終末世界や謎の病にピンときたら『アーキタイプ・アーカディア』! 仮想世界で妹を救う【電撃インディー#131】

イナヤ マギ
公開日時

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はケムコからNintendo Switch/PS4/PS5版が発売中の、終末仮装世界テキストノベルアドベンチャー『アーキタイプ・アーカディア』のレビューをお届けします。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

謎の病によって崩壊した世界で生きる兄妹に悲劇が……

 舞台は、自傷・他傷行為に走る謎の病“原罪病(ペカトマニア)”によって崩壊した世界。主人公“ルスト”は、原罪病を発症してしまった妹“クリスティン”とともに、“とある方法”で病気の症状を抑えながら世界を旅していました。

 その“とある方法”というのが、フルダイブ型オンラインゲーム『アーキタイプ・アーカディア』にログインすること。

 『アーキタイプ・アーカディア』は記憶をアバターに変えて戦うゲームで、ログインすることで、原罪病の進行を抑えることができるのです。

 しかしある日、クリスティンは倒れ、意識が戻らなくなってしまいます。この原因が『アーキタイプ・アーカディア』にあると考えた主人公は、『アーキタイプ・アーカディア』へとログインすることになるのです。

主な登場人物

ルスト

 本作の主人公。兄妹で生存者を探す旅をしていたが、ゲームから戻らなくなった妹を救う為に『アーキタイプ・アーカディア』をプレイする。

 幻聴症状を引き起こす原罪病には罹っていないが、何かを楽しもうとすると「興味を持つな」という謎の幻聴に苛まれる。

クリスティン/スティ

 ルストの妹で天真爛漫な少女。ゲームでは“スティ”の名で登録しており、“遊びギルド”のマスターでもある。記憶カードが破損しているためか、様子がおかしい。

アレグロ

 ゲームクリアを目指す屈強なプレイヤー。苛烈な性格だが、寂しがり屋な一面もある。

 世界には善人だけが必要だと考えており、ルストのことも善人とみなすが、自分自身は悪人と称している。

チュラル

 廃墟都市エリアの集落・アルケミアンを守るプレイヤー。ルストの戦闘の師匠となる。

 教育方針はスパルタだが、それに苦しむルストを見て愁いの表情を浮かべるなど、根は優しい。

アルティア

 “遊びギルド”のサブマスターで、すべてのプレイヤーをギルドメンバーにするために活動している。

 クールな女性だが「そう呼ばれてみたかった」という理由で、記憶を失ったスティに「おねーちゃん」と呼ばせるという茶目っ気もある。

現実世界と仮想世界を行き来して妹を救おう

 本作は、選択型テキストノベルアドベンチャーです。ストーリーを読みながら、主人公の行動を選択します。その選択肢によって、ストーリーやエンディングが変化するのです。

 ルストは文明を失い、人類が滅びかけた“現実世界”と、さまざまなエリアがある『アーキタイプ・アーカディア』の“仮想世界”を行き来しながら、クリスティンを救う方法を探していきます。

 『アーキタイプ・アーカディア』の世界には、ルストたち以外にも多数のプレイヤーがログインしています。

 もちろん友好的なプレイヤーばかりではありません。敵対するプレイヤーや“モンスター”に出会えば、“記憶カード”を使って戦うことになります。

 “記憶カード”とは、プレイヤーの記憶がカードになったもので、ここから記憶に基づいたアバターを顕現させて戦います。

 ダメージを負って行動不能となったプレイヤーが追撃を受けると記憶カードが破損し、実際にその記憶を喪失します。またすべてのカードが破損するとゲームオーバーとなり、現実世界で理性を失ってしまいます。

刺さる人には刺さる世界観がこれでもかと詰め込まれた作品

 終末世界、フルダイブ型オンラインゲーム、原罪病(ペカトマニア)……と刺さる人にはがっつり刺さる世界観がたっぷりと詰め込まれている作品です。

 フルボイスのテキストノベルゲームなので、誰でもじっくりストーリーを楽しめるし、没入感も高い!

 プレイしていると、ルストではない別のキャラクターのストーリーが語られることも。別視点から見た仮想世界の謎、そしてこの人物がルストたちとどう関わってくるのかが気になり、ストーリーがより一層おもしろくなります。

 個人的に好きだったのが、ボスモンスターのグラフィック。おぞましく、気味が悪いのに、どことなに人間味が残った造形が、いい雰囲気を醸し出しています。

 気になったところといえば、細部までしっかり詰め込まれた世界観ゆえに、理解するのに少し時間がかかることや、多少グロい表現があることです。ただ、そのあたりが気にならなければ、この謎多き作品にどっぷりハマれると思います。

 特に本作を制作したクリエイター“R氏”が手掛けた別作品『最悪なる災厄人間に捧ぐ』が好きな方にはオススメです! ぜひ絶望が支配する現実と仮想の世界で、最愛の妹を救ってください。

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