃべっていただいたセリフや流れでキャラがこれから固まっていきます。そのため、新しいキャラにふさわしい曲であることは当然として、“今までとちょっと違う新しさ”を感じてもらえるように心がけました。

ーー収録をご覧になられていかがでしたか?

安倍:僕は歌ものをあまりやらないのですが、収録現場で立ち会うと、最初からしっかりとした音程で、ちゃんと要求通り&それ以上の声が出ている声優さんはやはりすごいと思います。

 当たり前のことかもしれませんが、それをちゃんとやれる……仮歌や譜面はもちろん事前にお渡ししているのですが、予想以上の歌唱をされていることには驚かされます。

  • ▲あたり役の田嶌紗蘭さん

吉永:田嶌紗蘭さんと、あたりの声がかなりハマっていたと感じました。初めて声を聴いた時もキャラのイメージとすんなり一致しましたし、収録の際に現場で聞いても違和感がなかったです。その流れがあったので、楽曲の収録もスムーズでした。

ーーでは収録時に、ディレクションなどはあまりなかった?

安倍:あたりさんのキャラ設定はわりとフラット。いままでふれていなかった人が、『ぷよクエ』に入る際、自分たちに近い位置づけだと感じられるような設定です。

 そのため、どこまでキャラ性を曲に出すのかは最初に相談しました。

吉永:キャラクターを100%出して収録するのではなく、ちょっとトーンを落としてリアルさを出すようなバランスでお願いしました。

ーー2番のキャラの名前が並んでいるフレーズに驚いたのですが、こちらを作るのは大変だったのでは?

吉永:そもそもの狙いになるのですが、『ぷよぷよ』はシリーズが長いため、キャラが多く存在しています。キャラを知らないと敷居が高いと感じてしまうかもしれないので、曲を通じて名前だけでも憶えてほしいと考えました。

 キャラ名が並んでいる部分は2番になるので、1番ができてから作ることになりました。名前をフレーズとして置いていくのは簡単なことではないのですが、サウンド作りをそれなりにやっていると、みんなノウハウがあるので、そこまで長く時間がかかったという感じではなかったと思います。

ーー曲やリファインについて、注目してほしいなどはありますか?


吉永:サビは希望感があって、聞いていて気が晴れます。あとは間奏のピコピコした音声は安倍サウンドらしいポイントです。あとは、楽譜の譜面がわりと細かいのにすべてに言葉が振られているため、歌いづらい曲になっているところは、聞きどころかもしれません(笑)。

安倍:作った時には、あまり難しい曲ではないだろうと思っていたのですが、歌詞を乗せたり曲が変化したりして、できあがったものは少し難易度が上がっていました。音程に上下の変化もあるうえにテンポをとりにくい。それを田嶌さんが歌いきっているので、そこは注目していただければと。

 個人的には、サビのメロディは作るのに苦労したので、「ちゃんといい形になってよかった」という気持ちを持っています。

吉永:あと歌詞に「大きいころから」というワードがあります。『ぷよぷよ』は小さいころから始めたわけではなく、タイトルが出た時にすで大きかった人や、小さい時にやった記憶があまりない人もいます。あとはアプリでしか知らない人も出てきています。

 このワードには、幅広い層に愛されているタイトルという意味が込められているのです。

ーーサウンドの面から、ファンへのメッセージをいただけますか?

安倍:これからも安心安全、そして楽しいをモットーにサウンドをお届けし続けていきたいと考えています。引き続き、よろしくお願いいたしますね。

吉永:今回の楽曲は、いままでの『ぷよぷよ』とこれからの『ぷよぷよ』を詰めこんだものになっています。初めて遊んだ時の環境を思い出してもらいつつ、これからも楽しんでもらうようなことを感じてもらえると思っています。

 曲にはアニメーションを用意していて、力を入れて作っています。実はアニメーションで動くのはセガの『ぷよぷよ』シリーズとして初で、アニメに乗る曲も初となっています。

 映像では“昔も今も、これからももっと楽しい『ぷよぷよ』”を再現しました。前半は歴代のキャラが登場し、中盤で冒険を感じるものがあり、ぷよバトルが展開しつつ、後半には新キャラ3人が姿を見せるものになっています。映像にあわせて曲について細かい調整を安倍にしてもらいました。

 テーマを感じつつ、曲、アニメを楽しんでもらえるとうれしいです。

安倍:絵コンテを見てから、歌詞を直した部分もありますね。曲とアニメから楽しい雰囲気を感じていただければ幸いです。

©SEGA

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