死を招く少女は“愛する人”と邂逅する――。『終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation-』プレイレビュー

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 オトメイトが10月7日に発売した女性向け恋愛アドベンチャー『終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation-』

 短命な国民や次々に巻き起こる凄惨な事件、そして“死神”と呼ばれ忌み嫌われている主人公など、女性向けの恋愛を描くにはダークな世界観の本作。だからこそ光る男性キャラクターの魅力や、彼らとのやり取りにときめく人も多いはず。

 今回は序盤のプレイレポートを織り交ぜながら、本作の世界観やキャラクターを紹介していきます。

死に愛された国

 本作の舞台となるのは、西ヨーロッパの小国・アルペシェール。この国で生まれた人々はとても短命で、23歳で死に至ります。そしてそれは“死の呪い”として国を覆っていました。

 しかし、短命な国民は生き永らえる方法を創り出します。それはクローンの作成システムと記憶のダウンロードシステムという、独自の延命システム。この延命システムによってよみがえった人を“リライバー”と呼びます。

 この延命システムは何度でも使用することが可能で、見た目は若くても実際の年齢は……という人物も。

 死が身近で、そして延命も身近。この世界での死生観は少しいびつに感じられます。

“死神”と呼ばれる少女

 主人公・セレス(名前変更可能)は、リライバーになっていない人間。

 18歳のセレスは物心つく前に両親を亡くしており、家族はいません。さらに“死神の魂”が宿っているとかで、彼女の周りでは過去に何人もの人が亡くなっています。もちろんセレスが殺したわけでも、死んでほしいと願ったわけではありません。

 しかし、あまりにもセレスの近しい人が亡くなり続けたことから、いつしか彼女は“死神”と呼ばれることに。

  • ▲自虐ではなくもはや事実として受け入れているよう。それがいっそう切なさを誘います……。

 身寄りのないセレスが暮らしているのは養護施設。一緒に暮らしている子どもたちには恐れられていますが、施設を切り盛りしているサロメ(声優:桑島法子)というセレスにとって母のような女性もいます。彼女はセレスを不吉だからと遠ざけたりしない、貴重な存在です。

  • ▲施設の子どもたちからマムと慕われているサロメ。彼女はリライバーです。

 アルペシェールには黒いリコリスが咲いていますが、死を招く災いの花と呼ばれ、お世辞にも好かれているとは言えません。そんな不吉の象徴ともいえる花と、死神と揶揄されるセレスはたびたび自分を重ねていました。

“死神”を恐れない男性たち

 同じ施設で暮らしている子どもたちをはじめ、街の人たちからも恐れられているセレス。メインの男性キャラクターたちは、サロメのようにセレスのことをごく普通の女の子として扱ってくれます。

イヴ(声優:斉藤壮馬)

 街の人たちからの信頼が厚い便利屋(クルーン)と呼ばれる何でも屋で、自警団の一員としても活躍。便利屋(クルーン)はリライバーのヒューゴと一緒に営んでいます。顔の左側の仮面は、過去に負った火傷を隠すためにつけています。博愛主義の優しい好青年。もちろんセレスに対してもなんのてらいもなく接してくれます。

リュカ・プルースト(声優:平川大輔)

 養護施設で授業を行う訪問教師。数回しか授業を受けたことがないセレスのことも教え子だと思っていて、気にかけてくれます。人当たりのいい物腰の柔らかい青年ですが、見た目とは裏腹な意外な一面も……?

マティス・クロード(声優:天﨑滉平)

 セレスの暮らす庶民区ではなく、富裕区に住んでいる少年。人見知りで気弱で、他人と喋るのも苦手。繊細そうな見た目をしていますが、その胸の内には愛する兄を殺された犯人への復讐の炎を燃やしています。

シアン・ブロフィワーズ(声優:細谷佳正)


 リライバーとして長い年月を生きている人物で、記憶のダウンロードを創った張本人でもあります。効率を重視しており、人の感情などはバグだと思っているのだとか……。

アドルフ(声優:八代 拓)

 同じ養護施設で育ったセレスの義兄。現在は自警団のリーダーを務めています。少々ぶっきらぼうではありますが、セレスのことを常に案じている根は優しい青年です。イヴとは自警団の繋がりで顔見知り。

アンクゥ(声優:興津和幸)

 突然セレスの前に現れた“死の番人”を名乗る不思議な存在。同じ“死”に近い者としてセレスには親近感を持っている様子。飄々とした物言いで真意を見せません。

セレスがたどり着くのは絶望か、それとも……

 異常な殺人事件、そして身近な人の身に起こる不幸を立て続けに目の当たりにし、とうとうセレスは自ら命を絶とうとします。ナイフを喉に突き立てようとする姿は、彼女の心情を考えると胸に迫るものがあります。

 しかしそれをアンクゥに止められます。さらに彼はこの国に蔓延する死の真実を明らかにすれば、セレスを普通の女の子……誰も死なせることのない女の子にしてくれると言うのです。

  • ▲セレスを同胞と言うアンクゥですが、何か根拠があるのでしょうか?

 自警団が殺人事件を調査するということで、セレスは同行を申し出ます。今まで人と関わることに消極的だったセレスにしては意外な発言です。

 イヴたちとの出会いによって、セレスの心にも変化があったよう。

  • ▲物語を進めているうちにすっかりセレスに感情移入してしまい、彼女の心境の変化に嬉しくなります。

 そして調査を開始したセレスは、マティス、そして彼に仕える執事のジャンと出会います。マティスの追っている兄を殺した犯人は、セレスたちが調査している事件の犯人と同一人物かもしれないという情報を得て、一行は同盟を組むことに。

  • ▲殺人事件の犯人こと死刑執行人。物語は徐々にサスペンスめいてきます。

 ダークな世界のなかでも、セレスに向けられる優しさや微笑ましいやり取りがあり、それがとても救いになります。序盤は謎が多いので、先が気になってどんどん進めてしまいました。

 アルペシェールが死に愛されているいる理由はもちろん、ここからセレスがどんな風に男性たちと恋に落ちるのかはぜひ本作をプレイして確かめてみてください。

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